新天地では座礁の予感。
一般病棟に移動して慣れない空間に落ち着きもなく部屋の隅々まで目を配る。
ベッドは部屋の酸素などの口金が設置してある壁際に枕を向けられていた。
ICUを出る時も酸素は提供されてはいなかったのでココでも使われる事も無さそうだ。
意識を失ってから体の左縦半分の頭から足先まで動かない。
一般病棟に移り変わってからテレビのキャビネットが据え付けられていたので自由に観ることが出来なのはありがたい。
このキャビネットの下の方には冷蔵庫も据え付けられている。
恥ずかしながら電源の入れ方を知ったのは退院する一ヶ月前の事だったのは言うまでもない。
何せ体は起こせない上に一人で歩く事もままならないのだから冷蔵庫など使うよしもないからだ。
この日からお客さんが多い。
リハビリの先生と看護師さんと介護士さんが甲斐甲斐しく話しかけていただけるのはありがたい。
そう明日からリハビリが開始される縦左半身は感覚もなく動きもしない。
意識を失っていた間に右手の筋力も落ちているのに気付いた。
これからは縦右半身が自分の体を支える事になると覚悟したところだった。
この先はリハビリ次第かぁ…。
覚悟したのも束の間にあっさり気持ちが落ち込む。
人生としてのこれからの生き方も変えていかないとなぁ…。
ぼんやりと何かを模索するかの様にただただ真っ白なノートに鉛筆の先をつけたまま黒鉛は軌跡を描かず手もピクリともしないそんな様子だった。
まさに虚無。
さらに静かな病室は初夏の日差しで優しく包み込み何か心を嘲笑う様でも有った。