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親友との繋がり

 高校生になってきづいた。

 一年生になるのはすごく、わくわくするってことに。

 わたし、月島コラムはこのわくわくを機に、さらなるわくわくとときめきとどきどきを探そうと思うっ。

「ねっ?」

「いきなり窓の外を見て思いを()せたと思ったら、突然同意を求められても……私、答えられないわ」

 きれいなまつ毛を片寄らせながら言うひーちゃん。

「え、え、えーーっ!?どうしてなのひーちゃんっ。ひーちゃんなら答えてくれると思ったのに~っ」

「私はそこまで敏感にできてないもの。コラムは少し落ち着いたらどう?」

「わ、わたしは落ち着いたかれんでゆうがな女の子だもんっ」

 ていうか、あたしは終始落ち着いてるもん。

「だったらまず意味を理解して漢字を書けるところからね」

 ひーちゃんはあたしに無理難題を押しつける。

「ひーちゃんきついよ~。わたしが漢字が苦手なの知ってるでしょ~っ」

「漢字どころか、得意とする教科、一つとしてあったっけ?」

 笑顔で言うひーちゃんはかわいいからなに言われても憎めないよ~。

「ひーちゃんってばぁ~」

 わたしはひーちゃんに抱きつく。

「はいはい。よしよし」

 ひーちゃんのなでなでは気持ちよくてついふにゃ~ってなる。

「……ふにゃ~。もっとー」

「はいはい。なでなで」

「はふー……」

 あたしは目を細める。だって気持ちよくて、つい身を委ねてしまう。

「ふふ。コラムはいい子」

 ごくらくだよ~。

「ちょっといい?」

 あたしがひーちゃんの膝元でなでなで天国してもらってると、クラスの委員長さんが声をかけてきた。

「なんでしょうか。巴山(みやま)さん」

 ひーちゃんが返事をする。それでなでなでをやめる。

「もう授業始まってるんだけど」

 そういえば回りが静かだ。

 うーん……そういえばチャイム鳴った気がするなー。

「あらあら、それはそれは。残念だけど、なでなではまた後でね」

「あ、うん。授業ならしょーがないよね。席に戻るね、ひーちゃん」

「ええ。転ばないようにね」

「うんっ」

 あたしはひーちゃんにうなずいて席に戻る――

「うにゃっ!?」

 ――つもりだったけど、つまずいて転んでしまった。

「……いたた…」

「だから言ったのに」

 その時のひーちゃんは口調は呆れた感じだったけど、楽しそうだった。

「大丈夫、コラム?」

「うん」

 出して来たひーちゃんの手をあたしはつかむ。

「……あー。早く席に着きなさい。二人共」

「はい。すみません先生」

「ごめんね、ひーちゃん。あたしのせいで怒られちゃった」

「いいのよ。さ、席に着いて」

「……うん」

 自分の席へ着く。

 ……またひーちゃんにめーわくかけちゃったな。また一つ反省だ……。

 あたしは机に顔をくっつけた。



「えっと……」

 昼休みになってあたしは弁当を取り出したところだった。

 あたしのクラスにお客さんが来た。

「どんなご用でしょうか」

 すかさずひーちゃんが出迎える。

「あ、えと、僕生徒会の者なんだけど……」

 せんぱいかな……?

 かっこいいというより、かわいい感じの顔立ちだけど……ひーちゃんってどういうタイプの人が好きなんだろ。

「華妃野さんいるかな?」

「華妃野さんですね。今、席を外してどこかに行ってしまいましたので、わからないんです。ごめんなさい」

「あ、いや……それならいいんだ。こちらこそごめんね。手間取らせて」

「いえ。私が勝手にやっていることだから気になさらないでください」

「そっか。しっかりしてるんだね。えと…」

「日笠日和です。どうぞ日和、と呼んでください」

「じゃあ日和さんで」

「ふふ、はい」

 なんかいいふいんきだな……ひーちゃん。

「あはは……えっと、伝言頼まれてくれるかな?日和さん」

「はい。どのような用件でしょう」

「華妃野さんに、放課後、生徒会室じゃなくて、体育用具室に来るように言ってもらえるかな?」

「はい。了解しました。華妃野さんが戻られたら、お伝えしときますね」

「うん。よろしくね。それじゃあ僕行くから」

「はい」

 せんぱい(らしき人物ってだけだけど)と話終えると、ひーちゃんがお弁当を持って戻って来た。

「ただいま」

「……おかえり」

 今のおかえりが無愛想なものになってしまった。これじゃあ不自然だよね。

「もしかして、私が先輩と話していたから、嫉妬しているのかしら」

「べ、別にそんなんじゃないもんっ」

「ふふ。まぁ、そういうことにしておくわ」

 これはたぶん、ひーちゃんの言うとおり、しっと……なんだと思う。仲がいいひーちゃんがあのせんぱいに盗られてしまうんじゃないかって思ってしまって…。

「大丈夫よ。私はどこにも行かないわ。安心して」

「……本当?」

「本当よ。さ、食べましょう」

 ひーちゃんにもその内好きな人ができると思う。

 その時はきっとあたしとのつながりも絶たなくてはいけなくて……でも、それはまだ先で、でもいつになるかもわからない。

 だからあたしは前向きにひーちゃんと向き合おうと思う。

「うんっ」

 だからあたしは、いつでもひーちゃんに安心してもらえるように、笑っていようと思う。

「あ、ひーちゃんの卵焼き美味しそう」

「はい、あーん」

「あ~んっ」

 今日もひーちゃんの手作りのお弁当は、美味しかった。

本編第11話と第12話の間の話です

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