第90話 疑問
フィーも専属馬と話したいことがあるのでしょう。一緒に散歩するわけではなく別々に行動することになりました。夕暮れまでは時間がありますので確認できることはしておかなければなりません。
6頭いた家族の4頭が追い出されたのに残りの2頭は何も知らず真面目なはずがないのに…。
≪念話≫
「アイデー、落ち着きました?乗馬して構いませんか?」
「は、はい。大丈夫です。」
リオリナを見て呆然としていたのかお母さんが去って安心したのかどちらでしょう。
封印解除された直後でも平然としていたリオリナもお母さんを特別な存在だと理解したでしょう。震えるのを抑えていた可能性はありますし気にならなかったのかもしれません。どちらにしてもあの子ならお母さんが乗馬できる馬について詳しく説明できるはずです。それを用いて厩舎の存在を否定されてしまうと何も言えません。新しい体になっていなくてもリオリナがお母さんと乗馬することができたのはお母さんが一番理解しています。
他の馬の封印を解く前にリオリナは特別ではないと私とフィーに釘を刺したのはこのような事態になることが想定できていたのでしょう。特別扱いすることで他の馬とは違うと考えるのはリオリナを侮辱することに繋がるのだと思います。
≪乗馬≫
ゆっくりと歩いてくれていますが他の動物を避けている感じがします。恐らく私に聞きたいことがあるのでしょう。念話ですので他の動物に聞かれることはありませんが周りの視線が気になるのでしょうね。
「厩舎に戻る前と同じいいですよ。適当に歩いてください。休憩も自由です。先に言っておきますね。リオリナはリアの専属であり私たちの家族です。ドラゴンに変身できるのはリオリナだけです。私たちは食事が必要ないので保護区域の動物を食べません。食事することもできますが魔獣の肉で料理します。リオリナについてはこれ以上話せません。フィーを侮辱したあなたの家族は間違いなく保護区域に追い出されています。アイデーとフィーの専属は追い出された4頭の性根を知っていたはずです。あなた達が会話していたときにはフィーの顔も見ていませんでした。3年間も血塗れの状態で世話してくれていた家族なのにです。それに専属になるので主従関係がどうとか関係ありません。ここの主は母であり娘として紹介されたフィーの立場が上だと理解するべきした。理解していれば的外れな会話を披露することにならなかったでしょう。フィーの勉強になるので最初に追い出されなかっただけです。フィーに事実を話すことで問題にすることもなく解決できたのですが終わったことですね。私に聞きたいことがあるのでしょ?」
「ディアが全て話してくれました。一番の問題は何ですか?」
お母さんは世界で全てを知っていると聞いているのです。隠し通せることなどありません。本当にフィーが大切なのであれば説得して4頭を追い出すように伝えるべきでした。専属になって守りたかったのはフィーを見下し侮辱する家族だけという事になります。
魔法を使わない私はこの程度のことも分からないのですね。
「一番の問題は全ての馬が母を恐れ震えたことです。逃げたいと考えながら自由を望むのかここに残るのか選んだ違いしかありません。母は何もしていないのに逃げたいと思われたのです。ここの主は母なのです。それなのに全ての馬が母の乗馬拒否というのはあり得ません。そして母を平気で乗せることができた馬はいました。震えることもなく平然と話すことができました。ここにいる馬が母を悲しませたことを妹の中で一番鋭く母を説教することもある子が気づきました。母が厩舎は必要ないと言ってもその子なら撤回させてしまうでしょう。ですがその子が厩舎は必要ないと言ったときには止める手立てがありません。その子だけが正論で厩舎を存続させることも撤去させることもできるのです。理由はとても単純です。その子の専属が母を平気で乗せることができたのです。妹の名はアンジェリア、愛称リアです。フィーを説教して今は母と一緒にリオリナに乗って空を飛び回っているでしょう。姉妹の中で最も家族と命を大切にする子です。先程の会話で優先順位は圧倒的に家族だと理解できたはずです。フィーに4頭を殺させなかった理由もフィーのためです。母に震えなければ交渉できますが今の状況では厳しいです。どうすれば震えが止められるのか聞くつもりではいますが不可能だと言われることも考えられます。馬の問題で馬が克服するべきだと言われたら私は何もできません。隠していたことを責めるつもりはありません。ですが母から逃げたいと考える馬がここで暮らすことの異常さは理解してください。」
「クロニクル様は全てを知っていますがリア様はあの短時間で把握したのですね。クロニクル様を乗せることができた馬がいたのですから全て言い訳にしかなりませんね。悪意の有無は関係なく絶対に逆らえないのが恐ろしいのです。気配を感じるだけで震えてしまいます。その馬と私たちの違いは何でしょうか?」
リアは無言のお母さんに震える馬を見ただけで分かったでしょう。ですが念のために全ての馬が封印解除されたときの様子を確認したのだと思います。私でも気づくのですから誰でも分かります。
そしてリオリナとの違いですか…。
「リアの専属ですので母が話しているのを無視してリアと話すくらいのことはしていました。その馬は母よりもリアが大切だったのです。リアの許可がなければ母でも乗せません。リアが母に逆らえばそれに追従しました。母は問題児だと言っていましたがとても可愛がっていました。絶対に逆らえないというのは保身を考えた思い込みです。幼い頃から母を知っていたわけではなくリアが救ってきた馬でした。一番の違いは救ってくれたリアのために自分の命を使うつもりでいたことです。リアのために死ねるのなら本望。リアが先に死ねば自分も死ぬ。リアが他の馬に乗っても死ぬ。リアの専属馬は自分だけでいい。自分の言葉を証明するためリアに命を捧げていました。リアはその馬を家族として接していましたが、その馬はリアを主として敬い続けました。本物の覚悟を持っていました。母がその馬を特別だと考えないように私たちを注意しました。特別という言葉は便利な逃げ道に使えます。問題児の覚悟を特別だという言葉で片付けるなという事でしょう。酷い環境から救われたのに母を見て震えながら逃げたいと思いつつ利益を考えて残ることを選んだ。性別は同じです。馬の視点でどこが違うのか教えてください。」
主に命を預け絶対の忠誠を誓う本物の覚悟。
主を最優先に考えて他には絶対に屈しない精神力。
大きな違いはこの2つだと思いますがお母さんを見て震えないだけであればここまでは必要ないと思います。誠心誠意で仕えると誓った言葉が本当であれば震えなくなっていた気がします。
私の言葉で本物の忠誠が大切なのかもしれないという事は分かると思いますが、それを言えば自分の言葉が上辺だけだったと認めることにもなります。自分の非を認め反省することも成長に繋がると思いますがフィーに謝罪すらしていません。まだ謝罪していないだけだと言い訳することもできるでしょう。
ですが曖昧に濁すのか残るために努力するのかで大きく違います。
何となく残れると考えているようでは残れません。私にも優先順位があります。寂しそうな顔をするお母さんを見たいとは思いません。
時間がかかり過ぎですね。
「見つけられませんか?ここに残れる機会を失うかもしれませんよ。」
「余りにも違いすぎます…。生き方を変えるのは簡単ではないと思います。何か隠されているかもしれませんので厩舎で話し合いたいと思います。」
簡単ではないので努力する時間を稼いでほしいと言われたのであれば協力してもよかったのですが、何を私に伝えたいのかが分かりません。私が未熟だからでしょうね。
「分かりました。時間は余りないと思いますので急いでください。」
「全ての馬が協力して努力していると伝えてください。」
こういう発言をする人はいました。自分が優秀だと勘違いしている人と他人を利用することしか考えていない人です。どちらも自分の評価を上げるために努力という言葉を多用するのです。今までは他人事でしたので気にしていませんでしたが当事者になると業腹ですね。
お母さんが追い出していないのが不思議な馬だとよく分かりました。
私の授業になっていた可能性がありますね。
≪下馬≫
「それでは急いでください。私は自宅に帰り話し合う内容を考えたいと思います。」
「分かりました。よろしくお願いします。」
≪念話終了≫
≪転移≫
自宅のリビングに移動しました
空は明るかったので誰もいないと思いましたがフィーが椅子に座っていました。
時間は15時を過ぎたばかりなので2時間は帰って来ないでしょうね。
フィーの隣に座りましたが何を話すべきなのか悩んでしまいます。
家族だと思っていた馬を全て追い出すことになりそうですから…。
「フィー、うまく行きそうですか?」
「今日は疲れたと言って帰ってきたよ。私は幼く酷い目に遭っていても何故か殺されなかった。だから何かあったときのために自分だけは味方と思わせておく。自分だけは私の唯一の味方だと煩いから帰ってきた。お城にいたときは同じ言葉で救われた気持ちになってたのに今聞くと薄っぺらい。自分のために私を心配してるので響かないね。」
幼い子なのに血塗れで馬を世話していたフィーを味方にしておけば何かに利用できるかもしれないと考えたのですね。お母さんが言っていた心の弱いに付け込む行為をフィーの残った専属が主導していたのでしょう。長だと言われていたので納得ですね。
「そうですか。私はリオリナの名を出さずにお母さんを乗せることができた馬について話したのですが何か隠されていないのか厩舎で話し合うそうです。全ての馬が協力して努力すると伝えてほしいと言っていました。2頭は駄目ですね…。」
「どうでもいいよ。お城から来て残った5頭は私の勉強に利用した。ついでにディア姉の勉強にも利用した。勉強は2頭を追い出すまで終わらないといった感じだね。フィディーも震えてたから全ての馬が同じ理由で震えてたと思わない方がいいよ。お母さんを乗せることは無理でも逃げるつもりはないと思う。リオリナはお城から来た馬以外は知ってるので震えてる6頭を見てから怒るのは遅すぎるよ。」
お母さんが6頭を残した後はフィーが私に専属馬を薦めることまで分かっていたはずです。アイデーが序列1位になったことで私は全ての馬が駄目だと考えてしまいました。6頭の会話を聞くまで序列1位は私が乗馬しているだけで決めたのかもしれないと考えていたのに、震えている理由まで同じだと判断してしまいました。
仔馬でも母馬と離れて残ることを決意していたのです。
お母さんの言葉、仔馬の言葉、フィーと一緒に来た6頭の言葉の全てが授業ですか。絶対にないとは言い切れません。これまで私が過ごしてきた日々を知っているので魔法を使わずに酷い馬と会話すると全て同じだと思い込むと考えたのでしょう。人が嫌いでも全ての人が欲塗れではありません。馬も同じなのに他の馬と話してみるという事さえ思いつきませんでした。
お母さんの寂しそうな顔には複雑な思いがあったのでしょう。
「勉強でここまで酷い結果なのは初めてです。過去の感覚が残っていると注意されたばかりでした。フィーは新しい専属馬を決めるつもりはありますか?」
「馬が残るのなら自分の目で見てしっかり決める。ディア姉も決めないと駄目だよ。1年後には牛と一緒に遊ぶことになってるからね。とりあえずお母さんが帰ってくるまで仮眠するよ。」
お母さんは全て知っているのに1年後のことまで話していました。全ての馬を追い出す可能性は低いですね。フィーと私が一緒に勉強するので一緒に勉強させたのでしょう。
「そうですね。仮眠して待ちましょう。」
初日だからこそ過去を清算するにはいい機会だと考えられます。自分の欠点をここまで理解したのは初めてです。魔法を使ってきたことで感性が衰えているだけではなく視野まで狭くなっています。言葉だけではなく実際に経験させて理解させることにしたのでしょう。
お母さんの話していた普通に勉強するという事も過去の勉強方法では駄目ですね。多くの命に触れ合うことが前提の勉強をしなければなりません。馬や牛の気持ちを知ることも勉強になります。
フィーは次に気持ちを切り替えようとしています。
お母さん、妹を圧倒するのは大変ですよ…。
◇◇◇
2時間後。
物音が聞こえたので目を開けました。
家族が揃いましたね。アンジェは逃げようとしたところを捕まったような苦い顔をしています。
「お帰りなさい。ここまで勉強で疲れたのは初めてです。」
「ただいま。世界の管理人が机の上で勉強するだけでは足りないでしょ。命と触れ合わないとね。2人が専属馬を決める前まで記憶を消してある。専属馬は自分で見て決めなさい。明日の昼に専属を決めると連絡してあるわ。追い出すのは2頭よ。フィーも覚悟できているみたいね。私は母から逃げた娘に話があるの。4人で話していてね。さあ、行きましょう。」
「アンジェ、無言で行った方がいいよ。言い訳すると長くなるからね。」
「お母さん、共犯者が何か言っているよ。説教するべきじゃない?」
お母さんの話を聞いていなかったのでしょうか?
説教が怖すぎて頭が麻痺しているのかもしれません。
「母から逃げた娘と話すと言ったのよ。桜の木を貫いた三馬鹿と話すとは言っていないでしょ。歩けないの?仕方ないわね。」
「何も話さな…。」
お母さんの転移で説教部屋に移動したようです。
「リアとリオリナは全ての馬を追い出さなくてもいいの?」
「私はリオリナとフィディーしか知らないからね。他の馬もフィディーと同じ理由で震えるのであれば仕方ないと思う。リオリナも大丈夫だと思っているから問題ないよ。」
「お母さんに震えるのは明らかに格上の存在だと感じるので仕方ないと思います。私はリア様がいるので震えません。リア様がいますので誰を前にしても震えません。」
私が想像していたような理由ではない気がしてきました。リオリナが震えても仕方ないと言っているのですから怒ったのは恐れて逃げるつもりなのに利益だけを考えて残っている馬を見たからでしょう。
「リオリナ、その理由を教えてください。」
リオリナは簡単に封印解除されたときの話をしてくれましたが全く予想外の内容でした。覚悟や精神力ではなく自分を守ってくれると信じられる主の有無ですか…。
リオリナはお母さんを無視してリアと話しているだけのようにしか見えませんでした。思考把握と感情把握を使っていたのに分かりませんでした。リオリナがわざと無視して本気でお母さんを観察しているのは私の魔法では気づくことができないようです。
それにリオリナの言っている通りだと思いました。格上が敵ではないと分かった時点で観察をやめるのが正解でしょう。それでもリアの敵がここにいないのか観察していたのです。私たちのことも観察していたでしょう。不愉快に思ってリオリナを殺そうとしたら絶対にリアは動くはずです。
覚悟や精神力ではなく本物の信頼関係ですね。
リアが背中に乗っていればリオリナはどこにでも向かうことができると思います。
封印解除されたときにリアがいるので観察することができたのでしょう。
「リア姉はリオリナに何したの?詳しく聞きたい。」
リオリナの話はアンジェから聞いた内容よりも詳細でリアの行動力が桁違いだと感じました。そしてリアはリオリナが隠していたことに気づけなくても自分の責任だと考えて反省していたみたいです。そして再度失敗しないようにリオリナのことを考え続けていたのでしょう。
それに私とフィーがこの話を聞いて専属を決めて触れ合うことになると知っているのでリアが本音で話せとリオリナに言いました。
これほど本気で向き合っているのですか…。
全ての馬がリオリナを羨ましいと思ったのはリアが本気で向き合ってくれるからですね。リオリナが独占したいと考えたのは自分だけと本気で向き合ってほしいからでしょう。
私のように初日では心を開いてくれないと考えたり、隠していることを話すまで待つという考えはしないのですね。リアは「不器用で失敗ばかりした」と言っているので魔法で相手を知ろうするつもりもありませんね。目と耳と感じたことを頼りに全力で相手のために行動すだけのようです。
同じことをするのはとても難しいと分かります。
リオリナはリアだけが乗馬するだけで気持ちを伝えることができると言いました。
言葉も必要がない程の本気の気持ちですか…。
お母さんが転移で戻ってきましたが席に座っているのが凄いです。アンジェは説教部屋で精神統一でもしているのでしょう。戻ってくるにはもう少し時間がかかりそうです。
「乗馬は命の触れ合いでありあなた達の勉強でもあるわ。欠点に気づけたのだから克服する努力をしなければ駄目でしょ。課題を出しましょう。ディアは専属馬に自分を知ってもらえるように努力しなさい。過去の実体験を話すのではなくディアとはどういう人なのかを知ってもらうの。一方的に話すのではなく自分の考え方などについて感想を聞いてみなさい。それと自分を知ってもらいたいと思う馬を自分で決めなさい。フィーは馬に慕われる人になりなさい。今度は自分が中心になって家族を作るの。一気に複数頭を専属にするのではなく1頭ずつに向き合って相談しながら家族を増やしなさい。2人とも過去を超えなさい。質問はある?」
「何故リアは乗馬するだけで気持ちが伝わるのですか?」
思わずお母さんに聞いてしまいました…。
これでは秘密があるのかもしれないと探っているようなものです。純粋な本気の気持ちは乗馬するだけで伝わると会話で十分に理解しているはずなのに情けないです…。
それに聞いてしまった理由も分かりません。楽をしたいとは思っていないはずです。何か隠されているとも思っていないはずです。リアのことを詳しく知らないので聞いてしまったのかもしれません。今日が初日で把握能力が低いから言える言い訳ですね…。
「リアは生まれて二月経たない赤ちゃんなの。思考力は16歳だしアンジェと一緒に過ごしていたので双子という事にしたけれどね。成長するごとに自分の心を包み隠し守るようになる。だけどリアの心は剥き出しなの。だから感性の鋭い動物には気持ちが伝わる。だけど自分の心を守れない。思考力で補っても大切なものについては我慢できない。それに幼い子は何でも全力で自信満々だけれど、失敗して泣くものでしょ。リアの場合は泣かずに反省ね。意外そうな顔をしているけれど、リアは隠していないしアンジェとリオリナも知っているわよ。」
「全く隠していないね。だけど今日の話しと繋がるとは知らなかったよ。」
「そうですね。リア様が私に何をしてくれたのかという話し合いでしたので気にしていませんでした。リア様はこのままで十分ですからね。」
赤ちゃんですか。それは分かりません!
剥き出しの心で全力ですから気持ちが伝わるのですね。
赤ちゃんよりも甘えたくて年齢を下げているのが恥ずかしい…。
アンジェが歩いて戻ってきて席に座りました。少し目が赤いので涙が止まったばかりでしょう。お母さんの説教は絶対に避けなければなりません。
「アンジェ、私が赤ん坊だから動物に好かれるんだって。知っていた?」
「知っているよ。赤ちゃんが頑張りすぎだと思っていたくらいだからね。ふーん…。姉さんとフィーは赤ちゃんより甘えん坊だと今気づいたの?赤ちゃんから母を奪って抱きつきたくて年齢を下げているし、固定しているからね。私は一度死んでいるので何も恥ずかしくないけれど、2人の顔が赤いね。リアが反省するときの口癖が赤ん坊だからと自分で言うくらい隠していないからね。それで話し合いは終わったの?」
「リア様を頼った2人がお母さんに課題を出されて終わりました。」
アンジェのニヤニヤした笑顔が腹立たしいですね。リアに頼って解決してもらい話を聞いて馬について何か教えてもらおうとしたことに気づいているのでしょう。ですが説教されたばかりのアンジェはこれ以上は踏み込んでこないはずです。気にせず我慢するのが正解ですね。
「お母さんと一緒の飛行訓練はどうだったの?」
「今の状態で最高速になるまでに一月、身体強化と結界まで入れると半年は必要ね。今のままでも音速は超えられるわ。空を飛んだのは今日が初なのだから仕方ないけれどね。」
「お母さんの指導付きでそのくらいかかるので難しいよね。アンジェはフィディーと向き合いなよ。私はお母さんと全力飛行の訓練しているから。お母さんの話と課題を聞いた限りではここで暮らす動物や蘇らせた種族を管理するのはフィーだからね。フィディーにフィーを手伝う道もあると教えてあげてよ。」
「聖地の生命を私が管理するの?」
「馬に慕われるようになるのはそのための勉強だと思います。」
お母さんの用意した体なので特別でしょうけれど、音速を超えることができるのは驚きですね。身体強化したときの時速は凄いことになりそうです。
そしてフィーは聖地の母という役割が合っている気がします。不快な存在は追い出さなければなりませんので見極めることが大切になります。
「3年間は勉強と遊びと準備期間。焦る必要はないわよ。厳しいと思えば相談すればいいの。抱え込む必要もないわ。家族に相応しくないと思えば追い出せばいいの。」
「聖域の管理は重要だよ。ディア姉、手伝ってね。」
「勿論です。ですが今のままでは能力不足ですので努力しなければなりません。まずは馬や牛と本気で向き合えるようにならないと駄目でしょうね。」
「2人とも心配しすぎ。3年間もお母さんに甘えたら赤ちゃんだからね。リアと同じで動物に好かれるようになっているよ。」
「なるほど。先を考えて甘えることにしたんだね。私はリオリナに抱きつきたいだけなのに、ただの赤ん坊とは違うね。少しずつ心の守りを薄くするのでしょ。完璧な計画だよ。」
「私はリア様と一緒の布団で眠れるだけで幸せです。」
終わったと思ったのに話の方向を曲げましたね。
アンジェのニヤニヤした笑顔が本気で腹立たしいです。素直な子だと思っていましたが私の記憶が改竄されているようですね。リアはアンジェの発言を聞いて純粋に思ったことを言っているだけでしょうから何も言えません。リアの性格を知っているアンジェが言わせたようなものです。
決定しました。
アンジェには長く辛い挫折を味わわせてあげましょう!
16歳の思考力を持つ赤ちゃんだとは想像できませんね。
アンジェの煽りが強いです。




