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山口沙雪side6

ドМ襲来にまで遡る。


「なぜ銀色の風(シルフ)様がここにいらっしゃるのですか…?」


それはこっちのセリフだ。なぜドМが私の病室にいる?いや、確かに兄さんを送り届けやがったのだから、この近辺には来たのだろう。しかし、なぜこの病室が特定された…?


「あの、銀色の風(シルフ)様…?」


とにかく私の身バレの危機だ。なんとか誤魔化さないと。


「なんのことや?ワイは世界最高の美女、銀色の風(シルフ)様やないで?どこにでもいるありふれた義妹ちゃんや」


「いえ、魅了が垂れ流しになっていますし、ご主人様のオーラを感じ取れないほど、やわなドМはやっておりません」


「くっ」


調教しすぎたことが仇になるとは…!


私の調教スキルが有能すぎて、オーラで感じ取れるようになるとは思わなかった。


ただ、99%は特定したとはいえども、こいつらはまだ私が銀色の風(シルフ)だと決めつけられはしないようだ。私は普段、人前に出るときに仮面をしている。これがギリギリで生命線を繋いでいる。


「それに銀色の風(シルフ)様はとても健康的に見えます。配信では注射を100本打ったというので、包帯がぐるぐる巻きでした。それがこんな短期間で回復するものなのですか…?」


あ、マジでアカン。ドМは兄さんとも繋がっているし、もし、私の病気が突発性ブラコン症候群だとチクられた私が終わる。具体的に言うと、兄さんに怒られてしまう。


もう殺すしかないか…?


元々、兄さんをそのでっかい乳で誘惑してたし、いつかは殺ろうと思っていた。それが少しだけ早くなっただけだ。幸いここは病院だ。棺桶ならたくさん置いてある。


ただなぁ…


少しだけ躊躇う。ドМは知名度がありすぎるし、もし行方不明になったら、あのイカレた親父が黙ってはいないはずだ。というか私が殺される。リスクが大きすぎる。


生かしておいても面倒だし、殺しても面倒だし…どうすっかなぁ…


「ですが、お嬢様…義妹ちゃんと銀色の風(シルフ)様が同一人物であるというのは無理があるのでは…?」


変態秘書が疑問をぶつける。その視線は清楚で美しく、幼稚園卒なのに理性的な義妹ちゃんが銀色の風(シルフ)様なわけがないと言っていた。


「そうですね…ですが、銀色の風(シルフ)様と義妹ちゃんが同一人物だと仮定すれば、今までのすべてが解決するのです」


「というと…?」


「ダンジョンやモンスターに詳しいこと、村の亜人種に詳しいこと。そして、私のことをドМと呼ぶのは銀色の風(シルフ)様だけなのです」


「い、いや、それは知り合いに聞いただけやで?」


「その知り合いというのは誰なんですか?」


「…」


普通にアカン…


ドМの中では私は既に銀色の風(シルフ)なのだろう。ここまで来たら、自分の狙いを伝えるべきなのだろうか。だけど、ドМは兄さんを狙うライバルだ。銀色の風(シルフ)として、兄さんを狙うのはやめろといえば、諦めるだろうが、それでは私が負けた気分になる。現状はおっぱいの分、0.01mmだけリードされているが、私が爆乳を手に入れれば、簡単に逆転できる。


銀色の風(シルフ)様、私は恐れ多くも貴方の考えを理解しております」


ん?どういうことだ?


銀色の風(シルフ)様は新さんをあの村から脱出させようとしているんですよね?そして、新さんを人間側に引き込むことで、あの村への抑止力としようとしている。違いますか?」


いえ、ただ、兄さんと結ばれたくてアプローチしているだけです。


「そして、銀色の風(シルフ)様は魅了の効かない新さんにあれほど媚びたアプローチを…!美の女神にあれほど無様な姿をさせてしまったことが私は情けなくて仕方がありません…!」


「お嬢様…」


ドМが病室で女の子座りをし、変態秘書がそれを慰めている。それより、私の兄さんへのアプローチが媚びているというのがショックが大きかった。ありふれたカマトト女と同じ行動をしてしまっていたのかと反省。


ただ、おかげでドМの思考が分かった。ドМは兄さんに一目ぼれしたわけではない。いや、兄さんに一目ぼれしていない時点で殺すべきなのかもしれないが、それはそれ。


ドМは将来の日本のために兄さんを誘惑しているらしい。まぁ、村の中で一番イカレた兄さんを人間側に引き込めれば、確かに村のやつらに対抗できるだろう。


なんなら引っ越しさせれば、クルーシャや夕霧、エルフのばっちゃん、後はイカレた雌共から隔離できる。


アレ?とっても良い作戦なのでは?


「ドМ…お前の気持ちはよくわかった」


銀色の風(シルフ)様…!」


ドМがビクンと立ち上がった。私の共感を得れて、とても嬉しいらしい。ただし、


「兄さんを堕とすのは私の役目だ。お前たちは立ち去れ」


「え?」


ドМたちの記憶から、私という存在を消す。美女式奥義の連発だ。刮目せよ。


「ドМたん、た~い好き♡」


「なっ!?」


『美女式奥義:純情猫撫で声(カマトト・キャッツ)!』


ベッドで女の子座りで脳に響くような甘ったるい声で全力で媚びる。生物なら、私の声を聞けば、顔を赤らめてしまう。そして、完全に隙ができる。


Sランク冒険者といえども、隙ができてしまえば、病人の私でも不意打ちを行うことは難しくない。そして、流れるようにドМに抱き着き、身体をくるっと入れ替えて、ドМを私のベッドに押し付ける。仰向けになったドМは何が起こったか分からない様子だ。そして、私は覆いかぶさるようにドМの唇を奪った。


「~~!?」


「なっ!?」


『美女式奥義:凌辱のマリアナ海溝!』


兄さんをベッドに押し倒して、キスするための奥義だ。そして、一度捕まったら最後、兄さんが私に堕ちるまで、舌を入れ続けるという最強の奥義だ。これが決まれば勝ち確なのだが、中々機会に恵まれない。


そして、ドМのような凡夫が私にキスをされたら、そんなのショックどころか天にも昇る心地だろう。現にベッドに倒れるドМは既に放心状態だ。


そして、もう一人、変態秘書を見れば、


銀色の風(シルフ)様が…」


漏らしながら地面に力無く座っていた。『凌辱のマリアナ海溝』の副作用で、私のキッスをみた凡夫に寝取られの気分を与えることができる。表向きはドМに忠誠を誓う変態秘書だが、心の底では私のことが好きなのだ。


自分の好きな相手が目の前でキスしてるのを想像してみれば分かるはずだ。得も言われぬ空白が身体を支配するはずだ。


ドМは私の『凌辱のマリアナ海溝』で天にも昇る心地になっている。そして、変態秘書も副作用で逆の意味でショックを受けている。


こうなった人間を操ることなど、造作もない。記憶から私のことを消してもらおう。私は十円玉を取り出して、二人の前でゆらゆらと揺らす。


「私のことについて忘れろ」


「あ…」


「う…」


そして、二人は寝落ちした。うまくいったようだ。


『美女式奥義:ダチョウの催眠』


最近、エッッッな世界では催眠物というジャンルがある。私もこれを見た時に思った。兄さんに催眠をかければ、エッッな命令ををすることができるのではないかと。


藪医者や看護師にはかけることができたので、兄さんに意気揚々と催眠をかけたのだが、あの鈍感野郎には通じなかった。でも、私は諦めていない。いつか、兄さんに催眠をかけて、エッッッな命令をさせるのだ。


話を戻す。『美女式奥義:ダチョウの催眠』は相手から思考能力を奪い、私の命令を確実にこなすようになる。ただ、相手から思考を奪うのは難しい。そこで大きなショックを与えるのだ。今回でいえば『凌辱のマリアナ海溝』だ。


ちなみに、藪医者たちには『退院する』と言えば大きなショックを与えることができたので余裕だった。記憶の消去に関しても藪医者たちで実験済みだ。記憶に関してもうまく消えているだろう。


「藪医者…」


「はい、なんでしょう?」


私は部屋の外にいた藪医者を呼んだ。


「この二人をどこかに連れて行け」


「かしこまりました」


そういうやいなやすぐに看護師たちが集まって、ドМ達を連れて行った。これで私が義妹ちゃんだということは忘れてくれるだろう。全く…今日はとんでもない日だった。兄さんの配信を観て、癒されようと思ったのだが、


「女狐が映ってる…」


最悪な気分だった。兄さんのエルフの正装が見たかったのに、嫌な思い出がよみがえる。そして、テキトーに自宅警備員共を相手にしていると、ドローンが再び、置いてかれた。


「そういえば、ドローンを調べるのを忘れてた。今度は絶対に調べないと」


明らかに挙動が可笑しい。そろそろ調べないと不味い気がする。すると、


「沙雪さま、良かったですね!」


私の部屋を掃除している看護師の一人が私に話しかけてきた。何がなんだか分からない。


「何が?」


「いえ、お兄さんに婚約者が見つかったみたいじゃないですか?」


何を言っているんだこの女は?


「え、え~と、先ほどの青髪の女性がお兄さんの婚約者として沙雪さまに挨拶に来たと言っていたのですが…」


…よし、ドМを殺そう。生かしておかない。


下心がないと思って、泳がしておいたが、兄さんの婚約者だと?そんなうらやまけしからんことを許すわけにはいかない。私は藪医者にドМを連れて引き返せと連絡しようと思ったが、配信の方で大きな進展があった。


『こうしちゃおれん…!すぐに新也の家に向かわねば…!』


「は?」


サクナが私の家に行くらしい。

『重要なお願い』

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― 新着の感想 ―
[一言] 催眠術は昔から紐を通した5円玉やでw
[一言] なるほど。処女は大切に守らないと駄目だけど、キスはいくらでもしていいと…
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