20話前半 攻撃的なギフト
「〝内陸の新しい燃料・燃える新種の花〟ですか。物騒ですねぇ」
こだわりのダリ髭を撫で、紳士は目を細めて新聞紙を眺めた。
ここは太平洋諸島の一つ。
7割以上の島国が沈没してしまったが、事前に沈没都市の支援を要請していた国は淡水化マングローブの群生を作り、その頑丈な根の上で営みを続けていた。
住居は木の上に作られ、商店は木製の小型ペニッシュで開かれている。「エルフの住処」とも形容され、沈没都市でも内陸でも見られない景観はFageの人気の旅行地となっている。
使い古された小さなテーブルと少し傾いている椅子に腰かけ、かろうじてカフェだと言える店でくつろいでいた。
顎の髭をおさげに編んで小さな枝に絡め留めた店主が出てきて、注文の〝今日獲れたフィッシュサンド〟を紳士のテーブルに置いた。
「生花だよー?それに火をつけたら超燃えるなんて普通あり得ないよね」
紳士のぼやきに店主はそう言ってぶるりと身を震わせた。
紳士は「二度と同じサンドウィッチは出て来ない」と評判の一品に、「わぉ。このくるっとしたものは…ゲソですね?」と目を光らせた。
具材を当てようとする紳士に対し、店主はフフンと暗にはずれだと反応した。
「それね。タツノオトシゴ。網に引っかかってたから入れちゃった」
「わぁーお。初めて食べますよ。ええ。ははは。足じゃなくて尻尾でしたか」
一瞬眉間に皺が入ったが、紳士は躊躇なく口に含んだ。
「国によっては漢方としても使われていますものね。歯ごたえがあってクセもなく中々美味しいです」
「沈没都市出身のオーウェンさんは絶対食べたことないだろうと思ってね」
仲良く二人が駄弁っていると、一人の若者が木の根を飛び越え、このペニッシュに入り込んだ。
「お、オーウェンさん‼良かった!いらっしゃった!」
どうやら走り回ってオーウェンを探していたようだ。
オーウェンは一度サンドウィッチを置いた。
「なにかありましたか?」
「裏港から変な奴らがいて、…あ、えっと、先に手を出したのはうちの島の奴なんだけど、その後数人がかりでも倒せなくてそのまま島に上がってきそうで…」
きっかけと経緯と結論を上手く要約できず、若者はあたふたとする。
オーウェンは優雅に立ち上がり、若者の肩をぽんと一つ叩いた。
「様子を見てきましょう。あ、私のサンドウィッチは食べないで下さいね」
店主に向かって言うと、店主はパチンとウィンクした。
「大丈夫。こんな時のためにアメフラシのソテーがあるから。コレは僕のおやつだよ。傷んだらもったいないもん」
「なんという食い意地…。というか、こんな時ってなんですか」
オーウェンは苦笑を零して、若者とは比べ物にならない速さでその場を後にした。
「だああぁぁぁぁからぁぁぁぁああ‼ちょっと人探ししてるだけって言ってるでショぉぉおお⁉なんなのヨっっ‼あたしが‼なにしたっていうのヨ‼」
「漁師に向かって〝アタシと一緒に汗かいちゃう?〟って付きまとってただろうがあああ‼」
漢と男の怒鳴り合いが島内で使う港で起こっていた。
漢――カマは胸倉を掴んだ男の顎を下から掴み、眼光を鋭く降ろす。
「よそもんってだけで人の質問に無視したあげく海に落とそうとしたわよネ?ごめんなさいが言えないなら一緒に汗かこうと思っただけヨ」
「意味っっ、わかんねーだろ‼そもそも黒い雲を見た人間なんて知らねぇよ‼」
顎を掴む手を殴り払われる前に、カマは手を離した。
防御もなにもしないカマにその拳は当たらず、なにかの力が働いて男は波止場の足場から海へドボンと落ちた。
そこにはすでにいざこざに負けて落ちたソーマがいて、落ちてきた漁師を支えてやる。
「らちが明かないから自分たちで探すって言ってんでショ⁉通しなさいヨぉ!」
「てめぇらみたいなわけのわからんヤツ島に入れてたまるか‼出て行け!」
漁師はカマの胸倉を掴んで拳を振り上げた。
カマも負けずに蹴りの構えを取る。
両者の一撃は――オーウェンによって止められた。
漁師の拳を手の平で受け止め、カマの蹴りは漁師に届く前に止まる。カマの首元にオーウェンの手刀が置かれていた。
カマは自分の反応速度を超えたその手に敗北を認めて足を下げた。
オーウェンはカマの意思表示を受け入れ、漁師を宥める。
「失礼。怪しい連中がいると聞いてきました。どうやら中々腕の立つ相手のようなので、私がお話しを聞いてもよろしいですか?」
島の無粋な連中全員をひねり潰し、島民と気さくに接するオーウェンは島民から信頼が厚い。
筋肉の使いどころを踏まえている彼の仲裁は、漁師の留飲もひとまず下げさせることになった。
とりあえず先に落ちた漁師を下からソーマが支えて陸に上げてやる。
その後、ソーマはカマに引き上げられた。
よそものは二人か、とオーウェンはソーマの顔を確認する。
その顔に――見覚えがあってゾッと血が引いた。
カマはそんなオーウェンに気づかず、「水も滴る良い男ネ~。今ならちょっと食指が動きそうヨソーマ!」と彼の名前を口にする。
「ソーマ…。ソーマ・フォレステライト・ティム…ですか?」
オーウェンの呟きがはっきりと聴こえ、ソーマはオーウェンの方へ視線を向けた。
ソーマははて…と首を傾げ、カマは「ソーマが美丈夫だから口説かれているのか?」と怪訝な顔になる。
「失礼。私の名前はオーウェン・ワイアットです。…20、いえ、もう25年前になるでしょうか。北アメリカ内陸の支援の際、あなたの支援団体に護衛としてついていきました。同郷で…同い年だったので会話をしたこともあるのですが。少しですがね」
北アメリカ内陸の支援、と聞いてソーマは――あの時からダリ髭の毛先を綺麗に上向かせている――オーウェンを思い出した。
「ノルウェー沈没都市軍所属の。そうだな。俺も覚えているよ。‥‥まさか君が」
腹あたりの服の裏に隠したイングから、オーウェンがギフト所持者であるという合図を受ける。さっきからツンツンツンツンツンとあの小さな手でつつかれているのだ。
オーウェンから敵意に近いほど怪訝な視線を送られる。
それはそうだろう。
オーウェンと同い年ということは、ソーマは本来50歳なのだ。
しかし彼の外見は30前半のものに見える。沈没都市の培養技術でもあり得ない若作りでいる彼に、オーウェンは正直気味悪く感じた。
「ラクスアグリ島の第二調査隊として派遣され、――死亡したと言われたあなたがなぜここに。まるで幽霊でも見ている気分ですよ」
ソーマの30代前半――つまりラクスアグリ島派遣時と同じ年齢だ。
幽霊でもない限りあり得ない姿だった。
ソーマがどこから説明と仮説を始めようか悩んでいると、彼の腹あたりにいたイングが這いあがりソーマの首元から銀の面を出した。
〈――敵襲です‼お二人以外にギフト所持者が――〉
イングの存在にオーウェンが驚くより早く。
大地を裂くような雷鳴が響くと、――港近くのマングローブ林が薙ぎ払われた。
激しい熱風が一帯をかき回している間に、その敵襲はマングローブ林から姿を現した。
ソーマの襟に必死につかまりながらイングは敵襲を分析する。
〈コアたちからの情報から推測するに――〝ブリッツ〟です‼ギフトの中で明確な攻撃系統の機能ですよ!〉
ようやく目を開けられるくらいに熱風がおさまり、ソーマたちも相手を視認する。
まだらに髪をグレーに染めた、20代半ばの男性が一人立っている。
彼の周囲にはバリバリと音を弾けさせて細い稲妻が走っていた。そんな稲妻を纏わせて一歩踏み出す。
感情を持たぬ雷神の闊歩は、都度大地を壊している。
異常気象を連れて歩く男に、漁師や周辺の島民が悲鳴を上げて逃げ出す。
烈風を〝エスタ〟で弾き、カマは雷鳴の轟音に負けないようソーマに声をかけた。
「ソーマ‼アタシたちも逃げた方がよくない⁉」
「逃げるのは賛成だが周囲の人間を巻き込まない方向に行きたい!イング‼」
〈あちらのマングローブ林に入って下さい!人の気配がありません!〉
ピッ!とイングが短い手で差した方向へソーマとカマが駆け出す。
そこにオーウェンがいると思いきや。
「--――ッッッ‼」
驚愕したのは〝ブリッツ〟を所持するジャックだった。
動きを見せたソーマたちに視界を収めてしまった瞬間、死角となったところからオーウェンの全体重が乗せられた拳が突き出されていた。
寸でのところでそれを肘で防いだが衝撃はそのまま背中へ貫通するように響き、後ろへ吹っ飛ばされた。
「クソが――‼」
ジャックは悪態をつくも、身を転がしながら稲妻を走らせた。
地面を裂きながら走る稲妻がオーウェンに当たる前に、どこからか放り投げられた倒木に直撃した。
バッッリイイィィ‼
と倒木は破片をまき散らして破裂する。
鼻をつく黒煙の匂いと水分の蒸発が広がり、ソーマ、カマ、オーウェンはその隙にマングローブ林へ逃げ込む。
ジャックは舌打ちをして立ち上がり、身なりを整えてから追いけた。
「全部説明して欲しいと言ったらどれくらい時間がかかりそうでしょうか⁉」
島民がいないところまで走ることにした三名だが、オーウェンは精密兵器の姿に変形したイングを見て動揺していた。
先ほどの倒木は精密兵器となったイングによる投擲であり助かったが、沈没都市育ちであればこのAIがどれだけ危険なものか理解できる。
三名の前を走り誘導するイングは〈アイアムマイミーの自己紹介は簡単ですよ!沈没都市の数あるAIの中でも〝MSS〟に近いすごーちぃAIでして――〉と話しの途中でオーウェンが「私!沈没都市出身なので〝イング〟というAIについては理解していますよ‼でもだとしたらなんですかその人格は⁉」と困った顔で返した。
ソーマは淡水化マングローブの木の根を飛び越えながら、ギフトを使った襲撃に眉をひそめた。
(黒い雲の確認はすでに複数ある。襲撃はこちらだけだろうか?コアたちの方ももしかしたら…)
心配で息が上がりそうになる。
この時のソーマはコアたちのもとにイルファーンがいることも、彼らがサラとルカの〝フルート〟を使えることも知らない。
戦う術がないと思っている彼らのことが心配でならなかった。
しかし。
遠くにいる彼らへの心配など虫のように潰される。
稲妻を一つの塊にして撃ち放たれたそれは、青空を割りながら三名に向けられた。
――――――――――――――――
コアとペトラがエレナたちと出逢い、その当日にイルファーンが訪れた。
数日かけて互いの素上を話し、ソーマとの合流を目指して拠点を出ようとした時。
コアたちのもとにも襲撃者が訪れた。
身を寄せていた小屋は巨人に剣で屠られたように破壊され、辺りの地面は恐竜が引っ掻いたような爪痕が深く刻まれた。
周囲の住民は一目散に逃げ、残されたのはコアたちだけだ。
辺りはまだ火のついたかまどや干しっぱなしの衣服が残されている。
「これはまた…」
イルファーンは冷静ではいるも一筋汗を流した。
物の質量を変化させるイルファーンの武器は通常よりも重くも大きくもなるが――全て斬られてしまい、絶賛手ぶら状態となっている。
少年だったイルファーンの姿が成人男性になったことも他のメンバーにとっては驚きだったが、驚いている暇などなかった。
コアとペトラはサラとルカに〝フルート〟を使ってもらい、その銀糸で武器を編ませた。
〝プレリュード〟で習得した技術は現実でも反映される。
あの実験では〝フルート〟をモデルにした武器〝キヴォトス〟の調整も含まれていた。
幼いサラとルカでは武器を作れても扱えないが――キヴォトスを使ってアスタロトと戦うシミュレーションをしていた自分たちであればと思いついたペトラの推測が当たった。
もとよりサラたちは彼らの父であるティヤから武器の作り方を歌にして学んではいたので、武器の調達と連携はスムーズではあった。
だが、襲撃者の〝量〟と〝鋭さ〟はコアたちのそれを超えていた。
襲撃者は20代前半くらいか、少し下の青年。
サラサラとした黒髪を左肩に流し、けだるげな目尻も相まって中性的だ。
向こうはイルファーンの姿の変化や、どうやらコアたちの〝フルート〟の使用は想定外だったようで、薄い表情でも分かるくらい驚いている。
青年はおもむろにジャンバーを脱いで適当に放り、手の平から腕にかけて無数の刃を生やした。
禍々しい翼のようにして、遠距離の攻撃もそれで弾けるように備える。
青年の持つギフトの特徴に、コアは刀身が長すぎず短すぎない〝刀剣〟を持ちながら苦々しく呟いた。
「〝プレリュード〟で見た通りじゃないけど、〝剣〟って括りにできるのならアレは〝ミエ〟か」
彼の呟きに、〝プレリュード〟で得意だった型〝長剣〟を持つペトラは苦笑を零す。
「なんだかちょっとこんがらがってきたね。現実のギフトの機能って〝プレリュード〟と同じじゃないんだ」
「キヴォトスを〝誰でも使えるようにする〟ことも〝プレリュード〟の目的の一つだとは聞いたけど。…なるほどこういうことね」
コアは〝プレリュード〟で見たキヴォトスの特殊な状態〝青い光〟を思い出す。
規定の使い方にはないそれは、おおよそ〝誰でも使える〟ものではなかった。
もしその状態がキヴォトス本来の力であるのなら、誰でも使えるように弱くさせることが〝プレリュード〟で行われる〝調整〟ではないか。
その推測は限りなく正解に近かった――つまり現実でギフトに会うのであれば〝プレリュード〟で得た知識と経験以上の想定をしなくてはいけないということだ。
非戦力であるサラ、ルカ、エレナ、カヴェリには下がってもらっているが、万が一彼らに矛先が向かえば現状、守る術がなかった。
〝カタム〟で効果を受けた物体では〝ミエ〟の量と硬度に勝れない。
〝フルート〟で作られる武器ならば硬度と鋭さは拮抗できる。でもやはり量は圧倒的に差がある。物量で押されれば武器を持たない非戦力組が瞬殺されてしまう。
イルファーンはひとまずその辺に落ちていた小石をいくつか拾う。
「俺の〝カタム〟もその〝プレリュード〟とやらでは違うものでしたか?」
「違うよ。キヴォトスそのものの軽量化に使われていた。…アンタみたいにただの木材を鉄筋みたくできるなんて思いもしなかった」
出逢って数日で共闘することになったイルファーンへ、コアは警戒心の抜けきらない視線を送る。
イルファーンは柔らかく微笑んだ。彼の警戒心が相棒や守るべき存在のためにあると理解できる。非常に好ましい眼差しだと思っていた。
「この小石も家くらいの大きさにして重さを加えればあの刃の盾にはできますが、あの刃を破壊することは不可能です。とはいえ現実のギフトには制限が必要なはず。俺の場合は対人・大きさに制限がつきますが、襲撃者も全身を刃に変貌させないあたり生身の部分を残す必要があるのかもしれません。この戦力で戦うならそこを突いた方が良い」
「それ、勘?」
ペトラが茶々を入れるように突っ込むと、イルファーンが即座に「これは波動です」と返した。
だからそれなんだよ…と内心で更に突っ込むペトラだが、なにかゾクッとした。
音か。…いや振動だと分かった時、振り返ってサラたちに叫んだ。
「駄目!そこから逃げて‼」
サラ達に向かって突如走りだすペトラの背中に向けて、青年は腕の刃を波のように増殖させた。
ガガガガガ‼と地面を喰らいながら迫りくる刃の波をイルファーンは小石を巨大化させて押しとどめる。
肉体の体重も増加させていくが、本能的にそれ以上出力を上げてはいけないと察した。やはりかろうじて抑えるくらいにしかならない。
青年に向かって走り出そうとしたコアにイルファーンは声を張り上げた。
「いいえ‼ペトラの方へ!接近戦は絶対にしないで!」
青年との戦闘を選ぼうとしたコアは踏み止まり、一瞬逡巡したもののすぐにイルファーンの指示に従った。
ペトラはサラに「盾‼」と求めた。
サラは狼狽えつつも「〝彼女の歌を結んだら その旋律が私たちを守る盾になる〟」と口ずさんだ。
ペトラの持っていた〝ツヴァイハンダー〟が形を変え、ペトラ一人分の高さがある蝶番型の盾になる。
非戦力の一同より一歩前の所でその盾を構えた瞬間、地面から刃の山頂が突き出でようとしていた。
ギリギリでその無数の刃に圧し掛かり四人が逃げる時間を稼ぐも、突きの勢いに負け吹っ飛ばされる。
持ち前の運動神経で受け身を取る間に、刃の勢いは逃げるサラたちへ向かってしまう。
「わぁ!」
躓いて転んだルカに、エレナが慌てて引き返し起こそうとする。
「ママ‼ルカー‼」
思わず二人のもとへ走ろうとしたサラを、カヴェリが抱える。
二人のもとに間に合ったとて、あの刃の波を防ぐ手段はない。
こういう時、仲間の無事より先に確実な安全を選ぶ自分にカヴェリは「ちくしょう!」と叫んだ。
目前に迫る地面を喰らい潰す刃に、エレナはルカを抱きしめたまま目を閉じた。
---――ゴオッッッ‼
巨大な鉄球同士がぶつかり合ったような衝撃が空気を震わせた。
目を閉じて身を固くしていたエレナとルカは恐る恐る目を開けた。
二人の前には盾のように――黒化させた両腕で無数の刃を殴り壊し、無傷でいる男がいた。
ペトラが無事なことを傍目で把握し、コアはすぐさまルカとエレナのもとへ駆け寄った。
二人を守ってくれたような男に警戒を滲ませながら、〝ミエ〟の硬度を凌駕したその腕に目を見張る。
ギフトに対抗できるとしたらギフトか〝フルート〟くらいだ。
――高確率で新手のギフト持ちだろう。
(――〝エスタ〟?…いや跳ね返りがない。硬度で破壊したってことか?…だとしたら、コイツは――)
刃の波を回避したイルファーンはペトラのもとへ後退する。
地面に手をついていたペトラもすぐに起き上がり体勢を整える。
新手の登場に襲撃者の青年は眉を寄せた。
(黒化の腕。〝ミエ〟の破壊)
条件に該当するギフトに新手を強く睨む。
「お前。〝カーボナイト〟だね」
凶暴なギフトをもつ青年だが、声は思いの外甘い。
こんな状況でなければその声は人を魅了させるだろう。
新手――リーヴスは自分のスキンヘッドを軽く擦った後、いっそこちらが悪者ではないかというような笑顔を浮かべた。
「運が良いな。ちょうど俺よりギフトに詳しい奴を探してたところだ。おはなししようぜ。みんなでな」
ッッガアァン‼と両の拳を突き合わせて豪快な威嚇音を出す。
青年とリーヴスは鋭い視線を交わし、
――ギフトの中でも明確な攻撃手段である〝ミエ〟とギフトの中で最も防御に優れる〝カーボナイト〟が火花を散らした。




