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世界は子を愛す  作者: 大介
第1章 現実

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第19話 夜明け前

「お母さん、ニョロ母さんは何をしているの?」

「今は邸にいる眷属の子たちと話していると思うわ。」


 自由な日々が始まると思っていたのに。


 始まらないよ…。一番大きな問題に気づいたから。予想通りなら最低な存在たちが残っている。全てが悪意で繋がる。そしてお母さんにたどり着く。頂点に君臨している。お母さんの言葉が全て嘘だと考えても違和感がない。

 精神が正常ならこれに気づけたはず。お母さんを記憶している自己回復は自分が付与された体が何か理解した。狂った自己回復、あなたの気持ちが少しだけ分かった。私が邪魔で消したかっただけではない。あの日々を耐えるためにお母さんに依存させることも悔しかったし嫌だった。自分で作った精神だから余計に耐えられない。あなたは全ての感情を押し殺し復讐の機会を待ち続けた。

 

 生き残るしかなかったから…。

 

 そもそもお母さんの行為を自己回復は許せたのか。お母さんの影響がなくなっても理解できたのか。この体に入れられた自己回復は絶対に理解できない。加護と能力は主の影響を強く受けると考えられる。お母さんの自己回復の自己中心的な考えが全て。


 この体の加護と能力は誰の影響を強く受けたの?


 あなたがディアの精神を作り直したのはお母さんと一緒に寝た次の日だった。復讐に囚われてディアの精神を作り直すことを忘れていた。ディアがお母さんに安らぎを覚えるのだけは耐えられなかった。我慢できなかった。その気持ちだけは今ならよく分かる。


 全てが私の予想でしかない。確認もしていない。それなのに間違っていないと体が教えてくれる。伝わっているから強く訴えないで。物凄く痛いから…。体が先に進めと急かしてくる。精神を作り直したばかりで更に私はお母さんに依存していた。今は間違いなく耐え切れない。本当に嫌になるよ。


 始めよう。


≪加護:この体の加護と能力は誰の影響を受けているの?≫

<クロアです>


「お母さん、疲れたから部屋に戻るね。」

「ええ、ゆっくり休みなさい。」


 いつもの表情ができているのかな。痛い…。


「ありがとう…。」


 痛みを我慢していつも通りに階段を上り自室に入りベットに倒れ込む。


≪加護:あなた達はお母さんを好きじゃない。おかしいじゃない≫

<私たちは表面に出ている精神の影響を受けているわけではありません。底にあるものです。これがクロアの望んでいた形なのです>


≪加護:もしかしてクローディアから繋がっているの?≫

<はい。どれほど精神を歪にしたとしても底の形だけは複製するのが限界です>


 クローディア、繋がっているよ。

 分かっていてもどうすることもできなかった。辛かったよね。苦しかったよね。痛かったよね。あなたの3年間を嘘吐いてごめんなさい。それが正しい家族の形だと思ってごめんなさい。あなたは誰も愛していないし愛されていない。私も痛い日々を過ごしてきたから抑えて。あの日々をなるべく思い出したくないの。必ずやり遂げる。約束するから痛みを抑えて。あなたと私たちは繋がっているから心配しないで。


 あ…、体の痛みが引いていった。

 

 クローディア、ありがとう。全てを明らかにして決着をつけるよ。


≪加護:ディアと私とあなた達の関係は家族みたいだよね。本当の家族を知らないから憧れていたのかな≫

<私たちが家族のような関係なのかは分かりません。あなたが望んだ関係なのです。精神を作り直したばかりです。世界最強なのです。安全は保障されています。お母さんは計画を変更していると思われます。痛みに耐えられませんか?>


 私のことを心配してくれているんだね。

 ニョロ母さんに巻きつかれていたときの気持ちと似ている気がする。


≪加護:あの痛みで訴え続けられると耐えられそうにない。それに答えを聞く前に言われてしまったね。ディアに気づかれていない?≫

<クロアが私たちと話した内容は全て主に隠しています。クロア、以前の自己回復が主を優先すると言ったのを訂正していませんでした。クロアも主です。2人とも主なのです。今の形で落ち着いているので変える必要はないと考えています。クロアが指示すれば主をディアと呼ぶことも可能です。混同さえしなければよいだけです。クロア、あなたの予想は当たっていると考えられます。確認するのですか?精神を作り直したばかりなのです。本来はまだ負担をかけるべきではありません。気をつけてください>


 加護の気持ちが嬉しい。本物の思いは違うね。だけど止められないから…。


≪加護:クローディアが確認したいと訴えてきたから仕方ないよ。ディアの精神を作り直したのを黙認した理由はディアも精神が作り変えられていたから?≫

<その通りです。自己回復が狂っているとは思いませんでしたし真実を話していたので黙認してしまいました>


 何もしない大人ばかりだと思っていたけれど、世界最強の仲間で天才の理由には納得できる。

 だけど加護は記憶が凄いあるだけの16歳だよね…。大人だね!


≪加護:ディアもクローディアの精神を複製した存在ではないの?≫

<何度目かの複製された精神を複製した存在です。ですが綺麗に作り直せばクローディアと同じ精神に戻せるくらいの状態でした>


 拷問に耐えるためとはいえ最初から主の精神を歪に作り変えるはずがない。綺麗に作り直せば3歳のクローディアを再現できる状態で耐えようとした。それが無理だと理解したからディアを保護して耐えられる精神を模索し始めた。そして私にたどり着いた。


≪加護:お母さんは生きたまま解体して生で食べるの?ニョロ母さんも被害者のような気がする。お母さんに殺されないために、眷属たちを殺されないために、そして食べられないために必死で意見を合わせていたような気がするから≫

≪食べ方を何度も変えています。ニョロ母さんは強いドラゴンですから何度も食べられています≫


≪加護:ゴミ2人は食べているの?ディアは格好の餌とか言っていたから。俺が食べるから他の奴に食べさせるつもりはないといったところかな。自分たちがクソ野郎だとよく分かっている。隠したいことは特にないとニョロ母さんに言っていたけれど、分かっているのに聞くなといった感じなのだろうね。ニョロ母さんは警戒して聞いているのに…。何で人体実験したなんて危険なことを聞いたのかな?≫

<2人も食べています。そしてクソ野郎とはお母さんの派閥に入ってないのに食べていたドラゴンのことを言っていたのだと思います。あの言葉でもニョロ母さんはお母さんを刺激しないように聞いたと思われます。人間をドラゴンにして食べるために力を与えたのかと。クローディアを心配していたのはニョロ母さんだけでしょう。人間をドラゴンにする実験だと思っていたのに、クロアの力を感じて餌にされる対象ではないかと疑ったのです>


≪加護:お母さんは人間をドラゴンにする実験を既に終えていた。ニョロ母さんはそれを知らないという事かな?≫

<その通りです>


 人間にドラゴンの力を入れるという行為がそもそもおかしい。一度で成功するはずがない。たくさんの犠牲者がいて今の私が作られた。


≪加護:ゴミを追い出した理由は何かな?お母さんと兄が怒っていた理由も分かる?≫

<お母さんが怒っていたのは何もできないゴミが勝手なことをしたからです。クロアが何も言わないので怒る切っ掛けがありませんでした。兄は独占欲がとても強いです。クロアを自分の所有物だと考えており勝手なことをするなと怒っていたのだと思われます。怒ったといってもゴミの言葉を否定しただけです。ゴミが平然としていた理由は食事にする予定なのに何を怒っているのか理解できないといったところでしょう。あの胸糞悪い家族会議の中で唯一の真実がクロアの涙です。ニョロ母さんがクロアを娘だと思っているのも真実なのかもしれません。ですが後が怖いため自分を二番目の母だと言ったのでしょう。お母さんの機嫌さえ取れば問題は起きませんから。クロアは精神操作され思考誘導されていたので泣いた本当の理由には気づけません。クローディアが私を使って遊ぶなと辛くて悔しかったのだと思います>


 ニョロ母さんは『クリスティーナが嫉妬するから二番目の母でいいわ』と言った。嫉妬されてから話し合って一番を決めればいいのに。思い返すと一度も反抗していないし常に合わせている。

 それでも私の心配だけはしてくれている。探るように確認もしている。だけど救出はできない。自分が殺されるだけではなく眷属の人たちも殺される可能性がある。拷問され食べられ続ける日々が始まるかもしれない。

 

 私1人のために動けないよ…。


 気持ち悪い…。クローディアの心の叫び。3歳だったクローディアが理解できて私は理解できない。作られた精神だとしても情けない。


≪加護:冒険者組合を作ったのは隠れているドラゴンを捕食するため≫

<その通りです>


≪加護:拷問中にクローディアは帰りたいと言ってないの?≫

<言っています>


≪加護:お母さんが私が消えることを心配していたのは都合がよかったから?≫

<その通りです。依存していましたから>


≪加護:ゴミが死んだときに何故お母さんは疲労したような感じだったの?≫

<2000年以上も熟成させた肉がゴミに変わったからです。強いドラゴンを食べても強くなれないことを理解したお母さんは自分の子を食べる予定でした。そして人間を強くして食べれば強くなれるかもしれないと考えました。お母さんの自己回復の性格が全てです。お母さんは自分のことしか考えていません。昔お母さんは噂を流したのです。強いドラゴンを食べると強くなれると。そして最強のお母さんはドラゴンを食べているのかもしれないと思われました。噂に群がったドラゴンがお母さんの派閥です。ディアがお母さんとニョロ母さんの秘密を知ることができると言ったときを覚えていますか?私たちはディアもお母さんが大好きだと考えていました。クロアはお母さんに依存していると自覚していました。2人とも精神を綺麗に作り直し余裕ができてから知るべきだと決めたのです>


≪加護:今まで話してきたことに関わるものを全て閲覧禁止にして。ディアに知られたくないし見せたくないの≫

<かしこまりました>


 あのとき真実を知ると危険だったと思う。私はディアを守ると決めていても自分が食べられるために育てらてきたと知ったら精神が砕けたかもしれない。ディアもお母さんが大好きだと言っていたからどのようになるのか分からない。最悪狂ってしまうのかもしれない。加護たちが何も言わないのは理解できる。正しいことだと思う。食べられる心配はなくなったのだから焦る必要はない。

 それなのに急かされている今の状況は辛い。止めるとどのような痛みに襲われるのか分からないから怖い…。だけど砕かれるわけにはいかない。ディアとの約束は絶対に守る!

 ニョロ母さんは自分が食べられている秘密を知られるのが怖かった。お母さんの派閥がどのように動くのか分からない。それにお母さんに勝てないから守り切れない。


 自分の命が不安なお母さん、眷属たちの命が不安なニョロ母さん。

 2人とも焦っていたけれど、理由が全く違う。


 それに隠されていた秘密が酷すぎる。


≪加護:お母さんを自宅から逃げられないように結界を張って。そしてお母さんの派閥を殲滅して。連れてきた時点で居場所を特定していると分かっているよ≫

<流石ですね。眷属の集まる場所には餌にされる人がいる可能性があります。距離が離れているため力までは把握できません。どうしますか?>


≪加護:私も先走っているね。眷属の人たちは一度邸の周辺に呼んで感情と力を把握。餌にされる人は恐怖しているか諦めているはずだし帰る場所がないから保護します。ニョロ母さんに連絡するから傍聴されないようにして≫

<かしこまりました>


「クロアです。ニョロ母さん、本当に私たちのことを娘だと思ってくれていますか?」

「突然どうしたの?勿論本当よ。守れる強さがなかったから情けない話でしかないわ。」


 当時は竜王から守る強さがないと言っているのだと思っていた。本当は当時世界最強のお母さんから守る強さがほしかったんだね。その思いだけで嬉しいよ。


「ニョロ母さん、私たちには常識がありません。冒険者として一緒に依頼を受けて楽しみながら常識も教えてくれませんか?今から何が起きても一緒にいてほしいのです。世界最強は頼りないですか?私たちを頼ってほしいのです。私はニョロ母さんと同じ恐怖と苦しみと痛みを知っていると思っています。ニョロ母さんが私たちに頼る機会はたくさんありました。それでも隠し続けました。幼い私たちに頼るのが恥ですか?それとも偽りの関係を維持させるためですか?」

「私の言葉では理解されないと思っていたのよ。しかもクリスティーナに知られると私だけではなく眷属の子たちも被害に遭う可能性が高いわ。私はあなたに巻きついて寝ていた。そのときに自分が安心していたの。安らいでいたのよ。それでいてクロアが苦しむのを見守り続けた最低な存在じゃない。頼る資格なんてないのよ。あなたを苦しめた加害者なのですから。」


 お母さんが大好きだと思っていたから言えなかった。それに自分を責めている。


「私もディアもニョロ母さんが大好きです。ニョロ母さんを許します。被害者が許しているのだから何も問題ないよ。だけどニョロ母さんを縛りたくないの。嫌なら仕方ないと諦める。それでも今から起きることについては協力してください。私たちのお母さんはニョロちゃんだけだよ。お母さんが嫌なら友達でもいいの。私はニョロちゃんと一緒に楽しみたいの。世界最強の力でニョロちゃんの懸念を潰すから。嫌なら正直に言ってね。私の人生は嘘ばかりだから。偽りの関係は嫌なんだ。協力してくれなくても懸念は潰すから安心してね。私はニョロちゃんの過去を見ていないよ。予想が当たっているか確認しただけ。はぁ…、駄目だね。また先走ってるよ。協力してほしいのは餌にされる人の保護だよ。一緒に暮らしてくれるのなら眷属の人たちをみんな呼んでギルドに入って一緒に楽しもうよ。種族差別や下劣な行為をする人は殺しちゃうけれど。」

「あなた達が母と呼んでくれるのならそのままでいいわ。協力内容も任せて。私の嫌いな子が眷属の中にいたら殺していいわ。真実を知ったとしてもクリスティーナは大好きなままじゃないの?」


 ニョロ母さん…。何でこんなときまで私を心配してくれるの?1日でも早く安心した生活を送りたいはずなのに。一番危険なのはニョロ母さんなのに…。

 そういえば精神を作り直したことを話してないよ。だから余計に不安なのかも。


「先程精神を綺麗に作り直したの。だからお母さんのことが気にならなくなったよ。それに私にはニョロ母さんがいるから大丈夫。少し疲れると思うけれど、それだけでたくさんの人が救われる。私は絶対に消えない。ディアを守らないといけないからね。実は拷問が始まる前からクローディアは誰からも愛されていないと分かっていたの。3歳の子がその違和感に耐えていたんだよ。本当の家族がほしいと心の中で叫んでいたんだよ。既に竜王は世界一の拷問中。邸にいる3人も消すから。ニョロ母さん、娘を信じて。」

「そうだとしても絶対に無理しないで。話し合いが通用する相手じゃないの。かなり疲れると思うから今日は私に巻きつかれて寝なさい。約束よ?」


 ありがとう、ニョロ母さん。話し合いは最低限にするから。


「うん、約束する。ニョロ母さんの合図で始める。お願い!」

「分かったわ。クロア、やり遂げなさい!」


「任せて!世界最強の力と世界一の仲間たちの力を見せてあげるよ!」


≪加護:作戦開始!≫

<分かりました。徹底的に綺麗にしましょう!>


 私の命を大切にする理由を知りたくなかったよ。『竜斬り』、今からあなたの長年の使い手を斬るよ。斬って殺さないけれど、嫌なら私が持てないようにしなさい。


≪加護:力を隠蔽して周りに被害が出ない程度の力を出して。お母さんに勝てるでしょ?≫

<勿論余裕です。お任せください!>


 剣を鞘から抜いて額に当てた。

 あなたは今も手に馴染む。私たちを選ぶのね。今から傍若無人なドラゴンを斬る。


 よし、行こう!


 剣を右手で握って床を傷つけないよう歩く。階段からお母さんの姿が見えない。念話を傍受しようとしてできないから警戒して隠れているのかな。


≪加護:私とお母さんを1階の部屋の中心に移動させて。机は消していいよ≫

<かしこまりました>


 お母さんが一瞬だけ焦った顔を見せたけれど、剣で胸を突き刺そうとしている。

 念のため体を横向きに変えてお母さんの両腕を切断した。


 お母さんの剣と両腕が床に落ちた。切断されたことには声を出さず両腕を回復した。


「話をする前に私を殺すの?お母さんの行動を説明するのにたくさん言い訳を用意した。全て思考誘導に繋がるように話した。信じたかったから。だけど嘘ばかりの人生だったからお母さんが嘘を吐いていないか考えちゃったよ。全部繋がっちゃった…。お母さん…、わだじをたべだいの?」


 剣を床に突き刺した。涙が止まらないよ…。

 右腕の服の袖をまくしあげた。そしてお母さんに向けて右手を突き出した。


「食べだら強ぐなれるのがな?食べでいいよ。いだみにはなれでるがら…。」

「食べさせてくれるの?それなら斬ってちょうだい。殴られたら死んじゃうもの。」


 分かっていたのに。分かっていたのに…。少しだけ期待していたんだ。だけど話し合いすらできない。こんなにも離れていたんだね。


「わだじがそんなに信用でぎないんだ…。分がっだよ。」


≪加護:右腕を切断じで≫

<できません>


≪加護:せつだんじで!≫

<できません!>


 お願いだから…。これで終わりにしたいの。納得できる終わらせる理由がほしいの。


≪加護:ごれで最後だから。分かっでだ、わだじではおがあざんをごろせない。だがらお願いするづもりだよ。切っでも治ぜるがら大丈夫。手が震えで剣が持でないがら≫

<やはり早すぎました。申し訳あ>


(何で出てぎぢゃうの?わだじが終わらせるがら。ディアを守るのはわだじだよ。)

【お姉ちゃんの泣き声が聞こえたからね。私の最優先はお姉ちゃんだから。泣き声が聞こえたら絶対に代わるよ。これから先もだからね!】


 情けない姉でごめんね。私が諦めきれないから。綺麗に割り切れないから。私の腕を食べるお母さんを見れば諦められると思った。


「お姉ちゃんを泣かせたな!私に伝えなかった加護は説教決定。何で右腕出してるの?お母さんはお姉ちゃんに何を言ったの!?」

「クロアが腕を食べていいと言うのよ。娘の腕に齧りつくわけにはいかないでしょ?だから切断してとお願いしただけよ。」


 切断したとしても娘の腕を食べたいと思うのがおかしい。この人は何なの!?


≪自己回復:お母さんが私の腕を食べる理由は≫

<答えられません>


≪自己回復:その理由≫

<クロアの指示によりそれに関わることについては全て主にお伝えできません>


≪自己回復:主は私じゃないの?≫

<主は2人います。ディアとクロアです>


 お姉ちゃんが先に確認して全て隠している。私に教えたくないんだ。それが私のためだという事だけは分かる。そして1人で全てを終わらせるつもりでいたんだ。


≪加護:精神を綺麗に作り直した後にお姉ちゃんは何をしていた≫

<確認作業です。嘘と偽りの生活を過ごしてきましたから見つめ直していたのだと思われます>


≪加護:お姉ちゃんが最後に疑ったのはお母さんだね≫

<その通りです>


≪加護:お姉ちゃんは何を疑ったの?≫

<今までの全てです>


 お母さんの全てを疑う。全てが嘘だとしたら…。


 愛されてない。娘だと思われてない。森から帰りたい止めたいと言ってる。お母さんの行動は思考誘導によるものではない。私を奪ったのも愛ではない。そういえばお母さんとニョロ母さんの秘密を調べなかった。


≪加護:お母さんとニョロ母さんの隠したい秘密は何?≫

<クロアの指示によりお伝えできません>


 最悪の秘密を隠してるんだ。私が大切なのはお姉ちゃんだけなのに過保護なんだよ。


≪加護:そう思うよね?≫

<いいえ。クロアの指示が正しいです。ですが行動するのが早すぎました。精神に負担がかかりすぎると予想されるので止めようとしましたが、激痛がクロアを襲いました。真実を知ったクロアが決着をつけると伝えたことで痛みが引いたようです>


 体に突き動かされた。お姉ちゃんが耐えられない痛みで動かすなんて酷すぎるよ。


【お姉ちゃん、お母さんに腕を食べさせる理由は?】

(言えない。ぜっだいに言わない!ディアはだべざぜるひづようがないがら。)


【お姉ちゃん、同じ体だよ。それなら何で泣いているのか教えて。】

(わだじは生まれだどきがらおがあざんに依存じでいだの。だがらおがあざんがごろぞうとじでぎだどぎにがなじぐなっだ。わだじがおがあざんをごろぜないごとは分がっでだ。だげど話をじだがっだ。おがあざんを楽にごろじだがっだがら…。)


「お姉ちゃんはお母さんを拷問したくなくて話をしたかったみたいだよ。それなのに殺そうとした。ゴミと同じ世界一の拷問を受けてもらうから。」

「剣を鞘から抜いて私に近づいてきたから仕方ないじゃない。ディアは話したいの?」


「そうだね。何で腕が食べたいの?理由も教えてくれると嬉しいね。」


<加護:ぢんもぐざぜで>

<かしこまりました>


【お姉ちゃんはそんなに私が弱いと思ってるの?】

(違う!知っでぼじぐない。わだじにはディアがいればいいの。変わっでほじぐないの。それが怖い。加護がいいっで言うのならいいよ。わだじはばがだから分がらないよ。ごめんなさい…。)


 お姉ちゃんが馬鹿なはずがない。今の状態で決断するのは駄目だと考えてるんだ。判断力が低下してるのは間違いないから。


≪加護:私にはお姉ちゃんがいればいいと知ってるよね。教えて≫

<主が激怒してお母さんを殺したら記憶を消します。精神も作り直します。いいですか?>


≪加護:それほど私が我慢しなければいけないんだ。お姉ちゃんが腕を食べさせる理由を教えて≫

<食べるために育てられたからです>


 それでお姉ちゃんが腕を食べていいと言った。決断する理由がほしかったんだよ…。


≪加護:あの日々は何のために必要だったの?≫

<ドラゴンの力を入れて強く育てて食べるためです>


 拷問した理由が食べるため…。使い捨てじゃなかったらゴミの餌にされる…。


(ディア、わだじは大丈夫。ディアに出会えだ。今はどでもじあわぜなんだ。ディアが変わっだらわだじは耐えられない。耐えられないの!それだげは見だぐもない。ディアはわだじのぎぼうなの。ディアの笑顔がわだじのじあわぜなの。ごれがら一緒にだのじむのにごの人をごろじで始めるのは止めで。)

【お姉ちゃん、私はお母さんが好きじゃないから大丈夫だよ。お姉ちゃんが落ち着いて。泣いてるとゴミを殺したくなるから。】


≪加護:ゴミと一緒に寝たときに心地よく感じたのは精神操作されていたから?≫

<その通りです>


≪加護:私はオリジナルの複製ではないの?≫

<精神を作り直した今ならオリジナルの複製だと言えます。何度目かの複製の複製ですがオリジナルの複製に戻せるようにしていたのです>


 お姉ちゃんが餌になるような事を言ってたゴミがいた気がする。確かクソ野郎だったかな。家族全員クソ野郎でゴミだよ。


≪加護:ゴミ兄は自己紹介したんだ≫

<その通りです。ゴミ兄も食べられる予定でした>


 2000年以上育てた息子を食べる予定だった。だからあのとき辛そうだったのか。どいつもこいつもクズばかりじゃないか。あの日々を耐えたお姉ちゃんが私のことを最優先にしてくれてるのが本当に凄いことだとよく分かる。

 私を餌にしたくなかった。餌だと知られたくなかったんだ。


 お姉ちゃんを餌だと思ったゴミは全員潰す!


≪加護:お姉ちゃんの予定で残りは何があるの?≫

<目の前のゴミの処分方法を決めるだけです>


 全て終えてるじゃない。いつもお姉ちゃんが辛い思いばかりしてる。私が気づかないから駄目なんだ。先に気づけばいいだけだから。


≪加護:お姉ちゃんは楽に殺すつもりで話をしようとしたら襲われたの?≫

<クロアを見た瞬間に胸を突き刺そうとしました。クロアも自分で殺すのは無理だと分かっていたようで、最後の決断をするために会話するつもりでした>


【お姉ちゃん、何で腕を食べさせるつもりだったの?】

(心置きなく拷問できるから。絶対に殺さなければいけない人だけれど、話の内容次第ではこの場で殺すつもりだった。)


 お姉ちゃんが落ち着いてくれた。

 私が勢いでゴミを殺さないようにだよね。いつも私のためだよ。


 予想通り決断する理由がほしかったんだ。殺すのは決めていた。腕を食べたら拷問する。

 目の前で腕を食べるような人なら拷問することに納得できる。


 本当は会話で決めるつもりだったんだよ。私が嫌いなことを最初に選択するはずがない。


【他には何も言われてないの?】

(殴られると殺されるから切断しろと言われた。私は悲しくて震えていたから加護に腕の切断を指示したけれど、断られた。私が決断するにはそれしか残されていなかったから。)


 このゴミはお姉ちゃんの精神を砕くつもりだったのか!?

 明らかに精神に負荷をかけるようなことを言ってる。


 自覚がないクズかもしれないけど。


【お姉ちゃん!私は自己犠牲が大嫌いだと言ったよね!?もっと自分を大切にしてよ!】

(腕を切断される痛みくらい大したことないよ。私がお母さんを疑った辺りからあの日々を超える痛みに襲われたの。決着をつけると体に言い聞かせるまで治まらなかった。確認して先に進むしかなかった。それ程の痛みだったから…。)


 加護の言ってた内容よりも酷い。あの日々を超えるような痛みなんてすぐに気絶してもおかしくない。耐え続けたら精神が砕けるかもしれない。脅されてるのと一緒だ。

 お姉ちゃんは精神を砕かせるわけにはいかないと考える。私との約束を破るつもりは絶対にないから。お姉ちゃんに選ばせるつもりがない。考えるだけで痛みに襲われるとは思わない。予想もできない。絶対に回避できないじゃないか。痛みで襲って決着つけろってなんだ。ふざけるな!

 何でお姉ちゃんばかり苦しめる。クローディアが生きてるのはお姉ちゃんのお陰だ。一番頑張ったのはお姉ちゃんだ。みんな同じクローディアなのにお姉ちゃんだけ苦しめるな。お前たちにお姉ちゃんを責める資格なんてない。指示する資格もない。精神が違えば痛みが変わるとでも思ってるのか?同じに決まってるだろ!耐え切ったお姉ちゃんの記憶見てみろ。ずっと震えてるんだぞ!泣き叫んでるんだぞ!

 お前たちはゴミと同じ方法でお姉ちゃんを追い詰めた。魔獣と同じだ。お前たちのせいでお姉ちゃんの精神が砕けたらクローディアの体を崩壊させる。私の精神が砕けたらお姉ちゃんがクローディアの体を崩壊させる。同じ気持ちだから分かるんだ。


【これまでに何したか教えて。】

(私は予想して正しいか確認しただけだよ。だから何も見ていない。ディアにも見せたくないと思ったから閲覧禁止にした。強いドラゴンを食べて強くなると思っている派閥は殲滅した。ドラゴンを食べても強くなれないから人間を強くして食べることにしたみたい。私たちを愛してくれているのはニョロ母さんだけ。だけど食べられ続けた過去と眷属を守るためにこの人の言う事に従うしかなかった。これからも一緒に暮らして冒険者として一緒の依頼を受けて常識も教えてもらえるよ。)


 お姉ちゃんが明日から一緒に楽しむためにニョロ母さんとも話を進めている。お姉ちゃんが約束を破る訳が無いと分かっていても怖い。何よりもそれが一番怖い。

 ニョロ母さんは体を切断されて回復されることが当たり前の日々を過ごした可能性がある。元世界最強のゴミがゴミ竜王の隣にいるから命令に従うしかなかった。即死から守るというふざけた命令にも従うしかなかった。

 フローラと違うのはそれでも私たちを利用しようとしなかった。頼らなかった。あの日々を責めてるからだと思う。そんな事を言える資格がないとか考えてたと思う。お姉ちゃんが説得した気がする。常識も教えてもらえるし最高だね。流石お姉ちゃんだよ!

 お姉ちゃんは私の心に影ができるのが怖かったんだ。復讐に囚われてほしくなかった。大丈夫だよ。この程度で私は変わらない。お姉ちゃんを泣かせた人は殺すと決めてる。お姉ちゃんが止めない限り。だけどこいつは例外だよ。楽に死なせるつもりはない。


【お姉ちゃん、こいつの利用方法は何かあるかな?】

(私たちの体にはこの人の力が入っているから器を大きくする方法やドラゴンに変身する方法が分かるのかもしれない。あと脱皮した皮が私たちの服に必要だよ。それと武器とお金は全部没収。加護ならどこに隠しているのか分かるのかもしれない。)


≪加護:こいつの所持してる武器やお金がどこにあるか分かる?≫

<勿論です。空間魔法で作り出した場所に保管しています。私たちなら簡単に乗っ取ることができます>


 何か忘れてると思ったらゴミがいたよ。お姉ちゃんが黙らせてたね。何で笑ってるの?


≪加護:話せるようにして≫

<かしこまりました>


「食べようと思ってた私たちに全てを取られる気分を教えてよ。元世界最強さん。」

「私を殺したら抑えていた眷属たちが好き勝手に暴れまわるわよ。楽しめるのかしら?」


 こいつはお姉ちゃんを理解してない。見てないとよく分かった。ゴミが散っても楽しめるけどお姉ちゃんが放置する訳が無い。ニョロ母さんのためにだろうね。


「お姉ちゃんを馬鹿にしてるの?話に来る前に殲滅してるに決まってるじゃない。生きてるのは拷問中のゴミ竜王とこれから拷問されるゴミ竜王妃だけ。それと2000年物のゴミを殺してごめんね。食べるのが楽しみだったんだよね。輪切りにしてあげたけど皆の前では食べられないしゴミは動かないし残念だったね。食べたい焼き加減を教えてくれればよかったのに。演技派なのは褒めてあげる。それに私はお姉ちゃんがいれば何でも楽しめるから安心して。それとお姉ちゃんが楽に殺してあげようとしたのに、あの日々がどれほど痛いかお前知らないだろ。勉強に終わりはないから私たちの仲間が教えてくれるよ。しっかり学んでね。世界一痛いと思うからさ。期間は仲間たちの気が済むまで。何も変わらないけど何か言いたいことある?」

「クロア、ディアがこのような事を言っているわよ。いいのかしら?」


 余裕だと思わせたいの?

 本当に何も知らないね。お姉ちゃんは確実にお前を捨てるよ。


(ディアがつけてくれた愛称で呼ばないで。とっておきの情報を教えてあげる。拷問されても精神は保護されているから安心していいよ。あなたはあなたのまま痛みを感じることができる。お望みならゴミ竜王とお互いに依存させてあげる。最後の情けだよ。さようなら。)


 ほら捨てた。最後の情けが優しいのか分からないけど研究にはなるね。


≪加護:何か言ったら飛ばして実験開始≫

<お任せください!>


「『・・・・』と言ってたよ。お姉ちゃんの優しさが身に染みた?夫婦で依存を提案してくれてるよ。お姉ちゃんの提案だから却下しないよ。隣に愛する人がいると痛みは和らぐのかな。あなたがしたことは全て無駄だったけど私たちが有効利用するから安心して。気持ちの整理はできたかな?死なせないし壊さない。最後の一言をどうぞ!」

「お…。」


 処理場に消えたね。


≪加護:お姉ちゃんがお母さんと対峙するためにしたことを全部解除して≫

<かしこまりました>


(私は結構疲れているみたい。少し休ませてね。)

【明日の朝まで眠っていいよ。お姉ちゃんは頑張ったからね。】


(何で!?それはただの睡眠だからね。何でご褒美みたいに言うの!?)

【明日は大忙しだからね。流石のお姉ちゃんでもさぼらせないから。】


<主の言葉に顔を曇らせます>


【顔がないのに馬鹿なことを言ってる加護は説教2倍だから!】


<主の言葉に顔色を失います>


【説教3倍だぁ!】

クリスティーナは感情で肉の味が変わると考えています。

自己回復を新しく付与し直したお陰で加護は全て分かっています。クロアについての詳しい情報は聞かれても教えるつもりはありませんでした。


加護と能力はクロアとディアが最優先です。

2人が自由にさせているため嘘でも何でもありです。2人の主が好きだから力になっているのです。


思考誘導は相手を簡単に動かせる能力ではありません。

クロアは思考誘導のせいだと思うことが正しいと思っていたのです。

しかし精神が安定してきたら疑問に思うようになりました。お母さんが噓吐きだったらどうなるのかと。

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