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Birth die Present.  作者: 間宮しろ
3/8

◆◆◆◇◇◇◇

「はい終わり〜〜!友達からの反応楽しみだな〜」


「趣味悪いなお前」


「君の口も充分悪いけどね」


「うっせ」




あれから1時間がたったころ、ようやく訃報の投稿できたらしい。


その証拠に、あやは両手を頭の上で組んで背伸びをしていた。




「……そんで、この後はどうすんの?」




帰りたいという思いを込めて言うと、




「そりゃー、自分の葬式行くほかないっしょ!」




あやは俺の願いを無視して、家を飛び出した。







・‥…━…‥・‥…━…‥・‥…━…‥・‥…━…‥・







「おぉ〜みんな服真っ黒じゃん」


「そりゃ日本の葬式だからな」




変なことで感心するあやと、なんとかあやに追いついた俺。


葬式では全員下の方を向いていて、重苦しい空気が充満していた。


それなのに……




「あ、いとこの兄ちゃんだ!久々だねぇ」

「へぇー、私にひいおばあちゃんなんていたんだ」

「お花綺麗だなぁ」




なんて様子で超楽観的。




「あのさ、きみ日本生まれなんだし、空気を読むってことしたら?」




もはや不快にさえ思えて、睨みをきかせながら言うと、




「えー、死んでるしそんなん関係ないじゃん!!」




(名前)は、俺の気持ちには1ミリも気づいてない様子で答えた。




「……そうだけどさ」




けどやっぱ、




ここまで楽観的だと、少し心配になる。








・‥…━…‥・‥…━…‥・‥…━…‥・‥…━…‥・






長い間色々な生き物を見てきた。


そんな俺の経験上、1つの感情の振り幅だけ大きい人はいない。


喜びの感情の振り幅が大きいやつは、その分悲しみの感情の振り幅だって同じくらい大きい。


ひどいくらいに明るい性格をしているあやは、葬式のときには大泣きすると、勝手に思っていた。




でも、予想は大はずれ。


あやは、母親が大泣きしながら生前のエピソードだとか語っても、涙の一粒も見せない。


むしろ、私はここにいるのにーとか言ってけらけらと笑っていた。




「……あやさ、本当に心残りとかないの?」




不思議すぎて、思わず聞く。


あやは小さく首をかしげて




「ないよ?」




と言う。




「……そうか」




俺は違和感を抱きつつも、納得してしまった。




だからこそ気づかなかった。


あやの、空気に溶けこんでしまうような、


でも、飽和するような、濃度の高い声を。




「ましろがいない……」

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