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不幸な令嬢は王宮専属魔法使いに救われる  作者: 雪銀華
第三章

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最終話「永遠の誓い」

これにて「不幸な令嬢は王宮専属魔法使いに救われる」本編完結です。

ご愛読いただきありがとうございました。

結婚式前日。


フェリシアの部屋は、慌ただしくも幸せな空気に満ちていた。


「フェリシア様、明日はついに結婚式ですね。」


エミリアが興奮した様子で言った。


「ええ。」


フェリシアは窓の外を見た。


春の陽光が、王宮の庭園を照らしている。


明日、この場所で、彼女はリオールと永遠の誓いを交わす。


「信じられません。」


フェリシアは呟いた。


「一年前には、想像もできなかったことです。」


「でも、現実ですよ。」


ポリーが微笑んで言った。


「あなたは、本当に幸せになるのよ。」


ドアがノックされた。


「フェリシア、入っていいか?」


リオールの声だった。


「どうぞ。」


リオールが入ってきた。彼も、どこか落ち着かない様子だった。


「明日、花嫁を見る前に会うのは縁起が悪いと聞いたが...どうしても君に会いたくて。」


フェリシアは笑った。


「私も、あなたに会いたかったです。」


エミリアとポリーは、そっと部屋を出て行った。


二人きりになると、リオールはフェリシアの手を取った。


「明日、君は私の妻になる。」


「はい。」


「信じられないな。」


リオールは微笑んだ。


「あの庭園で出会った日から、まだ一年も経っていないのに。」


「本当ですね。」


フェリシアも微笑んだ。


「あの時、あなたが声をかけてくださらなければ、今の私はいなかったでしょう。」


「いや。」


リオールは首を振った。


「君は、自分の力で立ち上がった。私は、ただそばにいただけだ。」


「そばにいてくれたことが、何よりも大切でした。」


フェリシアは彼の胸に顔を埋めた。


「ありがとう、リオール。私を救ってくれて。」


「こちらこそ、ありがとう。」


リオールは彼女を抱きしめた。


「君が、私の人生に光をもたらしてくれた。」


二人はしばらく、静かに抱き合っていた。


―――


その夜、フェリシアは一人で母の墓を訪れた。


月明かりが、墓石を照らしている。


「母上。」


フェリシアは墓前に膝をついた。


「明日、私は結婚します。」


風が優しく吹いた。


「リオール様という、素晴らしい方と。」


フェリシアは胸の首飾りに触れた。


「母上が最期の力で守ってくれた命。無駄にはしませんでした。」


彼女の目に、涙が浮かんだ。


「母上に、見守っていただきたかった。私のウェディングドレス姿を、見てほしかった。」


涙が頬を伝う。


「でも、わかっています。母上は、いつも見守ってくださっている。この首飾りを通して。」


首飾りが、温かく光った。


「母上、私は幸せです。こんなにも幸せになっていいのかと思うほど。」


フェリシアは微笑んだ。


「ありがとうございます。私を産んでくれて。守ってくれて。そして、愛してくれて。」


彼女は静かに祈った。


そして、ゆっくりと立ち上がった。


「明日、見守っていてください。」


フェリシアは振り返り、王宮に向かって歩き始めた。


明日への決意を、胸に秘めて。


―――


結婚式当日。


朝早くから、王宮は慌ただしく動いていた。


大聖堂の装飾、料理の準備、参列者の案内。


全てが、完璧に進んでいた。


フェリシアの部屋では、エミリア、ポリー、そしてマリアンヌ侯爵夫人が、花嫁の支度を手伝っていた。


「さあ、ドレスを着ましょう。」


エミリアが、純白のウェディングドレスを持ってきた。


マダム・クラリスが仕立てた、完璧なドレス。


シンプルで上品、そして美しい。


フェリシアがドレスを着ると、三人は息を呑んだ。


「美しい...。」


ポリーが涙ぐんだ。


「本当に、天使のようだわ。」


マリアンヌが髪を整え、ベールをつけてくれた。


そして最後に、母レーナの青い石の首飾りをつけた。


「完璧です。」


エミリアが満足そうに頷いた。


フェリシアは鏡を見た。


そこには、幸せに輝く花嫁がいた。


「母上、見ていてくださいね。」


彼女は小さく囁いた。


―――


大聖堂は、既に参列者で埋め尽くされていた。


国王オズワルドと王妃、ライオスと彼の婚約者、そして多くの貴族たち。


エルドマールの町長ガレスと町の人々も、招待されていた。


祭壇の前には、リオールが立っていた。


彼は深い青の礼服を着て、緊張した面持ちで入口を見つめている。


その隣には、ライオスが立っていた。


「緊張しているか?」


ライオスが小声で尋ねた。


「ああ。」


リオールは正直に答えた。


「こんなに緊張したのは初めてだ。」


「大丈夫だ。」


ライオスは笑った。


「君たちは、完璧なカップルだ。」


その時、オルガンが鳴り響いた。


結婚行進曲。


全員が立ち上がり、入口を見た。


扉が開いた。


そこに、フェリシアが立っていた。


純白のドレスに身を包み、ベールの向こうに幸せそうな笑顔を浮かべている。


彼女の腕には、ポリーが付き添っていた。


父がいないフェリシアのために、姉がバージンロードを共に歩くことを申し出たのだ。


二人はゆっくりと、バージンロードを歩き始めた。


参列者たちは、その美しい姿に見とれていた。


リオールは、フェリシアから目を離せなかった。


美しい。


こんなにも美しい女性が、自分の妻になる。


フェリシアが祭壇の前に到着すると、ポリーは妹の手をリオールに渡した。


「リオール様、妹をよろしくお願いします。」


ポリーは涙声で言った。


「必ず、幸せにします。」


リオールは誓った。


ポリーは頷き、席に戻った。


フェリシアとリオールは、並んで祭壇の前に立った。


司祭が前に進み出た。


「本日、我々はここに集い、リオール・ルミナスとフェリシア・ルミナスの結婚を祝福する。」


司祭の声が、大聖堂に響く。


「結婚とは、神聖なる契約である。二人の魂が一つになり、共に人生を歩む誓いである。」


司祭はリオールに向かった。


「リオール・ルミナス。汝は、フェリシア・ルミナスを妻とし、病める時も健やかなる時も、富める時も貧しき時も、彼女を愛し、敬い、守ることを誓うか。」


「誓います。」


リオールは力強く答えた。


司祭はフェリシアに向かった。


「フェリシア・ルミナス。汝は、リオール・ルミナスを夫とし、病める時も健やかなる時も、富める時も貧しき時も、彼を愛し、敬い、支えることを誓うか。」


「誓います。」


フェリシアも、はっきりと答えた。


「では、指輪の交換を。」


ライオスが、リオールに指輪を渡した。


エミリアが、フェリシアに指輪を渡した。


リオールは、フェリシアの左手薬指に、そっと指輪をはめた。


「この指輪は、私の永遠の愛の証だ。」


フェリシアも、リオールの左手薬指に指輪をはめた。


「この指輪は、私の永遠の愛の証です。」


二人の指に、金色の指輪が輝いた。


「神の祝福のもと。」


司祭は宣言した。


「汝らを、夫婦と認める。誓いの口づけを。」


リオールは、そっとフェリシアのベールをあげた。


その下には、涙で潤んだフェリシアの美しい顔があった。


「愛している、フェリシア。」


「私も愛しています、リオール。」


二人は、静かに唇を重ねた。


優しく、深く、永遠を誓うキス。


大聖堂は、盛大な拍手と歓声に包まれた。


―――


披露宴は、王宮の大広間で開かれた。


豪華な料理、美しい装飾、そして幸せに満ちた雰囲気。


国王オズワルドが乾杯の音頭を取った。


「リオールとフェリシア、二人の未来に乾杯!」


「乾杯!」


全員が杯を掲げた。


宴が始まり、音楽が流れ始めた。


リオールはフェリシアの手を取った。


「最初のダンスを踊ってくれるかな、ルミナス夫人?」


フェリシアは微笑んだ。


「喜んで、ルミナス様。」


二人はダンスフロアに出た。


ワルツが流れ、二人は優雅に舞った。


周囲の人々は、その姿に見とれていた。


完璧な調和。


まるで一つの生き物のように、二人は動く。


「幸せか?」


リオールが囁いた。


「ええ。」


フェリシアは涙ぐんだ。


「これ以上ないほど、幸せです。」


ダンスが終わると、次々と人々が祝福に訪れた。


ライオスが最初に来た。


「おめでとう、二人とも。」


彼は満面の笑みだった。


「お前たちは、最高のカップルだ。いやもう夫婦かな。」


「ありがとう、ライオス。」


リオールが言った。


「お前がいなければ、ここまで来られなかった。」


「何を言っている。」


ライオスは笑った。


「お前たちが、自分の力で掴み取った幸せだ。」


ポリーも涙を流しながら祝福した。


「フェリシア、本当におめでとう。」


「ありがとう、姉様。」


二人は抱き合った。


「母上も、きっと喜んでいるわ。」


ポリーが囁いた。


「ええ。」


フェリシアは頷いた。


エルドマールの町長ガレスも来た。


「フェリシア様、リオール様、おめでとうございます。」


「ガレスさん、来てくださってありがとうございます。」


「当然ですよ。」


ガレスは笑った。


「あなた方は、我が町の恩人ですから。」


マリアンヌ侯爵夫人も祝福してくれた。


「フェリシア、あなたは本当に美しいわ。」


「マリアンヌ様、ありがとうございます。」


「これからも、幸せでいてね。」


次々と、祝福の言葉が寄せられた。


フェリシアは、こんなにも多くの人に愛されていることを実感した。


かつて孤独だった自分が、今はこんなにも多くの人に囲まれている。


宴は、夜遅くまで続いた。


笑顔、涙、そして幸せ。


全てが、この日に詰まっていた。


―――


宴が終わり、二人は新居である王宮の一角の邸宅に戻った。


エミリアたちが準備してくれた部屋は、花で飾られていた。


白いバラ、母レーナの好きだった「月光のバラ」。


「綺麗..。.」


フェリシアは感動した。


「皆が、準備してくれたんだ。」


リオールが言った。


フェリシアはバルコニーに出た。


月が美しく輝いている。


「母上、見ていてくださいましたか?」


彼女は首飾りに触れた。


「私、幸せになりました。」


首飾りが、優しく光った。


母も、きっと喜んでくれている。


「フェリシア。」


リオールが後ろから抱きしめた。


「これから、私たちの人生が始まる。」


「はい。」


フェリシアは振り向いた。


「あなたと共に、歩んでいきます。」


「何があっても、一緒だ。」


リオールが誓った。


「永遠に。」


「永遠に。」


フェリシアも誓った。


二人は静かにキスをした。


月光が、二人を優しく照らしていた。


―――


エピローグ


一年後。


フェリシアとリオールの邸宅の庭園には、美しい花々が咲き誇っていた。


フェリシアは庭園のベンチに座り、お腹を優しく撫でていた。


彼女は、妊娠七ヶ月だった。


「元気にしてるかな、あなた。」


フェリシアは微笑みながら、お腹に話しかけた。


「もうすぐ会えるわね。」


その時、リオールが戻ってきた。


「ただいま。」


「お帰りなさい。」


フェリシアは立ち上がろうとして、リオールに止められた。


「無理をするな。座っていなさい。」


リオールは彼女の隣に座った。


「今日、王宮でライオスに会った。」


「ライオス様に?お元気でしたか?」


「ああ。彼も、来月結婚するそうだ。」


「まあ、素敵!」


フェリシアは喜んだ。


「式には、必ず出席しよう。」


リオールは優しくフェリシアのお腹に手を当てた。


「君も、早く生まれて、ライオス叔父様に会わないとな。」


お腹の中の赤ちゃんが、ぽこんと蹴った。


「あ。」


フェリシアが笑った。


「返事をしたみたい。」


「元気な子だな。」


リオールも笑った。


「名前、もう決めた?」


「ええ。」


フェリシアは頷いた。


「もし女の子なら、レーナと名付けたいです。」


「君の母上の名前だな。」


「はい。そして、もし男の子なら...。」


「何だ?」


「リオンはどうでしょう?」


フェリシアは恥ずかしそうに言った。


「あなたの名前から。」


リオールは感動した。


「素晴らしい名前だ。」


彼はフェリシアを抱きしめた。


「君と結婚して、本当に良かった。」


「私もです。」


フェリシアは幸せそうに微笑んだ。


その時、ポリーがやってきた。


「フェリシア、調子はどう?」


「姉様!」


ポリーは今、フェリシアの邸宅の近くに住んでいた。


修道院での一年を終え、今は普通の生活に戻っている。


「お腹、大きくなったわね。」


ポリーは嬉しそうに言った。


「私、伯母になるのね。」


「はい。」


フェリシアは微笑んだ。


「子供の世話、手伝ってくださいね。」


「もちろんよ。」


三人は、庭園で楽しく語り合った。


やがて夕日が沈み始めた。


空がオレンジ色に染まる。


フェリシアは、リオールの手を握りながら、空を見上げた。


「リオール。」


「ん?」


「私、本当に幸せです。」


フェリシアは涙ぐんだ。


「一年前、こんな未来が来るなんて、想像もできませんでした。」


「私もだ。」


リオールは彼女の手を握り返した。


「でも、今はここにいる。君と、そしてこれから生まれてくる子供と。」


「ええ。」


フェリシアは微笑んだ。


「これからも、ずっと一緒です。」


「永遠に。」


リオールが誓った。


「永遠に。」


フェリシアも誓った。


二人は静かに寄り添った。


空には、美しい虹がかかっていた。


七色に輝く虹。


まるで、未来への希望の架け橋のように。


フェリシアは胸の首飾りに触れた。


「母上、見守っていてくださいね。私たちの幸せな日々を。」


首飾りが、優しく温かく光った。


母レーナも、きっと見守ってくれている。


天国から、娘の幸せを。


かつて「不幸な令嬢」と呼ばれた少女は、今や誰よりも幸せだった。


愛する夫、やがて生まれる子供、支えてくれる姉、そして多くの友人たち。


全てを手に入れた。


いや、手に入れたのではない。


自分の力で、掴み取ったのだ。


困難に立ち向かい、恐怖を乗り越え、自分を信じ続けた。


そして、愛する人と共に歩むことを選んだ。


その結果が、今の幸せだ。


「ありがとう。」


フェリシアは囁いた。


「ありがとう、リオール。ライオス様。姉様。エミリア。皆様。」


そして、空に向かって。


「ありがとう、母上。」


風が優しく吹いた。


花々が揺れ、甘い香りが漂う。


夕日が沈み、夜が訪れようとしている。


しかし、二人の未来は明るい。


光に満ちている。


フェリシア・ルミナス。


光をもたらす者。


彼女は、自分自身の光となり、そして多くの人々に光をもたらし続ける。


これからも、ずっと。


永遠に。


―完―

最後まで読んでいただきありがとうございました。

リオールの過去や二人の子供の話など構想はまだまだありますが、一旦ここで完結とします。


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