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1-1.Shuumatsuron -Eschatology-

 とりあえず俺は、その後も世界がどうとか喚き立てるユニを放っておくことにした。

 寝起きという事もあるので目を覚ますため、顔を洗いに部屋に備え付けられていた洗面台へ向かう。

「ちょっと待ってよジュンー! この世界がどうなっちゃってもイイの!?」

 うん。割と別に。

 そう答えたいのをこらえて俺は淡々と顔を洗う。流れる水を止めて顔を上げると、俺の見知らぬイケメンが鏡に映っていた。誰だよコレ。

 黄緑色のベリーショート(いわゆる「ツーブロック」的な髪型)の髪に緋色の瞳の身長180cm前後の男(何度もいうがイケメン)がこちらを睨みつけている。

「……誰だコレ」

 呟いた俺の言葉に即座に反応するユニが答えた。

「誰ってジュンでしょー? もしかして、キャラメイクした時の事、忘れちゃった?」

 キャラメイクって何だ、キャラメイクって。

 深く突っ込んではいけないと叫ぶ直感の言うとおり、俺はユニの発言をスルーすることにした。

 とりあえずこの鏡に映っているイケメンは俺という事らしい。っていうか、自分でイケメンって言うのもアレだから、この世界とやらの平均水準の顔とでも思っておこう。その方が外に出た時のダメージ(主に精神的な方)が少なそうだし。

 顔を洗い終えた俺は身支度を整えることにした。寝ている間に着ていた服は一応部屋着の類ではなさそうだったのでそのまま少しシワを伸ばす程度で……はい、身支度終了。と思った矢先に飛び出してきたのはやはりユニだった。というか、人の着替え堂々と覗いてんじゃねーぞ変態女め。

「ジュンったら、装備も身に着けないで外に出るつもり!? キケンすぎるよ!」

「むしろお前の思考回路のがキケンすぎるわ」

 つい、ユニに反論してしまった。放置安定しようと思っていたのに。畜生。

 明らかに罵倒されたハズのユニだが、その表情は不気味なほど晴れやかだった。

「ジュンの職業(ジョブ)だと、とりあえずコレとコレとー、あとコレとコレも必須かなー」

 ユニはガサゴソとクローゼットを漁りながら、俺にガンガンと鎧や剣等の「装備」を投げつけてくる。それらを身に付けながら、諦めてユニに尋ねる。

「とりあえず、ココはどこなワケ?」

「ここは、ユニやジュンたちも所属しているハンター協会の本部だよ」

「なんで俺はココで寝てたワケ?」

「だって、初めはみんなそうだよ? このお部屋からジュンの冒険が始まるんだヨ!」

「へー。で、世界がどーのってのはぶっちゃけどーでもイイんだけど、この後俺はどこに行けばいいワケ?」

「どうでもいいとか言わないでよう……とりあえず、ハンターとして登録した後、クエスト掲示板に行こう!」

「行こうって、まさかお前も来るワケ?」

「だって、ジュン、今のままじゃお友達いないでしょ? 一人でクエストをやるのはキケンだよ? だからユニも付いてってあげる!」

「……足手まとい」

「えっ、ユニけっこう強いよ? 少なくとも今のジュンよりはずーっと強いんだから!」

そう言って(あまり無い)胸を張るユニを見てみるが、特別強そうには見えない。むしろ、フワフワでフリルがガンガン付いているスカートやら無駄に凝った装飾の上着を着て、脚には白いブーツを履いて頭に王冠型のミニハットなんぞを装着している、おまけに思考回路も危うそうなこの女が「けっこう強い」ようには到底思えない。

「ふーん。ところでお前の職業(ジョブ)って何なワケ?」

 適当にユニの言葉を流し、さらに俺は質問する。こちらの方がユニのペースに巻き込まれずに話し続ける事が出来ると判断した為の苦肉の策だ。

「ユニは、『光属性』の『召喚士』だよ! とってもレアな属性と職業(ジョブ)なんだから!」

「へー。ソリャココロヅヨイナー」

「でしょでしょー!? だからジュンは安心してクエストに取り組んで、世界を救ってね!」

「さーて、ハンター登録してくるかー」

「あっ、待ってよジュンー!」

 ユニと適当に駄弁りながら装備を身に着け終えた俺は、立ち上がって部屋を出ようとする。別に追いかけてくるユニを待ってやったわけでもないが、一緒に部屋を出てきたユニと共に、登録事務所のあるハンター協会の1階へ下りて行った。


「ハンター登録ですね。かしこまりました、少々お待ちください」

 事務所へ下りると、わかりやすくカウンターがあり、そこに受付係と思われる眼鏡をかけた女性が座っていた。彼女に話しかけると、勝手にハンター登録の作業を始めてくれた。随分と親切設計な事だ。

「ハンター登録完了いたしました。『火属性』の『剣士』ジュンさん、ハンターとしてのご健闘とご活躍を心よりお祈り申し上げます」

 勝手に属性と職業(ジョブ)が登録され、ハンターとして登録したはずが何だか地味に嫌な響きの言葉によって送り出された。

「やったねジュン! これでクエストに出られるよ! 掲示板はこっちこっち!!」

 ぐいぐいと腕を引っ張ってくるユニに辟易としながらも、俺は新しい旅路へと踏み出したのだった。

人物DATA①

ユニ

ジュンが起きた時最初に出会った少女。

彼女曰く、現時点では「ジュンよりもめちゃくちゃ強い」らしい。

黒髪に碧色の瞳。光属性の召喚士。

ジュンに世界の救出を依頼するが……

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