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世界は子を愛す  作者: 大介
第1章 現実

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第48話 長女

 大将は現地での食べ方を聞きながら食材を買う。美味しい食べ方は現地の人の方がよく知ってるから勉強になるみたい。とても丁寧に話を聞いて書き留めてく。

 聞くのが家庭料理だからなのか店員は抵抗なく教えてくれる。そして教えてくれた食材は必ず買う。美味しくなる組み合わせも教えれば合わせて買う。それと研究のため少し多めに買うから店員が売ってる食材全ての食べ方を教えてくれる。

 その光景を見てる周りの店員も大将に声をかけ売ってる食材の食べ方を教えようとする。


「大将、買い物がうまいね。自分への売り方を広めてるのでしょ?」

「買う側だからこそできるだけです。それに家庭料理が大切なのです。同じ食材で同じ料理をしても味が違う。美味しくできれば価値になります。まずは教えていただいた食べ方をしてみて味を確認してから先を考えます。ところで引越し先はどのように決めるのでしょうか?私は皆様と同じ国で暮らしたいと考えているのです。クロアさんの専属料理人になりたいくらいです。自分を見てほしいと感じたのは初めてですから。私が努力すればその全てを見てくださる。この歳で虜です。」


 その気持ちはよく分かる。お姉ちゃんに褒められるのはとても嬉しいに違いない。勉強して新しいことができてなくても関係ない気がする。自分でも気づかない変化まで見てくれてると思うから。


「料理の感想を聞くの?行動で確認するの?引越し先はお姉ちゃんが決めると思うけど、どこの国に引越しても支配する。それに大将が気になった食材は全て集める。場所による風情がないのかもしれないけど美味しい料理をお姉ちゃんに食べてほしい。この国でしか食べれない料理ではなく大将のお店でしか食べれない料理が理想だね。お店を開くときは今と同じ料理でもいいし新しい料理でもいいよ。お店は大将の好きにしていい。コリーや働いてくれてる人たちも同じ。給与は下がるけど働き続けるのか帝都に残るのか。子供たちに悪さしないように欲を抑えてる人もいるけど解除する。だから働いてくれる人は女性限定で引越し先で募集することになる。大将の質問から逸れてしまったけど引越し先にまでついて来てくれて私たちとの関係が切れてない人は支援するつもりだよ。国については私とロディで考えて煮詰めてく。大人で常識のある賢い人も仲間に加わるから安心して。引越し先は1ヵ月後に決めると思う。そのあとは他国を楽しむだけ。」

「分かりました。クロアさんに直接見て確認してもらえる人は指で数えられる程しかいないでしょう。その中の1人に入れるのですから十分です。料理人として夫婦として幸せを感じてきました。妻と息子を守り人並み以上の生活ができていたと思います。ですがこれからは料理人として好きなように生きます。歳を考えろと妻に言われるのかもしれませんが楽しませていただきます。定番の品は国で得られる食材で作り特別な品も作ります。人生最後の大仕事です。妥協はできません。」


 お姉ちゃんは皆の命を守るために常に確認してるけど直接見て状態を把握してるのは家族だけ。クリス先生も入る可能性はあるけど…、大将は入らない。


 それよりも敵は嫌がらせをしてお姉ちゃんの力を把握しようとした。


 お姉ちゃんなら敵を直接見るだけである程度の力は把握できる気がする。そして目的がない限り殺せるときに必ず殺す。だけど目的が私の勉強のためならお姉ちゃんは殺さない気がする。

 脅威ではなく私の勉強に程よい敵だという事になるけどね。


 追い詰めすぎないようにするのは今の私が弱いからなのかもしれない。


 お姉ちゃんの思考力を使って勉強すると宣言してる。敵を倒せるのは一度だけしかないから勉強してる私を無視して倒すとは思えない。脅威だとしたら常識を勉強しろと言われる気がする。本来はそのための3年間なのだから。


 敵を倒そうとしてる私を止めないのがおかしい。

 お姉ちゃんらしくない。敵を倒すことを私の課題にしてるのかもしれない。


 勉強するのなら敵を倒してみなさいと言われた気がする。お姉ちゃんにとって敵は興味のない存在なのかもしれない。やる気になってる私の熱を冷まさないように敵を残した。

 敵が人を洗脳して兵器のように使ってたらお姉ちゃんは絶対に止める。人を殺してほしくないと思ってるのだから。

 だけど人形が敵なら私が倒しても精神への影響はないと判断した。実際に私は人を殺すのではなく人形を壊すと考えてる。隠れてる敵が人だとしても関係ない。そいつは私が処理することに決めてる。お姉ちゃんを拷問する計画を立てた奴は死なせない。


 変身して拷問に参加して楽しんでた可能性もある。


 敵を殲滅するのは確定だけど時間稼ぎの理由は確認しておくべきだね。

 勢いだけで間違った行動をしたくない…。


≪念話≫


「お姉ちゃん、時間稼ぎをしたのは私のためでしょ。敵が人形だから私が壊してもいいと判断した。それに敵がいた方が勉強のやる気にも繋がるから。」

「買い出しの最中に何を考えているのかな。何故そのように思ったの?」


 否定しない。お姉ちゃんが敵を脅威だと考えてないのは確定。


「これからの勉強を止めないし敵に時間を与えるのがおかしい。私のため以外でそのようなことをする理由がない。お姉ちゃんなら万が一も考えて敵は既に捕捉してるはず。感情や行動や実力を把握してる。私が勉強する目的の1つとして敵を残しただけ。お姉ちゃんは世界の人たちがどのようになろうと興味ない。私の成長を楽しみにしてる。違う?」

「ディア、私に遠慮しているの?何が聞きたいのか真っ直ぐに言いなさい。」


 不安まで把握されてる…。


「何か漏れてないかな?」

「今を大切にして。6歳になってから日常を楽しもうと考えているのは知っているよ。だけどそれは駄目。遊んで勉強して好きなように行動しなさい。但し、遊ぶときには私の思考力を使わない。クリスと話して世界の常識を少しだけ知ることができた。それに男性恐怖症を一度で克服するのは難しいけれど、少しだけ努力すれば克服できる方法も教えてもらえた。私は日常を楽しむディアが見たい。ディアの笑顔が見たい。家族は大切だけれど、一番はディアだから。勿論ディアの気持ちを無視しない。どのようにするのかは自分で決めればいいよ。」


 私が一番なのは知ってる。それにお姉ちゃんが男性恐怖症を克服できるのは嬉しい。だけどお姉ちゃんの気持ちを無視できない。完全にお姉ちゃんの作戦通り。

 それでも今までこのようなことはなかった…。


「3歳児らしく言うよ…。お姉ちゃんらしくない!」

「敵に指示を出す存在が生きているのであれば私が殺すつもりだよ。それ以外はディアに甘えてみたい。3歳児に甘えるのは非常識なのかもしれないけれど、私の思考力を使うのだから普通の3歳児ではない。ディアに甘えてもいいのかな。」


 聞き間違いではなさそうだね…。


「お姉ちゃんが私に甘えるなんて壊れたのかと思った。お姉ちゃんの知った常識と推測を教えてよ。何で私に甘えるの?」

「ここは星という球体にある一部の陸地でしかなく海に強力な結界を張って隠蔽されている場所。海に棲むドラゴンとは結界を越えようとする人を排除する魔道具。ここは残酷な研究が行われている実験場だよ。実現するには多くの大国が計画に参加する必要がある。だけど実験結果に利益が出始めたときに争いが起きた。そして滅びたと考えられる。確認してみたけれど、森に魔獣がいない。偉い人だけが他の星に逃げていることも考えられるけれど、気にする必要はないよ。現在は新たな指示が出されることもなく人形の研究員たちは最後の指示に従って研究を続けている。それと言葉が悪かったみたいだね。ディアに任せてもいい?」


 追い詰められた国が魔力のある存在を殺す魔法を使ったのかもしれない。大国なら結界を張ってると思うけど全ての国に諜報員が紛れ込んでいて同時に自爆すれば解決する。

 その他の可能性も考えれるけど魔獣が消えるような争をしたのは間違いない。人や魔獣を殺す方法はたくさんあるから自然と受け入れられる。


 実験場でも人は殺し合いばかりしてるから。


 クリス先生に聞いて即確認できるお姉ちゃんが強すぎる。それにお姉ちゃんが責任者を許すはずがない。丁寧に索敵して人を探したはず。


「お姉ちゃん、地下から確認したの?動いてるものは何もないの?」

「その通りだよ。結界が今でも私たちの命を守ってくれているのかもしれないから。そして地下には結界が張ってなかった。外の世界に魚や虫はいたけれど、それ以外で動いているものはいない。魔力を持つものもいない。残酷な実験を指示しておいて自分たちは楽に死ねた可能性が高いから許せない。」


 虫まで索敵で分かるんだ…。


 追いつくどころか周回遅れ。お姉ちゃんは生存者がいることを願った。今は不老になって他の星に逃げてることを願ってる。お姉ちゃんの逆鱗に触れて逃げることができたなんて運が良い。生きて戻ってきたら永久に死ねない。


 怒ってる理由は私を拷問して精神を砕いたから。

 私のためにしか怒れないのが悲しい…。


「指示するクズが生きてたらお姉ちゃんに任せるよ。それで甘えるとは私の勉強になる以外の理由もあるの?正直に話してよ。」

「男性恐怖症の克服方法は拷問が終わった後からディアと出会う前日までの記憶消去。拷問された記憶を消すとディアとの繋がりが薄くなる気がするから消さない。そして1年間は家族が厳選した男性だけに会った方がいいみたい。『男性に怯えることが癖にならないように過ごすべきだよ』とクリスに言われたよ。それに1年間過ごせば記憶消去による性格への影響もない。今すぐ消したい不要な記憶だけれど、念のため1年間は平穏に過ごすよ。それと私の精神は産まれたばかりの赤ちゃんだって。人とのふれ合いを知らないし感情が分からないから酷く疲れてしまう。だから家族などの身内の人と少しずつふれ合う時間を長くしていく。大勢の人とのふれ合いは3歳くらいからが基本みたい。『色々な人とのふれ合いは疲れるからゆっくりと精神を育てるべきだよ』と言われた。男性恐怖症が酷いのも『0歳の精神で過去を確認したからでしょ』と言われた。私は人とふれ合った経験が余りにも少ない。だから産まれたばかりの精神で直接受け止めてしまう。経験や知識が守ってくれない。とにかくクリス先生は凄い!そのため結界などは手伝えるけれど、ディアとロディの計画は人との出会いが多いから一緒に動けない。ディアだから正直に話したけれど、ディアに責任はないよ。責任を感じながら行動するなら私が敵を殲滅する。任せてもいい?」


 最初にそれを言ってくれたらすぐに納得したよ。

 お姉ちゃんは自己犠牲し過ぎだから…。


「もぉー!何で真面目な理由を後に話すの!私が遊びながら勉強して敵を殲滅する。だけどお姉ちゃんは人形に復讐しなくてもいいの?」

「私の大切な順番に話しているよ。そして大切な約束も守れている。それに私が拷問されたことに怒っているのはディアだから。私のために怒ってくれているディアを止めたくない。だけどディアが悲しんだり苦しんだりすれば私も動く。これからの行動は復讐ではないよ。私たちは何も奪われてはいない。ディアの怒りを全てぶつけて敵を潰すだけだよ。」


 私のことばかり考えすぎだよ。とても嬉しいけど自分をもっと大切にしてほしい。約束を守れてるのもお姉ちゃんのお陰だから。


 だけど何も言えない…。


 自己犠牲することになった原因は私だから。勉強してお姉ちゃんを守れるくらいに強くなるしかない。お姉ちゃんは拷問の後遺症で苦しんでるのに私が元気だから何も奪われてないと本気で思ってる。


 全部取り戻すまでは終わらない!

 弱すぎる自分とお姉ちゃんの拷問に関与したクズ達が許せない。


「お姉ちゃんの考えてることは分かったよ。ところでいつから魔力操作を始めたの?」

「3歳からだよ。当時は魔力だと思っていなかったけれどね。お腹から出てくるものが自分の気持ちで動いたから。記憶を見ても私が何を考えていたのか分からないでしょ。恐怖や痛みも感じない。魔力もそれと一緒みたいだね。」


 お腹が食い千切られても回復してもらえない。お姉ちゃんはその回数が多すぎるからお腹から出てくる魔力が気になっても不思議ではない。そして体内に残っていた魔力が反応した。気休めにもならない気がするけどやることがない。魔獣に食べられるのを待つだけだから…。


 本気でイラつく!

 

「あとは敵の強さを教えて。同じ強さの人形が何体もいる気がするから少し強くなった程度では倒せないと思うんだよ。」

「私たちと対決する予定だったクローディアと同等だよ。強かった初代クローディアを更に強くする実験も兼ねていたと思う。だから初代クローディア以上だよ。」


 実験だったのだから初代クローディア以上は間違いない。

 敵はクローディアの強さを複写してるだけ。余りにも下らない存在だよ。


「今の私と比べて差を教えて。」

「正直に言えば弱いのに最強だと考えている勘違いの実力を把握する気にもならない。これから勉強するのだからこれ以上は強くなれないと思ったら私に言いなさい。模擬戦するよ。それと研究所を丁寧に潰していきなさい。敵の姿が見えてくるよ。」


 お姉ちゃんが攻めてくると考えてるのであればクズ兄の姿だろうね。

 それよりも模擬戦で説教するのは斬新だね。


 絶対に嫌だよ!


「分かったよ。お姉ちゃんからは何もない?」

「ディアは精神の入っていない人を生み出してこの体から出ないの?」


 人は変わる。私の考えが変わったときのために聞いてくれてるのだと思う。


「絶対に出ない!」

「分かっていたけれど、一応ね。ロディとクリスはディアが聞いてあげて。それとクリスにこの星をドラゴンの星にするくらい頑張ってと言っておいて。結界の外に人を移動させる気はないけれど、魔獣やドラゴンなら手伝うよ。」


 監視しろという事かな。研究目的が変わったら危険だから。

 記憶の消された部分が分からないし研究のためなら何でもする可能性がある。


「分かった。悪いことをしようとしたら殺す。」

「ロディとクリスにはお世話になるのだから他の方法も考えて。それにそのようなことにはならないよ。これからは全てを楽しんで。私も大切な人を少しずつ増やす努力をするから。買い出しも勉強だよ。それじゃあね。」


 純粋にクリス先生の遊べる場所を広げてあげるつもりなのかな。だけどロディとクリス先生の動きを見ることも勉強だと考えてるから大丈夫。とにかく強くならないと何もできない。

 買い出しの勉強は我慢なのかな。ロディは記憶を確認して瞬殺する可能性があるけど私は買い出し中だけなら我慢できる気がする…。


≪念話終了≫


「大将、支払いは大丈夫?」

「問題ありません。クロアさんと話していたのですか?」


 お姉ちゃんに何かした?

 気づかれてるのか確認してるようにしか聞こえない。


 我慢できるのかな…。


「そうだよ。お姉ちゃんの考えと私の考えを合わせておきたかった。何も問題はなかったし前に進めてる。但し、できると勘違いしてる人の実力を把握する気にはならないって。敵についての話だけど私が大将といるのを知ってるから言ったのかもしれない。お姉ちゃんは結界内の人の動きと感情を完全に把握してるから今日中に動くと思う。雑用として残したいのなら伝えるよ。」

「言い訳が一切通用しないのですね。仕込み中の感情と内容が全く一致しないから、どのような意味があるのか聞いたのでしょう。」


 弟子たちが悪いように話してるけど今までそれで料理してたのでしょ。どのような感情で何を仕込んだのか凄く気になる。だけど記憶を見ない。会話で得られる情報だけで考えてみる。


「大将が仕込みをしてたときの2人の感情も見てる。今日の買い出しも見てる。お店と従業員については確認するけど弟子たちは大将に任せてもいい?お店の評価に自分たちも関わってると勘違いしてた。帰ってから動く気配もなく忘れたいと思ってる。大将が期限を決めて。雑用として残すのか修行するのか出てくのか。」

「クロアさんからディアさんに代わった一番の理由は何でしょうか?」


 会話が繋がらない…。


 私から情報を引き出そうとしてるのかな。お姉ちゃんが買い出しに付き添ったことはないしお店について何か言ったこともない。お姉ちゃんに何か気づかれたと思ってるね。


「お姉ちゃんは拷問の影響で酷く疲れやすい。だから直に見て判断できないのが一番の理由だね。ロディだとあの2人は飛ばされてる。私はお姉ちゃんを侮辱されない限りはある程度我慢できる。それで選ばれたのだと思うよ。」

「そのような事情があったのですか…。それではディアさんの本音を聞かせてください。」


 お姉ちゃんを心配してるような顔をして喜んでる。

 諜報員として国を潰されたことを恨んでるのかな。


「論外だね。弟子が師匠に言い訳をさせた。弟子の仕込みを使うのが慣習と言えなかった。それに私が大将にお金を渡した方がいいのか聞いたときの返答。そしてお姉ちゃんの記憶を1回見て帰った。修行とは心技体を鍛えるものだと思ってたけど全て足りない。大将の決断に文句は言わないから好きにしていいよ。但し、期限だけは決めて。」

「それはクロアさんの記憶を見たから分かるのですか?」


 お姉ちゃんのことばかり聞いてくる。3歳児だと思って馬鹿にしてる?


「違うよ。お姉ちゃんは更に理解してる。私は思ったことを言っただけで何も分かってないよ。想像で話しただけだから気にしないで。会話だけでの想像だから事実とは違うと思ってるよ。それに私は人をやる気にさせる方法を知らないからさ。」

「なるほど…。弟子は私が募集したわけではありません。私の料理を覚えたいと願うので弟子入りを許可したのです。何故師匠が弟子をやる気にさせる必要があるのでしょう。私には2人の正体が分かりませんでした。師匠として弟子たちに指導してきましたが意味があるのか悩みました。2人に監視されていると思っていました。顔を見せた日に告げます。やる気のない弟子を指導する時間が勿体ないですから。」


 想像で話してると聞いて安心したね。料理の腕で妻と息子を守ってきたと信じるはずがない。料理で誰も殺してないと信じるはずがない。

 オルグレン帝国でそのようなことは不可能。被害に遭った私を騙せると思ってるのが不思議だよ。我慢して全て潰してきたお姉ちゃんが遠すぎる。


「弟子2人は帰ったら調査しておくよ。」

「調査とはどのようなことをするのですか?」


 調査すると困るみたいだね。弟子たちの悪事は大将と繋がってるのかな。

 弟子たちには死んでほしかったのかもしれない。


 拷問を見せる回数を増やそうとしたのも、それなら納得できる。


「記憶を見るのが楽だよ。魔法で支配することもできるけど質問するのが面倒だから。」

「そのようなことまでできるのですね。ですが無駄な時間になってしまいます。飛ばしてください。記憶を残したまま飛ばせば絶望するでしょうから。」


 絶望させるのはお前だよ。記憶を見るのも時間の無駄。


「大将がそこまで言うのであれば絶望させるよ。今朝お姉ちゃんが結界を張りに来たみたいだね。大将はお姉ちゃんに触れられた?気を許してる相手にしか触れないから。」

「私は肩を軽く叩かれました。信用していただいているみたいですね。」


 明らかに不自然な会話。それなのに何で喜べるのか理解できない。

 これが思い込みの怖さだね。


 今の私ではお姉ちゃんが何をしたのかが分からない。

 ロディに聞けば分かるけど悔しい。


「ところで大将はフィオナ姉ちゃんを美女だと思う?」

「圧倒的ですね。軽い口調で話してくださるので大丈夫ですが見つめられると照れます。」


 圧倒的な美女なんだね。


「圧倒的な美女が竜巻のように帰ってきたね。左右と後ろに小さな竜巻もできてる。ロディも巻き込まれたみたいだね。意識のない人が結構倒れてるけど生きてる。また誰か倒れた。フィオナ姉ちゃんもロディも動いてない。周りの子が倒してる。何してるの!?」

「美女を守る子供たちですか。コリーさんが苦笑いをしていますから彼の妹も誰かを倒したのかもしれませんね。」


 男なら誰でも倒していいと思って遊んでる。これは説教だよ。


「お待たせ!あれ…、大将のお弟子さん達は帰したのかな?」

「フィオナ姉ちゃん、弟子の2人は帰したよ。それで美女が倒してきたのは誰なの?」


 フィオナ姉ちゃんは気づいてない。ロディも説教だよ。


「私には頼れる子たちがたくさんいるもんねー!」

「ねー!」


 子供たちとの一体感が凄い。全員がフィオナ姉ちゃんの味方だよ。色々な性格の子がいるはずなのに関係ないみたい。お菓子を入れた袋を持ってるけどそれに釣られた結果ではないね。


 姉ちゃんも頑張りすぎだよ…。


「子供たちが殴って倒した気はしてたけど話しかけられそうになったの?」

「私や働いてくれている女性を守るために男性を倒しただけだもんねー!」

「ねー!」


 フィオナ姉ちゃんは純粋にそのように思ってる。最初は本当にそれだけだったと思う。

 間違いなく全員説教だよ。


「冒険者組合本部で働いてたときより行動が過激になってるよ。倒れ方によっては危険だからね。罪のない男性は回復してあげたの?」

「クロアから子供たちを人殺しにさせないでと言われたから回復したけれど、明らかな罪人は目が覚めたら激痛だよ。ディアも次回はこの中に入りたいのでしょ?ロディは3歳児に戻っているよ。」

「ディアは楽しめませんでしたか。大人の私は楽しめましたよ。ふふん!」


 説教についてはお姉ちゃんに任せよう。

 一緒に楽しみたかったよ!


「完全にそっちが子供だよ。何でロディまでお菓子が入った袋を持ってるの?それに大将の年齢を考えてよね!」

「拗ねないで。ディアのお菓子も私が選んで買っておいたよ…。はい、家で食べよう。私たちはゆっくり歩くから大将も大丈夫だよ。」

「それでは次回は皆と一緒に私も楽しみましょう。」


 お菓子の入った袋を持っただけで思考力が戻りそう。

 

「よーし!帰る準備はいい?忘れ物はないね?」

「はい!」

「ありません!」


 フィオナ姉ちゃんは孤児院の女王だね。一糸乱れぬ返事は練習したの?


「ディア、その体でお菓子を食べられるみたいだよ。それでは転移よろしく!」


 お姉ちゃんの魔法技術がどのくらい進んでるのか想像できない。

 早くお菓子を食べたい!


 分身体はくれるのかな…。

 自分で作れるようになるまでお菓子は我慢しろと言われたら泣きそう。


「それじゃあ、みんな帰るよー!」


≪転移≫

結界内の中心に移動した


 これからの予定を少し話しておこう。


「みんな今日はありがとう。2ヵ月後に私たちと引越すかここに残るのかは決めておいて。私たちと違う国に行きたい人は国名を覚えておいて。孤児院で働いてくれる人の給与は月30万リンを予定してる。衣食住は保障するけど結婚するなら邸から出てね。邸や孤児院に結界内にいない男性を入れるのは禁止。但し、結婚した後に何かあれば避難できる場所は用意しておくよ。孤児院はそのまま勉強できる施設にするつもり。出産して3歳になったら預けてもいいよ。男の子でも大丈夫だから。引越した国は私たちが支配する。世界一安全で楽しい国にしたいから。それに私たちと繋がりのある人は笑顔でいてほしい。だけど幸せの形は人それぞれだと思うから自由に決めて。提案があれば私かロディかフィオナ姉ちゃんに言って。実現できるのか検討するから。質問がある人はいるのかな?」

「はい。食事はどのようにするのですか?」


 コリーは責任感が強くて好青年だと思うけど自己犠牲を選択するのは嫌い。


「子供が成人してる女性が働いてくれると嬉しいと思ってるよ。駄目なら何とでもする。約束は守るから気にせず好きなことをしなよ。妹は預かるから安心して。やりたいことが見つからないのなら好きな人と一緒に考えればいいよ。」

「な、なにを言っているのですか?」


 2人を引き合わせたのがお互いの妹だから面白い。境遇としては似てる部分もあるしお互い真面目だから良い組み合わせだと思う。


「隠せると思ってるの?恋が始まるのに1週間もいらないみたいだね。2人で考えてみたら?隠してるみたいだし相手の名前は言わないから安心してよ。」

「けっ、決して不純な行為はしていません!」


 何を言ってるのかな?


 オードリーの顔が真っ赤に染まったよ。義父から自分自身と妹を守るために働いてくれてる少女だけどコリーには気を許せたみたいでよかったね。


「2人とも子供ではないし合意してるのなら不純ではないよ。それに3歳児に不純な行為はしてないとか言わないでよね。それが不純な行為だよ!」

「はい…。その通りです…。」

「ディア、その辺にしてあげて。熱くなってきたから子供たちはお菓子を冷凍箱に入れてきて。」

「はい!」


 フィオナ姉ちゃんも追撃してるよね。顔だけ熱そうな2人がいるだけだよ。

 子供たちを離れさせた後に何か言うのかな。


「初心な子を茶化したら駄目だよ!茶化して別れたら恋するのを諦めることになるよ。いいね?」

「分かりました!」


 圧倒的な美女は恋するのを諦めさせることができるの?

 働いてくれてる人たちが返事してるから何か方法があるのかもしれない。


「フィオナ姉ちゃん、私たちも帰ろう。極寒の自宅にね…。」

「何故なの!?」


 玄関のドアを開けると美少女が椅子に座ってる。見てると寒くなる…。

 美少女がゆっくりと私たちを視界に収めた。更に寒くなる…。


「お帰りなさい。ロディはアディとローアと一緒に姉さんの部屋でお菓子を食べていて。ディアと姉さんは私の正面に座ってね。」

「はい。分かりました。アディ、ローア、お菓子を食べましょう。少し難しい話をするみたいなので邪魔したら駄目です。防音します。さようなら、ディア、フィオナさん。」

「分かった!」

「何食べる?」


 何が「さようなら」だ!

 あの3歳児を煽り倒したいけどお姉ちゃんの雰囲気がそれを許してくれない。


「ディア、お店について思ったことを言ってみなさい。」

「お姉ちゃんが既に処理してる。記憶を見るのを我慢したよ。大将は諜報員。料理の腕で妻と息子を守ったとか私を馬鹿にしすぎ。クズ加護が残したお店だから真っ黒だよ。それに今でも料理でお姉ちゃんに危害を加えようとしてる。ロディだと殺してしまうから私に買い出しの付き添いをさせたのでしょ。我慢するのも勉強だという事なの?」

「ディアは買い出し中にそのようなことを考えていたの?」


 フィオナ姉ちゃんは忙しすぎるから気にしなくてもいいのに。

 私より大変なことをしてくれてるから…。


「元々疑っていたけど大将や弟子たちの言葉で確信しただけだよ。」

「クロアはそれ以上に考えているのでしょ…。長女が一番馬鹿になりそうだよ。」

「姉さんは忙しいから家族を守るのは私に任せて。説教はするけれどね。私が処理していると思ったのは買い出し前に大将の肩を叩いたから。記憶を見たら殺すのを我慢できない。勉強する前としては合格だね。感情を抑えて冷静に会話して情報を得ることが勉強だよ。二度と料理はできなくしておいたけれど、料理の腕で妻と息子を守ったと言われたのは不愉快だね。大将の記憶を見ると何が分かると思う?」


 勉強内容は当たってたみたいだね。

 一生懸命に考えてるけどフィオナ姉ちゃんは注意されるだけだよ。


 お姉ちゃんは大将が料理できないように思考誘導を付与したけど私の話を聞いて罰が足りないと考えてる。私は子供たちの命を守れなかったことを馬鹿にされたように感じた。お姉ちゃんはどのように感じたのかな。


「お姉ちゃんに毒を盛ろうとしたこと。過去に何度も料理で毒殺してきたことかな。」

「その通り。大将が私に毒を盛ろうとしたから確認した。それよりも幼い子たちが大勢殺されたのをディアの力不足のように言った方が問題だよ。姉さん、何かいい罰はないのかな。」

「結界内に呼んだお店の関係者は全員諜報員なのかな。」


 お姉ちゃんが処理方法を決めてもらうのは珍しい。フィオナ姉ちゃんとクリス先生から常識を学ぶと思うから、それの一環なのかな。

 重病を治癒してもらった後に平気で毒を盛ろうとする感情と思考が理解できない。理解するつもりもないけど延びた寿命の分だけ苦しめ。


「諜報員と元諜報員だけしかいない。弟子2人は使い物にならなかったので雑用だけしかしていないけれど、残りは普通の人を殺してる。それと大将はクローディアを毒殺できないのが悔しいみたい。」

「妹たちを愚弄しているね…。自殺禁止、他殺禁止、食べ物や飲み物が触れた場所は体内も含めて激痛。美味しい料理を食べれば治る症状だと思い込む。そして魔石とお金を全部没収して元の場所に飛ばせばいいと思うよ。記憶も消した方がいいのかな。」

「記憶が残ってる方が絶望を味わえるみたいだよ。魔力の無駄遣いだからクローディアの記憶を消して豪雨を止めて防護壁を消す。大将は料理の腕を家族たちから非難され続ける。フィオナ姉ちゃんの潰し方も面白いね。あれ…?お姉ちゃん、もう終わらせたの?」


 早すぎる…。

 分身を使って同時進行で作業したのかな。


「姉さんとディアの意見を採用したよ。5ヵ国の住人たちの記憶からクローディアを消した。大将の思考誘導を解除してから姉さんの考えた思考誘導を付与した。冷凍箱などの魔石を使った調理器具は私たちのものだから返してもらった。食材は調理場に置いてきた。お金も没収した。それと知らない食材を食べないも追加で付与したよ。」

「毒のある食材を知らずに食べるのを防いだわけだね。全員が大将の料理に群がりもがき苦しむ。毒入りだと疑われるのか不味いと言われるのか見れないのが残念だよ。」


 フィオナ姉ちゃん、怯えなくても大丈夫だよ。


「ディア、姉さんが1人だと可哀想だから座っていなさい。」

「待ったー!クロアにお土産があるんだよ…。はい、どうぞ。甘い、辛い、酸っぱい、苦いの4種類。味を感じる量だけでいいから朝、昼、夕と毎日続けてみて。袋の中は調味料とお菓子だけれど、冷凍箱で保管してね。」


 お土産をあげた効果はあるのかな。絶妙だと思うけど…。


「フィオナ姉ちゃん、うまい手だね。説教が1割は減ったはずだよ。」

「1割なの!?涙が出そうだよ…。」

「ありがとう…。えいっ!えいっ!」


 人差し指を折り曲げて魔力を飛ばしてるのかな。早すぎて見えない。


 照れ隠し…、何で!?

 小さな魔力が頬に貼り付いてる。


「冷たっ!両頬が冷たい。何で?何もないよ!?」


 フィオナ姉ちゃんが両頬を手で摩ってる。


 お姉ちゃんの実力が全く分からない…。冷たいからなのか姉ちゃんの両頬が少し赤くなってる。それに魔力自体が冷気を出して消費されてくように見える。立方体なのも理解できない。これをロディが見たら倒れそう。


「1cmくらいの立方体の魔力が両頬に貼り付いてるよ。氷が貼り付いてる感じだと思う。小さくなってるからそのうち消えるよ。お姉ちゃん、喜びすぎじゃない?」

「姉さんが孤児院を統率してくれているから注意するだけで済むの。それに悪人以外は回復しているから。だけど子供たちの感情を確認しなかったのは甘いよ。」

「その通りだね…。」


 注意でよかった。お姉ちゃんも優しく話してる。


 子供たちが男を倒した時だけでも感情把握すれば分かったはずだから。だけど感情把握を姉ちゃんがしなくてもついて行った人たちが子供を見てれば絶対に分かる。だけど分かっていて問題ないと放置した気がする。フィオナ姉ちゃんだけの責任ではない。


「働いてくれている女性たちにも伝えてね。今は特別なことをしているだけで女性が男性を軽く殴って倒せると勘違いしてほしくない。特に子供が大人を殴って倒せると勘違いしてほしくない。子供たちは大人を倒して遊んでいた。コリーは許してあげて。子供たちから攻撃されるまで注意を続けたから。子供たちも悪いけれど、叱らない大人たちの方が悪い。姉さんが全員を説教して。ロディも含めてね。この勘違いは皆を不幸にする。姉さん、引越した国では女性が避難できる場所を用意する。軽く殴って倒せるなら必要ない。引越した後でも他国に遊びに行かせてあげたいけれど、悪人以外を攻撃するなら二度と行かせない。任せてもいいよね?」

「勿論だよ!厳重注意してくる!」


 フィオナ姉ちゃんの説教で駄目ならどうしようもないからね。

 子供たちを精神操作することは絶対にないから。


「それと姉さんに朗報なのかは分からないけれど、好きな男性ができたら結婚して子供を産んでも魔力拡散器は遺伝しない。男性の寿命を延ばすのは避けたいけれど、姉さんが望むのなら審査するよ。私たちはドラゴンの歴史と親玉の行動が嘘か本当なのかも分からないのに実際に起きたことだと思い込んでいた。ディアの勉強のために詳細は言わないけれど、絶対に大丈夫だよ。」

「悩みが消えたと思っておくよ。もしかしたら子供を産みたいと思うときが来るのかもしれないけれど、家族と一緒に育ってほしいから。さて、早い方がいいよね!」


 魔力と魔法を見る力が弱すぎるからだね。


 フィオナ姉ちゃんが椅子から立ち上がり部屋のドアを開けに行った。

 ドアを開けられたときのロディの顔が見えないのがとても残念。


「今から孤児院に行くよ。3人ともついてきなさい!」

「何で怒ってるのー!?」

「えっ!?私もですか?」

「ロディ、行きなさい。」

「ロディ、さようなら。」


 ロディに言い返せた!最高だよ!


 しかし私は油断しない。お姉ちゃんが私を見てる可能性が高い。3歳児は一緒に行きなさいと言われたら意味がない。4人が家から出るまで椅子に座ったまま静かに見送る。ロディの沈んだ顔が見れたし大満足だよ。


「お姉ちゃん、フィオナ姉ちゃんに優しいね。」

「姉さんは頑張っているから。今朝も子供たちが守ってくれているのを喜んでいたんだよ。姉さんも男性が苦手だから。それに200人近くの子を姉さんだけで監視するのなら周りの大人がいらない。敵は私たちを苦しめるつもりだったのかもしれないけれど、多くの子を助けることができた。それと姉さんが孤児院を管理する必要はない。だけどディアのためにまとめてくれている。いつでも孤児院で遊べるようにね。分かっているのだから恥ずかしがらずにお礼を言っておきなさい。うーん…。お土産を貰うと嬉しいね。この感情は喜びだと自信がある。」


 お姉ちゃんが説教したいのは一緒に行った人たちだね。フィオナ姉ちゃんは子供たちからなるべく目を離すなと事前に言ってる。子供たちを止めることができるのは一緒に行った人たちだけでコリーだけでは厳しい。それに注意したら倒そうとしてきたから苦笑いしてたんだね。


 それとフィオナ姉ちゃんに負けた…。あの状況でお姉ちゃんのお土産を探してるとは思わなかった。どのようなお土産でも喜んだと思うけどお姉ちゃんのこれからを考えてるのが私にも伝わる。

 悔しい気持ちもあるけど嬉しい気持ちの方が大きい。お姉ちゃんを大切にしてくれる人が長女なのだから。


「お礼は言っておくよ。ボソッとね…。そのお土産はフィオナ姉ちゃんだけしかお姉ちゃんに渡せない。今後は姉ちゃんを侮辱した人も殺すことにする。妹たちを気遣う長女だからね。魔力拡散器は勉強に必要ないでしょ。破棄していいよね?5に魔法を仕掛けてあるのでしょ。」

「全て破棄して。仕掛けてあるのは全魔力を消費する自爆魔法。姉さんを泣かせた敵を後悔させなさい!」


 化け物か対決してる相手の姿に変身するのか自爆くらいしか思いつかない。今後の敵は自爆する可能性も考えておくべきだね。


「絶望を教えるよ!フィオナ姉ちゃんの説教も厳しいみたいだね。全員が沈んでる。」

「姉さんは恐怖と痛みを知っているから言葉の重みが違う。それに子供でも理解できるように伝えてくれる。殴ったら殴り返される。それでもいいのならついて来なさいとね。姉さんに仕事を任せすぎているから家族は私が守る。明日からはディアも姉さんの側にいなさい。少しでも恐怖心を和らげてあげて。私たちは家族なのだから。」


 勿論そのつもりだよ!


「1ヵ月後からはどのようにすればいい?ロディと一緒に引越し先の国で行動しておきたい。」

「分身に強制命令して買い出しは終わらせるから大丈夫。記憶も残さない。妹として姉さんの側にいるだけだから。」


 フィオナ姉ちゃんも隠すのがうまいから私では分からない。


「フィオナ姉ちゃんは外と自宅でそれ程までに違うの?」

「感情は隠しているけれど、外では演じているよ。子供を産んでも私たちと一緒に暮らしたいというのが本音。100年かけて染み込んだ恐怖心は簡単に克服できない。今は忙しくて大変だけれど、家族と一緒に暮らせる。妹たちと一緒に寝ることができる。そして私が守っている。ディアには自宅以上に安全で落ち着ける場所はあるの?」


 私の感情把握では分からない。それでも演じてるのを感じ取れという事だね。勉強だけでは足りない。多くの人とふれ合う必要もある。

 それにお姉ちゃんが自宅を強調してる。フィオナ姉ちゃんは結界内でも自宅以外は恐怖を我慢してるのかもしれない。

 2人とも無理しすぎだからやめてとは言えない。言っても何も変えれない。結界内は2人のお陰で平穏を保ってるから。

 甘えるだけの日々を拒否したのは私の意思。絶対に強くなって楽させてあげる。


「ないよ。世界一落ち着ける場所だと思う。」

「姉さんとアディとローアは自分自身。ディアとロディは分身体。それに姉さんはいつ何が起きるのか分からない世界だと知っている。勉強するのに自分だけのことを考えていたら駄目だよ。家族を見なさい。周りの人たちを見なさい。私に追いつき追い越したいのなら敵を倒す強さも敵から守る強さも必要だよ。これ以上は蛇足になるね。努力しなさい!」


 努力するしかない!

 何も分からないから何も言えないし聞けないのだから。


「努力するよ!」

「いつでも模擬戦の相手になってあげるからね。」


 お姉ちゃんは模擬戦がしたいみたいだね。私は絶対に嫌だよ!


「ただいまー!強めに説教したからこれで駄目なら他国では遊べないね。変な雰囲気だけれど、秘密の話でもしていたの?」

「家族に秘密はないよ。フィオナ姉ちゃんも挑戦できるからね。」


 フィオナ姉ちゃんの危機察知能力を見せてね。


「挑戦して合格するといいことがあるのかな?」

「姉さんは忙しいから魔法を作ったらあげる。」


 挑戦する理由が皆無だよ!


「魔法を作る方が楽だという事は分かっているよ。挑戦内容は何かな?」

「私に模擬戦で勝つだけだよ。」

「フィオナ姉ちゃん、長女としての強さを見せてよ!」

「フィオナさん、勉強させていただきます!」

「頑張れー!」

「今なら勝てるよ!」


 冗談で言ったつもりだけど何で説教から帰ってきた3人が後に続くのかな。ロディは冗談だね。アディとローアは面白がってる。何でアディとローアまでお姉ちゃんの方が強いと知ってるのかな。

 クローディアだから雰囲気で分かるのかもしれないけれどね。


「説教して帰宅すると妹たちに仕返しされるんだね。涙が出そうだよ。絶対にむり―!」

「姉さん、仮想体だけは訓練しよう。ディアとロディはクリスが待っているから早く研究所に行きなさい。」

「内容が気になるよ。仮想体は特別な状態だからなれるわけではないの?」

「ディア、それは違います。私たちは特別な状態だから仮想体になれることが当然だと考えているだけです。厳密に言えば仮想体は魔力だけの分身です。但し、魔法ではないので覚えるしかありません。」


 私は仮想体が当たり前でお姉ちゃんと初めて会ったときも仮想体だった。本体を残して行動してるのだから分身だね。できることを理解してない証拠だよ。

 フィオナ姉ちゃんが仮想体を覚えたら恐怖心はかなり軽減されるはず。私たちが困ったときも手伝ってもらえる。圧倒的な美女なら女王になれるよ。姉ちゃんが忙しくなければだけどね。


「姉さん、1ヵ月後の買い出しから私が姉さんの側につくけれど、分身に強制命令を出すから時間制限があるんだよ。切れたらかけ直しができる精神状態になれない。駄目かな?」

「クロアが強制命令を出してまで無理する必要はないよ。結界と転移があるから大丈夫だよ!」


 フィオナ姉ちゃんならそのように言うと思った。


「私の記憶には残せないけれど、姉さん達と買い物を楽しみたいだけだよ。それに姉さんとアディとローアの記憶には残る。私は1年後に男性恐怖症の克服のために拷問後からディアと出会う前日までの記憶を消すことにしているんだよ。1年間は男性に怯えない生活をしないと克服に繋がらないから記憶に残せなくてごめんね。」

「本当は全て分かっているのにそのように言われたら拒否できないよ。クロアのあの姿は誰にも見せたくないからね。訓練するよ。アディとローアは孤児院で遊んできて!」

「分かったー!」


 アディとローアは元気に走って出ていった。

 買い出し中に友達を見つけたのか今から見つけるのかな。


 フィオナ姉ちゃんの訓練する理由はお姉ちゃんの苦しむ姿を誰にも見せたくないから。家族想いの姉ちゃんだよ。お姉ちゃんと代わる日までの買い出しは私が絶対に守る。買い出し以外でも関係なく守るけどね。


 家族を守るのが家族だから!


「私たちも行くね。フィオナ姉ちゃん、頑張ってね…。ありがと。」


隠蔽転移(ハイディング)

長女であることに強さは関係ありません。

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