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第四十一話

「我は草は好かん。」

ブラドはギルドの依頼の薬草集めに不服があるようだった。

「レベル1だと討伐系の依頼はほとんどないんですよ。」

「早くレベルを上げたいのぉ。」

ブラドが大きな体で薬草を摘んでいる姿を見てラミラミは楽しそうだった。

「お花摘みをするドラゴンの姿が見られるのは今だけかもしれないわ!」


あかりはレベリングという行為が好きなようだった。

あかりも森の家にほぼ隔離されて過ごしていたので冒険者レベルが2だった。

「ブラドさん、効率よく冒険者レベルを上げますよ!」

「おぅ!我もネロに追いつくぞ!」

「シロネも!!」

「シロネはやらなくてよい!追いつかなくなるではないか!」

「やだ!シロネもレベル上げたい!」

3人が楽しそうなので私はあかりにブラドたちのことを任せた。


私は人の姿になったラミラミと街で買い物をしている。

「ネロ!これがほしいわ!」

ラミラミは光るものが好きだった。

「似たようなの持ってるでしょ?」

「持ってないわ!これには赤い宝石がついてるもの!赤いのは持ってないわ!!」

「ラミラミが稼いだお金だもん、好きなの買いなよ。」

ラミラミは魔除けのアクセサリーを作っては商業ギルドに卸していた。

「そうね、私のお金だものね!」

ラミラミは嬉しそうに買い物を続けた。

─天使の姿には必要ないのにな─


私も珍しい薬や魔導具を物色した。

見たことのないものも多くて見ているだけでもあっという間に時間が過ぎた。

通りを歩いているとニコニコの3人が歩いてきた。

「シロネ、レベル8になった!」

「我は3になったぞ!魔物討伐の依頼も受けれるぞ!」

ブラドも嬉しそうだった。

─楽しそうだし、お金も貯まるし、まぁいいか─


絶大な力を持つドラゴンが小さな魔物を狩って喜んでいる。

ドラゴンとはどういう種族なのだろうか。

─時間をみつけて図書館で調べよう─


食堂で食事をしてお腹いっぱいになった私たちは宿屋で休むことにした。

あかりとブラドがいるので2部屋借りた。

ブラドには普通のベッドでは小さいようだったが、それでも本人はひどく喜んでいた。


「昔は板の上に布をひいただけじゃったぞ!」

シロネと同じようにブラドもお風呂を嫌った。

ラミラミに「汚いと嫌われるわよ」と言われションボリしてお風呂に向かっていた。


街での滞在はみんな喜んでいたが食費がかさむので資金集めとまではいかなかった。

「依頼料の高いやつを探そう。」

私がそう言うとラミラミが嬉しそうだった。

「珍しい魔物でも狩ってきて売りなさいよ!」


────


私たちはラミラミを街に置いて森に来ていた。

「依頼は狼3体ですね。」

「シロネに任せろ!」

「いや、我にだってそんなもの瞬殺ぞ!」

2人は森の中へと走っていってしまった。


あかりは節約のためと言って料理を始めた。

「ブラドさんがたくさん食べるので、たくさん作らないと!」

─料理の腕を上げてどうする─

あかりが楽しそうにしていたので言わないでおいた。


私は街で買った植物の図鑑を見ながら森に生えている薬草を採集していた。

森の家の近くでは見られない種類の薬草が多かった。

─フラルにお土産にしよう─


「ネローーー!!!」

シロネがどこかから私を呼ぶ声がした。

声を頼りにシロネの元に行くとそこには黒いオーラを放ったゾンビのような魔物が倒れていた。


「シロネが中くらいのやつで倒した!」

ブラドはその魔物を見て嫌な顔をした。


「最初からこんな姿だったの?」

「うん。黒いモヤモヤ出ててキモかった。」

オーラを放つ魔物なんて見たことも聞いたこともない。


「我はこれに似たものを見たことがあるぞ。」

ブラドは険しい顔でそう言った。

「どこで?」

私はなんだか嫌な予感がした。


「煉獄だ。」


─そんな気がしてたよ─


────


それから私たちは周辺に似たような魔物がいないかを探し回った。

4人で探し回り、みつけられたのは5体だった。

魔物の種類は様々でゾンビの具合も様々に見えた。

「まるで研究でもしているかのようですね…」

あかりが魔物の死体を浄化しながらそう言った。

─研究 誰がなんのために─


私の脳裏にサーシャのニヤリ顔が浮かんだ。

彼女ならやりそうなことにも思える。

「ねぇブラド、煉獄からこちらに来るのは難しいって悪魔は言ってたけど、ものを送るくらいの干渉はできると思う?」

「そうだな、かなりのエネルギーを使うだろうが可能だろうな。ネロ、悪魔の仕業だと思うのか?」

「わからない。だけどいろんな可能性を考えておいて損はないと思う。」

「そうだな…」


「こんなのが街に出たらパニックになりますね。」

「食べられない魔物、シロネ要らない。」


あかりは青白い顔になった。

「森の家は…大丈夫でしょうか…」

森の魔物がゾンビ化するというのなら、森の家も例外ではないかもしれない。


「帰ろう!!」


私はみんなを掴み森の家に転移した。


────


「フラル!いる?!」

フラルたちはいつものように畑仕事をしていた。

「あらネロ!おかえり!」

あかりとシロネはみんなとの再会を喜んだ。

「そこの大きい人は?」

「我はブラドだ。誇り高き黒きドラゴンじゃよ。」

「まぁ!お客様ね!サイカ!!」

フラルは急いでサイカのところへ走っていった。


「ドラゴンを怖がる者はおらんのか?」

ブラドは不思議そうにして首を傾げた。


「とりあえず宿屋を引き払ってラミラミを連れてくるよ。あかり!シロネを連れて森を見てきてくれ。」

「わかったわ!」


私は宿屋の部屋に転移した。

ちょうどラミラミが儲けたお金を数えていた。

「あらネロ、1人?」

「ラミラミ、ちょっと問題があって森の家に一旦帰ることにした。」

私は荷物をまとめて受付に行って精算した。


「どうしたの?そんなに急いで。」

「帰ったら話すよ。」

私は路地裏へ移動してから森の家へと転移した。


フラルの家にはサイカたちも来ていた。

ブラドはすでに馴染んでいるようでフラルの用意したお茶を美味しそうに飲んでいた。

「ネロ、なんだって言うんだい?」

「砂漠の東の森におかしな魔物が出たんだ。」

「おかしな?」

「ゾンビ…えっとなんて言うのかな…」

「アンデッドの魔物がおったのじゃ。」

ブラドはクッキーをつまみながらそう言った。

「そう、体が朽ちかけている魔物が出たんだ。だからこの森にも何かあったらと…急いで帰ってきたんだよ。」


「ただいまー!」

シロネとあかりが帰ってきた。

「とりあえず行くなって言われているところ以外は見てきたわ。特におかしなものの気配もなかったわ。」

「シロネ、うまいやつ捕まえてきた。フラル料理して!」

「まぁ!早速料理しましょうね!」

─緊張感のなさよ─


「とりあえずこの森に浄化作用のある結界を張っておくわ。アンデッドなら入るだけで消滅するわよ。」

「ありがとう、ラミラミ。」

とりあえずこの森は大丈夫なようだ。

あの森だけピンポイントで発生したというのか。


「どうする?冒険の旅を続ける?」

あかりは行きたいのだろう。

「ごめん、心配だし少しここを拠点にしたい。」

私はできれば出かけたくなかった。

「日帰り冒険ね!」

─遠足か!─


私たちは森の様子を見つつ、イストンでのギルドの依頼をこなし、そちらの森の様子も監視しながらまた森の家に帰るという選択を取った。

「ブラドはどうする?」

すっかり馴染んでソファであくびをしていたブラドは、「我もここにいてもよいのか?」と聞いた。

「ネロのベッドの横にもう1つ用意しましょうね!」

「俺に任せてください!」

ガルがやる気になって家から出ていった。


ブラドは見たことのない変な顔でみんなを見ていた。

「ブラド、どうしたの?」

「いや、人間はドラゴンを恐れなくなったのか?」

「どうなんだろう?ドラゴンの話自体あまり聞かないからなぁ。ねぇフラル、この近くにドラゴンっている?」

「ドラゴンねぇ、昔は居たみたいだけど今となっては伝説の生き物とされているわね。」

「どんな伝説なの?」

フラルは1冊の絵本を持ってきた。

その中のドラゴンは暴れまわり人間の世界を破滅させようとする悪者だった。

「ブラド、気にすることないよ。」

絵本を見て震えているブラドの肩を叩いた。


「ネロ、見よ!我が本になっておるぞ!」

─確かに黒い竜が描かれているが─

「気に入ったならブラドにあげるわよ。」

「なんと!フラル殿!ありがたく頂戴いたす!」

─ドラゴン ご飯をくれる人に弱い─


こうして森の家の住人がまた増えたのである。


────


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