表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
殿下、溺愛展開は契約違反です~「追放の廃妃」の私、わけあって元敵国の王太子と契約結婚することになりました~  作者: ぽんた


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

62/68

国王と王妃と試作品

「こちらは、新作のクッキーです」


 国王と王妃には、定期的に会っている。いまの寒い時期はティールームで会っているけれど、季節がよくなれば庭園の東屋で会うのもいいかもしれない。


 温室だけでなく、庭園も変えていく予定にしている。


 残念ながら、ここにやって来たときは冬期に入っていた。その為、庭園もほぼ封鎖状態だった。というわけで、どんな花々が咲き誇っていたかはわからない。


 それはともかく、今回の差し入れは、おからで作ったクッキーにした。


 ティールームには国王と王妃とわたしの三人だけ。


 廊下には親衛隊の隊員たちが立っている。


「大豆を使ったクッキーなのです。プレーン、アールグレイ、ナッツ、チョコチップ。お茶は、ジンジャーティーにしました。今日はいっそう冷えますので、体があたたまるはずです」

「おお、これがこの前話をしていた大豆の試作品だね?」

「見た目は、いつものクッキーのようね」


 国王と王妃は、つまんでは上品に食べている。


「味も食感も小麦粉のクッキーとかわらないね」

「そうね。すくなくとも、わたしにはわからないわ」

「陛下、王妃殿下。そうなのです。小麦粉と遜色ないようにする為、試行錯誤を繰り返しています。おからのクッキーは、小麦粉と違ってダイエットにいいのですよ」

「ほんとうに? では、いくら食べても太らないのかしら?」

「ほう。ということは、罪悪感なく心ゆくまで食べることが出来るな、王妃?」

「陛下、意地悪をおっしゃらないでください」


 国王の冗談に王妃と顔を見合せて笑ってしまった。


「クッキー以外にも、大豆を使った料理も試作中なのです」

「それは楽しみね。ということは、食事も罪悪感なく出来るということ?」

「王妃殿下、さすがにすべての食事をというわけではありませんが……。それでも、置き換えてじゃっかんは痩せたり健康によかったりはするかもしれません」


 それよりも、大豆の生産や大豆の加工品を普及出来ないかを模索しているのだと伝えた。


「専門家などにも相談し、少しずつではありますが計画は進んでおります」

「大変かもしれないな。あたらしいことを受け入れるということは、だれにとっても難しい。わたしたちのよに遠くから眺めている分には無責任に『やってみろ』とか『がんばれ』と言えるのだが、当事者たちにとっては不安でしかない。それをわからせるのが、またひと苦労だろう」

「はい、陛下。重々承知しております。ですが、やらなければいずれダルトリー王国は……。鉱物資源は無尽蔵ではありません。実際、徐々にではありますが産出量は減少しております。いまのうちに手を打っておくのと、その事実にふたをしておくのとではまったく違ってまいります」

「ユア、まったくその通りだ」


 国王は、何度もうなずいていた。


 まったくその通り。


 その一語に尽きる。


「ユア。もしよかったらこのクッキー、わけてもらえないかしら?」

「王妃殿下、もちろんです。あとでお届けします」

「いいのよ、わざわざ。よければ、いまから取りに行きたいわ」

「はい?」


 王妃の突然の申し出に困惑した。


 というか、違和感を抱いた。


「ですが、王妃殿下……」

「お願いよ、ユア」


 いまだ美しい彼女の顔には、どこか訴えるものがある。


(もしかして、他になにかあるのかしら?)


 なにかを察した。


「それでしたら、王妃殿下」


 だから、即座に了承した。


 国王に暇乞いをし、王妃とともに王族の居住区域にあるティールームをあとにした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ