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世界は子を愛す  作者: 大介
第1章 現実

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第37話 大切なもの

◇◇◇

5日目。自己回復。


≪魔法、全員再検査をお願いします≫

<感情が大きく変わった奴に絞るぞ?>


 仕事を減らすとは感心できません。最強能力としての力を見せてほしいです。


≪魔法、手抜きはいけません。冷静に下らないことを考えている馬鹿がいたではありませんか≫

<子供や少女でもできるから大人なら余裕だよな…。はぁ、分かった>


 必要なことを言われる前に済ませておくのが私たちです。遊んでいますね。


「とてもやる気がない返事をいただいましたが全員再検査を始めました。」

「子供はまだ寝ているわ。全員は昼頃からでいいので起きてる人だけお願いします。」


 外に出た喜びで今が朝一だと忘れていました。子供はまだ眠っていますね。


≪魔法、だそうです。寝ている人たちを検査しても意味がありません≫

<それは分かるがお母さんがいつまで続けてほしいのか確認してくれ>


「お母さん、いつまで検査を実施しますか?」

「今日の昼頃と暴動を見た翌日の昼頃で構いません。幼い子たちに危害を加えようとする人は論外なのですけれど、お願いします。」


 仕事量が減ってしまいました。お母さんに助けられるとは運がいいですね。


≪魔法、お母さんは優しいですね。今日から毎日検査が続くと思いました≫

<最強お母さんは俺たちにも優しいんだ。ここで2回と引越しの後に2回くらいだな。幼い子だけは怪我しないようにしておく。身内の争いは殺意に変わらない限り無視だ>


 更に楽をしようとしていますね。やはり仕事を増やすべきでは?


「お母さん、検査の回数が少なくありませんか?」


<何でお前が増やそうとするんだよ!>


「本音を言えば娘たちに接触する人たちだけでよいのです。仕事を続けてもらうために助けたい人を集めただけなのですから。」


<お母さんは精神の奥にいる子と似ている考え方をするんだな>

≪魔法、お母さんは精神の奥にいる子が特別扱いしている人です。それに巻きついて眠るのは精神の奥にいる子も一緒に眠っています。クローディアは抗えません≫


<最強を封じられるのかよ。マジで最強お母さんすげえな!>

≪その通りです。クローディアには最強お母さんが必須です≫


「もぐもぐ食堂は店長と従業員が3人、高級店は大将と見習いが2人です。その7人だけ検査結果を教えてください。」


 凄い減りましたね。早く終わらせて男の子を預けに行きたいのでしょう。


≪魔法、食事を用意してくれる7人だけです≫

<食堂は2人駄目だな。1人は仲間を呼んで恩を売るつもりのようだ。もう1人はこちら側の足元を見ている。もっとお金を要求できるとな。高級店の3人は問題ないぜ>


 洗脳や思考誘導で働かせることはできますが、お母さんは何を選ぶのでしょうか。


「お母さん、現状ですが『・・・・』となっています。催眠か思考誘導しますか?」

「店長に念話します。お待ちください。」


≪魔法、傍聴してください≫

<ああ、分かってる>


◇◇◇

念話中。


「店長、母です。状況を確認させていただきました。1人は仲間を呼んで恩を売るつもりのようなのですが外に出たら戻れませんし仲間も入れません。もう1人は私たちの足元を見ているようなのですが度が過ぎると殺されるとまでは理解していません。店長の望みを教えてください。心に話しかければ伝わります。」

「すまねえな…。クズ街の住民はクズだとまた証明しちまった。本当は飛ばしてえが料理する従業員しかいねえんだ。こいつ等がいねえと料理が用意できねえのさ…。」


「見習いが2人つけば料理できますか?秘伝の料理があるのでしたら後で記憶を消します。」

「それは大将の店の2人かい?料理の質が違いすぎる…。こっちは質も大事だが量が最重要だからな。それに2人が納得するのかい?」


「私は仮にも経営者です。頼めばよいだけです。」

「母さんに頼むのは申し訳ねえが頼む。こいつ等は元の部屋に飛ばしてくれ。」


「分かりました。そのようにします。」


念話終了。

◇◇◇


◇◇◇

念話中。


「おはようございます。母です。今から買い出しに行きますので食堂の前に集まってください。それと問題が発生しました。幼い子たちに料理を用意するために見習いの子を2人貸していただいても大丈夫ですか?二月間だけ手伝ってほしいのです。夜にはお店に戻れますが、とても忙しくなることや食堂で料理することになるので求められるものが違います。どうでしょうか?」

「おはようございます。今は家族に料理を作っているだけですから変わりません。大勢の料理を短時間で用意するのも修行になるでしょう。説明しつつ向かいます。」


「ありがとうございます。それではお願いします。」


念話終了。

◇◇◇


「部屋に飛ばす2人は同じ邸に住んでいますか?家族はいますか?」


<2人とも家族はここにいねえ。店長の家族と一緒に住んでいるぜ>


「『・・・・』となっています。どのようにしますか?」

「それでは豪雨についてのみ記憶を消してください。そして白金貨を1枚渡してください。自分たちがどこにいたのか現実を知るでしょう。」


≪魔法、お母さんは精神的に追い詰めるようです。裏切者は許さないみたいですね≫

<契約違反しても殺さないから優しいだろ。自分の行いを思い出して死にたくなるだけだ。手元には使えない白金貨と何故か豪雨が降り続く。そして楽園には二度と戻れない。これは辛いぜ!>


≪魔法、楽しんでいますね≫

<俺はすぐに殺すより残酷だと思っているからな。流石お母さんだぜ!>


 お母さんは飛ばした2人に悪足掻きしてほしいと考えていますね。普通でしたら絶望して終わりなのでしょうが、この国の住民は何をするのか予想できません。


「母さん、悪いな。面倒を起こしちまった。すまん…。」

「2人貸してもらえるから大丈夫よ。飛ばした2人には100万リン渡しておいたわ。残ったのは息子さん?」


「ああ、こいつは息子のコリーだ。娘は預かってもらってる。一度も家に帰ってこないんだぜ。親としては複雑だ。同じ国に店を作れば娘は遊びに行けるかい?」

「コリーです。よろしくお願いします。」

「ええ、こちらこそよろしくね。娘さんなら大丈夫よ。この子には複数の人格があるのだけれど、主人格の男性恐怖症がとても酷いのよ。男と聞くだけで震えて動けなくなってしまうわ。今は違う人格の子が入っているのだけれど、主人格は外が見えず何も聞こえない場所にいるはずよ。」

「初めまして。クローディアと名乗りますが別人格です。主人格の主治医をしています。よろしくお願いします。」


 外に出るのは新鮮でとても楽しいですね。手足を動かすだけでも楽しめます。


「おう、よろしくな!多重人格なら相当辛い経験してるんじゃねえのか?治るのかい?」

「まずは襁褓の子に触れるようになる訓練からです。ですが襁褓の子でも意識を失うかもしれません。異性に酷く恐怖しています。そのため姿を見せて歩くことで街の住民の反応を観察します。」


 男性に囲まれる国は論外です。女性の扱いが悪い国も論外です。


「お待たせしました。2人にも話してあります。教えてやってください。」

「すまねえな。やっすい料理だが子供たちに食事を用意してやりてえから頼む。」

「カールです。よろしくお願いします。まだ見習いですから調理場に立つことも余りありません。勉強させていただきます。」

「ヘクターです。よろしくお願いします。同じく見習いですが300人以上の子を笑顔にできるように頑張ります。」

「大将、2人に臨時報酬を渡しても大丈夫かしら?」


 お母さんは仕事量より多い対価を支払っていると思いますが欲で無にするのは愚かです。


「お金で崩れるようならその程度です。あの店では働けません。」

「分かりました。それでは2人に2000万リンずつ払うわ。硬化の内訳を決めておいて。それと今日の夜に娘たちと飲みに行くからよろしくね。」

「はい!」

「お待ちしております。」


 流石お母さんです。今夜は何を話しましょう。

 とても楽しみです!


「店長どこに行きますか?」

「新鮮な魚か山菜か迷ってるんだ。」


≪魔法、ありますか?≫

<規模は今より小さくなるが治安のいい国ならあるぜ>


「この国より小さくてもよいのならあります。当然ですが治安はよいです。」

「じゃあ、そこで頼む。」


≪魔法、お願いします≫

<分かったぜ>


 一瞬で景色が変わりました。


 道の左右には様々な食材と果物が露店で並んでいます。

 店員に偏りはありません。老若男女問わず露店を出しています。


「クローディアは店長たちと行動して。私は大将たちと行動するわ。買い出しが終わったら念話してちょうだい。」

「分かりました。それではまた後程。店長、好きなように動いてください。」

「おお、それは効率がいいな。まずは魚だ!」


 店長は魚に一直線ですね。野菜や果物の露店は見ていません。


 ああ、これが潮の香なのですね。


 波止場には大きさの違う漁船がたくさん停泊していて、建物の中では大小さまざまな多くの魚が机の上に並べられています。天板を斜めにしてLの字型にすることで魚を見えやすくしている露店もあります。切り開いて内臓を取り乾かしてある魚も売っていますね。


 そして見渡す限り青い海が見えます。素晴らしい景色です!

 海は何度か見たことがあるのですが記憶の中の海は濁っています。そのときの精神が濁っていたからでしょうか。


 やはり古い記憶は邪魔ですね。綺麗な精神で見たものこそ現実です。


「おい、コリー!見たことがねえ魚しかいねえぞ!」

「親父、研究する食材から買うつもりか?」


 コリーさんは慎重派ですね。


「そんなはずねえだろ!幼い子でも食える魚がいるか見てんだよ。貝の出汁でスープもいいな!」

「親父、知らない貝の出汁で作ったスープは美味しいの?」


 このままでは店長が買いすぎてしまいます。違う国を見て回ることを忘れているのでしょう。


「分かってる。ここでは俺たちも素人だぜ。聞けばいいだけだ。」

「幼い子に魚は難しいよ。料理するのも時間がかかるし事前に仕込めないからね。」


 コリーさんは常識的なことしか言っていませんのに店長が何も聞いていません。

 それに先程から見続けている魚は1m程あります。


 店長の魚を見ている顔はお上りさんにしか見えません。


「分かってるってんだろ!うるせえな!」

「全く聞いてないよね。その魚を刺身にするの?子供に刺身は危ないよ。」


 子供に刺身は危ないのですね。


 私の見てきたドラゴンは魚を食べていないので何も分かりません。研究してもいません。無駄でしかない記憶を早く消したいです。


<お前もうるせえよ!男の子を施設に預けるまで我慢しろ!>


「少しくらいゆっくり見させろ!」

「うちのせいで出発時間遅れてるの忘れたの?」


 出発時間は遅れていますが子供が起きるまでは余裕があります。


「何年店やってると思ってやがる。時間くらい把握して当然だ!」

「店長、この魚がほしいのですか?」


<全く動かねえからな。完全にその魚に見惚れてるぜ>


「いや…、丸ごとは高えぞ。」

「お兄さん、この魚ください。」

「ん!?マジで美少女だな!それにこいつが欲しいのか?」


 美少女というだけで店員としての態度は崩していません。悪くない国かもしれませんね。


「その通りです。いくらですか?魔法が使えるので運搬は問題ありません。」

「マジか…。400万リンだ。」


<嘘は吐いてねえぞ>


「白金貨でもいいですか?」

「ああ、マジで買うのかよ!今日はいいことありそうだぜ!」


 高すぎて売れない魚でしょうか?

 高級料理店しか買わない魚かもしれませんね。


≪魔法、紙とペンと板を出してください≫

<ああ、分かったぜ>


「自宅か食堂かどちらに届けますか?大きいので魚専用の冷凍箱を用意します。」

「ちょっと待ってくれ。兄ちゃん、こいつの美味い食い方を教えてくれ。」


 目的を忘れていたわけではなかったようですね。よかったです。


「こちらをお使いください。」

「ありがとよ。助かるぜ!」

「買ってくれたからには教えねえとな。こいつはバニッシュクロマグロとよばれていて刺身でも美味いが腹に寄生虫が必ずいるから気をつけないと痛い目に遭うぞ。お勧めは鱗と内臓と鰭を取って三枚おろしにして頭と骨をとにかく煮込む。味付けは何にでもあう。1時間以上煮込んでいると全部溶けてスープの旨味を引き上げる。その後に皮ごと切り分けた身も入れて皮が全て溶けたら完成だ。身が口の中で溶けるぜ!煮込みすぎると身まで消えるから注意しろよ。初めてなら生で一切れ食った方がいい。言葉が出ねえぞ!」


 寄生虫がいるので子供に刺身は危ないのでしょう。


 そして食べたい!

 この魚を高級店でお酒を飲みながら食べたいです!


「食堂に頼む。」

「分かりました。」


≪魔法、冷凍箱を作って入れてください≫

<あー、俺も食ってみてえ>


 その気持ちは分かります。2匹売っていないのが残念です。


「親父、初日から俺の年収より高い魚を趣味で買うとはなかなかだな。まだ魚買うの?」

「あれを主にして乾麺と米と野菜を買えばいいだろ。趣味はこれからだぜ!」


 趣味も大切ですが店長は全部とか言いそうですね。


「店長さん、毎日違う国に行くことを忘れたら駄目です。特産品の研究だけにしないと時間が勿体ないですよ。」

「親父、最低でも30ヵ国は見に行くと思うぞ。特産品に絞った方がいい。」

「はっ!知ってらー。兄ちゃん、この辺りでしか取れない魚はどれなんだ?」

「観光客が言ってただけだから絶対だとは言えねえがこの3匹だな。」


 店長が明らかにホッとしています。全種類買うつもりでしたね。


「兄ちゃん、そいつを4匹ずつくれ。そして名前とお勧めの食い方を教えてくれ。」

「12匹で3万7600リンだ。上客には勿論教えるぜ!」

「はい。お代です。」


≪魔法、邸の魚用に入れてください≫

<そんなものねえよ!今すぐ作って入れろってことだな。ああ、分かった!>


 店長が説明を聞いている間は綺麗な海を眺めていました。すると沖から巨大な海獣が泳いで港に向かってきているのが目に入りました。


≪魔法、この辺りに生息する海獣を知っていますか?≫

<知らねえな。あれは魔力持っているし魚に似ているから魔魚だろ>


「お兄さん、海に大きいのが泳いでいます。あれも美味しいですか?」


<美少女の言葉じゃねえな>


「ん?大きいの…?あれは船倒しとよばれてる。人間が好きなのか知らねえがここまで来たのは面倒だぜ。ただでさえ漁に出れる船が減ってるのに、あんな魚影見たら怖くて船出せねえよ…。」

「死体が欲しいですか?邪魔なら消します。」


 人間が好物なら駄目ですね。食べる気になれません。


<お前食うことしか考えてねえな!>


「冗談だよな!?5m以上あるんだぜ!」

「兄ちゃん、この娘は冗談を言わねえぜ。殺した証明が欲しいのかいらないのか聞いてるだけだ。本当についてるな。」


「マジかよ…。波止場に死体を上げれるかい?」


≪魔法、人間を狙う魔魚を殺して波止場の上に移動させてください≫

<見捨てたら説教だからな。やるぞ!>


 大きい口にギザギザの歯が並んでいますね。鼻が尖っているのは速く泳ぐためでしょうか。

 

≪魔法、知っている魔魚ですか?≫

<海のことはほとんど知らねえ。海に棲むドラゴンもいるらしいが見たことがねえ。それにあれは8m以上あるぜ。人間が海に落ちたら終わりだな>


「お兄さんのお陰で漁に出ることができるようになりましたね。凄いです。」

「ほぉー!あいつは完全に肉食の口だぜ。鰭も尖ってて怖えな。よし、次は山菜見に行くぞ!」

「待ってくれ!漁業組合から報奨金が間違いなく出るぞ!いらねえのかよ!?」

「お兄さんが貰ってください。俺たちは目立ちたくないのです。いいことありましたね。」


 コリーさんは分かっていますね。

 目立ちたくないのです。しかし見捨てたらあとが怖いのです。


 そして山菜を全種類に定番の野菜や果物、お米と乾麺だけは大量に買いました。

 この国は悪くないですね。目で追われることがあっても囲まれることはありませんでした。


≪魔法、お母さんに念話を繋いでください≫

<分かった>


◇◇◇

念話中。


「お母さん、こちらは買い物が終わりました。そちらはどうですか?」

「港に人が集まっているから見てみたら海にいる魔獣の死体が置いてあるみたいなのよ。お兄さんがとても申し訳なさそうに表彰されていたわよ。明らかに肉食の口をしているけれど、何をしていた魔獣ですか?」


「船を倒して人間を食べていたのが港まで来たみたいです。それでお兄さんに聞いたら死体を波止場に上げてほしいと言いましたので、その通りにしました。報奨金はいらないですし目立ちたくないので去りました。」

「船を倒して人間を襲うなんて魔獣にしては賢いわね。そのような話を聞いて無視したらクロアが怒るでしょう。こちらも買い物は終わりました。どのようにすればよいのですか?」


「その場で動かないでください。帰ります。」


念話終了。

◇◇◇


≪魔法、お願いします≫

<任せろ!>


 孤児院の食堂前に移動して集まりました。


「どうでしたか?私はとても好感触でした。」

「声をかけてきたのが数人ですから悪くないですね。囲まれることもありませんでした。それに海は綺麗ですし山もあって食材も豊富でしたから、これから色々な国を見ても上位に入る気がします。」


≪魔法、先程の国名は何ですか?≫

<少し待て…。フィッシュバーン王国だ>


「今日の国はフィッシュバーン王国です。」

「気になる国名だけ覚えておけばいいですね。」


 お母さんも好感触なら上位に入りそうです。


「移動はいつしますか?」

「今すぐの方がよいでしょう。お母さんに問題がないのであれば実行します。」


「早めに終わらせましょう。今すぐでお願いします」

「分かりました。」


≪魔法、男の子たちを眠らせて2日間とクローディアについて記憶を消し、皆から男の子たちの記憶を消して建物も消してください。そして移動をお願いします≫

<よし、移動するぞ!>


 目の前にある教会のような建物が孤児院なのでしょうけれど、周りにも家がたくさんあります。


≪魔法、ここはどこかの国の孤児院ですか?≫

<ああ、戦災孤児として預ければいいだろ>


「お母さん、ここの国名は分かりませんが戦災孤児として預けたいと思います。目が覚めると面倒ですから魔法で浮かせて連れて行ってもいいですか?」

「はい。その方法で問題ありません。お願いします。」


≪魔法、男の子を浮かせてください≫

<ああ、分かった>


 お母さんと一緒に建物の中に入りました。するとドアについていた鈴の音が鳴りシスターだと思われるおばちゃんが奥から歩いてきました。


 教会の慈善活動でしょうか?


「おはようございます。戦災孤児を魔法で28人連れてきました。ここで預かってもらえると聞いたのですが本当ですか?」

「おはようございます。魔法を初めてみましたよ。男の子だけのようですね。戦争中の国名を教えていただけますか?」


 とても落ち着いていますね。追い返される雰囲気はありません。


「はい。オルグレン帝国、エイマーズ王国、アンヴィル王国、カーライル王国、クラプトン王国、の5ヵ国です。女の子もできる限り探してみたのですが見つかりませんでした。戦争の理由については詳しく分かりませんが住民が食糧の奪い合いだと言っているのを耳にしました。」

「とても評判の悪い国々のようですね。浮いている子たちは眠っているのですか?」


 他国にまで評判の悪さが伝わっているのですね。


≪魔法、この国とオルグレン帝国はどのくらい離れていますか?≫

<500kmは離れているが旅人から聞いているのかもしれねえな>


 ドラゴンの飛行速度で考えてしまいますね。人間は馬車を使って移動していたと思いますが移動できる距離が分かりません。

 本当に邪魔な記憶しかありませんね。


<消してやるから少しくらい待て!>


「はい。ついていきたいと言いそうな雰囲気でしたので眠らせました。こちらの孤児院は国営ですか?民営ですか?」

「国営ですので問題はありませんよ。子供は財産ですからね。」


 とても立派な国ですね。滞在している国が悪すぎるのかもしれません。


「少しばかりですが寄付させてください。お母さん、お願いします。」

「そうですね。他の子たちと美味しい食事ができるとよいのですが…、受け取ってください。」


 机の上には白金貨が20枚入っている袋が5つ。1億リンです。

 袋の中を見ておばちゃんが驚いていますが欲はありません。


 やはり国が違えば人も違いますね。


「子供たちはこちらの床に寝させても大丈夫ですか?」

「はい。すぐに起こしますので大丈夫です。それよりも寄付金が多すぎます。お2人の生活は大丈夫なのですか?」


「冒険者をしていましたから生活できる蓄えはあります。心配してくださりありがとうございます。」


≪魔法、床に並べてください≫

<ふーん、善人もいるんだな>


 子供たちが床に並べられていきます。心配しているのがおばちゃんだけですね。安心できる施設に預けることができてよかったです。


「体を軽く揺するだけで起きますので安心してください。それではよろしくお願いします。」

「あなた達の旅路も幸有らんことを願っています。あとはお任せください。」

「ありがとうございます。あなたのような心が綺麗な方に会うのは久しぶりです。とても安心できました。それでは失礼しますね。」


≪魔法、お願いします≫

<分かった>


 自宅に戻ってきました。


「1億リンを見ても全く欲を見せませんでした。魔法が真面目に仕事をしてくれたみたいです。」


<いつも真面目だわ!>


「本当に素晴らしい施設に預けることができてよかったです。会議は14時からでしたね。それまではどうするのですか?」

「クローディア会議を開きます。10分前になったら起こしてください。」


「分かりました。夜を楽しみにしていますね。」


 私もとても楽しみです。言いたいことがありすぎますから。


 ベッドで横になり意識を中に入れます。

 私の部屋で主と一緒に布団で寝ていますね。どちらが甘えん坊か分かりません。


<クロア、起きてください。会議を始めますよ>


「どこまで終わったの?」


<孤児院の男の子を施設に預けるまで終わりました>


「飛ばした2人は興味ないけれど、最初の国は雰囲気がいいね。店長がいきなり凄い買い物をしているけれど、子供たちに振る舞うのであればいいや。それに人喰い魔魚まで退治しているなんて立派じゃない。このままディアは眠らせておいて。ロディも呼んで。それでは会議を始めます。」


 クロアが寝ている主を脚の上に乗せて抱きました。話が長くなるからでしょう。

 主は結界で音を遮断されていますので起きませんでした。体が揺らされて体勢まで変わっているのに起きません。

 起きたけれど、クロアに抱きしめられていると気づいて再度眠ったのかもしれません。


<ロディ、クロアが呼んでいます。私の部屋まで来てください>

<分かりました。すぐに行きます>

<俺たちの記憶を綺麗にして終わりじゃねえのか?>


「魔法はあの人の魔力と私の魔力を分けたよね。あの人の魔力を使って魔法を使うことが本当にできたの?できる気がしたけれど、今はできないと思っているでしょ。」


<掘り返すなよ…。分けることができたから使えると思ったんだ。だけどロディの存在を知って無理だと思った。実験はしてねえけどな。分けることができたのもクロアの魔力を使ってる。ロディ、あの女の魔力は魔力路を通らねえだろ>

<そうです。正確に言うのであれば私から出せません>


 何を聞きたいのでしょう?

 魔法に何をさせたいのかが分かりません。


「ロディはあの人の魔力を私の魔力に作り直したでしょ。その方法を魔法に教えることができる?」


<魔法が魔力のクローディアを見ることができるなら教えられます。姿ではなく魔力の所有者を証明するものです>


「最強魔法さん、魔力を使っているから人の魔力との違いを研究しているよね?自分が使っているものを知るのは基本だよ。」


<世界最強は他人に興味ないので知りません!>


「最強魔法さん、体に流れる魔力の流れは知っていますか?」


<世界最強は好きなように魔力使えるので知りません!>


「今すぐ調べられるでしょ。お母さんを見てきて。」


<これは会議じゃねえだろ。俺に説教しているだけじゃねえか…。ああ、そうだよな。俺の視界に入っていれば覚えているはずだもんな。確認できねえと知っていて言ったんだろ!>


「当然だよ。魔力器から魔力出すのは本来私の意思が必要だから。そうだよね、ロディ。」


<その通りです。基本的に蓋は閉めています。クロアが許可しているのでいつでも魔力を自由に使えるのです>


「だけど精神の奥にいる子には常に魔力を渡していない?」


<私と精神の奥にいる子の繋がりが魔力です>


「それはどちらから繋いだの?」


<精神の奥にいる子からです>


「そこから先は分からないよね?」


<はい。私は魔力器の魔力を管理する存在ですから>


「ロディ、精神の奥にいる子と話がしたいの。知りたいことは伝わっていると思う。」


<分かりました…。器やあなたと私は魔力で繋がっている。器に精神はない。私が能力を保護するために繋がっているの。クロアが考えている方法は能力が剥がれるよ。クローディアの魔力だから能力が消えないように保護できるの。それと何故記憶を流しているのかだけれど、当然私と記憶も魔力で繋がっている。私に魔力の中から記憶だけを抜き出す力はないの。魔力器、記憶、器、それと私は常に繋がっている。あなたの精神が光り輝いているからあなたとも繋げた。だからあなたと繋いでいるからではなく器に流れる魔力には記憶が入ってしまう。だけどあなたの計画には誰も気づいていない。本当の計画を考えながら嘘も考えた。強く思考すれば記憶にも強く残る。当然弱く思考すれば記憶にも弱く残る。魔法と一緒ね。あなたの記憶を見れているから何も考えていない。あなたの計画は楽しい。頑張って。だそうです>


「ロディ、ありがとう。勉強に戻って最高の計画を考えて!」


<分かりました!楽しみにしていてください!>


 平和的な計画ですね。この会議がおかしいのです。


<俺たちが剥がれるかもしれない計画を考えていたのか。何をしようとした?>


「強制命令対策をしようとしたけれど、無理みたい。上位者は強制命令を発動させることができるかもしれないでしょ。例えば広域念話で声を精神の奥にいる子に変えることができたら?」


<そういうことか。魔力からクローディアを証明するものを抜き取って声に変えれば精神の奥にいる子の声になる可能性があるな。結界の中に疑似証明を混ぜろってことだろ。クローディアの証明が壊れないように少しだけ何かを足すことができれば十分だな。魔力を研究しておく>


 魔力の中にあるクローディアの証明から強制命令。


 あり得ると強く感じたので魔力も研究することにしたのでしょう。ロディが魔力につけているクローディアの証明なら精神の奥にいる子の声を再現することが可能であると考えられます。

 そのときは背後から強制命令が出されることになります。しかしそれを疑うことも抗うこともできないのが能力なのでしょう。


 クロアの対策はいつも凄いです。

 

「そして上位者は今の世界を気に入っている。クズドラゴンが世界の王で世界の規約を決めているのを認めている。準備ができたら呼び出して潰すから。私の予想だと1万年前と今の人間の生活が変わらないでしょ?不愉快すぎる。」


<確かに変わりませんね。発展した国をクズドラゴンが潰していると考えられます>


「最強さん、問題はそこではないんだよ。最強魔力さん、教えてあげなさい。」


<最強さん、ドラゴンが国を潰しているなんて考える必要もねえよ。問題は記憶消去だ。完全記憶消去されたらドラゴンに変身できるわけがねえ。変身のしかたを規約に書いてあったとしても全員同じ姿になるはずだ。つまりドラゴンが変身を覚える3歳前後までは記憶を残している。当然強制命令発動させて自己回復の記憶保護も消してからだぜ。そして精神を綺麗にしてねえ。今のままドラゴンが世界を支配しろってことだな。超ドラゴン優遇世界だ!>


「とりあえず記憶保護から実験を始めたんだよ。最強さん、どこまで進んでいるの?」


<精神の奥の子が嘘を吐いて気づかれないようにしたという実験ですか?>


「最強さん、私はそこまで自惚れていないよ。最強さんには隠せるはずがないからね。」


<クロア、当然のことを聞いてやるな。最強さんは驚かせようと思って黙ってたんだぜ>


 最悪の展開です…。

 クロアの嘘に騙されています。魔法を煽り続けておけばよかったです。


<偽物のクロアが背中に加護と名前を変えて張り付いていたので警戒して記憶を深く見ないようにしていました>


「最強さんの言う通り私も警戒していたよ。だけど今なら分かるでしょ?最強さんが始めた計画みたいなものだから。それに最強さんがいないと成立しないからね。」


<始めてんのかよ。じゃあ言えばいいじゃねえか>

<私が今しているのは臓器を保存する実験です>


「そうだよ。世界で唯一魔力を逃がさない魔力器の実験をしているじゃない。何割で魔力が漏れたかな?2割から10割まで用意するのは怪しいと思ったけれど、気づかれなかったね。魔力器を記憶保存する卵だと考えてみて。本物ではないから正しくはないかもしれないけれど、魔力器を調べるとか記憶保存の常識だよね。」


<最強さんは記憶を魔力にして保存できるんだぜ。当前のことを聞いてやるなよ>

<劣化状態は調べていますが本物ではありません。クロアの計画を教えてください。相当凄い計画なのでしょ?>


「魔法の魔法陣で魔石の中に自己回復の部屋を作る。そして卵の作り方と割り方を魔法に教える。魔法は卵の作り方を聞いて記憶を卵に入れて自己回復の部屋に保存する魔法陣を魔石に入れる。そして卵を割って中の記憶を頭に上書きする魔法陣を魔石に入れる。合計3つの魔石で何人でも記憶消去から助けられる。魔石の大きさ次第によるけれどね。だけど魔石だから卵を抜いたら魔力がその分だけ抜ける可能性がある。他の卵が割れたら困るから試験して欲しいの。何人分の記憶を保存できるのかと、何人で卵を割るのを中断して魔石が回復するのを待つのか。卵に印をつけたりする方法は想像できないから2人に任せるよ。」


 一月前からこの計画を考えていたのですか…。


 臓器保存が魔力水10割で駄目なら方法を変えるべきです。それなのに2割から試して他の臓器も試して誤魔化しています。クズ能力たちの妨害を防ぐためでしょう。理論上は実現可能で私たちの実力次第です。そして実験結果によっては計画を変更しなければならないです。しかしその実験もしていません。


 この計画はクロアの本気です。煽り続けて遊ぶ計画ではありません。


<卵を作ったときの印と割るときの印を魔石に触れただけで分かるようにしないといけねえな。最強さんの卵の作り方にもよるがさっきの証明が必要になるかもしれねえ。最強さんの最強能力だからな。いつ教えてくれんの?>

<1年ください!>


「魔法は浮遊島以外で魔石探して。巨大ならいいけれど、なるべく大きいの。見つけたら秘密基地に置いて。それからクローディアの証明について調べて。自己回復は魔力器の破損確認からして。少しでも破損していたら危険な濃度だから。それと魔力器の素材確認。内側と外側で何が違うのか調べておいて。それから卵の作り方と割り方も調べてね。部屋については私が移動したら消せるでしょ。部屋を作るのを魔法に見てもらえばできるかもしれない。全部お母さんに話していいよ。本日の会議を終了します。お疲れ様。記憶消して楽になって。」


 普通に計画の指示で終わりました。

 絶対にこの計画は成功させなければなりませんね。


≪魔法、お願いします≫

<ああ、多分だが楽になると思うぞ>


 本当に楽になりました。記憶共有が駄目というよりも濁った記憶に害があった気がします。


≪魔法、魔石が揃ったら教えてください。クロアに移動してもらって部屋を消して作ります。何故消せるのかも作れるのかも分かりません。卵についてはあの部屋でしか保管できない可能性をクロアが考えたのでしょう。そもそも部屋には卵が既にあるのに私以外には見えていません。卵を割って魔力の編まれている形を伝えることしかできません。よろしくお願いします≫

<主が楽しんでいるのを見たからしかたねえよ。それに実験しろよ。魔力器の全てだぞ。蓋もだからな。とにかく記憶保護が最優先だ!>


≪魔法、勿論分かっています!それに実験とはこのようなものであるべきなのです。何万年無駄にしたのか知りませんがは馬鹿ですね。それに同じ相手に二度負けるつもりはありません≫

<分かっているじゃねえか。死ぬまで楽しむだけだ。やっぱりここが最高だぜ!>


 クロアは上位者と言っていますが私たちの楽しみを邪魔されたときに最大の敵となるのが創造主であると理解しているでしょう。私たちの精神の奥にいる子も人でクズ能力たちも人でした。つまり能力を付与する器や竜の目などは後から足しているのです。

 創造主以外には不可能でしょうし生命の誕生を好きなように変えるとか無茶苦茶です。クロアも敵にしたいとは思っていないでしょう。殺せるかどうかも分からないような相手です。


 だからこそクロアは記憶を大切にしたのですね。


 クロアに楽しい記憶はありません。それでも記憶消去だけはされたくない。辛い記憶でも全力で生きてきた証です。それにこれから楽しく過ごすのです。私たちが絶対に消させません!

 創造主だろうと何でも思い通りになると思わないことです。ここにあなたの存在に気づき抗う少女がいるのです。そして手伝う私たちがいます。私もこの記憶や思いは絶対に失いたくありません。


 まずは記憶消去から抗ってみせましょう。


 最高に楽しいですね!

 私にもこのような熱い感情があったようです。

濁っている能力がいないので計画を素直に話しました。

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