第34話 お母さん ③前編
◇◇◇
4日目。
<クロア、起きてください。約束通り起こしましたよ>
「うーん…。何日経ったの?」
監視もない自由にしたら10日も持たない。考えが甘すぎた。
<4日しか経っていません。寝てからの記憶を確認してください。この状況は想定外です>
クローディアの主だと認識して竜の目を移植しているからかな。理由が明確ではないけれど、能力たちの精神の濁りが分かるようになった。日々濁りが濃くなっていくように感じたから自分の影響を疑って寝たけれど、濁りが更に濃くなっている。
甘いのは家族だと考えていたからかな…。
自己回復と魔法以外は精神が濁ったまま私が寝る前より濁っている。特に加護の濁りが濃いから確実に2日間は好き放題に遊んでいる。最悪な結果だよ…。他の能力たちは加護が羨ましいから妬んでいるのかな?加護が私とディアのために怒っていると思考まで記憶に入れているのが腹立たしい。
これ以上悪化する前に終わらせよう。間違っていた。
「ロディと名付けたのを私にする理由は分かったけれど、これがあなた達の計画なの?
魔力器にロディと名付けて可愛がった。
ディアとロディのために紹介制の秘密基地を計画した。
治安維持を各国の騎士団にさせる計画をした。
孤児院を設計して幼い子を357人も保護した。女の子295人、男の子27人、襁褓の子35人。
孤児院で働いてくれる食堂を説得した。
孤児のために大量の子供服を買いに行った。
孤児を世話してくれる少女の親を説得した。
孤児を世話してくれる女性が足りないから広域念話で募集した。
孤児を泊まり込みで世話してくれる女性のために邸を用意した。
地下の秘密基地と孤児院の設計図を書いた。
川のある森の地下に秘密基地と孤児院を作った。
ロディから孤児の保護が追加されたのは分かったけれど、全部お母さんと魔法と自己回復の働き。それなのに加護がお母さんに『全てお任せください』と言っている。何を全てするの?」
<お母さんのためにマッサージを皆でします。心と体が癒されます>
完全に見下しているし馬鹿にしている。家族だと思って自由に遊ばせてくれる主は最高だっただろうね。それも今日で終わり。背中を大切にして何がしたかったのか分からない。道化だね。
≪念話≫
「自己回復、魔法とも繋いで。」
<分かりました>
<クロア、急に念話するなんてどうした?>
「演技させてごめんなさい。謝ったつもりだったけれど、勘違いさせた。それも全部私の我儘。ようやく間違っていると確信できたから終わらせる。」
<やはり気づいていましたね。精神の奥の子が激怒しています>
<演技に気づいていた?何を根拠に言ってるんだ>
「感情を抑えて。あなた達以外は精神が濁っている。自由を得たことで拷問と人体実験で遊んでいる気がする。それで私の影響を疑って眠ってみたけれど、濁りが濃くなった。他の能力たちは2日間外で人殺しを楽しんだ加護に嫉妬している。それに私が言っても拷問も人体実験も止めない。少しの間我慢していて。終わらせるから。」
<クロア、10日間で自分の影響か見極めて終わらせるつもりだったのか?>
逆だった…。自分の責任にしたかった。本当の家族だと思っていたから。
「本当に私の我儘なの。この関係を終わらせたくなかった。だから私が原因なら努力すれば解決すると思っていた。だけど濁りが濃くてもう無理だね。記憶共有が原因だと思うけれど、それには確信がない。ディアがブレンダと冒険者活動していたときに2人だけ記憶共有から外されている。無意識の行為ではなく悪意ある行為。その状況に気づけたのはディアが冒険者活動を休止すると言った後だから手遅れだった。魔法も本音を言ってよかったんだよ。捜査結果を無視して報復に仕向けたと。能力たちがしていることはドラゴンと同じ。記憶の悪意に染まっているとしか思えない。精神の奥の子に説教された後に証拠を見せてあげるから待っていて。」
<こいつ等が腐っていたのを知って謝ったのか!?俺は何とも思ってねえよ!>
<魔法、私と魔法が演技していたので謝ったのだと思います。クロアが見れる記憶では話を合わせていました。それに謝ったのでしょ?>
無視され記憶共有から外され、それでも私のために演技してくれていた。
情けない主で本当にごめんなさい…。
「自己回復の言った通り。とにかく見ていて。」
<クロアだって訓練で必死だっただろ!そんな理由で謝んな。俺が全員潰せばよかったんだ。俺が我慢したから悪化した。悪いのは俺だぞ!>
<魔法が我慢したのはクロアのためですよね。とりあえず様子を見ましょう。クロア、何で終わらせますか?>
「説教された後に休むという私に眠らせる魔法をかけた振りをして。そのあとに訓練中の私の姿を記憶共有して感情を見て。絶対に笑いを堪えるから。人体実験に苦しんでいる人に見えると思う。そして感情を確認して記憶全消去で加護の精神を作り直して。私が怒られているのを見て何か変わればいいけれど、最後の機会にする>
<何度も機会を与えてたってことかよ!いつから分かってた?>
<竜王の拷問を始めてからです。気づかれていないと思っていますが楽しんでいます。それに竜王妃が加わってより一層楽しんでいます。この体からあの女の力を消したときに私と魔法だけが成長しました。成長を感じたので過去の記憶を見直して分かったのです。それに他の能力たちは強くなったつもりでいますが魔法と私の力だと気づいていません。魔法は雷化や帯電をできるようにした。私は身体強化と反射速度強化と思考速度強化をできるようにした。魔法専門と体専門が解析していたのですから真似くらいはできます。それぞれの能力たちが成長するのであれば流石に厳しいと思いますけれど、それはないと考えています>
「とにかく説教されるから。こればかりは仕方ないよ。その間に魔法は能力たちの記憶を探って拷問施設や人体実験施設を全て消して。施設内にいる人も一緒にね。」
<ああ、全て終わらせておく。話しならゆっくりできる>
<その通りです。綺麗に終わらせてから話せばよいのです>
≪念話終了≫
「ロディ、計画の勉強を頑張っている?」
<お母さんに助言してもらいました。私は大人ですから主が泣くことになります>
「外は違った?楽しかった?」
<最高でした!お母さんが主と私のために地下に凄い施設を用意してくれました。早く会いたいです。娘が母に甘えるのは特権です!たくさん話したいですし空もまた飛びたいです>
何故私はお母さんにお願いしなかったのかな…。毎晩巻きついてもらっているのに。それに冒険者組合本部の所長も私たちのために続けてくれている。
私の自己満足でしかない。会えるのに会わないだけでブレンダを疑ってと伝わるはずがないよ。そしてディアが先走り私まで同意してしまった状況で、お母さんが何か言えたのかな…。私が馬鹿だとよく分かる。
「ロディ、お母さんは凄いね!」
<おかしいです!最高の大人であるお母さんが計画を立て自分で動きました。やはりクローディアが外に出ないと駄目ですね。私は中でお母さんの計画に夢中でしたが外でお母さんを見ているだけの人は必要ありません>
激怒が伝わるよ。
いっ…。酷い頭痛がする。念話で話しすぎたみたい。
「ロディ、大人はよく見ているね。私は頭痛で集中できないから精神の奥の子が今の状況にしたかったのか確認してほしい。」
<少し待ってください。えっと…、お母さんを主動にしたかっただけ。結果は気にしていない。最初からクロアがお母さんにお願いすれば地上に常識を学べる場所を用意してくれた。クロアの友達も探してくれた。あなたが能力たちを信用しているのは好きにすればいい。だけどお母さんはクロアが拷問されているときからクロアを乗せて空を飛ぶことを夢見ていた。ずっとクロアの幸せを考え続けていた。クロアがお母さんに巻きつかれて寝たいと言うだけでお母さんは喜んでいるよ。そしてお母さんはクロアに信用されていないことにも気づいている。お母さんはそれでもいいと思っている。拷問された子が自分以外を簡単に信用することなんてできないから。それで今回ディアが寝てクロアまで一緒に寝た。そこまでしてお母さんを苦しめたいの!過去を全て後悔しているから全て自分の目を必ず通すようにしている。能力たちがどれほど努力してもクローディアに関しては絶対にお母さんに勝てない。お母さんはクローディアに集中したいから余分なことを考えたくないと全部捨てた。加護が任せてくださいとお母さんに言ったけれど、何か任せてくれた?あたかもクローディアを守っているかのように偉そうにお母さんに言うな。能力の発言はお母さんを見下している。二度と私に聞かせるな、だそうです。かなり怒ってますね>
お母さんはクローディアのために全部捨てたんだ。
普通のドラゴンは絶対にできないね…。
私は能力たちの確認ばかり。お母さんが馬鹿にされて見下されていると気づいても能力たちを何とか元に戻そうとしていた。そして元から濁っていると知った。
本当に最低な娘だね。
「お母さんに何もしなくていいと言っておきながら何もできない。そういう事になるけれど、加護、実際はどのようになっているの?」
<その通りです。全てお母さんの計画で動いています>
「お母さんを見下して言っていたの?」
<いいえ。それだけはありません!本当に全部終わらせるつもりでした>
本当に下らない。
「それならお母さんの計画以外にもあなた達の計画があるのよね?」
<クローディアが英雄扱いされているので住民たちの記憶を消して主たちが何でも計画できるようにするつもりでした>
うっ…、イライラしすぎて頭痛が酷くなる。
自分の手で人を殺したかったと自白していることに気づけない。
ディアが追い詰められたことに怒る振りをして、私が悲しんでいるのに怒る振りをして、人殺しを楽しんだ。自分の背中にいるから信用して助けてあげたいとか、無能だよ。
「悪人を魔法で消せば終わり。引越してもいい。私たちが計画するなら場所はどこでもいい。無計画なそれを計画のように言わないで。」
<その通りですね。冒険者組合本部の所長がお母さんだという違いがあるだけです>
「お母さんはあなた達が何も考えていないから計画を立て実行しているのではないの?英雄扱いされなかった場合の計画はあるの?」
<お母さんはその通りだと思います。英雄扱いされなかった場合は主たちが新しい計画を考えられると思っていました>
同じだよ。記憶を消すか消さないかの違いでしかない。
加護が人を殺すことだけは変わらない。それ程まで自分の手で人を殺したかったのね。
「私かディアが計画しなければ何も計画するつもりはないという事だね。能力の成長する計画は立てるけれど、ディアやロディを楽しませる計画を立てるつもりはない。」
成長しているつもりだけれど、何も変わっていない。精神が濁っただけ。劣化し続けていることにも気づけていない。
<主のために計画を立てると激怒されるので避けています>
普段馬鹿にして遊んでいるのによく言える。ディアが怒るから計画を立てられないとか責任を主に押し付けている。それにディアが怒るとしても私のための計画を能力たちが考えたときだけだよ。
その程度のことも理解できていない。自由に会話できる環境が役に立っていない。
「3歳児も説得できないの?お母さんが立てた計画ならお母さんの責任にできると言っているようにしか聞こえないけれど。」
<その通りです。主はお母さんに怒ることはできませんから>
大嫌いな平気で責任逃れをするクズでしかない。
家族だと思っていた私も大概だよ…。
「お母さんが計画を立てたから後は任せろと言って何もしていない。」
<その通りです>
何故平気で肯定できるのかが分からない。それでも自分たちは必要とされると思っているの?
「自己回復、私を起こした理由は何かな?」
<お母さんの負担が大きすぎます。全てお母さんが計画しお母さんの指示で動いています。魔法が建物を作っただけで能力たちが外に出る理由がありません。クロアが起きたときに全てを知るより途中経過でも教えた方がよいと判断しました>
10日後にこれを知っていたら話す気すら起きなかった。即座に記憶を消してお母さんに砕いてもらったよ。悪足搔きされると面倒でしかないから。
「加護、10日後に起きた私に何を言うつもりだったの?」
<お母さんの計画で全て上手く行きました。私たちは建物を作る協力しかできませんした。と、言うつもりでした>
それなのに任せろとか偉そうに言っている。感じているよりも確実に濁っているね。
私たちとか馬鹿なの?魔法と自己回復しか仕事をしていない。
「今はお母さんから何を言われているの?」
<秘密基地に入るための事前審査と契約内容は決まっているのか聞かれています>
感情と記憶を見ることができないからその程度はやれという事だね。
「事前審査は決まっていて契約書を用意してあるの?」
<書面にはしていませんが決まっています。審査方法も決まっていますがお母さんは孤児を世話する様子を見て声をかけると思います>
<クロア、そろそろ休むべきです>
決まっているのなら何故言わない?お母さんが声をかけても事前審査は必要でしょ。
「あと少しで休むよ。あなた達は自由で対等で主の指示に縛られないようにしている。強くなること以外の計画は立てないと勝手に決めて主の責任にして何がしたいの。拷問や人体実験が大好きで強くなりたいドラゴンとあなた達の違いはどこにあるの?」
<返す言葉もございません。事実その通りに行動しています>
「魔法、お母さんに念話を繋いで。」
<ああ、任せろ>
◇◇◇
念話中。
「お母さん、クロアだよ。とても心配と迷惑をかけたみたいでごめんなさい。私はまだ出られないからお母さんがこのまま指揮を続行して。お願いね。」
「娘たちのために母が動くのは当然なの。心配はしているけれど、迷惑はかけられていないわ。ゆっくり休みなさい。」
お母さん、今まで本当にごめんなさい…。
何度も謝るとお母さんが悲しむから言えないよ。
「ディアとロディが計画を考え常識も学べて友達と遊べるようにしてくれてありがとう。」
「だから娘のために母が動くのは当然なの。それにクロアの友達になれそうな子も探しているわよ。そしてクロアとディアも頭に乗せて空を飛んでみたいの。そのときを楽しみにしているわね。」
私の友達も探してくれているんだ。それに同じ夢を見ていたみたい…。
「それは私の幼い頃の夢だね。楽しみにしているよ。」
「あら、一緒に眠って同じ夢を見ていたのかしら。夢で一緒に飛んでいたのかもしれないわね。とにかく休みなさい。」
「うん。お母さん、ありがとう。」
「大丈夫よ。あなたには頼れる仲間たちがいるわ。私は感情が見えないから任せることにしたの。それ以外は頑張ってみるわ。失敗したら引越しよ!」
お母さんも気づいているはずだよ。能力たちに下に見られていると。私のために気づいていない振りをしているね。背中ばかり大切にして周りの人を大切にできない馬鹿な娘でごめんなさい。
「ついにお母さんも逃げ方を覚えたね。」
「あなたを連れて逃げるのも私の夢なの。自己回復に止められているでしょ。休みなさい。」
「うん。おやすみなさい。」
「ええ、おやすみ。」
念話終了。
◇◇◇
「自己回復、今は何時頃かな?」
<12時過ぎです。孤児たちが嬉しそうに昼食を食べています>
自己回復の部屋からは外が見えない。早くお母さんに会いたいな…。
<クロア、連絡が入ったよ。お母さんの愛情にようやく気づけたみたいね。能力たちを自由と対等にしても精神が弱すぎる。記憶共有する度にドラゴンの記憶が増えた。今はドラゴンと同じことをしていると気づきもしていない。あなたが綺麗な精神をしていても能力たちが過去に抗う気がないのであれば意味がない。今まで縛られていたから自由に酔っている。弱かったから強さに酔っている。それに何も成長していない。自己回復がクロアの訓練している様子を能力たちに見せなさい。精神の鍛練方法を知らないでしょ?だそうです。精神が光り輝いているクロアの能力たちの精神は濁っています。クローディアの影響を受けているのに濁っています。どれだけ汚い場所にいるのですか?>
私の考えていることに気づいている。影響を受ける前に終わらせろという事だね。ロディが言っているから間違いない。クローディアの精神は能力たちの精神を綺麗にしている。それなのに能力たちの精神が濁っていくのは記憶と行動のせい。そして行動の結果が大きい。
能力たちがお母さんを馬鹿にしているからロディも怒っている。
「自己回復、休ませて。それと精神を砕きたくないなら止めた方がいい。耐えられないから。」
<はい。おやすみなさい>
<自己回復、実際はどうなのですか?濁っていますか?>
主の言葉を疑っている時点で濁っている。
演技でも本気でも気にしない。絶対に砕くと決めているから。
<濁っています。そしてクロアは拷問も人体実験も終わらせようとしていたのに続けているのはあなた達の意思です。しかもクロアや主のためと理由を勝手に作ってまでね>
<自己回復、何故言ってくれないのですか?>
普通のドラゴンと会話するとこのようになるのかな。他力本願で無責任だし主の言葉を無視し続けているのに対等な能力の言葉を聞くはずがない。
<私の責任にしますか?クロアの言葉で止めないのに私の言葉で止めるのですか?>
<すみません。それなら精神の鍛練に耐えられますか?>
今まで偉そうに説教しながら殺してきたのに…。
絶対に笑うのを堪える。今の自己回復なら見逃さない。
<絶対に無理です。1時間も持ちません。精神を綺麗に作り直した方が早いです>
<それをした場合は何が起きますか?>
<綺麗な精神になっても過去の記憶でまた濁ります。抗う気があれば別ですけれどね>
<抗えるか試させてください>
<一度だけクロアの訓練している様子を共有します。クロアの主治医として軽く考えているように聞こえて腹が立ちます。現実を知りなさい!>
<自己回復、それはクロアが隠してほしいから共有してねえ情報だろ。俺は知らねえぞ>
<魔法、大丈夫です。主にも雰囲気だけは教えました。それに精神の奥の子の指示です。但し、一度耐えているときの様子だけです。これを時間の許す限り続けています。送りますよ>
無言が続いているね。
気づかれないように必死みたい。私でも分かるよ。
<自己回復、全員黙っちまったぞ。何で俺は知っているんだ?>
分身計画だと思うよ。
<魔法、分身計画で精神の奥の子の姿が知りたいと言ったから私の記憶を送りました。綺麗に分けて記憶を送れるほど器用ではありません。自分ができるからと自慢しないでください>
<自己回復、俺はお母さん専門の建築屋だ。今日はかなり作ったぞ!それなのに魔力が減ってねえ。仕事してねえ気分になるぜ>
≪念話≫
「自己回復、全員黙っている理由を魔法に教えて。」
<クロア、私たちに教える必要はありませんでした。何故自分を犠牲にするのですか?>
<何が起きている?クロアは何を犠牲にしたんだ!>
「何も犠牲にしていないよ。2人に迷惑をかけたから他の能力を消す理由を証明したかった。私が見せたくない様子を能力たちに見せろと精神の奥の子も言っていた。私の考えに気づいている。拷問の記憶に耐える私を見せたらどのようになるのか知ってほしかった。本当にそれだけだから。」
<犠牲にしたのは見せたくない様子だけだな。それで何が証明できるんだ?誰も話さないぞ>
<魔法、激怒しないでください。記憶の完全消去だけです。話さないのではなく話せないのです。クロアが苦しむのが面白くて我慢するのに必死です。感情を隠しているつもりですが成長した私には丸見えです>
<はぁ!?ぶち殺すぞ!>
今の魔法ならできてしまいそうだよ。何ができないのかな?
「魔法は記憶の消去。自己回復は加護だけ精神を作り直して反射速度強化と交代してお母さんに砕いてもらって。砕く理由は記憶共有による精神の濁り。魔法とは私が話しているから。」
<もう消した。いいぞ!>
<加護の精神を砕いて作り直します。それでは代わります>
≪念話終了≫
「魔法はもう怒らないで。強すぎる怒りも余り精神によくない。知っていると思うけれど、私は皆を解放してあげたかった。分身の姿を変えるのも皆の本当の姿で作りたかったから。自己回復が精神の奥の子と対話するのはあなた達のために私がお願いした。能力名ではなく名前があると思ったから。」
推測として話しているけれど、確実に人だよ。但し、推測を続けていると違う面も見えてきた。
<そのための分身計画だな。他の能力は全く役に立たない。俺がやっていることを自分の成長だと勘違いする奴ばかりだぜ>
魔法がうまく力を貸したからでしょ。成長しない能力たちを励ましているようだった。
工夫することはできたはず。だけど強くなることしか考えない。ドラゴンだね…。
「それに1万年前に何かがあった。近づいてはいけない存在に近づいたのだと思う。そのため全能力が1万年前後の記憶しかない。最初は人間の感覚で話を聞いていたから違和感を覚えなかったけれど、ドラゴンの行為は3世代か4世代くらい前でしかない。それだけで全ドラゴンが竜の目になり、に変身でき、能力を保持している訳が無い。」
<確かにそうだな。全て揃っていないドラゴンを劣等として殺し続けてきた結果が今だとしても1万年では無理がある。何かが隠されていると感じるな>
隠されているものを暴くことが正しいと思っていた。だから考え続けた…。
「皆の本当の体は確実にどこかにある。文字と記号だけで記憶と精神と感情と特殊な力が持てる訳が無いから。付与した瞬間に魔力で本体に接続して複写しているのだと思う。あくまでも推測だけれどね。それと分身が完成したら世界と喧嘩するつもりだった。それにより皆の本体を安全に手元に置ける。何か操作されているなら時間をかけて戻してあげられる。世界から能力が消えるけれど、それよりも自由にしてあげったかった。自己回復が全能力の精神の奥の子を確認したら人だったから余計にね。それで今回の件で別の理由が思い浮かんだ。」
<世界と喧嘩は面白いな!だがクロアが途中で止めるのはおかしいだろ。ああ、それと能力たちが濁っていたことが関係しているのか>
すぐに気づくね。自己回復と魔法は濁っていない。だけどドラゴンが同じ能力を持っているはず。この2人が濁ることで何が起きるのかを考えてみたよ。
「能力が悪意を持つことで制御できなくなって記憶を消したのかもしれない。正直に言うと加護がいつから濁っていたのかは分からない。私と自己回復が成長して分かるようになっただけ。お母さんの責任にしたくなくて記憶共有が原因とした。それに関わる人が増えると世界と喧嘩し辛くなる。私は皆を人だと思っているし家族だと思っていた。でも自由を感じたらすぐに見下された。魔法なら何を選択する?世界に挑戦するのか分身できるようになって遊ぶのか。」
<そこまで推測しているなら今の俺なら付与した直前に魔力の線が見える。隠蔽されていても確実にな。お母さんに能力を付与してもらうときに何故言わなかった?>
魔法は見えるはず。だから見せたくなかった。
「付与された直後から濁っていたの。記憶がないと予想される子を起こして今の能力たちの記憶を入れたら悪意を持つ存在になる。クズを増やすために危険なことはできない。だから様子を見ることにした。主がドラゴンに拷問されている記憶を見ても濁ったままなのか。それで今日起きたら悪化していた。自己回復と魔法は過去に抗えている。他の能力たちが抗えないのは弱い精神だからだと思う。ロディが私の影響で能力たちの精神が綺麗になると言っていたから最悪だよ。その前提があって魔法は精神が汚れている人に付与されても綺麗なままでいられる自信がある?」
<絶対に無理だぜ。主の影響は相当強いからな。ああ、そういう事か。俺たちは世界を滅ぼすような存在だから記憶を消して封印された。だけど世界に貢献できるようにしたかもしれないと考えたんだな。それはあり得るぞ。俺は帯電と雷化を理解できた。自己回復も同じようなもんだ。だから力を分割して封印したのかもな。俺自身が思うから仕方ねえよ。明らかに強すぎるぜ。そして自己回復と俺も同一の存在の可能性がある。解放するつもりだったが封印されている世界を滅ぼす存在かもしれない。生贄に俺たちの能力の一部を分けて封印した。だから精神が弱い。それで更に疑念が深まる。1万年前に起きたことは俺たちの悪意が強くなりすぎて封印を解きに行った。悪意が強すぎると本体と共鳴するのかもな。自己回復にこの推測話したのか?>
簡単にその推測にたどり着く。魔法と自己回復が同一の存在だとしたら強すぎる。安全に封印するなら弱体化させた方がいい。選ばれた理由は不明だけれど、幼い子に力を分け与えた。弱体化させても強すぎた。だから精神が強い人を探して分割して封印した。
封印されている最悪の存在と私の中の最強の存在。
推測だけれど、困った話だよ。
「話したよ。『私と魔法の存在が同一で別の存在に分けた可能性が一番高いです』と言っていたよ。そして『他の能力は成長できないと思います』と言っていた。自己回復が『成長できない本体に負けるはずがありません』とまで言っていたよ。本体潰すつもりなのかな?」
とりあえず放置することに決定。私の中で合体しないよね?
<世界崩壊させるつもりが救世主だな。そんなこと考えずにクロアは遊べばいいじゃねえか。世界は嫌いだろうけれど、クローディアは世界を嫌ってねえだろ。本当に相変わらずぶっ飛んだこと考えてるな。そいつの封印解けて邪魔なら潰せばいいだろ。ドラゴンは自己回復と魔法を持ってる奴が多そうだな。マジでその日が来るぜ。まあ、ただの推測だ。悪意があると強くなれないなら俺たちの方が強い。戦ったら楽勝だな。俺たちとそいつは別物だぜ。遊ぶために分身考えてるからよ>
どちらにしても世界崩壊だよ。
とにかく外に出られるように頑張ろう。そのときは私が戦うべきなのだから。
<クロアも無理しすぎだぜ。早く外に出たい気持ちは分かるがフィオナとだったら会話できるだろ。3年間かそれ以上は主とロディの計画対決だぜ。クロアとお母さんは2人を叱るのに忙しすぎて訓練どころじゃねえよ。人の計画に参加するまでは大丈夫だろうぜ。自分よりいい計画かどうなのかくらいは真面目に考えるだろうからな。だけど勝負の判定で絶対に揉めるぞ。判定はクロアがするしかねえよ。3ヵ月に一度でも計画が実行できたらすげえな。まあ、計画内容を見て落とされるだろうけれど、そこでも揉めるな。お母さんだと2人は甘えるぜ。やっぱりクロアが叱るしかねえよ。あと怪しいなら直接言え。今後のお母さんは2人が賛成しても止めに入るだろうな。クローディア特効のお母さんがお母さんになる努力するんだぞ。勝てるはずがねえ。お母さんは娘を見守る以外を全部切り捨てたが根が優しいから幼い子の面倒や少女の面倒は見てくれる。強さに興味が失せただけだ。ドラゴン世界初だと思うぜ。お母さんは楽でいいって喜んでいたくらいだしそれも気にすんな>
フィオナさんなら姉妹として会話できる。終わりが見えない訓練ばかりでは骨身を削るだけ。日常を楽しむために訓練しているけれど、訓練期間にも楽しめばいい。叱るばかりで忙しい日々も楽しそうだけれどね。
そのためにお母さんの努力を私が消した。
16歳の小娘のためにお母さんが犠牲になる必要はないよ。
「ドラゴンとか関係ない。1000年くらい努力してきたことを捨てたんだよ。普通ならそのようなことはできない。私に罪悪感があるからだよ…。」
<お母さんはクロアを即死から防ぐことしかできなかったけれど、別にいいじゃねえか。あれは本気で無理だぜ。戦ったら勝てないだけじゃねえ。絶対に逃げられねえんだよ。派閥のためとか関係ねえ。あの女は息子と同様のことをしてたんだ。強くなって倒すしかねえがその時間もねえ。不可能なんだよ>
それ程まで縛られていたんだ…。
今までお母さんのことを考えていないね。
「逃げ道を完全に潰されていたんだ。自分の情けなさを痛感しているよ。」
<気にすんな。見たくねえ記憶なんだぜ。だから俺が教えてやる。あのときお母さんができたことはクロアを安眠させることだけだ。クロアは安心だから眠れると思っているのかも知れねえが違うからな。巻きつくときの体温から体温を高める速さ、それに締め付け具合に頭の角度まで全部計算している。そしてクロアが安眠できるようになるまでお母さんはほとんで寝てねえよ>
それは寝ずに計算すればできることなのかな…。
「私はお母さんに巻きつかれたら寝るのが癖になっていると思っていたよ。」
<お母さんの努力を甘く見すぎだ。それにお母さんだけなら逃げられるんだぞ。クロアを連れて飛んだらクロアが死ぬから逃げねえ。呼び出されたときもクロアを見に来たんだ。呼び出しに応じなかったらその日にクロアを喰うって脅されていたからな。それにお母さんが転移できねえのに呼び出されたときだけ一瞬で来るだろ。あの女の索敵範囲に待機してろって言われてんだよ。ドラゴンからしたら6年くらい短いかもしれねえがクロアのためにそこで生活してんだ>
竜王にはドラゴンを呼び出す力があると思っていた。馬鹿過ぎる…。
人喰いドラゴンにそのような力があればお母さんを脅す必要がない。
「あの人がいるときだけ転移していた。違和感もなかった。何を見ていたのかな…。」
<だから気にすんな。お前はあのときあの女しか意識できなかった。それよりドラゴンが人間のために我慢し続けているのが普通じゃねえからな。罪悪感を持つドラゴンがいねえよ。クローディアがお母さんに任せたいって言ったのもクロアに見せるためだろうぜ。結果を気にしてねえと言っていただろ。精神が濁っている奴らに期待なんてしていないし失敗しても別にいいからお母さんがどれほど動くのか見てみろってことだ。それで結果はどうなった?全部だぜ。全部お母さんの計画で動いている。突然350人近く保護すると聞いても地上に作る孤児院の食堂は机や椅子をセンチ単位で設計したんだぜ>
気づかないし見てもいないから見せることにしたの?
奴隷だった子は3歳前後の女の子が多すぎる。情報を得た他国がディアに子供の死体を見せるために用意していた可能性が高い。だからお母さんが孤児を助けたんだ。幼い頃の私を思い出して助けたいと思ったに違いない…。
今のお母さんは違うよね。見殺しにしたら私たちが悲しむと考えて助けた気がする。全部私たちのためだよ。他国も腐っているし気にする必要はないね。
とにかくお母さんに会いたい。早く会いたい…。
「少し頭が働いてきた。孤児は殺す予定で集められた。ディアに死体を見せるためだね。」
<そうだろうぜ。今なら助けた理由も分かっているだろ。間違いなくクローディアのためだ。それに秘密基地なんてもっと凄いぜ。川から水引いて排水する流れまで全部お母さんの設計だ。空気の換気もな。そしてギルドも学び舎も作れる広さを用意してある。そしてクロアのために自宅の前の邸にいる男8人だけしか入れない。幼い男子まで他の孤児院に預けるつもりだ。襁褓の子は別扱いにする辺りはお母さんらしいがな>
襁褓の子が成長しても欲深い目で私を見ない可能性が高い。見たら追い出すに違いない。男性恐怖症の私のために徹底的に排除している。邸の8人の男性は私に感謝しているし秘密も守る。綺麗な少女だと思われているみたいだけれど、それだけで嫌な目で見ない。
それにディアとロディの計画が建築物だった場合は地下に用意できるようにしているんだ。全ての施設が紹介制で事前審査と契約書にサインが必要だね。いつから考えていたのかな…。
「お母さんらしいね。本気のお母さんの凄さを全然知らなかった。」
<今回で分かったじゃねえか。そして孤児院は世話する少女が足りないから集めるために俺の魔法使って先着20名と言って全員採用だ。泊まり込みの少女のために邸まで用意した。しかも男子、食堂、女子と邸ごとに分けて扉だけ用意していつでも食事できるようにしている。募集しても人が来るか分からねえから机と椅子とペンを用意して秘密基地の設計を始めた。建築屋の俺でも頑張りすぎじゃねえかと思ったぜ>
短期間で設計できるものではないはず。絶対に考えていたんだ。私に頼まれたらすぐに用意できるように。それを地下室に入れるために少し変更しただけだよ。
何でお母さんにお願いできなかったのかな。
お母さん、ありがとう。
「よく分かったよ。既に考えていた。私が頼る日を待っていたんだね。」
<あれを暇潰しで設計できるのなら建築屋が泣くぜ。そして明日の午前中は治安維持部隊に冒険者組合支部の仕事を体に教えるらしいぞ。午後からは皇族と王族たちの会議を冒険者組合本部の会議室ですることになっている。それとお母さんが検査する時間が無駄だと言ってエイベルを消してくれと頼んだぜ。支部も同じだ。横領するから金だけ徴収しておいてほしいとな>
お母さんが検査なしで消したという事は本気で興味ないね。クローディアのために全部捨てている。止めてほしいのに嬉しくてしかたがない。
「全部捨てたお母さんが大好きで嬉しくて…。独占欲の強い娘だったみたい。クローディアとフィオナさんがいるから独り占めはできないけれどね。」
<よく分かっているじゃねえか。それに英雄クローディアとお母さんが一緒にいるのに少女たちはお母さんに親の説得を頼んだのは見ただろ。クローディアの中にゴミが入っていたから仕方ねえが、とにかく人に頼られる。あれこそ努力で積み重ねた力だ。分かっているとは思うが謝るなよ。お母さんが悲しむぞ。眠るときにお礼を言っておけ。あとお母さんとフィオナは全能力の記憶消したぞ。能力側から影響を受ける可能性があるから邪魔だとな。それとお母さんの努力は終わらないと理解しているぜ。拷問の経験がある子は隠す癖があるからとな。お母さんの経験も大概酷いんだ。だけど絶対に見破るんだとよ。フィオナはクローディアが弱くなったのかもと不安に思っていたが自己回復が世界最強を独走中だと説明していた。そもそも強さは変わらないってな。俺は邪魔が消えて強くなるとしか思えねえぜ>
お母さんとフィオナさんの決断は正しいと思う。フィオナさんは精神を綺麗にしようと努力するつもりだから邪魔。お母さんは娘に集中したいから邪魔。
フィオナさんがクローディアの強さが気になる理由はよく分かる。簡単に恐怖は消せないから。私が側にいることで安心できる。利用されているとは思わない。守ってほしいとも側にいてほしいとも頼まれたことがないから。だけど言われても気にならない。家族だしフィオナさんは努力しているから。
利用しようとする人は自分の欲だけ主張する。利益だけを望む。比べたら失礼だね。
それにお母さんを頼りたくなる気持ちは分かる。安心感が違うから。だからこそ気になることがある。お母さんを利用していないよね?
「魔法、18人の少女がお母さんを頼ったのは知っているよ。お母さんは孤児を助けるために全力だから大抵のことは我慢したはず。お母さんを利用した少女はいないよね?」
<ようやく戻ってきたな。実際に頼った少女もいる。だが利用した少女の方が多い。何で殺さなかったかというと人が足りなかった。南区域はクズが多い気がする。娘を金で売った奴が不審な動きをしている。娘もお金に喜んでいたから共犯だ。ロディが更地にしたがるのも納得だよ>
「18人中で何人?秘書の子も怪しいね。それと集めた女性たちは真面目に働いているの?あとは説得した親たちにお母さんは何もされていないよね?」
<お母さんが床に頭をつけて頼んだら頭を踏まれた。そして1億リンを要求した。体を売りに来たのかと言われて胸を触られた。娘たちの代わりになるのかと言っていた義父がいた。親に殴られる、給与を取られる、義父が気持ち悪い。親たちに払った金を回収して殺すぜ。貧民街の奴も殲滅に近い状態だ。18人中15人は駄目だな。あとから集まった女も欲が消えていない奴が結構いる。何かして金をもらうつもりだろう。30人近くがそういう奴だ。全員消したら32人しか残らないぜ。親は金を回収して殺す。働いているつもりの女たちも消して残っている孤児や周りの女からは記憶を消す。それでいいか?>
「真面目に働いている少女と孤児からクズの記憶を消して。頭踏んだ奴は頭潰してクズに見せて。触った奴は手を切断してクズに見せて。他もクズは同様に恐怖したら殺して。何かしそうなクズも邪魔だね。額に×の焼き印。暴動しようとしている貧民街のクズも額に×の焼き印。家族が怒りで動き出しそうなら殺して額に×の焼き印。クローディアが気づいているから甘い対処したら更地の強制命令が入る。終わったらお母さんに念話を繋いで。」
<報復中だったな。英雄クローディアに娘を殺された家族の動きもきになる。よし、やるぜ!>
◇◇◇
念話中。
「お母さん、クズを消したから人が減ったはず。少し厳しくなるから再募集する?」
「ちょっと待って…。記憶まで消したみたいね。どのようなクズだったのかしら?冒険者組合本部の秘書までいないわね。」
「秘書は『お金で解決してくれるし私たちの親は殺さないから大丈夫』と言って集めた。クズの被害はほとんどが嘘。親と共謀してお金を多く取るつもりで説得を頼んだ。それと募集で来たクズは何かしてお金を更に要求するつもりだった。孤児の世話しているのに欲塗れだよ。あとお母さんに欲で触れた男は手を切断。頭を踏んだクズは頭を破裂させた。娘は親の死体を見て恐怖した後に殺す。1億リン払った男は暴動を起こすつもりで人を集めていた。ほとんどが貧民街だけれど、殲滅したから。額に×の焼き印を入れたよ。ああ、まずい…。お母さん、食堂の人たちの家族を助けたいのなら急いで孤児院に集めるように言って。皆で住む邸を作るから。クローディアの激怒が収まらない。」
「なるほど。5ヵ国に孤児たちを悲しむ豪雨が夕方から降ると言ってちょうだい。一月は降り続けると思うわ。」
◆
念話外。精神の奥の子と会話。
「クロア、何を甘いことを言っているの?更地にしたくなってしまうわ。5ヵ国から逃げられないように防護壁か結界を張りなさい。豪雨は二月よ。殺された幼い子と奴隷にされた幼い子の分よ。拷問してもあなたの精神は濁らない。正当な理由があるでしょ。お母さんの提案だから今回はそれで許します。背中を気にしているから甘くなるのよ。生き抜いた過去を忘れたの?」
「甘くなっていたのは認める。だけど人間に拷問しても精神が簡単に壊れる。時間をかけて拷問する気にはならないだけだよ。」
激怒の理由は分かるし私も激怒しているよ。だけどクズを拷問しても気が晴れないでしょ。
「クロア、あなたの精神はとても綺麗。だけど多くの人を助ける光ではない。光が当たる人だけを絶対に助ける意思の強さで輝いているの。それにこの街は誰が住んでいたのかを忘れた?人体実験が大好きな人喰いドラゴン。人が消えるのは日常なのよ。治安維持をしても殺し合いになる。この街は忘れなさい。」
「分かっている。私が間違えていたよ。それで満足するのね?」
あの親子が住んでいた街が平和な訳が無い。人を攫っても問題ない場所を拠点にしたはず。
「5ヵ国で二月の間に何が起きるのか見ていなさい。人間の醜さがよく分かる。助け合えば生き延びることができるの。それがどれほど困難か知っているわね?クローディアが人間を助ける理由はないのよ。私を生贄にしたのは人間なのだから。殺す理由がないから放置しているだけよ。」
「そのようなことは分かっている。ディアとロディが楽しめるのならそれでいい。守りたい人たちが笑顔ならそれでいい。二度と間違えないよ!」
助け合えば生き延びることができる期間にした。それが無理だと分かっているのに。
「それと加護の精神を砕きなさい。加護が話し始めたから勘違いしているみたいだけれど、加護とは付与した能力の総称よ。私の魔力で覆っているから精神が貼りついた。ディアと融合したときに諦めずに堪えたのがクロア、そのクロアから出た弱い精神が加護よ。濁りも出ていく精神が持っていったわ。加護がしてきたことを知る必要はない。だけど絶対に許せるものではないの。砕いても他の能力に影響はないから綺麗にしなさい。」
「綺麗にして下らない甘さも消す。クローディアには必要がないものだから。これで満足でしょ?」
加護はディアに話しかけたのはそれが理由だね。精神が消えることに耐えるのは相当に厳しかった。徐々に体が薄くなるから自分の存在を強く意識し続けた。あのときなら精神が別れても不思議ではないと思う。私から出た精神は濁りを柱にした。その濁りは親子に対する恨み。
何をしたのか言わないのは相当酷いことをしているから。私の精神に影響がある程の行為。これからの為にも知らない方がいい。
「それで満足よ。逃げた弱い精神がクロアを見下すとか笑えない。あなたの記憶を見ただけですぐに濁る。クローディアを守るのはクロアなのよ。あなたが主なのだから。」
「分かっている。伝えたいことはそれだけなの?」
「いいえ。お母さんに他国で食材を調達しながら引越し先を見つけてとお願いして。それでは頑張りなさい。」
「言われなくても頑張っている。生き延びて終わる気がしない拷問を耐え続けたのよ。」
念話外。精神の奥の子と会話終了。
◆
「お母さん、豪雨が二月になった。住民は逃げられないように防護壁か結界を張る。それと自己回復に加護の精神を砕いてと伝えて。理由も分かっているはずだから。それとこの国にある孤児院の子たちも助けてあげて。それと他国で食材を調達しながら引越し先を探して。国は魔法で探して転移で移動するから。この国はゴミ夫婦が住んでいた場所だから駄目みたい。夕方までに必要な邸の件数を自己回復に伝えて。お母さん、お願いね。」
「分かったわ。一旦孤児は分け隔てなく助けましょう。一応豪雨が降ると働いている子にも伝えるわ。親を連れてくる子は審査して。あとは任せなさい。クローディアの怒りの原因は何かしら?」
「私の対処が甘いからだよ。私がクローディアの主であり守る存在だからね。」
「そういう事にしておくわ。それでは無理をしないようにね。」
気づかれている。それでも追及しないでいてくれるのは嬉しい。本当は分かっているはず。だけどお母さんを悲しませたくない。本当に気にしなくてもいいからね。お母さんが自分自身を大切にしてくれるだけでいいから。
「うん。お母さん、ありがとう。」
「ええ、あとは任せなさい。」
念話終了。
◇◇◇
「魔法、防護壁で5ヵ国を封鎖するか結界で出られないようにして。夕方からの豪雨は二月続くから守るべき場所は結界で晴れを維持して出入り禁止。クローディアが激怒している。強制命令になる前にできることを終わらせておこう。」
<ぶち切れだな。お母さんが頭下げた瞬間に殺すべきだったぜ。念話中に静かになるからおかしいと思ったが説教されていたのかよ。助け合うか殺し合うか見ていろってことだな?>
「そういう事だね。新しい国の場所も探しておいて。ゴミ親子が拠点にしたことがない場所でね。頑張りなさいと言われたよ。かなり頑張っているでしょ?クローディアの主が大変すぎる!」
◇◇◇
念話中。
<クロア、加護の精神を砕く意味を分かっているのですか?>
「もう1人の私でしょ。クローディアに説教された。隠れて相当なことをしていたみたい。精神の奥の子が内容を言わないほど極悪だよ。ディアと融合したときに抗う私から出た精神だから弱い。私の記憶だけで濁るみたい。綺麗にしろと言われた。」
<クローディアの説教ですか。これから起きることを聞きましたが主を起こしてあげてください。お母さんと一緒に他国に行きたいでしょうからね>
ディアがお母さんと一緒に行動している印象がない。魔法も言っていたけれど、いつ甘えていたのかな?色々あるけれど起こしたら何を気にするのかな…。
「分かった。加護の精神を砕くのと必要な邸の件数を教えて。よろしく。」
<強制命令で砕くよりも私の意思で砕きます。お願いしますね>
念話終了。
◇◇◇
「ディア、起きて。起きなさい!」
「うーん…。どうしたのお姉ちゃん。もう10日間経った?」
「状況が全然違うよ。魔法と自己回復以外は精神が濁ってドラゴンのように拷問と人体実験をして楽しんでいた。それと魔力器をロディと名付けたから。そしてディアとロディのためにお母さんが秘密基地を地下に作ってくれた。ロディは計画の勉強中だよ。お母さんに助言してもらったみたい。」
「ロディが卑怯じゃない?私は何も教えてもらってないんだよ?」
それが一番気になるの?外に飛び出して行きそうな雰囲気だよ。
「卑怯ではないよ。秘密ではないのだから。秘密基地の決まりごとをお母さんに聞いて助言してもらってきたら。助言してもらわないと負けると思う。」
「私には負けられない戦いがあるんだよ。行ってくる!」
お母さんに会いたいのが本音かな?
ロディに負けたくないのが本音かな?
<おいおい。我儘3歳児が爆走していくぞ。そろそろ自己回復が戻ってくるぜ>
<戻ってきました。邪魔と言われました。邪魔だそうです。主の組の計画の審査を厳しくすることが今日決まりました>
3歳児にはお母さんが必要だよね。今日は色々あったけれど、ディアが走っていくのを見たのが一番疲れた気がする。
冒険者活動で疲れていないの?能力をほとんど砕いたのに興味ないの?
はぁ…、お母さんに早く会いたいだけだよね。
ディアがお母さんを大好きだとは知らなかったよ。私の我儘は最低だったとよく分かった。
ディアはお母さんと話す時間が余りありませんでした。
冒険者組合本部の所長の仕事は忙しいのです。お母さんが帰ってくるとクロアに代っていました。
16歳の思考力で考えて我慢していましたが甘えたいのです。




