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11/13

まだまだお化け先生

■解説>

 なんか、原作道場では期待してる方もおられるとのことですから、いちおう…。あいかわらずの内輪ネタです。でも、テーマは一応「愛」。最後まで読んでいたたげればわかります。ろくに推敲してませんので誤字脱字はご勘弁ください。


 (追加注:「原作道場」とは初発表場所のことです。)


■粗筋>

 色即是空。


■主要人物

 いらねーだろーから略


[1]

華村(苦しそう)「変わっていく……私が変わっていってしまうぅぅぅっ!!」

浄雲(必死)「美晴さんっ! 駄目だ! 戻れ!」

 美晴、両腕を広げゲルの中に踏み込む。

美晴「……華村先生も私とひとつ……」「お狐様やお父さんと一緒、みんな

 和御霊なのよ!」

  ゲルの中に溶けていく美晴。微笑。

美晴(心の声)「惟神(かむながら)魂ち栄えませ…」

  ドォォォン!


[2]

□ 

T「またまたお化け先生」

華村「なんつってハッピーエンドになると思った!?」「そうは 問屋が

 焼きはまぐりをおろさないのよ!」

  オーッホホホホホホッ!


[3]

□ なぜか教室。

華村(読者に向かって肩出してウィンク)「だってヒロインの私がまだ活躍して

 ないもんね」

哲男(手を挙げる)「せんせー」

哲男「このマンガのヒロインは更科さんだと思います」

  げる化っ!(と擬音で説明)

華村(スライム状になりつつ)「うるさいっ! 本編ではヒロインの座を譲って

 あげたんだから、こっちでくらいいいでしょ!」「だいたい私の方が更科さんより

 人気あるんだし、そもそもタイトルからして『お化け先生』なのよ!?」

哲男(食われて)「うわああああっ!」

  逃げ惑う生徒達。

  うわあああ

  ぎゃあああ

  顔に縦線の美晴、お札を手にしつつ横向いて溜息。

美晴「……もう好きにして」


[6]

  図書館の建物。

看板「市立図書館」

  資料室。ぼろぼろの古文書を見ている浄雲。

浄雲「村の年貢記録、廃寺の過去帳、華厳経に般若経、寺の和尚の手記、

 庄屋の日記……」

浄雲(古文書を読みながら)「と、落語の台本」

  プッ……

本「『寿限無 長い名前の話』

 寿限無寿限無 五劫のすりきれ

 海砂利水魚の水行末 食う寝る所に

 住むところ やぶらこうじのぶらこうじ

 ぱいぽぱいぽ ぱいぽのしゅりがん

 しゅりがんのぐりんだい

 ぐりんだいのぽんぽこなのぽんぽこぴの

 長久命の 長助」


□ (時間経過)

  河原のビニールシートに相対して正坐してる美晴と浄雲。

  小型のガスコンロがあり、キャンピング用のコフェルでお湯が沸かされて

  いる。ペットボトルのミネラル水を使用。主客と道具は茶室のような配置。

  (客-主-火の直角三角形)


[7]

美晴(冷ややかに)「ところで浄雲……さっきぶつぶつ言ってたの

 般若心経と違うのね」

浄雲(少し嬉しい)「! わかりますか?」「古典落語です」

美晴「へえ そっちもやってるの?」


浄雲(厳しい顔)「落語は歴史が古いのです」「鎌倉時代に宮中で落語の会が

 行われたという記録もあるのですよ」


美晴「へえ…聞いてみたいな鎌倉時代の小噺」

浄「ネタを知らない人には百害あって一利なし、美晴さんにはだめです」

書文字「たいした噺でもねーけど(汗) 聞きたい人は阿僧祇にでも頼みなさい」


美晴(お茶を飲みながら)「それはそうと 浄雲てけっこう変態よね」「私が恥ずか

 しがるってわかってて、わざと理趣経をエッチな解釈で説明したでしょ?」


[8]

浄雲(大焦り)「ちっ、ちがっ!!」

美晴(ひややかに)「仏典の入門書にはもっと穏当な表現で書かれてるもの

 あんな訳を載せてるのはエロ本のベタ記事くらいよ」

浄雲「エロ本?」「美晴さんはエロ本をよく読むんですか?」

  美晴、驚愕し赤面。

浄雲(必死)「そもそも なんでああいう表現の経典があるかといいますと」

 「『空』すなわち 何者にもこだわらない心が必要ということから、仏教徒は

 エッチではないことにもこだわってはいけないという……」

美晴(汗)「悟りを言葉で説明すると自己矛盾おこすからやめたほうがいいわよ。

 その辺の問題は二千年前に『ミリンダ王の問い』で議論済みでしょう」

書文字「これ以上蘊蓄(そっち)に走ったら、ついてきてくれる人がどんどん

 いなくなるわよ」


[9]

浄雲(泣く)「でも今の時代、やはり悟りも科学しなければ」

美晴「ムダムダ、今の科学ではハサミで紙が切れる理屈さえ解明されて

 ないんだから」

欄外:マジらしい

浄雲「冷たいですね」

美晴「もともと冷たいキャラなのよ」

浄雲「でも 飲んでるお茶はあったかい」

書文字「おあとが宜しいようで」

美晴「そのオチ、座布団全部没収」


□ (場面転換)教室

  プリントが配られてる。

華村「これは『武道伝来記』といって江戸時代にあった仇討ちを井原西鶴と

 いう人が記した書物の一部です」「この文章の忠実な翻訳をやってもらいます」

  え~~~~……(生徒達の溜息)


[10]

□ 

華村「はい 次の部分…更科さん」

  立ってノートを読んでる美晴。

美晴(赤面しつつ)「…よって、妻を持とうとせず、子孫を作ろうともせず

 風流を求め美少年を愛した。(中略)」「…一日中側を離れず 夜は枕を並べ

 分け隔て無くお情けをかけた。二人とも命も惜しまず 骨髄に徹して尽くすこと

 色欲だけではなかった……」

華村「はい この章は 風流を求める老武士と、彼に愛された美少年2人の

 幸せな生活に、横恋慕する男が現れたことによる悲劇ですね(*)」

書文字「つまり男4人の四角関係」


欄外注:『武道伝来記』巻1第一「心底を弾く琵琶の海」より


  華村、教卓で腰が砕けて膝をついてる。

華村「逞しくて上品な老人と美少年2人が毎晩…そして嫉妬に燃える青年!

 ああっなんて耽美なのっ! 想像しただけで腰が…」

  へなへなへな……

書文字「私もう溶けちゃいそう」

  汗をかいてる生徒達


[11]

華村「ところで更科さん」「『お情けをかけた』とありましたがこれを現代語に訳すと

 どういう意味ですか?」

美晴「床を共にしたという意味です」

華村「それはどういう意味ですか」

美晴「一緒に寝たということです」

華村「もっとわかりやすく」

美晴「つ、つまりエッチなことを…」

華村「も、もっと具体的にっ! 何をどこにどうしたのですかっっっ?」

書文字「はあっ はあっ」

美晴「…………#」

美晴(赤面しつつ怒る)「…下劣ね。」

華村(うっとり)「何を言ってるの。こういうのがあるから出版コードの無かった

 時代の古典はやめられないんじゃない」

書文字「他にも古事記とか」


[12]

哲男「そういやM崎事件でエロマンガが本屋から一斉に消えた時、棚が丸ごと

 ホモマンガになったことがあったよな」

博昭「女性の性描写には規制がかかったけれど男性の性描写には全然

 かからなかったから」

書文字「要するに本質はどうでもよかったんでしょ 代■士のみなさん」


□ (場面転換)夜の河原でお茶飲んでる。

美晴「というわけなのよ」

浄雲(汗)「はあ」

美晴(目を逸らして赤面)「お坊さんにはオカマが多いって言うけど浄雲もやっぱり?」

浄雲(真剣)「オカマとはなんですか! オカマと男色家とは違うんですよ!?」


[13]

美晴(自分を抱きしめて泣き出し)「いや~っ! やっぱり! そっち趣味だから

 私の誘惑に反応しなかったのねッ!」

浄雲(汗)「私にそんな趣味はない、安心しなさい」

美晴(お茶飲みながら)「でも どうして男&女は禁止なのに男&男はよかったり、

 ニンニクはだめなのに大麻は禁じられなかったりするんだろ、仏教の戒律って?」

書文字「ふしぎ ふしぎ」

浄雲(上を向いて溜息)「まあ この戒律ができた頃にそういう問題がインドには

 なかったのかもしれません」

書文字「不飲酒戒があるのに不喫煙戒が無いのも同じだよな」

浄雲「戒律はあくまで入門編です」「チャットでMさんが言ってたけど重要なのは

 形式より心なんですよ」

書文字「おお 理屈が通った(笑)」

美晴(肩を出してニヤリ)「じゃあ 心ができてれば私とHなことしても大丈夫なのね?」

  ずいっ(とにじりより)


浄雲(あとずさり)「わ、私は頭と顔と法力には多少の自信があるけれど

 心にはあんまり自信が、、、」

  ずざっ|(と逃げ腰)


[14]

浄雲「ところで、なんでこんな話になってるんですか?」

美晴(赤面)「『いけいけお化け先生』が格闘技ものだったのに対抗して

 『またまたお化け先生』は成年向にって要望が読み手さんから……(ポッ)」

浄雲「やめなさい!(汗)」

  橋の上で汗かきつつ見ている、猫と河童と白い狐。

華村(いきなり現れて)「そうよ~。どうせならタイトルからして『いけない

 お化け先生』に…」

浄雲(汗)「30歳以下の人に通じないネタはやめてください」

書文字「『いけないル●先生』?」

 (付注:2010年代となった今では40歳以下に通じないと思う)

浄雲「そうでなくても『更科シリーズ』には、煩悩的描写が増えたことや

 長くなり過ぎたことを不愉快に思ってるらしい人もいるんですから」

華村(泣)「あうあうあう…」

浄雲「そんなことだから『Tsubasa ~リングに羽ばたく少女たち』でもシナリオが

 没にされて『原案参加』だけになっちゃうんですよ(長すぎたから…)」

貼紙「しつこいようですがCDドラマ第2弾 2003年12月に発売☆」


美晴(ノートパソコンを見ながら)「ところでこんな要望も来てたわ」

 「『化けネコに仕込まれるドジっこ霊能少女と煩悩を払えない旅の坊づの

 コンビが、パクパクお化け先生と対決! 必殺技はキャット空中3回転!

 ってな感じでお願いします。』」

描き文字「さすがに本編では無理」

華村「で、それやるの?」

浄雲「あと10ページで?」


[15]

T「MS(ミタマスィーパー)美晴」

  「GS美神」のパロ表紙。


[16]

□バシッ!

化猫(美晴の顔面に猫パンチ)「だめだそんなんじゃ!」

美晴「ああっ、ごめんなさいコーチ!」

化猫「二時間の訓練くらいでへたばるんじゃない! 最後に祝詞五百回追加!」

美晴「ご、五百回~っ!!?(爆泣)」

化猫「…じゃ、百回でいいよ」

美晴(御幣を持って)「…祓ヒ戸ノ大神タチ祓イ給ヘ清メ給ヘト申スコトノ由ヲ…」

化猫(涙+心の声)「ううっ 厳しいのは君のためなんだよ、許してくれっ」


□ (場面転換)岩風呂。

  ちゃぽ……

  美晴の足。


[17]

  お湯につかってる美晴。

美晴(汗)「いくらお約束とはいえ早くも温泉シーンとは…」

???「そのようで」

  じゃばっ!!

  あわててタオルを抱きしめる美晴。

美晴(赤面)「じょ、浄雲!」

浄雲(お湯でくつろいでる)「こういうところでは実は混浴だったというのもお約束

 ですね」

  ちらっ

浄雲(そっと横目)「それに私だって異性への煩悩が完全に無くなってる

 わけではありま……」

 その隣で同じように横目してる河童。

  でかいコブ作ってうつ伏せに浮いてる浄雲と河童。

  16tハンマーを担いでる、胸にバスタオルを巻いた美晴。

美晴「…下劣ね。」

書文字「悪魔よ 去れ」

浄雲「ごめんなさい(涙)」


[18]

□ (場面転換)企画会議中。

華村「ちょっと待ちなさいよ。更科さんが『ドジっ娘霊能力者』だなんて

 どう見てもミスキャストよ」

  後ろでちり紙で鼻血を抑えてる浄雲と介抱してる河童。

  美晴、童神を抱きつつ赤面

美晴「いいじゃない」「キャラデザを送ってくれた絵師さんが4人もいたくらい

 私は支持されてるんですから」

華村「オレ通にお義理でヨイショされたくらいで何いい気になってるの!

 更科シリーズには原作道場でも個人通信でもするどいツッコミが

 いくつか来てるのよ!? 『はっきり言ってつまらない』と断言されただけで

 なく、わざわざ『脱落します、あなたの作品などもう二度と読みません』と

 書かれたりまでしたことをどう思ってるの!?」

美晴「それは私というキャラじゃなくて、物語の構成や展開に関する問題が

 原因なのではないんでしょうか」

書文字「何かでそーとー不快感を与えたんじゃないかとは…(汗)」


[19]

浄雲「でもほら、今では名作といわれてる『里見八犬伝』とか『白雪姫』とか

 音楽でも『大地の歌』とか『白鳥の湖』とか、発表当時はかなりボロクソに

 酷評されたものがたくさんありますし、万人全てに認められることは…」

華村「ええ ええ 一生、ウケずに終りたければそうやって言い訳して

 自己満足してなさい」

  ドォォォン!!

華村(拳を握り締めて強烈に主張)「格闘技は強くなれてナンボ!

 そして創作はウケてナンボ!」「精神論だけの格闘技や自己満足だけの

 創作は無意味よ!」「他人のお役に立てたり他人に楽しんでもらったり

 できて初めてプロ入門編! 自分に厳しい心が無ければ何事も大成でき

 ないのよ!」

美晴「せ、先生! よくわかりました」

華村「わかってくれたのね」

  涙を流したり拍手したりしてる妖怪たちに囲まれ手を握り合うふたり。


[20]

浄雲「でもオバケ」

  釈杖で小突く。

華村「あ…」

  どろっ

  溶ける華村と、逃げ散る妖怪たち。

美晴「オバケのプロってどんなんなのかしら?」

浄雲「他人を驚かすことができてプロ入門編ってとこかな?」「でもプロじゃない

 私らが論じても結論がうすっぺらいですねホント(汗)」

書文字「本編の仏教とかもそうだったけど」

  どろどろ べちゃっ

  ゲル化した華村、コマの隅に逃げる。

  華村、なんとか人間形態に戻り

華村「とにかくストーリー再開!!」

  カチンコを叩く。


□ (場面転換)暴風雨。

  ビュオォォォ


[21]

  半ゲルの華村、河童を食べてる。

華村「オホホホホホ!」

河童(泣+なぜかセーラー服)「たすけてえええ」

化猫「さあ美晴、鎮めるんだ」

美晴(お札を手に持ち)「~~~(祝詞)、~~~(祝詞)、~~~(祝詞)」

華村「無駄、無駄、無駄ァ!」「手に持ってるものをよく見てみなさい!」

美晴「しまったっ! これはTCトレーディングカード、猫写真シリーズ!!」

書文字「しかもジャパニーズボブテイル!  こっちはロシアンブルー!」

書文字「↑実は猫好き(汗)」

化猫「何をやってるんだあ!」

  ギンッ!

浄雲「ここは私にまかせてくれ」「悪霊を鎮めてみせよう」

  クワッ!

  睨み付ける華村の顔。


[22]

  てけてんつくてん♪

浄雲「まいど ばかばかしいお話を一席」

  座布団に座って扇子で頭を叩く。ずっこける他のみんな。

浄雲「あるとき山寺でお手洗いに入りまして、ふと気がついたら紙が無い。」

 「困っていると窓の外から読経の声がします。誰かいるとわかったので

 『そこにいるのはお坊さんですか?』と聞きますと返事が『はい、そうです

 (僧です)』……」

  眼が点になってる一同

  つづける浄雲。

浄雲「これは助かったと思いまして、『すみませんが紙を持ってませんか?

  紙を下さい』とお願いしますと、そのお坊さんの言うことには…」


[23]

浄雲(合掌)「『なんまいだ(何枚だ)、なんまいだ…』」


  華村のパンチが浄雲の顔面にめり込み、

  美晴のエルボが浄雲の後頭部を粉砕。

華村「(カミ)に見放されたなら、自分の手で(ウン)を掴め!」

  (注:このへん全部盗作)

美晴「そんなんで悪霊が成仏するかっ!」「除霊とはこういうふうに

 やるのよ 見てなさい!!」

  ドロッ!

華村「!?」

  身構える。


[24]

  赤面して、お札を口に当て目を逸らし、色っぽい流し目。

美晴「先生…好きです」「今ここで、私と愛し合ってください!!」

  ぬぎっ!

  肩を脱ぐ。

  ずざざざざっ!

  顔面蒼白で退いてる華村。

華村「わっ、わっ、私にはそんな趣味はない~~~~っ!!」

  ひえええ・・・・

  悲鳴を上げて逃げて行く華村。

美晴(引きつり笑いで読者にピースサイン)「やっぱり最後は愛が勝つ!」

化猫(汗)「…下劣ね。」

浄雲(地に伏したまま)「……で、空中三回転は?」



  <つづかない!>

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