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殿下、溺愛展開は契約違反です~「追放の廃妃」の私、わけあって元敵国の王太子と契約結婚することになりました~  作者: ぽんた


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農作物の試作の候補地

 この日は、財務大臣のウオーレンと内務副大臣のホレとの会見があった。


 同席者は、ケニーとテッドとドナルド。もちろん、レオは護衛として扉の横に立っている。


 ザカリーは、親衛隊だけれどロバートの直属になった為ロバートについてデイトン帝国に赴いている。


 ウオーレンとホレスとは、最初の会見以来何度か顔を合わせて議論を繰り広げている。


 まずは、農業改革から進めていきたい。


 ふたりにそう提案した。


 最初は、ふたりとも否定的だった。が、農業や牧畜業や食物学や土壌学などの各専門分野の生産者や学者、商人やギルドといった流通関係者などからも説明をしてもらい、ようやく興味を持ってもらった。


 とはいえ、成功するかどうかはいまのところなんともいえない。


 まずは、生産からである。どこかの領地で試したい。


 その領地の選定で揉めているのである。


 一番スムーズなのは、ウオーレンのジャイルズ公爵家とホレスのガードナー侯爵家の領地内で試作することである。が、まずガードナー侯爵家には領地がない。ガードナー侯爵家は、いわゆる領地を持たない宮廷貴族の家系なのである。一方でジャイルズ公爵家は、いろいろと問題がある。ウオーレンが言っていた通り、管理人が不正をしまくっていて現当主であるウオーレンでさえ歓迎されないというありさまらしい。それだけでなく、土地柄そのものが「他のもの」を受け付けない。つまり、大豆や既存のイモ以外のイモの試作をするには難しいということである。


 とはいえ、他の領地もそうかわりはない。その程度の差こそあれ、受け入れられないという風潮はある。


「ねぇ、あなたたちの実家は?」


 メリッサのふたりの兄であるケニーとテッドに尋ねてみた。


 兄妹たちの両親ボブとマリーには、おしのびで視察に行った際ずいぶんとお世話になった。


 マリーとメリッサと三人で料理を作ったのは、いまでも記憶にあたらしい素敵な思い出である。


 ボブは、あの辺りの管理を任されている管理人。とはいえ、なにかするにしてもその管理地を統べている領主の許可がいる。


「領主ってだれなの?」


 兄弟に尋ねると、ふたりはおたがいの顔を見合せた。それから、同時にホレスを見た。


「なに? ホレスに関係のある人?」


 面倒くさいので、ウオーレンやホレスとは名前で呼び合うことにしている。


「ああ、関係あるといえば関係あるな。おれ以上に変わり者だ。というか、偏屈じじいだ。内務大臣だよ。内務大臣のイアン・グリーンフィールドだ」


 ホレスは、ニンマリと笑って言った。


「ちなみに、イアンは宰相のことが大好きだ」


 ホレスは、両肩をすくめた。


「なんですって?」

「ああ、そういう意味での大好きではない。ガチガチの宰相派という意味だ」

「わかっていますよ、ホレス」


 苦笑してしまった。わたしもそういう意味で驚いたのではない。


「グリーンフィールド侯爵の領地ですか」


 もちろん、内務大臣であるイアンにも会っている。ホレスに告げられるまでもなく、いつも宰相にまとわりついている。先日のパーティーでも見かけた。宰相の四番目の若い奥さんより、イアンは宰相にベッタリくっついていた。


 イアンが宰相といる時間は、あの若い奥さんよりずっと長いに違いない。


 イアンは、それほど宰相に傾倒している。というか、惚れている。


 もちろん、そういう意味ではない。


「他に協力してくれそうな領主はいないか、よね?」


 結局、そうなってしまう。


(あるいは、イアンに頼むかよね)


「もう一度当たってみよう。それから、ちょうどいい機会だ。うちの問題を片付けられるかも検討する。それさえ片付けば、うちの領地で試したい。というか、させてもらいたい」

「ウオーレン……。ありがとうございます。調査など必要があれば、わたしも協力します」


 ウオーレンの気持ちに応えたい。


「おれも当たってみる。領地が確保出来なければ、王宮内でするという手もあるな」

「ええ、ホレス。それも考慮しています。ですが、出来れば条件の悪い土地や、東西南北さまざまな土地で試作したいのです。このダルトリー王国は、小さくはありません。作物や家畜も、その地域によって向き不向きがあります」


 ついつい熱くなってしまう。


 ウオーレンとホレスは、もうわたしの性格を理解してくれている。


「ユア、成功するといいな」

「みながあたらしいことを受け入れてくれれば、一歩でも二歩でも前進出来る」


 ウオーレンとホレスの言葉に、大きく頷いてみせた。


 それは、心の底からの気持ちだった。



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