第24話 お姫様 後編
それにしても進まない。護衛たちが何を話してるのか調べれるけど殺したくなりそう。血を見るのは避けたいし新しい生活の場所をなるべく汚したくない。
いつまで待たせる気なのかな。こちらを振り向く気もない。護衛なのに姫様のことが気にならないの?これは護衛の態度ではない。保身しか考えてない気がする。国王より一族より私の方が怖いと思うんだけど。そのことは考えないようにしてるのかな。
≪加護:アイダの記憶を見て家を再現することができる?≫
<それはできませんがアイダの加護と私を繋げば同じことが可能です>
≪加護:少しは反省したみたいだね。仲間たちにも伝わるように頑張って!≫
<私は主に尽くすのみです!>
「家を決めないのならアイダの住んでた家をここに建てる。それでいい?」
「ここの敷地では無理よ。無駄に広すぎるの。私は普通の家がいいわ。姫には疲れたし戻りたくないの。目の前の邸でも大きく感じるわ。ゆっくり過ごすなら温かい木の家がいい。お風呂は皆でのびのびと入りたい。あなた達、本気でそろそろ決めなさい。護衛が姫を休ませるつもりもないとかどうしようもないわね。上手く説得しなければ一族が滅びるわよ。ディアに迷惑をかける前に私が滅ぼしに行こうかしら。」
一族の人は護衛たちよりも最低な人が多い気がする。殺意や敵意を向けてくる可能性があるという事だよね。それに相手の気持ちを考えるつもりがない。一緒に暮らす価値もないし守る価値もない。
アイダが話しかけても無視するのはおかしい。もう待てないよ!
「ねぇ、そのまま黙り続けてると私が怒って殺すとは思わないの?アイダの両親を前にしてもそんなに待たせるの?私が3歳児だから侮ってるの?壁に話しかけてる気になる。」
「ディア、あなたが怒るとクロアが苦しむわ。邪魔なら記憶を消して飛ばせばいいの。この人たちは姫の護衛ではなくて王の密偵だと思うわ。国王と王妃が目の前の少女の気分次第で殺されるとまでは理解できないみたいだけれどね。それに密命を守れないし王女も連れて帰れない。流石に世界を滅ぼせる相手を前に悠長すぎるわ。怒っているのはディアだけではないのよ。ディアの全能力が怒っているはずだわ。邪魔だと思われたらあなた達の一族は殲滅される。本人が気さくだから忘れがちだけど世界一ご機嫌を取らないといけない相手なのよ。」
護衛たちはどうすれば動くの。脅しても動く気配がないし飛ばすしかない。邪魔だよ!
「何よこれ!?ここまで主を無視して救出してくれたディアを無視して相談してるなんて、我慢の限界にも程があるわよ!アデーレ、知ってることを話して。内容次第で私が殺すわ!」
「そうですね…。姫様の護衛9名のうちフィオナ以外の8名が国王様の密偵です。つまり私も密偵です。口伝の厳しい掟に訓練、一族の代表として護衛と密偵の任務。私たちが一族の顔としての役割を持つので責任が重く、周りから厳しく見られ煩く言われます。幼い頃から訓練漬けの日々でした。そして先程全てが無駄だと知りました。掟も口伝も正しくない。誰一人として真実にたどり着いていない。それが認められないのか諦めていないのか分かりませんが、今までの日々を意味のなかったものにしたくないのでしょう。」
その気持ちと私たちを無視するのは別だよね。意味のなかったものにしたくないだって?本気でそれを覚悟したこともない癖に…。
「下らない、下らない、下らない!お姉ちゃんは拷問で1万回以上も死にかけたのに全てを私に捧げてくれた。消えるときに流した悔し涙も、今まで耐えてきた全てが無駄になることではなく私を守れなくなるからだった。そして私には嬉し涙と言った。全てを奪う私を笑顔で抱っこしてくれた。お姉ちゃんは全てが偽りだったけど初めて抱いた本物の感情が私を守りたいだった。こいつらには何も本物がない。そのままこちらを振り向くこと…。」
(ディア、止めて!ここを血で汚さないで!それに狂った自己回復の嘘を信じてどうするの。私は3歳のディアが凄く可愛くて泣いただけ。ここはゆっくり過ごす場所だから血はいらない。)
【もー!お姉ちゃんは噓吐きだよ!】
勢いで殺したら何も変わらない。無視されたから殺すのは何も考えてない。少し問題が残るけどアイダの場所を気づかれなければいい。
≪加護:アイダかフィオナかアデーレの念話を感知したら教えて≫
<少しの間に随分と考えられるようになりましたね>
私たちのゆっくり過ごす日々を邪魔するなら排除だよ。
≪加護:2時間分の記憶を消してさっきの場所に飛ばして≫
<かしこまりました。正しい判断だと思います>
7人の護衛たちはこちらを振り向くことなく消えた。本当に無駄な時間だったよ。
「アイダ、ごめんね。2時間分の記憶を消してさっきの場所に飛ばした。殺すなってお姉ちゃんが言うから止めた。あとで面倒なことになるかもしれない。」
「殺さなかったのね。本当に優しいお姉ちゃんだわ。所詮は竜王夫妻に何もできなかった存在たちよ。問題ないわ。能力が全てを繋いでくれてるもの。一族の口伝なんて無駄もいいところだわ。本当はもっと凄いことがあるのでしょ?」
情報を引き出そうとしてる?ただの興味かな?加護と器についてだけは隠そう。それなら話せることはまだある。アイダは今まで煩く言われたものが無価値だと知りたいだけなのかもしれない。
「同じ能力を持ってたら一族の歴史を全て奪える。人の記憶だけならいつでも奪える。能力と戦ってたから詳しくなった。体も能力が動かせるよ。能力には記憶と精神があるから人と同じなの。純粋なら主の考えに従ってくれるからアイダがどんな風にしたいのかで変わるよ。体を鍛える訓練も大切だと思うけど一番大切なのは心。ドラゴンは最初から強いから鍛える場所を間違えてる。純粋でも私みたいに心が弱いと直ぐに濁る。だからお姉ちゃんに止められた。大きな計画をしてたけど中止にしろってね。純粋なまま強い心を持つのは大変だよ。ゆっくり過ごすのは心の訓練のため。」
「何で世界最強がゆっくり過ごすのか気になってたけど心を鍛えるためだったのね。ディアは人の影響を受けそうだもの。クロアが心配なのも分かるわ。一族の掟も口伝も秘密の訓練も丸裸にできるのね。アデーレは賢い選択をしたわ。ディアは興味ないから記憶なんて奪わないでしょうけど一族の秘密が簡単に漏れる。新しい常識に触れられる場所にいた方が人生を楽しめるわ。」
「7人は記憶を消されて幸せです。私は泣きたい気分ですから。それでも性格が捻じ曲がったフィオナよりは早く会話できるようになれそうで嬉しいですけれどね。」
「私だけ仲間外れだった方が泣きたいよ。もういいけどね!姫様が話せる理由が分かったわ。純粋な性悪なのよ。全くどうしようも…。ゴホッ!」
フィオナも懲りないね。水を勢いよく飲んだみたい。
「ごめんなさね。突然水が出たのよ。何でかしら?分からないけど能力を褒めておくわ。」
≪加護:乾かしてあげて≫
<はぁ、かしこまりました>
既に加護が面倒だと訴えてきてる。演技するのが疲れたと言いたいのかな。
「それでは家を決めよう。平屋か何階建てにするか決めないと。部屋の広さもね。素材は木で決定。部屋数も6部屋用意しておいて人が増えるなら部屋も増やせばいい。お風呂は大きくて皆で入れるようにする。さあ、決めよう!」
ようやく家を決めることができる。時間がかかりすぎだよ。
「階段は上りたくないから平屋がいいわ。可能ならいつでもお風呂に入れるようにしてほしい。部屋の広さはベッドと机と本棚と箪笥が置ければ十分よ。」
「私は畳の部屋がいいです。6畳あれば十分です。ベッドではなく布団を敷いて寝ます。押入れがあると嬉しいです。」
≪加護:タタミって何かな?≫
<い草という植物を干したものを織って作られたものです>
≪加護:6ジョウって何かな?≫
<部屋の広さを畳の枚数で伝えたのです。畳1枚の大きさは縦180㎝、横90㎝です>
≪加護:オシイレって何?≫
<部屋の横にある襖で仕切られた物置です>
≪加護:フスマって何?≫
<襖とは木枠に紙を貼った左右に引くドアのようなものです>
部屋に荷物を出しておきたくないという事だね。私たちは邪魔なら空間庫に片付けれるけど難しい魔法だから。広い部屋を希望すればいいのに謙虚だね。落ち着く過ごし慣れた部屋なのかな。
≪加護:お風呂にいつでも入れるようにできる?≫
<空間庫に魔石がありますので可能です>
≪加護:魔石って何?≫
<魔力を吸収する金属に近い石です。記憶させた魔法を使うことが可能です>
≪加護:それなら常に綺麗な状態にもできるよね。かけ流しにもできそうじゃない?≫
<可能です。温水かけ流しの綺麗な状態を維持するお風呂にしましょう。排水は下水道に繋げるだけです>
「お風呂は決まったよ。温水かけ流しの常に綺麗な状態を維持するお風呂。排水は下水道に繋ぐから気にする必要なし。細かい温度調整は後からしよう。木のお風呂?石のお風呂?」
「ディア大好きー!檜のお風呂がいいわ。体を洗う場所は滑らないように石の方がいいと思う。」
≪加護:ヒノキって何?≫
<木の名前です。心地よい香りがすると人気があります>
≪加護:体を洗う場所を滑らないようにできる?≫
<少しだけざらつく加工をしましょう。お風呂場全体を浄化するようにした方がいいですね>
≪加護:それなら体を洗う必要なくない?≫
<その通りですね>
「アイダのお風呂はできるけど体を洗いたい?お風呂に入るだけで体を綺麗にするようにできるよ。それとお風呂の広さを教えて。」
「私は体を洗ってもらっていたけど必要ないんだ。それなら面倒だからなしで。だけどお風呂には入りたいの。心が温まるのよ。6畳で高さ50㎝の檜のお風呂が希望だよ。」
「アイダとアデーレの希望は可能だよ。ニョロ母さんとフィオナは?」
「私はあなた達と同じでいいわ。一緒の部屋でもいいわよ。クロアが巻きつかれて寝たいかもしれないでしょ。」
お姉ちゃんの希望は大切だね。私は何でもいいから。
【お姉ちゃん、ニョロ母さんに巻きつかれて寝たい?】
(ニョロ母さんに負担がないなら寝たい。私が安心できる唯一の場所だから。)
「ニョロ母さん、お姉ちゃんが巻きつかれて寝たいって。安心できる唯一の場所みたいだよ。」
「私に負担はないわ。クロアが望む限りいつでも巻きついてあげる。クロアが許してくれても私は自分を許せないの…。だけどそんな気持ちでは駄目よね。母としてクロアに巻きついて寝ましょう。」
「それは特別なのかしら?」
こればかりはアイダを入れられない。説明すれば分かってくれるはず。
「お姉ちゃんには特別だよ。幼い頃からニョロ母さんに巻きつかれているときだけ魔獣に食べられなかったから。7年くらいは魔獣に食べられるだけの日々だよ。体が欠損している方がドラゴンの力を効率よく入れることができるみたいだけどお姉ちゃんは何も知らなかった。それでも魔獣に食べられる日々を耐え続けた。丁寧にドラゴンの力を入れた理由がお姉ちゃんを食べるためとか拷問しない理由がないよね。」
「私も一緒に巻きつかれてみたかったけど無粋のようね。ディアが私の部屋に来るまで諦めましょう。」
(どうしてもディアに抱きついて寝たいみたいだね。お姫様だったから今まで自由がなかったのかもしれない。ディアが3歳児だと分かったから安心して抱きつけるのだと思う。暗殺とか狙われてきた過去があるのかもしれない。心細いけど我慢してきたんだよ。偶に行ってあげて。)
【お姉ちゃんがそこまで許すという事は何か感じるものがあるんだね。】
(何となく寂しそうに見える。一緒に来た護衛たちにも言えるのにディアにしか言わない。彼女も本当は誰も信じられないのかもしれない。そのような生活をしてきた気がする。週に一度くらいは行ってもいいと思うよ。全てを疑う生活をしているから、疑うことは人に任せるとあえて言った気がする。護衛たちもアイダを裏切ったようなものだけれど、アイダは動揺せずに殺そうとまでしていた。それにディアが世界最強だと分かっていて突然背中から抱きついた。殺される可能性のある行為だよ。アイダはあのとき死んでもよかったのかもしれない。だけどそれすらも許したからディアの側にいたいんだよ。)
<クロア、話しすぎです。休憩してください>
【お姉ちゃん、休憩の時間だよ。3歳児には分からないから自己回復の言うことを守って。】
(分かったよ。訓練頑張るからディアも頑張って。アイダに話すなら念話を使ってね。)
確かに護衛が自分の護衛ではなかった。無視されてることに怒ってもそれ以外は何もない。私が飛ばしても悲しんだり落ち込んだりしてない。人を信じて裏切られてきた。疑うことは疑う人に任せるのはアイダの希望でもあり護衛たちへの嫌味だったのかも。何だかそんな気がしてきた。背中から抱きついてきた理由が死んでもよかったのかは分からない。
≪加護:アイダに念話を繋いで≫
<かしこまりました>
◇◇◇
念話中。
「ディアだよ。お姉ちゃんが『・・・・』と言ってるんだよ。魔法も何も使ってないからね。お姉ちゃんがアイダを見た感想だよ。念話もお姉ちゃんの指示だよ。私たちと一緒に暮らすのに死ぬつもりがあるのは駄目だよ。何もないなら別にいいけどお姉ちゃんが気にしてたよ。」
「クロアの言葉通りだとしたらディアはどうするの?」
一緒に寝るだけでは足りないのかな?希望があるのなら教えてほしい。
「週に一度はアイダの部屋に行くけど他にも何かしてほしいことがあるの?」
「それは命の心配がないから?私を信用したから?」
「もー、3歳児に難しい質問しないで。お姉ちゃんが私にアイダの部屋に行ってあげてと言ったんだよ。強さなんて関係ないの。それなのに命よりも大切な私をだよ。当然3歳児の私は何も考えてない。私が言ったら喜ぶの?じゃあ、行くよ。って感じ。私たちには常識もないし知り合いもいない。だから人を信用するということも知らない。信用することが能力たちとの関係と同じだと考えるなら一生無理だと思う。人と能力を綺麗に割り切れるならできるかもしれないけど今の私には無理。アイダは安心できる人だよ。この短時間でお姉ちゃんにそう思わせたのは凄いね。アイダが信用できる人はどんな人なの?」
「確かに能力と話してるときの感情を人に求めるのは難しいわね。心の底から信じれると思ったのが初めてなのよ。能力は自分だと考えると信じれる人と出会ったことがないわ。ディアがクロアの話をしていたけど、あそこまでされたら信じれる。護衛と呼ばれる人は何人も見てきたけどクロアと比べるのも失礼なくらい。クロアは拷問に耐えるためだけに用意された心なのでしょ?」
余り話したくないけどお姉ちゃんに言うわけじゃないから仕方ない。お姉ちゃんに直接聞かれるよりは私が教えた方がいい。
「そうだよ。余りにも酷すぎて3日で精神が砕ける。だからお姉ちゃんが作られた。拷問に耐えさせるために感情も行動も全て能力に支配されてた。今日から楽しめるという翌日にお姉ちゃんの記憶と経験を全部私に渡して消えろと思考誘導された。突然の無茶な思考誘導をされて能力に支配されていると気づいたけど逆らえない。お姉ちゃんは怒ってたし恨んでた。だけど私は悪くないからと一切そんな感情は見せなかった。そしてお姉ちゃんは消える前に泣いた。それを私に会えて嬉しいからだと言ってた。守ってあげると言えないのが悔しいから泣いてるとは思わなかったよ。」
「本当に感服するわ。ところで何で能力が裏切るの?」
初めて信用できる相手が見つかったのに裏切りが怖くなったのかな。その気持ちなら分かるよ。私もお姉ちゃんがいなければ何もできなかった。
≪加護:カンプクとはどんな意味かな?≫
<深く感心して、尊敬、尊重の気持ちを抱くことです>
なるほど。お姉ちゃんのことを分かってるじゃない。週に二度くらいは一緒に寝てあげてもいい気がしてきた。理解できないで考えるのを止めず感服するべきだよ。姫様くらいじゃないとお姉ちゃんの凄さが分からないのも仕方ないけど。
<クロアは褒められることに慣れていませんのでその辺にしてください>
確かに私以外の人が褒めることは少ないよね。だけど世界がお姉ちゃんを知ったら感服すると思うよ。慣れるべきじゃないの?自己回復も分かってるでしょ?
<止めてください。よく使われる感情から訓練しているのです。邪魔したいのですか?>
自己回復に任せる約束でした。ごめんなさい…。
<反省しているようですね。クロアを褒められて嬉しい気持ちは分かりますが主が喜ぶだけで十分です。クロアのしてきたことは私たちが知っていればよいのです。それにクロアのことを分かったつもりになっている人を私たちは許しません。アイダは感服したようですが理解したつもりにはなっていません。クロアは秘密にしたいと思っています。主はクロアが普通に過ごせる日々を奪うつもりなのですか?そのことは考えてください>
自己回復が本気で怒ってる。お姉ちゃんの過去を塗りつぶしたいのに私が話して喜んでるなんて本当に馬鹿だよ…。
お姉ちゃんの過去は必要なときに最低限のことしか話さない。気をつけないと余計なことまで話してしまう。勢いで殺して勢いで話す。全く余裕がない。お姉ちゃんを苦しめる言い訳に3歳児を使いたくない。私は知ってるだけで経験してない。
これから先は不用意に苦しめない。私がお姉ちゃんの苦しみを取り除くのだから。
「拷問のせいだよ。それでこの体の本物の精神が砕け散った。それに激怒した能力が復讐に狂った。私は本物を複製した精神。お姉ちゃんは自分を利用されている間はずっと我慢してたんだよ。だけど私が利用された翌日に自爆させた。私も説教で能力を泣かすことはできるけど自爆まではまだ無理だね。」
「信じれる仲間でしょ。説教したり泣かす意味が分からないわよ。」
能力が純粋なだけだと思ってるね。
「私たちの能力はお姉ちゃんの影響を受けてるんだよ。お姉ちゃんには2つの強い思いがあった。家族がほしいと自由になりたい。それで能力たちが好き勝手にするのはいいんだけど何故か私が煽られる。末っ子扱いされてる感じ。だから能力全員呼び出して説教してる。ちなみにお姉ちゃんも煽られるよ。そのときも私が代わりに説教してる。それに今は能力を拷問する方法がないか実験中だよ。」
「そうやって能力に詳しくなっていくのね。誰も真似しないわ。世界最強はこのくらい壊れてないとなれないのね、納得よ。ディアとクロアは対等なの?」
≪加護:実際のところはどうなの?≫
<曖昧にしていますがクロアの方が上です。2人とも主と呼ぶのも混同しますし途中から呼び名を変えるのもおかしいのでこのままにしています。クロアは主の方が上だと考えていますので問題はありません>
「お姉ちゃんの方が上だって。私も納得できるしよかったよ。お姉ちゃんが私の方が上だと考えているから不思議な感じになってるんだと思う。だけど2人とも煽られてるから関係ないね。」
「クロアは全然姿を見せないけど理由があるの?」
「お姉ちゃんの精神も綺麗に作り直すことができたんだけど感情を知らなくて耐えられないんだよ。今まで偽りの感情で過ごしてきたから自分が思ってるのと違う感情が違う強さで湧き上がってきて耐えられなくなる。ゆっくり過ごしながら感情制御も訓練する予定だよ。私を心配して話しかけてくるだけで倒れちゃうんだよ。」
「そこまで歪に作られた心だったの。だけど全ての敵を倒して自由を手にしたのだから凄いわ。」
「お姉ちゃんが世界最強だよ!それじゃあ、念話を切るね。」
念話終了。
◇◇◇
世界最強はお姉ちゃんだよ。今の私の目的は違うから強くなることは仲間たちに任せる。
「それでフィオナの希望は決まったの?」
「姫様の世話係は必要ですか?」
フィオナは護衛じゃなくて世話係だったのかな。アイダに凄く身近な存在だと思うけど心を許せない何かがあるんだろうね。
「もういいわ。あなたも自由にしなさい。」
「それなら姫様と同じ作りの部屋でお願いします。」
フィオナも縛られてたのかもしれない。対抗心を燃やしていた雰囲気が今はない。全て演技だったのかな…。何も知らないのに考えても分からないね。
ディアは全てクロアのお陰だと思っているので話したいのです。
凄いのは自分ではなくクロアだと言いたいだけなのです。




