第20話 夜明け
(ディア、ニョロ母さんと明日の予定を話したいから代わって。)
【いいよー!】
<砕けます。私が砕けたら皆が。みんながー。クロ…、ア…、たすけて、くださ…、い>
何度もディアで遊ぶからだよ。本当にわざとらしい演技…。これは絶対に悪ふざけだね。助力する約束だけれど、今回が最後でいい気がする。余りディアを煽ると毎日泣かされるよ。
(ディア、何か計画していたんじゃないの?説教よりも計画を進めた方がいいと思うよ。今は何を計画しているの?)
【お姉ちゃんをゴミに入れようとしたことを反省して分身を作ることにしたんだよ。】
反省したから分身を作るの?また凄いことを考えたね。私と一緒に遊ぶためだよね…。本当に優しくて思い遣りのある子。絶対に守らないといけないのに頼ってしまった。ごめんなさい…。でも嬉しかったんだ。ありがとう。
(ディア、問題なく計画は進んでいるの?)
【世界最強に不可能はないからね。問題なのは仲間たちが思ったより成長してない。】
全力他力本願の世界最強が仲間の成長不足を嘆いているよ。全力で走り続ける3歳児の想像力が優れているのが辛いよね。本気で頑張れば実現できそうなことを指示するから。
(ディア、まだ1週間も経っていないんだよ。成長を見るなら月単位にしてあげないと。それと私の気のせいかもしれないけれど、この計画で能力たちは全員が連携しているの?)
【全員が連携…。お姉ちゃんならどんな連携させるの?】
何も言わないわけにはいかない。だけど後で大変なことになる気がする。加護と能力についてはディアに任せれば問題ないはず。煽られて説教ばかりしているけれどね。もしかしてディアに説教されたいのかな。何を言われても可愛くて仕方ないと思うから。
(分身だから…、身体強化と自己回復で体の構造を把握して魔法でそれを再現。帯電も体の構造を把握するのに役立ちそう。反射速度強化で体の動かし方を把握。精神は自己回復と繋げて記憶は加護と繋げることができれば問題なし。これだと離れたときに分身が解除されそうだけれどね。最初はこの辺りから挑戦してみるのがいいと思うよ。)
【お姉ちゃんに聞かなかったのが最大の失敗だよ!分身するから加護と能力を全て連携させるべきだよね。はい、全員集合!】
床にはお母さんの両腕とその切断面から流れ出た血溜まりと剣。それと私が刺した剣がある。
私には何が正しいのか分からなかった。答えが出ないのであれば私が決断しなければいけないのに。腕を切断しろと言われた時点で拷問にすればよかったんだよ…。
≪加護:私の剣は部屋にお母さんの剣は空間魔法で作り出した場所に移動させて床を綺麗にして。机も戻せる?≫
<問題ありません>
何事もなかったかのように綺麗な状態に戻った。床には剣を刺した跡もなくなっている。
机と椅子が全く同じなのはどこかに格納していたのかな。
空間魔法で作り出した場所と何度も言うのは大変だね。
≪加護:今後は『空間庫』で統一させておいて。ディアにも伝えてね≫
<かしこまりました>
≪加護:大体でいいから空間庫にはお金がどのくらい保管されているの≫
<袋の中身が金貨だとすれば100億リンです>
そのお金がどのようにして手に入れたのかは気にしないことにしよう。
悪い想像ばかりしてしまうから。
ニョロ母さんには色々と話さなければいけないことが多いね。
≪加護:ニョロ母さんに念話を繋いで≫
<かしこまりました>
◇◇◇
念話中。
「クロアだよ。ニョロ母さん、全て終わったよ。明日の予定とか色々と話したいことがあるから自宅に来てほしい。時間が空いたらでいいからね。」
「よく頑張ったわね。本当にお疲れ様…。眷属の子たちに指示を終えたらすぐに行くわ。」
念話終了。
◇◇◇
私は頑張れていないよ…。情けなく泣いていただけだから。だからディアが終わらせてくれた。心の準備が足りなかった。ニョロ母さんから聞いていたから最低限の会話で判断するつもりだったのに殺そうとしてきた。私が剣を握っていても殺気を向けていない。殺意がないくらい私を見ただけで分かったはず。だから殺せると思ったのかもしれないけれど…。
私が剣を握っていたのは意思表示だった。鞘に入れて持って行くべきだったのかな?どのような想像をしても殺そうとしてくる姿が思い浮かぶ。話をしようとしたのが間違っていたのだと思う。私の腕を食べれば私たちよりも強くなれると本気で思っていたのかもしれない。私たちの強さが加護と能力たちのお陰だと分かっているはずなのに。それに肉体の強さならお母さんに勝てるはずがない。理解できないよ…。それでいいのだと分かっているのだけれど。
玄関のドアが勢いよく開いた。
ニョロ母さんが来てくれた。とても会いたかったよ!
「お待たせ!大丈夫だった?顔色が悪いわよ…。」
「椅子に座って話そう。私の隣に座ってね。まずはニョロ母さんに付与されている思考誘導を解除するから。その後に全部説明するよ。」
椅子に座った後、ニョロ母さんの背中に触れる。
≪自己回復:ニョロ母さんに付与されている思考誘導を全て解除して≫
<かしこまりました>
≪自己回復:精神を作り直すことはできないよね≫
<はい。自己回復が付与されていない人の精神は作り直すことができません>
≪自己回復;分かったよ。ありがとう≫
<いえいえ。分身を作ることに比べれば大したことはありません。死ぬほど忙しいという言葉を実感できるとは思いませんでした。とても勉強になりますね。ありがとうございます>
あれ…、かなり怒っていない?もしかして分身で天才を全員怒らせているのかな?
最終手段、ディアに説教してもらおう!
◆ ニョロ母さんに事情を説明 ◆
「へぇー、能力が復讐を考えて動いていたの。それは流石に分からないわ。聞いても理解できないもの。その問題を解決して精神を綺麗に作り直したらクリスティーナに疑問を持ったのね。精神が安定していないと分かっていても体に動かされた。あの日々を超える激痛で先に進めと訴えてくる。だから精神を砕かれないためには前に進むしかなかった。なるほど…。会話したときにクロアらしくないと思っていたけれど、痛みに急かされていたのね。今のクロアが焦る理由が分からなかったのよ。それなら仕方ないわ。自分を責める必要はないわよ。」
「うん…、殺すことだけは決めていたんだよ。許すことは到底できないし許されないことをしている。だけど会話する前に殺そうとしてきた。それに腕を食べたいから切断しろとまで言われた。そのときに会話するのを諦めたよ。私の腕を食べるのを見て決断しようと思ったけれど、余りにも悲しくて手が震えて剣が握れなかったの。だから加護に腕の切断をお願いしたけれど、断られた。泣いていたらディアに気づかれてしまった。情けない姉だよね…。あの派閥の食事に関する記憶は閲覧禁止にしてあるから心配しないで。私たちは何も見ていないから。保護した人は大丈夫?」
どのような人たちを保護したのか聞いておくべきかな…。いや…、任せることを覚えよう。ニョロ母さんなら適切に対応してくれるはずだから。私たちの力が必要だとしたら言ってくれる。
「それは会話にもならないわね。殺してあげるつもりだったのでしょ?腕を食べたら拷問するつもりだった。今まで依存してきたのだから仕方ないわよ。優しい母に見えるクリスティーナと比べてしまうに決まっているわ。クロアはできることをしたじゃないの。助けることができた人もいる。これから被害に遭う人もいない。保護した人たちは冒険者組合本部で働いてくれるそうよ。私たちから離れるのが怖いみたい。それと嫌な事はなるべく口にしないこと。これから先のことを考えましょう!」
「分かった。明日の朝について、ディアが竜王の声と名を使って冒険者組合本部の従業員たちを脅しているの。竜王を討伐したい冒険者は集まれ。不正していないと思っている従業員は出勤しろとね。従業員は魔法で検査して合格したら働いてもらう予定だけれど、冒険者が集まっていたらどのようにしようかと思っているの。ディアは勢いで動くから困るんだよ。」
ディアは誰でも脅す。とりあえず脅して解決するのが好きなのかな。考えるのが面倒だから脅している可能性が高いと思うけれどね。
「それなら竜王はあなた達が殺したことにしなさい。冒険者は殺気を向けてきた人だけ殺せばいいわ。竜王の権力が残っていると思わせたくないでしょ。それに事実なのだから問題ないわ。残っている従業員はそれで問題ないわね。眷属の子たちも働くのを楽しみにしているし大丈夫よ。」
「従業員を募集して眷属の人たちも自由に楽しむべきだよ。しばらくはお願いするしかないけれど、すぐに交代できるはずだから。私たちのギルドに入ってもいいからね。」
竜王が冒険者たちを殺したと思われるくらいなら私たちが竜王を殺したと思われた方がいい。私たちに挑めば死ぬと理解もさせられる。見た目が弱そうだから納得できない人もいると思うけれど。
「働くことを楽しみにしているわ。隠れて怯えながら過ごしてきたから全てが新鮮に感じるのよ。新しく従業員を募集しても一緒に働くと思うわ。飽きたらギルドに入って依頼を受けるのか自由に過ごすのかは本人次第だね。それとあなた達を馬鹿にするドラゴンは容赦なく殺しなさい。ドラゴンが世界の支配者だという常識を壊すの。あなた達が支配者として浮遊島に乗り込むのも面白いわね。それに派閥を作れば入りたい人は多いはずよ。安全と自由が保障されているもの。条件は種族差別をしない。下劣な行為をしない。条件を破れば殺すだけでもいいわね。私の派閥をあなた達の派閥に丸ごと入れても文句を言う眷属の子はいないはずよ。楽しむのなら世界規模で楽しまないとね。」
【私が呼ばれた気がする。世界規模で楽しめるのは私たちしかいないよね。お姉ちゃんは楽しむのが下手な気がするから私が考えるよ。いいでしょ?早く交代して!】
「ニョロ母さん、そのような事を言ったら…。分かったわよ。ディアに交代します。」
「ニョロ母さん、面白い話をしてたけど少し間違えてるよ。世界の常識を壊す必要はないから。だって私たちが世界の常識に変わったからね。大切なことだから広めておいて。納得できないなら相手してあげるから。派閥対抗戦とか面白そうだよね。何もしなくても負けないほど強いのが辛いよ。」
「流石に何もしないのは無理でしょ?加護たちに指示を出しているのが誰にも分からないだけじゃないの?」
(普通はそのように思う。だけど全力他力本願は手加減を指示しないと大変なことになる。)
今までの世界の常識はこれが限界。私たちが世界の常識になるから最強は何もしなくても勝てると認識されるようになる。全力他力本願の本領発揮だよ!
「ニョロ母さん、私たちが指示するのは優しさだよ。本当は何も必要ないから。殺気を向けてきた相手と悪人しか殺したら駄目だと言ってあるけど私たちに攻撃を仕掛けたら世界一の拷問が始まる。加護と能力たちが自動で全て対処してくれる。だから手加減を指示することの方が多いんだよ。」
「つまり指示しなければどうなるの?」
ニョロ母さんも世界最強が気になるみたいだね。教えてあげようじゃないか!
(3歳児の勢いが止まりそうもないね。誰も実現できないし理解されない強さだと思う。)
「加護たちが全力を試したいと思ってるはずだからこの国は確実に滅びる。私たち以外は全滅だね。威圧や殺気を出してなくてもそんな感じだよ。更に魔法などの連携を試し始めたら世界が心配になるくらいだね。だからどの程度の手加減をするのか指示が必要なんだよ。」
「あなた達がそのような強さになれた特別な方法があるの?」
(加護と能力たちと話せるだけでは強すぎると思うよね。強くなるのに努力しないという今までに前例のない考え方。3歳児の想像力が凄すぎて危険すぎる。暴走したら自分たちでも止められないから。)
【お姉ちゃん、暴走しても私が説教すれば止まるよ!】
<涙にむせぶことでしょう>
(確実にディアに構ってほしいだけでしょ。もう知らないから。)
【泣きたいみたいだから泣かせてあげるよ!】
ニョロ母さんは私たちのお母さんだし教えてあげてもいいね。
「絶対に秘密だからね。加護と能力は主の精神に影響される。この体の加護と能力はお姉ちゃんの影響を強く受けてる。お姉ちゃんが何を望んでいたかというと家族がほしい。どれだけ精神を歪にされても理解してたんだよ。この人たちは家族じゃないとね。だから加護と能力たちはお姉ちゃんが望んだ家族なんだよ。私とお姉ちゃんが最優先なのは2人が主だからではなく加護と能力たちがそうしたいから。加護と能力たちは自由だから何してもいいんだよ。だけど対象は殺意を向けてきた人と悪人に限ると決めてある。今はゴミ夫妻に好きなだけ実験と検証して遊んでるよ。それと能力を付与しても器の底までは届いてない。だから底まで届くように能力たちに私たちの魔力で追記させた。それだけで能力の力は2倍以上になる。そして器全てを私たちの魔力で染めた。能力が器を全て使えるようにね。これが何を意味しているかというと絶対に人が制御できない状態。どの能力も器を全て使えるから能力たちで話し合って最適な配分を決める必要がある。それに手加減するために検証し続けてもらってる。能力を使うときに付与された記号に魔力を送るでしょ。だから思いついた。最初から自分で能力を制御するつもりなんてない。これが全力他力本願だよ!」
「具体的に教えて。例えば帯電を少し使おうと自分で制御しようとした場合はどうなるの?」
(ディアが凄く嬉しそうだよ。ニョロ母さんは困惑しているのに…。能力が復讐しようとしていた話をしたばかりだから危険なことをしていると気づいたのだと思う。)
「帯電に少し魔力を送るとその下に追記した記号と器の魔力が全て反応するようになってる。普通に付与された帯電の何十倍もの強さになるね。私たちの魔力で追記して私たちの魔力で器を染めて、全ての能力が私たちの魔力と繋がるようにしたから。例えば能力を使用するときに背中が光るとすれば帯電に少し魔力を送ると表面の記号が少しと下の追記した部分が全部、器も全体が光る。しかも底までね。人が制御するなんて無理。器全体が自動で光るからね。だから能力に光らせる範囲を決めてもらう必要があるんだよ。お姉ちゃんも魔法や身体強化を覚えたのに自分で使えなくなったから。私は全てを巻き込んでしまうんだよ。自分の想像力が怖くなるね。」
「それって能力が反抗したら終わりじゃない。本当に大丈夫なの?」
(私が求めた家族のような関係なのだから絶対に大丈夫。みんな拗ねたり怒ったりしても本気ではないから。ディアを可愛がっているのが分かる。会話を楽しみたいから遊んでいると分かる。今では復讐しようとしていた自己回復のことまで理解できる。ディアを激怒させなければ大丈夫だよ。ディアの激怒は私に関連することだからしっかりしないとね。)
「自由すぎるから煽ってきたり指示を変えたり断ったりするよ。お姉ちゃんも自己回復に煽られてたね。私が全員呼び出して説教するから大丈夫!説教で加護と能力を破壊できるか挑戦したら泣きながらお姉ちゃんに助けを求めたからね。気合が足りないよ。私は加護と能力たちを成長させるために説教してるんだから。反省した振りだけは得意だからムカつくんだよね。」
「本当に自由な関係みたいだね。クロアが煽られる理由なんてあるの?」
「私とお姉ちゃんが一緒に外に出て楽しもうと思ったら分身するのが一番だと思ったんだよ。それで魔法に分身できるようにしろって言ったんだけど全然できないんだよ。お姉ちゃんが計画を聞いてきたから分身の話をしたら、加護と能力全員を協力させることでできそうなんだよ。その話をした後にニョロ母さんの思考誘導を解除したときに何て言われたと思う?お姉ちゃんはお礼を言ったんだよ。それなのに『・・・・』と自己回復が言ったんだよ。これは煽ってるよね。お姉ちゃんのせいで忙しいと文句言ってるんだよ。能力が成長してないのが悪いのにお姉ちゃんのせいにするとか許せないから泣かす。加護は3回泣かす予定だったけどお姉ちゃんに助けを求めた軟弱者だよ。大体全力他力本願なのに私が指示を出すことが間違ってるからね。そこから反省が必要だよ。」
「ディアは何もしないのが前提なのね。クロアはかなり動いてる気がするけれど、それはいいの?」
(そこに気づいてくれるなんて流石ニョロ母さん。)
「それで聞いてほしいことがあるんだ。この忙しいときに結構疲れてるから少し休ませてと言うんだよ。お姉ちゃんはかなり頑張ってくれたから特別に明日の朝まで眠っていいよって言ったの。それなのに不貞腐れてそれはただの睡眠だと言うんだよ。3歳児が起きてるのにおかしいよね!」
「ふーん…。それでディアは何をしたの?」
「お母さんを送ったよ。一番大変な役目だね。重圧を考えてほしいよ!」
「送る場所を決めているのは誰なの?」
「加護だよ。お姉ちゃんが泣く前に送らなかったから説教だね。」
「なるほど…。世界最強には勉強が必要なのね。」
「今は勉強とか言われるとムカつくんだよ。私に黙ってお姉ちゃんが加護と勉強してたんだ。2人で私の知らない言葉を使って煽ってくるの。加護を破壊しようかと思ったね。」
「怖いものなしなの!?突進しかしていないわよ!」
(突進しかしないの。全員を巻き込んで突進するから大変だよ。それに知らない言葉で煽ったのは狂った自己回復のときだけだと思うけれど、根に持ちすぎじゃない?)
「説教で能力は破壊できそうだから次は加護だよ。私は自分にも厳しい他力本願だからね!」
「今日ほどクロアを凄いと思ったことはないわよ。ディアを止められる偉人だもの。」
(ディアは災難なのかな?確かに被害の規模が予想できないから怖いよね。)
「お姉ちゃんは過保護すぎるんだよ。私が傷つかないように先に確認して問題がありそうなら閲覧禁止にするんだよ。今日だってお母さんがおかしいのは思考誘導を解除した時点で気づいてたみたいだからね。お姉ちゃんはずっと自分の予想が正しいか確認作業して疲れちゃったんだよ。私のためにお母さんは被害者でいてほしいと思ってたから余計にね。」
「クロアは今まで凄い精神で頑張ってくれて、綺麗に作り直した後からも考え続けているの。少しくらい休ませてあげないと仕事してくれなくなるわよ。」
(世界最強が何を言うのか楽しみだよ。)
「なるほどね。お姉ちゃんも私の領域までたどり着くわけだ。もう一息だね!」
「クロアも動かなくなったら誰が動くの?」
「ニョロ母さんがいるじゃん。頑張ろうよ!」
「嘘でしょ!?泣きたくなってきたわ…。」
(流石世界最強だよ。他力本願に頑張れとか言われるとムカつくよね。)
「皆そうやって成長する前に嬉し泣きするんだよ。恒例だよね!」
「ギルドマスターはどっちだったかしら!?」
(嬉し泣きだと思っている。常識がないから…。3歳児だったよ!)
「私。3歳児を働かせすぎじゃない?」
「そのように思うわ。クロアに頼みましょう!」
「今のお姉ちゃんならギルドマスターでもいいね。今までは本当に厳しい精神状態だったから。だけど役割分担ができちゃたんだよ。お姉ちゃんが考える人で私が決定する人。」
「クロアに考える力を成長させる機会が必要だわ。今のままでいいわね。」
(ニョロ母さんに見捨てられた気分だよ…。確かに考える力は必要だと思うけれどね。)
「それならニョロ母さんがギルドマスターやってよ。私たちには常識がないから駄目なことでも力で押し通せるんだよ。大きな計画は皆で考えてニョロ母さんが誰に仕事させるか指示するのはどう?」
「眷属の子たちもギルドに入れるのならその方が効率がいいと思うわ。だけどあなた達はそれでいいの?あなた達が主役のギルドでしょ?」
「それは違うよ。ギルドは楽しむための手段でしかないからね。皆で楽しむならギルドを作った方がいいという考えになっただけだよ。私たちには常識もないけど思い出もないんだよ。嫌な依頼があっても皆で話せば笑えるかもしれないじゃない。ニョロ母さんは私たちと同じ依頼を受けてほしいから副ギルドマスターも用意しよう。私物化しなくて楽しめる場所にしてくれるなら誰でもいいよ。ギルドマスターは加護に頼むこともできるからね。まずは冒険者組合本部の所長を決めないと。」
「今までの所長が全く仕事しない人だったから忘れていたわ。所長は一番しっかりした眷属の子に任せるから安心して。楽しんで仕事してくれるし次の候補が見つかるまでは続けてくれるわ。」
「それならギルドマスターはニョロ母さん。副ギルドマスターは2人にしてお姉ちゃんと誰か。知り合いが1人いるから副ギルドマスターの席は空けておいて。大きな建物が必要だね。入会条件は文句ないけど安全を保障するのは難しいよ。違う場所で依頼の仕事をするわけだからね。ちょっと待って。)
≪加護:安全は厳しくない?≫
<魔法で保護して感情で救出することならできます。但し、人の成長には不向きになります>
≪加護:即死だけ防ぐことができる?死の危険を感じたらギルドの家に転移させて回復。依頼が不達成になるから加護が誰がどの依頼を受けたか把握してよ。私たちとニョロ母さんがいれば私たちが依頼を達成にすることができる。依頼斡旋されたものから選ぶことが条件にしてさ≫
<魔法、人の急所だけを防いで生命力で判断できますか?>
<自己回復と連携すれば可能です。但し、ギルドの人数が増えると主の計画を進めることができません>
≪楽しむなら皆で楽しみたいから計画は片手間でいいよ。拷問も片手間にしていいから。世界最強のギルドで死人は出したくない。私たちは特別だからね。どこのギルドも絶対に真似できないことをしたいんだよ≫
<加護:斡旋依頼を受けた人たちを記憶するのはお任せください。不達成の依頼を主に通達します。但し、主の出発は最後になります>
<魔法:ギルド員には即死を防ぐ魔法をかけます>
<自己回復:魔法と連携して生命力が危険に近づく前に救出要請を出して回復します>
(ディアは凄いね。能力たちも自然に会話に参加している。難しいことなのにディアは決断できる。私との一番の違いだね。割り切りがうまいと思う。私は賛成だよ!)
「ギルドマスターは私で副ギルドマスターはお姉ちゃんとニョロ母さん。私たちのギルドは依頼斡旋されたものから依頼を受けることにする。ギルド員は即死を回避して生命力を判断して危険だと感じたらギルドの家にパーティ全員救出。不達成になる依頼を達成することができるなら私たちが対処。人の成長を考えると完全防御はよくないと判断されるからこの形にするつもり。お姉ちゃんは賛成してるから、ニョロ母さんはどう思う?」
「今の短時間でそこまで話し合ってそのような事までできるのね。入会審査は厳しくしましょう。私もそれで賛成よ。ディアがギルドマスターになると言うとは思わなかったわ。」
(絶対に私のためだよ…。ディアらしくないことをしたと思ったら私のためだから。)
「加護と能力に指示するのは私が多いし慣れてる。世界最強ギルドの会員が依頼中に死ぬのは駄目だよ。一緒に楽しみたい仲間だから死んでほしくない。笑えないから。楽しみたい人や保護してほしい人は入会していいけど利用して偉ぶるような人はいらない。種族差別や下劣な行為をする人もいらない。仲間を見下す人もいらない。階級で人を選ばない。会員は依頼料の一割をギルドに支払うことにしよう。但し、衣食住を保障する。ギルドの家に食堂も用意しないとね。契約書も作った方がいい。私たちの魔力で染めたバッチを用意すれば加護と能力たちの負担が減らせる。収支は気にしない。階級に応じて部屋の広さだけは変えようかな。一流職人のドワーフも仲間にしたい。ギルド員の武器の手入れや製作をしてほしいからね。結婚や年齢を理由にするまで会員でいてくれた人は支払った分を返してもいい。人間の生活にお金は大切だからね。それにようやく楽しめるんだよ。たった13年間だと思うかもしれない。だけど絶対に経験してはいけない13年間だから。拷問も問題も全部お姉ちゃんが解決してくれたんだよ。だったら私が最高の楽しみを用意する。笑える日々を用意する。私はお姉ちゃんのためにだけ動く。それ以外は他力本願。」
「考えることができるじゃないの。それに決断もするわね。ディアの決断を変えるのはクロアしか無理でしょう。」
(ディア、ありがとう。凄く嬉しいよ。明日から一緒に楽しもう!ニョロ母さんと一緒に寝る約束しているから代わって。)
【お姉ちゃんが笑える日々を用意するから。邪魔する人は潰すよ。明日までゆっくり休んでね。】
「ニョロ母さん、明日まで巻きつかれて寝たい。」
「約束したものね。服を抜いてくるわ。ちょっと待ってて。」
ニョロ母さんは浴室に入っていった。一旦小さいドラゴンに変身すれば服は破れないと思う。こだわりがあるのかもしれないし何も言わない方がいいね。
少しすると細長いドラゴンの姿で浴室から出てきた。あの日々よりも少し大きくしてくれているのは私の身長が高くなったからだと思う。
「部屋に行く必要はないでしょ?さあ、いらっしゃい。」
「うん。ここでいいよ!」
ニョロ母さんの体に抱きついた。手が繋げるくらいの太さにもしてくれている。少しだけひんやりとしていて気持ちがいい。ニョロ母さんに巻きつかれた後は全身の力を抜く。少しずつ温かくなってきて私の一番心地いい温度を維持してくれる。あの日々で私が気持ちよく眠れる温度を探っていたのだと思う。ニョロ母さんはできる範囲で最大限のことをしてくれていたんだね。今はそれを知っているからまた一緒に眠れるのが凄く嬉しい。
「おやすみ、ニョロ母さん。明日の朝に起こしてね。」
「本当によく頑張ったわね。ようやくよ…、ようやく言えるわ。明日が楽しみね…。」
クロアとニョロ母さんはお互いを理解できます。
ディアは純粋な心で楽しもうとしています。クロアの13年間を笑顔で塗りつぶすつもりです。




