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不幸な令嬢は王宮専属魔法使いに救われる  作者: 雪銀華
第一章

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第22話「リオールの過去」

「グレゴール!」


リオールは、フェリシアの前に立ちはだかった。


「お前を、通さない!」


「ふん、疲弊したお前に何ができる!」


グレゴールは、冷笑した。


確かに、リオールは限界だった。儀式で魔力の大半を使い果たしている。


「それでも…。」


リオールは、両手に残った魔力を集める。


「フェリシアを、渡さない!」


「愚かな!」


グレゴールが手を振ると、黒い稲妻がリオールに襲いかかった。


「リオール様!」


フェリシアが叫ぶ。


リオールは、かろうじて防御結界を張ったが、吹き飛ばされた。


「くっ…。」


壁に激突し、地面に倒れる。


「リオール!」


ユリウスたちも、グレゴールに向かって魔法を放つ。


しかしグレゴールは、片手で全てを防いだ。


「お前たちも、儀式で消耗している。」


グレゴールは、フェリシアに近づいた。


「さあ、来い。お前の魔力を、私に捧げるのだ。」


「いや!」


フェリシアは、後ずさった。


その時、騎士たちが儀式場に突入してきた。


「殿下の命令だ!フェリシア様を守れ!」


レオナルドが先頭に立つ。


数十人の騎士が、グレゴールを囲んだ。


―――


「騎士が?笑わせる!」


グレゴールは、魔力を解放した。


暴風が吹き荒れ、騎士たちが吹き飛ばされる。


「ぐああ!」


「くそ、魔法が効かない!」


騎士たちの剣も、魔法の盾に阻まれる。


「無駄だ。魔法使いでもない者が、私に勝てるわけがない。」


グレゴールは、再びフェリシアに近づいた。


「さあ、観念しろ。」


その時、リオールが立ち上がった。


「まだ、終わっていない。」


血を流しながらも、リオールは立っている。


「しつこい男だ。」


「お前には、わからない。」


リオールは、震える足で前に進む。


「守りたい人がいるということが。」


「守りたい人?」


グレゴールは嘲笑した。


「そんな感傷で、私に勝てると思っているのか?」


「勝てる!」


リオールの目は、決意に満ちていた。


「なぜなら、俺にはお前にないものがあるからだ。」


「何だと?」


「仲間だ!」


リオールは、周りを見回した。


ユリウス、セラフィナ、ルナ、ステラ、オズボーン。皆、立ち上がっている。


そして、騎士たち。レオナルドも、傷つきながら立っている。


「そして…。」


リオールは、フェリシアを見た。


「愛する人がいる。」


―――


「愛?」


グレゴールは、心底馬鹿にしたように笑った。


「愛など、何の力にもならない。」


「そうか?」


リオールは、微笑んだ。


「なら、教えてやる。」


リオールは、目を閉じた。


そして、自分の過去を思い出す。


幼い頃。


リオールは、貴族の家に生まれた。


しかし、彼には強力な魔法の才能があった。


それが、不幸の始まりだった。


「化け物だ!」


父が言った。


「こんな子供は、私の息子ではない!」


母も、怯えた目でリオールを見た。


「あの子を見ていると、怖くなる。」


兄弟たちも、リオールを避けた。


「お前のせいで、家族が不幸になる。」


リオールは、孤独だった。


誰も、自分を理解してくれない。


魔法の才能は、呪いだと思った。


十歳の時、リオールは家を出た。


魔術師協会に引き取られ、魔法を学んだ。


そこで、彼は居場所を見つけた。


しかし、心の傷は癒えなかった。


―――


二十歳の時、リオールは王宮専属の魔法使いになった。


そこで、ライオスと出会った。


「お前は、魔法使いとして優れている。」


ライオスは言った。


「でも、それだけじゃない。お前は、人として優れている。」


初めて、才能ではなく、自分自身を認めてくれた人。


ライオスは、リオールの親友になった。


それでも、リオールの心には空虚があった。


家族に愛されなかった傷。


誰も、本当の自分を理解してくれないという孤独。


それが、ずっと心の底にあった。


しかし、フェリシアと出会って、変わった。


彼女も、孤独だった。


彼女も、誰からも理解されなかった。


彼女も、自分の存在を呪っていた。


だから、わかった。


彼女の痛みが。


彼女の悲しみが。


そして、彼女の強さが。


「俺は、フェリシアと出会って、初めて知った。」


リオールは、目を開けた。


「愛するということを…!」


―――


リオールの体から、光が溢れ出した。


「これは…?!」


グレゴールが驚く。


「魔力が、回復している?」


「いや、違う。」


セラフィナが呟いた。


「あれは、新しい魔力じゃ。」


「新しい魔力?」


「愛の魔力。人を想う心が、魔力に変わっておる。」


セラフィナは微笑んだ。


「リオールは、新しい段階に到達したのじゃ。」


リオールは、両手を掲げた。


「グレゴール、お前は五十年以上、魔力を集めてきた。」


「そうだ。」


「しかし、それは他人から奪った魔力だ。」


リオールの魔力が、さらに強くなる。


「俺の魔力は、自分の心から生まれた。」


「だから何だ?」


「お前の魔力は、空っぽだ。」


リオールは、グレゴールを見つめた。


「しかし、俺の魔力は、愛で満ちている。」


リオールは、魔法を放った。


純白の光が、グレゴールに向かう。


グレゴールは、黒い魔法で迎え撃った。


二つの魔力が、激突する。


「くっ!」


グレゴールの魔法が、押されている。


「馬鹿な!私の五十年の蓄積が!」


「お前の蓄積は、所詮偽物だ!」


リオールの光が、グレゴールの闇を飲み込んでいく。


「本物の力には、敵わない。」


―――


「ぐあああ!」


グレゴールが叫んだ。


彼の魔法が、砕け散る。


光が、グレゴールを包み込んだ。


「こんな、こんなはずでは…。」


グレゴールは、膝をついた。


「私の計画が、私の五十年が…。」


リオールは、グレゴールの前に立った。


「お前の間違いは、力だけを求めたことだ。」


「力だけ?」


「ああ。お前には、守るべきものがなかった。」


リオールは、フェリシアを見た。


「俺には、守りたい人がいる。」


「それが、何だというのだ!」


「それが、すべてだ。」


リオールは、最後の魔法を放った。


光の鎖が、グレゴールを縛る。


「これで、お前は終わりだ。」


その時、騎士たちが駆け寄ってきた。


「グレゴール・ヴァンヘルシング、国王陛下の命により、貴様を逮捕する。」


レオナルドが、グレゴールに手錠をかけた。


特殊な手錠。魔力を封じる効果がある。


「くそ、くそ。」


グレゴールは、連行されていった。


その姿を見届けて、リオールは倒れた。


「リオール!」


フェリシアが駆け寄る。


「大丈夫、ただ魔力を使い果たしただけだ。」


セラフィナが言った。


「しばらく休めば、回復する。」


―――


フェリシアは、リオールを抱きかかえた。


「リオール様、ありがとうございます。」


涙が溢れる。


「あなたが、私を守ってくれた。」


リオールは、微かに微笑んだ。


「当然だ。」


「リオール様。」


「フェリシア、さっき言いかけていたこと…。」


「え?」


「聞かせてくれ。」


フェリシアは、頬を赤らめた。


「私、あなたに感謝しています。」


「感謝?」


「はい。あなたは、私に自由をくれました。」


フェリシアは、リオールの手を握った。


「あなたは、私に希望をくれました。」


「フェリシア…。」


「そして…。」


フェリシアは、涙を流しながら微笑んだ。


「あなたは、私に愛を教えてくれました。」


リオールの目が、大きく開いた。


「愛を?」


「はい。私、気づいたんです。」


フェリシアは、リオールの頬に触れた。


「私、あなたを愛しています。」


リオールは、涙が溢れた。


「俺も、お前を愛している。」


「リオール様。」


「ずっと、言いたかった。」


リオールは、フェリシアの手を握り返した。


「お前と出会って、俺の人生が変わった。」


「私もです。」


二人は、見つめ合った。


周りの人々は、静かにその光景を見守っていた。


―――


「おめでとう、リオール。」


ライオスが、階段から降りてきた。


「ライオス。」


「よくやった。グレゴールを倒したな。」


「ああ、でも一人じゃない。」


リオールは、周りを見回した。


「みんなの力があったから。」


「そうだな。」


ライオスは、フェリシアを見た。


「フェリシア、呪いは完全に消えた。」


「本当ですか?」


「ああ。お前は、もう自由だ。」


フェリシアは、信じられないという表情だった。


「自由。」


「ああ。これから、お前の人生が始まる。」


ライオスは微笑んだ。


「好きなように生きろ。」


フェリシアは、涙を流した。


「ありがとうございます、ライオス様。」


「礼には及ばない。」


ライオスは、リオールを見た。


「それより、こいつをしっかり支えてやれ。」


「え?」


「リオールは、お前のために命を賭けた。」


ライオスは笑った。


「だから、お前も彼を幸せにしてやれ。」


フェリシアは、リオールを見た。


「はい、必ず!」


リオールは、幸せそうに微笑んだ。


「ありがとう、フェリシア。」


その夜、王宮は祝賀ムードに包まれた。


呪いが解け、グレゴールが捕らえられた。


すべてが、うまくいった。


フェリシアは、自室のベッドで横になっていた。


疲れていたが、心は軽かった。


「自由。」


呟いてみる。


不思議な感覚。


もう、誰も傷つけることはない。


もう、孤独ではない。


そして、愛する人がいる。


「リオール様。」


名前を呼んでみる。


胸が、温かくなった。


窓の外では、月が輝いていた。


母の魂も、きっと喜んでいる。


娘が、自由になったことを。


娘が、愛を見つけたことを。


フェリシアは、母の首飾りを握りしめた。


「母上、ありがとうございます。」


首飾りが、優しく光った。


まるで、「おめでとう」と言っているように。


新しい人生が、始まる。


フェリシア・アイテールの、本当の人生が。


愛する人と共に。


仲間たちと共に。


そして、母の祝福と共に。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

第一章完結になります。次回以降、フェリシアとリオールの二人はどうなっていくのかぜひお楽しみください。


第二章からは平日は毎週火・木更新になります。土日は変わらず複数話更新となりますのでよろしくお願いいたします。

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