表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不幸な令嬢は王宮専属魔法使いに救われる  作者: 雪銀華
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/39

第25話「決断の時」

浄化の儀式が始まってから二ヶ月が経った。


フェリシアの体から、呪いの残滓はほぼ消えていた。


「素晴らしい回復じゃ。」


セラフィナが、フェリシアを診察していた。


「あと一回、来週の儀式で完全に消えるじゃろう。」


「本当ですか。」


フェリシアの顔が、明るくなった。


「ああ。もう、誰も傷つけることはない。」


「ありがとうございます、セラフィナ様。」


フェリシアは、深く頭を下げた。


「礼には及ばん。」


セラフィナは微笑んだ。


「それより、リオールとの仲はどうじゃ?」


フェリシアは、顔を赤らめた。


「それは…///」


「まだ、結婚の話は出ておらんのか?」


「い、いえ、まだです。」


「なら、そろそろじゃな。」


セラフィナは意味深に笑った。


「お前たちは、もう十分に想い合っておる。」


フェリシアは、ドキドキしながら部屋を出た。


結婚。


リオール様と、結婚する。


そう考えると、胸が熱くなった。


―――


その日の午後、国王オズワルドから呼び出しがあった。


謁見の間に入ると、国王、ライオス、そしてリオールが待っていた。


「フェリシア・アイテール。」


国王が口を開いた。


「お前の回復、喜ばしく思う。」


「ありがとうございます、陛下。」


フェリシアは深く頭を下げた。


「そして、お前の父、クロス・アイテールの裁判が決まった。」


フェリシアは、息を呑んだ。


「来週、公開裁判が行われる。」


「はい。」


「お前と、ポリーには、証人として出廷してもらいたい。」


国王は、厳かに言った。


「お前たちの証言が、この裁判の鍵となる。」


フェリシアは、少し考えてから答えた。


「わかりました。証言します。」


「よろしい。」


国王は頷いた。


「それから、もう一つ。」


「はい。」


「グレゴール・ヴァンヘルシングの裁判も、同時に行われる。」


国王の表情が、険しくなった。


「彼は、五十年以上にわたり、無数の罪を犯してきた。」


「はい。」


「お前は、彼の最後の標的だった。その証言も、必要だ。」


フェリシアは、強く頷いた。


「わかりました。必ず、証言します。」


―――


謁見の間を出ると、リオールが待っていた。


「フェリシア、大丈夫か?」


「はい。」


フェリシアは微笑んだ。


「私、ちゃんと証言します。」


「無理はするな。」


リオールは、フェリシアの肩に手を置いた。


「辛かったら、途中でやめてもいい。」


「いいえ。」


フェリシアは首を横に振った。


「これは、私がやらなければならないことです。」


「フェリシア。」


「父と、グレゴールの罪を、明らかにする。」


フェリシアの目は、決意に満ちていた。


「そして、同じような被害者が出ないようにする。」


リオールは、フェリシアを抱きしめた。


「お前は、本当に強い。」


「あなたが、強くしてくれました。」


フェリシアは、リオールの胸に顔を埋めた。


「あなたがいなければ、私は今もあの屋敷で、孤独に生きていました。」


「俺も、お前に救われた。」


リオールは、フェリシアの髪を撫でた。


「お前と出会って、俺の人生が変わった。」


二人は、しばらく抱き合っていた。


―――


その夜、フェリシアはポリーと会った。


「来週、裁判なのね。」


ポリーが言った。


「ええ。姉上も、証人として。」


「わかっているわ。」


ポリーは、窓の外を見た。


「私、怖い。」


「姉上。」


「父の前で、証言するのが。」


ポリーの手が震えていた。


「でも、やらなければならない。」


「はい。」


フェリシアは、姉の手を握った。


「一緒に、乗り越えましょう。」


「ありがとう、フェリシア。」


ポリーは、妹を見た。


「あなたは、本当に強くなったわね。」


「姉上のおかげです。」


「私?」


「はい。姉上が、勇気を出して告白してくれたから。」


フェリシアは微笑んだ。


「私も、勇気を出せました。」


ポリーは、涙を流した。


「ありがとう。」


二人は、抱き合った。


姉妹として。


共に戦う仲間として。


そして、互いを支え合う家族として。


―――


裁判の前日。


フェリシアは、最後の浄化の儀式を受けていた。


リオールとセラフィナが、魔法陣を起動させる。


光が、フェリシアを包む。


そして、最後の呪いの残滓が、消えていった。


「終わったぞ。」


リオールが告げた。


「これで、お前は完全に自由だ。」


フェリシアは、自分の体を見た。


軽い。


まるで、長年背負っていた重荷が、消えたような感覚。


「本当に、自由になったのですね。」


「ああ。」


リオールは、フェリシアを抱きしめた。


「もう、誰も傷つけることはない。」


「はい。」


フェリシアは、涙を流した。


嬉し涙。


「ありがとうございます、リオール様。」


「礼には及ばない。」


リオールは、フェリシアから離れた。


「それより、明日の裁判。」


「はい。」


「緊張するだろうが、俺がそばにいる。」


「はい。」


「ライオスもいる。ポリーもいる。」


リオールは、フェリシアの手を取った。


「お前は、一人じゃない。」


「はい。」


フェリシアは、強く頷いた。


「私、頑張ります。」


―――


裁判当日。


王宮の大法廷には、多くの人々が集まっていた。


貴族たち、騎士たち、そして一般の民衆も。


フェリシアとポリーは、証人席に座っていた。


そして、被告席には、クロスとグレゴールが座っていた。


クロスは、すっかり老け込んでいた。もはや、かつての面影はない。


グレゴールは、魔力を封じる鎖で縛られていた。しかし、その目は相変わらず狂気に満ちていた。


「では、裁判を始める。」


裁判長が宣言した。


「まず、クロス・アイテールの罪状を読み上げる。」


書記官が、長々と罪状を読み上げた。


禁術の使用、妻の殺害、娘への虐待、詐欺、その他多数。


「被告、クロス・アイテール。認めるか。」


「認めます。」


クロスは、小さく答えた。


「では、証人を呼ぶ。ポリー・アイテール、前へ。」


ポリーは、震えながら立ち上がった。


フェリシアは、姉を見守った。


頑張って、姉上。


―――


ポリーは、証言台に立った。


「ポリー・アイテール、父クロスの行いについて、証言せよ。」


裁判長が命じた。


ポリーは、深呼吸をしてから話し始めた。


父がグレゴールと出会ったこと。


母レーナが苦しんでいたこと。


フェリシアが生まれてから、不幸が続いたこと。


そして、自分も父に強要されていたこと。


すべてを、涙ながらに語った。


クロスは、ただ俯いていた。


「被告、クロス・アイテール。娘の証言について、何か言うことはあるか。」


「ありません。」


クロスは、顔を上げた。


「すべて、事実です。」


「では、次の証人を呼ぶ。フェリシア・アイテール、前へ。」


フェリシアは、立ち上がった。


証言台に向かう。


途中、リオールと目が合った。


リオールは、頷いた。


大丈夫だ、お前なら。


フェリシアは、勇気を振り絞った。


―――


「フェリシア・アイテール、お前は被害者である。父クロスと、グレゴール・ヴァンヘルシングについて、証言せよ。」


フェリシアは、深呼吸をした。


そして、話し始めた。


十八年間の孤独。


周りで起きた不幸。


母の死。


そして、呪いの真実。


すべてを、冷静に語った。


途中、涙が溢れそうになったが、堪えた。


グレゴールは、冷笑していた。


しかし、フェリシアは怯まなかった。


「グレゴールは、母の家族を殺しました。」


フェリシアは、グレゴールを見つめた。


「母を利用しました。」


「そして、私の魔力を狙いました。」


フェリシアの声は、強かった。


「しかし、母の愛が私を守りました。」


「そして、リオール様が私を救いました。」


フェリシアは、リオールを見た。


リオールは、微笑んでいた。


「だから、私は今ここに立っています。」


「自由な人間として。」


フェリシアは、裁判長を見た。


「お願いします。父とグレゴールを、裁いてください。」


「そして、二度とこのような悲劇が起きないようにしてください。」


法廷は、静まり返っていた。


やがて、拍手が起こった。


人々が、フェリシアの勇気を称えていた。


裁判長は、頷いた。


「よくぞ証言した。」


そして、判決が下された。


クロス・アイテールは、終身刑。


グレゴール・ヴァンヘルシングは、死刑。


二人は、それぞれ連行されていった。


クロスは、最後にフェリシアを見た。


「フェリシア、すまなかった。」


それが、彼の最後の言葉だった。


フェリシアは、何も答えなかった。


ただ、静かに見送った。


これで、すべてが終わった。


長い戦いが、終わった。


フェリシアは、証言台から降りた。


リオールが、迎えに来てくれた。


「よく頑張った。」


「はい。」


二人は、抱き合った。


周りの人々が、温かい拍手を送っていた。


ライオスも、ポリーも、笑顔で見守っていた。


これで、本当にすべてが終わった。


そして、新しい人生が始まる。


フェリシア・アイテールの、本当の人生が。


愛する人と共に。


家族と共に。


友人たちと共に。


自由な人間として。


幸せな人間として。


彼女の物語は、これから本当に始まる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ