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世界は子を愛す  作者: 大介
第1章 現実

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第23話 お姫様 前編

 ゴミ処理して残ったのは10人。

 9人が連携して1人を守ってるように見える。

 

 守られてる人は、腰まで伸びる綺麗な虹色の髪の女性で一番表情が暗い。目は左右で赤色と青色で違う。この人は何か特別な存在な気がする。

 表情が暗いのは人喰いドラゴンの巣にいたからだとは思えない。何か悩みがあるのかな?残りの9人も感謝してるようには見えないから分からないけど。


「ゴミ夫妻と同じ拷問に送った。火力上げるから死ぬ人がいるかもしれないけど数日は死なせないと思うから大丈夫。ゴミはまとめて燃やした方がいいからね。ニョロ母さん、あとはお願い。」

「あなた達には選ぶ権利があるわ。ここから逃げる。私たちと同じ街に住む。人間が嫌いじゃなくて仕事してみたい子は大歓迎よ。私たちと同じ街は絶対に安全だから。私の娘は世界最強なのよ。竜王夫妻もさっきの連中も同じ拷問中。今すぐ選んで、この場所は危険なの!」


「カンナカムイ様、そちらの子が竜王妃に似ているのは偶然ですか?」


 男性が私に疑いの目を向けながら質問してきた。助けてあげたのにこんな風に見られるのは嫌な気分。感謝してほしいとは思わないけど感謝する気もないのは違うと思う。


「あなた達は私の言葉を…。」

「いいよ、ニョロ母さん。自己紹介するよ。私は竜王妃に人体実験された人間だよ。今は体がドラゴンだけどね。私を強するために魔獣の餌にして回復するときに竜の力を入れる行為をされた。1万回以上ね。それで私を強くして食べるつもりだったけど全て見破って拷問中だよ。餌に拷問されるとは思わないよね。そして私が世界最強なのは当然理由があるけど誰とも関係ないよ。私が努力した結果。それと縁があってニョロ母さんがお母さんになった。似てるのは竜王妃の力の影響だよ。一緒に来て冒険者組合本部で働いてくれれば絶対の安全を保障するよ。人種差別や下劣な行為をしなければの話だけどね。悪人や生意気な冒険者をボコボコにするのはいいけど善良な人には手出し禁止。命令はしない。皆が自由に選んで。働いてくれる人は守るよ。約束する。」


 ニョロ母さんが私を隠すように前に立った。どんな目で見られても気にしないのに。だけどお姉ちゃんがこんな目で見られたら怒るかもしれない。お姉ちゃんは怒ってないかな…。


「この子はまだ16歳だけれど、想像できないような苦しみを経験してきているの。好きであの女に似ている訳が無いじゃない。この子の強さには理由があるけれど、誰も真似できない。私も真似できないし竜王妃も真似できなかったわ。この子には人格が2つあって今出ているのは3歳のディアよ。思考力が16歳だから姿のままの年齢に見えるけれどね。大変な思いをしたのは先程まで質問していた子よ。名前はクロア、1万回以上も死にかけたのを耐え続けた。それに最近まで餌として管理されてきたから知り合いがいないわ。だから街で3年程ゆっくりと暮らす予定なのよ。普通の生活も知らないから。ついて来たら家はこの子たちが用意してくれるわ。解散する派閥の長としての最後の言葉よ。決めなさい!」


 皆で目を合わせて意見交換してるように見える。虹色の髪の女性は興味ない感じだ。もしかしたら仲間たちに怒っているのかな。

 

「行きます!」


 9人一緒に同じ言葉を言うなんて念話でもしてたのかな。何も言わなかった虹色の髪の女性も一緒に連れてこう。私ではなく9人に対して思うところがありそうだから。


「それじゃあ、行くよ。」


≪加護:全員を自宅の前に移動させて≫

<かしこまりました>


 この家を早く壊したい。同じ大きさでいいから違う家に住みたい。


「まずどんな家に住みたいかな?私の自宅はこの木造二階建てだよ。周りには豪邸ばかりだけどそういう邸に住みたいならそれでもいいよ。すぐに用意するから。皆で住むか個人で住むか決めて。そしてどんな家に住みたいのかも決めて。目の前の邸は冒険者組合本部で働いてる従業員用にしたよ。あとで細かい要望があれば聞くからとりあえず決めてね。」

「世界最強とはこういう存在なのよ。転移したことに驚いていないで今までの常識を変えなさい。これが新しい世界の常識なの。早く決めなさい。3歳児は飽きやすいからね。」


 本当だよ。飽きやすいからね!


「一緒に住むのは駄目ですか?」


 虹色の髪の女性が最初に提案してくるとは思わなかった。


(私はいいよ。楽しそうじゃない。男性は嫌だけどね。)

【お姉ちゃんが許可するなら私は誰でもいいよ。】


「お姉ちゃんが男性恐怖症なの。女性は一緒に住んでもいいけど男性は駄目だから。今まで監視され続けてきたから心が休まらない。皆に悪気はないから許して。男性は目の前の邸に住んで私たちは新しい家を用意しよう。決まらないのなら決定にしちゃうよ?」

「私はこの子と一緒に住みたい。なんかほっとけない気になるわ。凄く可愛がりたい。私はアイダ・ウェドの末裔でアイダでいいよ。よろしくね!」


 虹色の髪の女性の名前はアイダと言うんだね。

 

≪加護:アイダ・ウェドは古来よりドラゴンの王族です≫


 なるほど。竜王より本物だね!


「姫様なのかな?よろしくね!」


 9人が一斉に武器を構えた。

 動きが遅すぎる。それに何で私に勝てると思ってるのかな。


≪加護:全員の武器を足元に集めて≫

<かしこまりました>


 私の足元を見てから武器を握ってないことに気づいたみたい。破壊してもいいけど可哀想だからね。理由が知りたくて武器を抜いたのは間違いない。だけど本気で姫を守る気があるのか分からない行動だね。


「姫様を護衛するために武器を抜いたことにするけど次はないよ。」

「こんなに強くて可愛いなんて反則だよ。抱き枕にしたい!」


 姫様ってこんなに自由なの?抱き枕って何だろう。

 それに9人から離れて私の横にいる。守ってもらう気なんてないみたい。


「何故分かったのかお聞きしてもよろしいですか?」


 艶のある黒髪が背中の真ん中くらいまで伸びていて目も黒いお姉さんが、丁寧な姿勢で聞いてきたから答えてもいいかな。能力と話せるのは秘密じゃないから。


「私は全ての能力と話せる。そして能力は記憶し続けてるんだよ。つまり能力が初めて付与されてから今日までの記憶を知ることができる。付与されてる能力によって覚えてる記憶は違うけどね。一緒に住むから隠し事はなしにした方がいいでしょ。」

「へぇー、能力と話せるんだ…。知らなかったよ。可愛いのに強くて凄くて…。もう抱きしめていいかな?私も話せたよ!よく見つけたね!」


 話せる人が私たち以外にもいたんだ!聞いただけで話せるのは凄い気がする。


「凄いね!今まで誰も話せなかったんだよ。私と同じ3歳児なみの純粋さがないと話せないからね。んー、純粋すぎない!?姫様でしょ!人を疑うことを知らないの!?」

「人を疑うなんて疑ってる人に任せちゃえばいいんだよ。助けてもらったし嘘を吐いてるとは思わなかったから信じただけだよ。今まで能力と話せる人がいなかったからかな?話したら喜んでた感じがしたよ。護衛たちは頭が悪いから許してあげて。世界最強がのんびり暮らすつもりでここに来たのに私の名前を知ってるだけで剣を抜くとか最悪だよ。あなた達の動きなんて遅すぎるの。立場を弁えなさい!」


(ディア、アイダの言葉はいいと思う。疑うことは疑ってる人に任せる。他力本願だよね。)

【確かにそうだね。見習うべき点があるよ。私の他力本願もまだまだ甘かったみたい。】


「姫様は本当に能力と話せたのですか?」


 肩まで伸びる金髪が首を隠してるみたいで目は青色の女性が姫様の言葉を疑ってる。

 護衛じゃないのかな?


「ねぇ、馬鹿でしょ。護衛が主の言葉を疑ってるもの。」


「話せたらお願いできるよ。能力を使うときは制御するんじゃなくてお願いすればいいんだよ。」

「そうなんだ。ふむふむ…。あはははは!最高の気分だわ。今までの講師全員呼び出して水浸しにしたい気分よ。直接お願いした方が簡単だよね。私の言葉通りにしてくれたよ!」


 護衛9人の頭から水をずぶ濡れにする程かけるとは中々だね。護衛のことが嫌いなのかな?


「何故私たちを水浸しにするのですか?」

「頭を冷やせってことよ。それに同じことができる人はいるのかなー?既にあなた達より私の方が強いわよ。やはり一流は何もしなくていいの。ディアに出会わなければ騙されるところだったわ。今の私なら逃げる必要なんてないからね。ディア以外には負けないと思うよ。」

「そうだね。話せるようになるだけで竜王夫妻なんて軽く殺せるから。強すぎるから周りに影響が出ないようにお願いしてね。これからは手加減する必要があるから。」

「今まで誰もできなかったのに直ぐにできるようになるなんて凄いわね。まだ産まれたばかりなの?それとも能力を制御する訓練をさぼり続けたの?努力をするほど話してくれなくなるのよ。」


 ニョロ母さんも驚いてる。話せた理由も気になるみたいだね。


「100歳くらいになりますが訓練をさぼり続けました。本当に私たちより強くなったのですか?」

「話ができる人とできない人には差があるよ。直接対峙したら絶対に勝てない。例えば魔法を制御する人は制御した方法でしか使えないでしょ。だけど話ができれば能力がそれをできるか教えてくれるし実行してくれる。私の経験だとできないことが略ないからね。訓練してきた人は話せることを教えても今までの制御を忘れられないみたいだね。制御するという事は能力を縛ってるという事だから。努力する程どんどん嫌われるんだよ。アイダは天才だね。私まで追いつけるかもしれない。だけど私も頑張って色々考えたからこれ以上は秘密だよ。」

「話せる秘密だけで十分よ。それで私が世界で2番目に強くなったからね。ディアは強さにも興味ないんだ。ほんと最高だね!少し強いくらいで偉そうにする馬鹿は嫌になるよ。ここに9人もいるんだけどね。本物に出会うとこうなっちゃうよ。簡単な助言で全てを覆す。ほら、こんなこともできちゃう。常識が違うんだよ。分かったかね、君たち。」


 9人の右半身だけを乾かした。能力の制御では厳しいと分かる。しかも左半身は濡れたままという嫌がらせは続行中。やはり護衛のことを好きじゃないのかも。


「ああ、もう駄目だわ。人生全てを否定された気分。姫様の護衛になるために努力努力で守ってきたつもりなのに一瞬で抜かされた。本当に嫌だ。涙が出そう…。姫様に負けるとか許されるの?全ての講師が匙を投げたあの姫様に負けるだなんて。ああ、世界最強の隣に世界2位になった姫様がいるわ。護衛する意味あるの?辞めてもいいよね?」


 金髪の女性が本当に泣きそう。訓練も全てが無駄とは思えない。心を鍛えることができると思うから。この人は鍛えてないのかな?


≪加護:全員乾かしてあげて≫

<かしこまりました>


「とりあえず家を決めて!お姉ちゃんが男性恐怖症は本当だから。ずっと監視されて尾行されて盗聴されて、その理由が食べるためだった。そいつを軽い拷問で殺した自分が許せないよ。男性の護衛も離れたくないなら隣に家を用意する。3年間ゆっくり過ごせば話せるようになるから。毎日話しかけるのを忘れたら駄目だよ。今まで制御してきたことを謝ることも大切だから。」

「私もディアと一緒に暮らしたい。姫様の護衛辞めます!」


 金髪の女性が護衛を辞めて一緒に暮らす決断をしたいみたい。それなのに名前を言わない。姫様の名前以外は秘密なのかな?私の話も聞いてるのか分からないしムカついてきた。能力と話そうとしてるのかな?


「そういう邪な心が能力と話せないのよ。ディアに教えてもらうつもりでしょ?私の予想だと能力と話せる簡単な方法はないから。純粋な心だけが必要なのよ。」

「みんな夢中だからこれだけは教えておくよ。能力は主の性格を反映してるから。話せることを体験する方法があるにはあるけど性格が悪いと能力が言うことを聞かない。だからアイダの言葉は正しいよ。純粋な心にならなければ強くなれない。体験で話すと隠していた本性が出ちゃう。だから純粋になってね。」


 私とアイダが9人と対峙してるみたい。護衛の近くに行こうとしない。


「あはははは!純粋な心が必要とは2つの意味を持っていたのね。体験して能力に反抗されて心が折れる姿が見えるわ。フィオナ、純粋になりなさい。あなたには無理だけどね!」


 姫様が護衛の心を折ってる。金髪の女性の名前はフィオナだね。涙目だけど…。


 アイダ以外は仲良くなろうとする気がないよ。ここに来てから話したのもアイダと2人の女性だけだし。どうしようかな…。


(敵意や殺意を向けられていないから勉強だと思ってもう少し頑張って。)

【だけど自己紹介は常識だと思う…。】


(私たちにも常識がないから同じ思いをさせることがあるかもしれない。それに9人が残るとは限らないから。結果を待つのも勉強だよ。)

【そうだね。常識なんて言えないよね…。はぁ、疲れるよ。】


(こういう日常も新鮮だね。護衛が可哀想で仕方ないけれど、邪な心では駄目だよ。)


 退屈な日常すら今までなかったんだよね。私は自分のことばかりだ…。


「私はディアと過ごして心も綺麗になります。今まで姫様の護衛をしていたため心が汚れてしまったのです。本当に無駄な日々でした。私の新しい人生はここから始まるのです!」

「主の護衛を無駄な日々とか言い出したわ。現実逃避を始めたようね。残念だわ…。ぐぷっ!」


 フィオナはアイダに負けたくないんだね。だけど自分と向き合わないと話せないよ。それにしても静かすぎる。他の人たちが何を考えてるのか分からない。

 ニョロ母さんも観察してるみたい。一緒に住めるか見極めてるのかな。


「何で誰も何も言わないの?こんな性悪姫様に負けたままでいいの?」

「フィオナ、落ち着きなさい。あなたはいつも姫様に泣かされてきたでしょ。助けてもらって強くなる秘密まで教えてもらって普段の訓練方法まで教えてもらったのよ。こんなことは普通あり得ないことだと知っているでしょ。そしてディアはずっと家を決めてほしいと言っているじゃない。護衛は必要なくても全くお世話をしないわけにもいかないでしょ。ディア、家の大きさに制限はあるの?」


 黒髪の女性は常識がありそうだけど何か隠してるのかな?フィオナは単純な人のような気がするけどこの人は分かってて何も言わない気がする。


「見える範囲の空き地は買い占めてあるから好きな場所でいいよ。家の大きさに制限はないけど魔法で作るから参考にする建物は決めてほしい。部屋数や浴室などは後から作り直せるから気にする必要はないよ。部屋の配置も換えれるからね。」


「ディアの守り方を教えてくれないかしら?」


 黒髪の女性が質問してきた。私を見極めようとしてるのかな?アイダを守るとなると毒とかも警戒した方がいいね。


≪自己回復:護衛対象が毒などに触れたりしたら分かる?≫

<はい、生命力を観察しておりますので分かります>


≪自己回復:その場で治せる?≫

<魔法と連携すれば可能です>


≪自己回復:即死毒などはないの?≫

<即死毒とよばれる物はいくつかありますが実際に即死するわけではありません。本人が自覚する前に治すことが可能です>


≪自己回復:天才には無用な心配だったね。よろしく!≫

<お任せください!>


「帝都全域の全員の感情を把握。殺意を向けられたら殺す。話している相手が殺意を向けてきたら眠らせる。恐怖したときなどに逃げる場所を決めれる。私たちが住む家には結界を張るから敵意や害意を持つ人は近づけない。即死魔法反射、効かないけど気に入らない。生命力を観察、生命の危険だと感じたら自宅に移動させて回復。状態異常を即時回復。要望があれば足すことも、いらないものを消すこともできる。基本はこれだけだよ。帝都の外に出る用事があって不安なら結界を張るよ。私が帝都にいなくても常時これが発動中。何を足してほしいの?」

「へ…、へぇー。魔力の心配はないのかしら?」


 確かに魔力は気になるよね。すぐに切れて無防備なら意味ないから。


「魔力が回復するときの余剰魔力を使うから何も問題ないよ。結界をニョロ母さんが張ってくれたら拷問の痛みが増すだけ。」

「結界は私が張るわ。母が何もしないわけにはいかないもの。」

「ふ…、ふーん。姫様の護衛はどの程度だと思う?」


 何でそんなことを聞くの?足りないなら言ってくれればいいのに。

 よく分からないし本音で話そう。


「興味ないよ。私が守ると決めた以上は世界が相手でも守り切るから。何で世界最強がそんなことを気にする必要があるの?それに私が決めたのがこれだけだからね。能力たちが足りないと思えば追加してくれる。心配する必要ないよ。」


 突然アイダに後ろから抱きしめられた。何で!?

 姫様が自由すぎるよ!それなのに誰も何も言わない。本当に姫様の護衛なのかな?


「格好いい!最高に格好いいわ。私が出会った男は口だけだった。実力もないのに偉そうなことを言う男もいた。鬱陶しくて仕方なかったわ。ディアは有言実行でしょ。言葉を飾らないのがいいのよ。可哀想な護衛たちを許してあげて。何もすることがないの。能力と話もできないから言ってることが理解できないわ。それに怖くて本当に守れるのか試せない。死んじゃうわね。」

「ああ、1つ言い忘れてた。殺意を向けてきた人は殺した後に元の場所に送る。惨殺死体を見れば他の人は殺す気も起きないでしょ。全ての人の動きを監視してるからどこの人か分かるんだよ。」

「よく分かりました。私も護衛辞めます!意味がありません。何故そんなに守るのですか?」


 お姉ちゃんと比べたら何もしてないのと一緒だよ。仲間に任せてるだけだから。


「こんなの守ってないのと同じだよ。お姉ちゃんは私を守ることが最優先だから。能力に感情があるのも、話せるのも、主の記憶を見ることも、気づいたのはお姉ちゃんだから。消えることを覚悟して全部私の記憶に残るようにした。操り人形だったお姉ちゃんが私を守るためにね。本当は消えるつもりがなかったと思うけど。それに他にも凄く確認して私を裏切ってる能力を自爆させたから。更に強くなる方法もお姉ちゃんが考えて実験中。勝てない相手に耐え続け、抗い続け、騙して油断させて最後に勝つのはお姉ちゃん。生贄でペットで餌だったけど全て覆した。これが本当の最強だよ。護衛ならお姉ちゃんを見習うといいよ。絶対に守る本物の覚悟が足りない。護衛辞めるなら関係ないけど。」

「ディア、分かってて無理なことは言わないの。クロアの感情や行動は誰にも理解できないわ。姉を自慢したいだけでしょ。皆も気にしなくてもいいのよ。3歳児の言葉を真に受けていたら疲れるだけだわ。嘘は言っていないけれどね。」


 流石ニョロ母さんだね。何で分かったの?


(聞いているのが恥ずかしい。私がしたことはディアが知っていればそれだけでいいよ。)

【分かってるけど言いたかったの。】


「お姉ちゃん自慢してもいいじゃん。ところで早く家を決めてよね!それと冒険者組合本部で働いてね。人を募集して交代できるようになったら辞めてもいいから。働くのは月の半分以下にできると思う。アイダはお姫様だから働かないでしょ。もし求婚する鬱陶しい害獣が来たら拷問か惨殺するから。アイダが自分でボコボコにするのも有りだよね。気持ちいいと思うよ。だから家を決めてよ!賑やかに暮らすのも面白いから女性は全員一緒でもいいよ。夫婦がいるなら家を用意するから。最低3年はゆっくり暮らしながら勉強する予定なの。アイダも何か言ってよ…。」


 私の話を全然聞いてない。

 いい加減にしてほしい。お姉ちゃんの言葉がなければ飛ばしてる。


「確かに迷いすぎよ。何を考えているの?それに自己紹介もしないし主として恥ずかしいわ。自由になりたいならそれもいいわ。早く帰りなさい。一族を呼ぼうと考えているのならディアが言った条件は満たしなさい。無駄に武器を構えるのは早い癖にそこから先が遅すぎるわ。」


 やっぱり自己紹介は常識だよね。主にそれを言われるのはどうかと思う。一族呼ばれても守る気になれない。同じか更に酷い人が来る気がする。


「ディアと一緒に暮らす私が話しましょう。姫様は求婚から逃げて安住の地を探していました。ですが私たちには姫様を説得するように密命があったのです。しかし姫様が世界で2番目に強くなると全てが無意味になるわけです。力づくで求婚相手をぶちのめせますからね。そして姫様を止められるディアも恐らく姫様と同じ考えです。ディアの結婚相手の条件を教えてください。」


 黒髪の女性も一緒に暮らすんだね。先に自己紹介してよ!


「最低でも私より強い男性だね。能力が継承したいと望むなら誰か育てるよ。孤児でドラゴンのように強くなりたい可愛い女の子をゆっくりと力に馴染ませる。ゴミ竜王夫妻と同じことはしない。ドラゴンの孤児でもいいけどね。」


 絶対にしない。どうすれば許せるのか分からない。心が晴れる気がしない。


(ディア、許さなくていいの。ゆっくり力をつけて楽しい国をつくってね。)

【お姉ちゃんがゴミを忘れる日々を過ごせる国をつくるから。計画を考えるくらいはいいでしょ?】


(そうだね。どのような国にするか考えるくらいはいいよ。規約とか決めるのも勉強だからね。)

【人を知らないと規約が決めれないね。出会ってる人が偏ってる気がしてきた。】


(1時間程度でそう思えるようになったのは凄いよ。考えている証拠だね。)

【ゴミと関わりのある人とばかり会ってるからね。そんなのを基準にしたら最低に決まってるよ。】


「それなら私と一緒に子育てしましょう!能力たちと話せるようになると分かるわ。結婚して能力を継承させようなんて馬鹿げているとね。長命種の私たちが何故結婚しないといけないの?勘違いした男が私に命令したら殺しちゃうと思うよ。」


 能力を継承させる結婚は嫌だね。好きな人と結婚して能力を付与してあげた方がいい。


「アイダの結婚の目的が能力の継承なら無意味だよ。アイダが産んだ子を可愛がりたいとかならまだ分かるけどね。どうせ能力の相性を合わせた結婚でしょ。アイダが好きになった人と結婚したいならいいと思うよ。能力は後から好きなように付与できるから。今のアイダは両親の秘密を全部暴露できる。能力を付与するという事は自分を捧げるみたいなものだよ。だから能力を付与した子は自分の子だといえる。高貴な血筋だと言い張るなら過去を全て調べれるから。本当に血が繋がっているのかはすぐに分かる。それに最適な組み合わせなんてない。今のドラゴンは最適な能力を既に持ってる。能力を使いこなせないのに最適が分かるはずがない。」

「1万年以上もあれば何かあるよね。乗っ取りとか子の取り換えとかね。一族の裏切りもすぐに分かる。調べたら全ての関係が壊れそうだね。それに私とディアが能力を付与したら私たちの子じゃない。私は男が嫌いなの。理由ならあなた達がよく知ってるわよね。」


 男が嫌いなんだ。それなのに結婚させられるのは可哀想だよ。姫様は我慢して結婚しないといけないのかな。アイダが結婚しなければならない理由を全て壊してあげる。


「一応高貴な血筋とか言ったけど血も変えられる。孤児に私とアイダが力を送れば2人の血を持つ子になる。血は作り変えれる。だから結婚しなくてもアイダの血を持つ子を育てることができる。私がゴミ竜王妃に似てると言ったじゃない。だからアイダが結婚したくなくても血を残すことはできるよ。護衛の子を1人預かって育てればいいよ。これが知ってる人と知らない人の差だよ。」

「最高だわ!誰も何も言えないわよね。あなた達の子を私の養子にしなさい。世界最強のアイダに育ててあげるわ。私が嫌いな男と結婚する理由を全て潰せた。私はディアとクロアと楽しく暮らすから。下らない密命は無意味だと説明してきなさい。怒って近づいたら死ぬから気をつけてね。」

「ここまで常識に差があると無理ね。それに激怒して連れ戻しに来たら死ぬわ。結婚を納得してもらう理由が何もない。孫を可愛がりたいとかの気持ちがあれば別だったかもしれないけれど、血を残すことしか考えていないもの。ディアの存在が全てを証明してしまっているわ。それに口だけの私たちとは世界が違う。ディアは何故血まで変わると知っているの?」


 自己回復が凄いだけ。だけどこの人たちにそんな事を言っても仕方ないね。


「私は人間の子だった。黒髪に黒目のね。それがこの姿に変わってるし強くなるためにドラゴンの目が必要だと思ったからゴミ兄から奪った。目を移植してるんだよ。血の検査もして問題ないと判明してからね。移植は能力たちに任せたよ。誰の手も借りてない。」

「そこまでしているのね。能力たちに聞いたわけではなくて自分の体で証明している。文句のつけようがないわ。私たちの言葉は難癖にしかならない。怒鳴ることしかできない老人たちを相手にするのは疲れたわ。私もここで暮らす。自己紹介がまだでしたね。私はアデーレ。よろしくお願いします。」


 ようやく黒髪の女性の名前が分かった。自己紹介が遅いよ!

 

 ここに来てからアイダとフィオナとアデーレしか話してない。アデーレは新しい常識を理解できた護衛。他の護衛は古い常識に囚われていると考えればいいのかな?


 アイダよりアデーレの方がお嬢様のような雰囲気がある。

 私も普通に育ったらこんな感じだったのかな。クローディアが本当に成長した姿でドラゴンの力を持つことができれば最高なんだけど。


≪自己回復:流石に難しいよね?≫

<ドラゴンの力が姿まで変えるとは思えません。少し調べてみます>


【ドラゴンの力と体と血を変える力で分けることができたら本来の姿に戻れるかもしれない。お姉ちゃんもその方がいいでしょ?】

(ドラゴンの力だけ残して人間の寿命で死ぬのなら別にいいけれど、違うのならドラゴンの力、体の中を作り変える力、体の外を作り変える力で分ける必要がある。この3種類の力で分けることができたら最高だね。ドラゴンの力と体の中を作り変える力が一緒なら2種類でいいけれどね。)


≪自己回復:ドラゴンの力が寿命を長くしているわけではないの?≫

<力と寿命は別です。クロアが言った通り体の中を作り変えないと人間の寿命で死にます>


≪自己回復:何でお姉ちゃんは分かるの?≫

<その過程を自分が経験してきたからだと思います>


 お姉ちゃんは自分で経験してるから分かるんだ。私もお姉ちゃんの経験を継承したけど余り実感がない。何も耐えてない私の言葉は軽いよ…。


(ディア、それは違う。クローディアの姿に戻したいとディアが考えたから私も考えた。思いつくことは悪いことではないし軽くもない。何事も思いついてから始まるんだよ。だからこの計画はディアが始めたものだよ。私たちには仲間がいる。全部自分だけで考える必要なんてないよ。まずは思いつくことが大切なの。だから思いついたらこれからも言えばいいから。)

【分かったよ。お姉ちゃんは何を思いついたの?】


(もしこの考えでいらない力を抜くことができるならドラゴンの力を足せる。無駄なものが入っているのなら捨てて必要なものを入れるべきでしょ。思いついて考えることは楽しいよね。それが実際に実現したらもっと楽しいよ。ディアの最初の目的は私と一緒に楽しんで一緒に死ぬことだった。今はもっと大きなことを目的にしている。それはディアが思いついたからだよ。私は待ってるからね。)


<クロア、そろそろ止めてください。言っても止める気がないのは分かっていますから休憩しながら話してください>


(ディアのことを考えてるときは平気だから心配しないでね。)

【平気だったら自己回復が止めに入らないよ。私の計画はお姉ちゃんが倒れたら無意味なの。お姉ちゃんは耐えることに慣れすぎてる。限界近くまで無理しないで。私には怖いものが1つしかない。お願いだから自己回復の言うこと聞いて。】


(ディア、私は無理しているつもりはないよ。何故倒れるのかというと今までの感情が全て偽りだった。思いの強さも偽りだった。だから感情を覚えて制御できるようになるために訓練してるんだよ。だけど何が切っ掛けで過去の感情が思い出されるのか分からない。そして狂ってしまいそうになる。ディアが求めていることを実現させるためには記憶を全て消すしかないんだよ。自己回復でも急に感情が狂うから事前に止められない。ディアが私と自己回復の訓練を見に来るときは事前に声をかけてね。ディアには見せたくない姿があるんだよ。)

【分かったよ。お姉ちゃんもゆっくりと頑張ってね。】


≪自己回復:訓練しても完治しないの?≫

<しません。拷問とあの一家と過ごした記憶を忘れるしかありません>


≪自己回復:具体的にどのような状態で倒れるの?≫

<クロアの希望もあり具体的な姿までは言えませんが、クロアは激痛を味わうと母に会うのを楽しみにするようにされていました。母に会うと依存する程の強い喜びを感じていました。主と話しているのを楽しんでいるとき、喜んでいるとき、突然過去の感情の感覚を思い出すとどうなるか分かりますよね。拷問の激痛を感じるのです。楽しいときも嬉しいときも激痛を感じていたからです。激痛を感じたら苦しく辛く痛いですよね。それを無理やり楽しさに変えようとしていたのです。ですから激しい痛みに襲われているのに強すぎる喜びを感じるのです。強すぎる楽しさを感じるのです。これ以上は言えません>


≪自己回復:お姉ちゃんが一瞬で理解できない痛みに襲われて理解できない感情に支配されて訳が分からなくなるじゃない。死にそうな痛みに襲われながら覚えた感情と全く違う感情を感じてる。頭がおかしくなりそうな話だよ。拷問されてたときの記憶が強く残っているに決まってる。お姉ちゃんは倒れる理由もそのときの本当の感情も自分で分かってないってことだよね?≫

<その通りです。精神を抑制して本当の感情を説明します。しかし痛みは記憶から感じているので抑制できません>


≪自己回復:それなら私と話しているときは休憩すれば大丈夫の意味は何?≫

<主と話したいからクロアが知っている本物の感情を強く抱き続けているのです。疲労するのは勿論ですが主と話しているときの本当の感情が分かりません>


≪自己回復:私ができることは何?≫

<クロアと話すときは過去に関連する話をしないでください。それと主の今の目的を成功させてください。拷問とあの一家のことがどうでもよくなるような日々を過ごせるようにしてください。私と会話したのはクロアに隠しています。ですから不自然な会話をしないようにしてください。それと主はクロアを心配していますが、主がクロアを一番苦しめているのです。焦らない、慌てない、急がない、勢いで人を殺さない、殺すことを前提に考えない、偏見を持たず真っ直ぐ成長してください。主は計画を中止させられたと考えていますが、クロアにとっては初めての自由です。餌だったクロアが耐えて抗って覆したのです。これからの日々も一緒に楽しんでください>


≪自己回復:3歳児の頭が混乱してる。分かりやすく教えて≫

<過去を無視してこれからの日々を楽しんでください。それとクロアの様子を探ろうとしないでください。普段は主の視点から外を見ながら訓練していますが主がクロアを観察していると気づいたら私の部屋に移動します。そうすると外が見えなくなってしまうのです>


≪自己回復:全部守る。だから1つだけでいいからお姉ちゃんが見せなくない姿を教えて。何で見せたくないのか分からない≫

<仕方ありませんね。全く知らないのも気になってしまうでしょう。激痛でのたうち回りながら涙を流して喜んでいます>


≪自己回復:ありがとう…。よく分かったよ。お姉ちゃんのことは自己回復に任せる。話しているときに体調を心配するのも控える。何も言わない。心配されてると思ったらお姉ちゃんは自分を責める≫

<主も考えて努力しようとしています。自分をできない、足りないと嘆くのもクロアを傷つけますから気をつけてください>


 不愉快すぎる。何でお姉ちゃんばかり苦しまなきゃいけないの。そんな無茶苦茶な精神操作されたら狂いそうになるに決まってる。拷問の痛みだけでも精神が砕けそうになるのに感情を理解できない。理解できない感情を制御なんてできない。全てに腹が立つ。イラつくよ…。


 私がお姉ちゃんを苦しめる全てを消してやる。しっかりと力をつけて笑顔で塗りつぶす!

消せない過去の呪いです。

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