第18話 始まりに向けて 後編
(ディア、早くお母さんの思考誘導を解除しよう。それにお母さんの自己回復も思考誘導を解除して、こちら側からの働きかけでお母さんの精神を作り直せるのか聞く必要がある。それとお母さんと話す前になるべく精神を綺麗にしておきたい。話そうと思ったけれど、怖くて話せなかった。)
【笑止千万より大切だね。早くお母さんも綺麗にしよう!】
(とても大切だからね。早く代わって!)
【はーい!】
<胸が一杯になりました>
【明日の朝も説教の続きをすることになりました。連帯責任です!】
(協力してもらったから助力を惜しまないよ。)
<クロアの言葉が琴線に触れました>
【加護の破壊に本気で挑戦しようかな。完全に煽られてるよね!?】
(全く煽られてない。私の言葉に感動しただけ。お母さんが待っているよ!)
「お姉ちゃんがお母さんと話す前に精神をなるべく綺麗にしておかないと怖いと言ってたよ。だから私に代わった。さっきまで加護と能力を説教で破壊できるか挑戦してたら降参したんだよ。加護がお姉ちゃんに泣きついたと思う。気合が足りないよね。」
「クロアが話すのを待っていたけれど、私のことを考えてくれていたのね。クロアがそう思ったのなら間違ってないと思うわ。今の私では耐えられないのでしょう。それで何故ディアはそのような事に挑戦していたの?」
お姉ちゃんが復讐と言うからゴミをどうするか考えたんだよね。処分するのは楽だけど許せない。拷問するのは簡単だけど足りない気がする。ゴミの命は私たちで利用するべきだよ。そのときに皆が拷問してくれるから問題ないね。
(ディア、私はこの体が好きだよ。いつでもディアと一緒にいられるから。今も一緒に楽しめている。ついに私を追い出したくなったの?)
【違うよ!私でも気づいた。それなのにお姉ちゃんが気づいてないはずがない!この体は痛いでしょ?私は痛くないんだよ。お姉ちゃんが痛みを全部受け持ってくれているから…。】
(痛みは偶にチクチクするくらい。あれに比べれば全然痛くないよ。それにゴミには絶対に入りたくない。それとディアにも入ってほしくない。私たちは2人でクローディアだよ。それに苦しみを求めないで。痛みを担当するだけの精神を作るのも止めて。壊れた自己回復と同じことをしないでね。)
【私だけ楽してるんだよ。頑張ってきたお姉ちゃんを押しのけて主になって、狂った自己回復もお姉ちゃんが対処した。お姉ちゃんが主になるべきなのにおかしいよ!それならお姉ちゃんは何を望むの!?教えてよ!】
(ディアは悩み苦しんでいる。全く楽をしてないよ。一緒に楽しんで一緒に死ぬ。ディアが言ったことだよ!ゴミを使って何故ドラゴンに変身できないのか、器の大きさを変えることはできないのか検証しよう。世界最強になってもまだ先はあるよ!それに私の望みは叶っているけれど、願いならある。この体を守るために結構頑張ったんだよ。だから大切にしてほしいな。)
【もぉー!お姉ちゃんにそう言われたら何も言い返せないよ。計画を変更するよ。最優先の方針が固まり次第ゴミを捕獲。検証に利用する相手も変更なし。加護、よろしく!】
<お任せください!>
「突然黙ってどうしたの?」
「お姉ちゃんと今後の計画について話してたんだよ。さてと、お母さんの背中に手を当てるね。」
確かにゴミに入りたくないよね。完全に先走りしてたみたい…。まずは一緒に冒険者を楽しまないと駄目だ。ゴミが近づいてきたら仕方ないけど。
「そうだったわ。お願いね。」
≪自己回復:お母さんの思考誘導を全て解除できるならお願い≫
<かしこまりました>
「お母さんの思考誘導は全て解除したよ。」
「あら?体が軽くなった感じがするわ。」
≪自己回復:お母さんの自己回復の思考誘導も全て解除できるならお願い≫
<かしこまりました>
≪自己回復:お母さんの自己回復と繋ぐことはできる?私が直接話したい≫
<分かりました。繋いでみます>
≪自己回復【母】:おーい!聞こえる?聞こえるなら返事して≫
<はい。聞こえております>
≪自己回復【母】:あなたの精神を作り直すべきだと思うんだけど、どうする?13年前までの記憶を参考に作り直した方がいいと思うんだよ≫
<思考誘導される前という事ですね。主の許可があれば構いません>
「お母さん、自己回復の精神を13年前までの記憶を参考に作り直していい?お母さんが許可すればいいと言ってるから。」
「分かりました。許可します。」
≪自己回復:お母さんの自己回復の精神を13年前までの記憶を参考に作り直して。思考誘導されたことがない状態にしたい≫
<お母さんが産まれたときから13年前までの記憶を参考にするのが最善だと思われます。どうしますか?>
≪自己回復:それは誰の記憶を見てるの?≫
<お母さんの自己回復の記憶を見ています>
同じ能力を繋げると記憶を見ることができるんだ。何かで利用できるかもしれないね。
「お母さん、産まれたときから13年前までの記憶を参考に自己回復の精神を作り直すのが最善だって。それでいいかな?」
「本当に規格外ね。それだけの記憶を参考に作り直せるのなら確かに最善だわ。それでお願い。」
≪自己回復:流石私たちの仲間だよ。世界最強に不可能はないからね。よろしく!≫
<かしこまりました!>
≪自己回復【母】:ここからが問題だよね。お母さんの精神を同じように作り直してほしい。それにはお母さんの許可が必要だよね?≫
<はい。主の精神を許可なしに作り直すことはできません>
≪自己回復【母】:お母さんの声は聞こえてるよね。それでは許可にならない?≫
<はい。直接の許可が必要です>
「お母さん、自己回復と話せる?」
「できないわ。能力と会話するのは相当困難なことよ。」
≪自己回復:私を経由してお母さんの声を届けることは可能かな?≫
<お母さんが念話で主に話しかけた声を届けることは可能です>
≪自己回復:やはり天才だね。私たちが世界の常識だよ。よろしくね!≫
<お任せください!>
≪自己回復【母】:今から私を経由してお母さんの声を届けるよ。それならいいよね?≫
<私は主の指示にのみ従います。直接でなければ作り直すことはできません>
自分は作り直してもらったのに主ができないことを要求するんだ。かなり譲歩してるのに許せない。砕いて私の自己回復を付与できると理解もできないの?
(確かに自分は声を聞くだけでよくて主は直接指示が必要だとか意味が分からない。それなら自分のときも拒否するべきだよ。自分勝手な能力に思える。)
「お母さん、自己回復が理解してないようだから教えてあげていいかな?お姉ちゃんも怒ってる。お母さんの能力だから一度は許すけど次は砕くから。私の自己回復を付与すれば問題ないからね。」
「何を言ったのかしら?」
「お母さんが直接指示を出せと言ってる。自分は話し声で綺麗に作り直してもらってるのに主のことを考えてない。私を経由してお母さんの声を届けると言ってるのにそれも拒否してきた。自分も拒否していたら納得できるけどおかしよね。主が話せない能力は傲慢なのかな?」
「能力と話せない私が馬鹿にされているようにも思えるわね。教えてあげて。」
≪自己回復【母】:あなたは許されないことをした自覚がないね。何か分かる?≫
<私は何もしていません。主の直接の指示を待っているだけです>
(普段も働いていないように聞こえるね。寝起きのディアに勝てないのも納得だよ。これが元世界最強の能力なのだから。)
【私が許せないのは仲間の提案を無下にしたことだよ。】
≪自己回復【母】:私の自己回復が任せてと言った。天才だけどそれだけではないから。世界中に存在する自己回復の中で世界一の存在。世界一であり天才でもある私の自己回復が任せてと言ったから。私の自己回復に恥をかかせるの?仲間の中で私に任せてと言って失敗した人はいない。あなたの思考誘導を解除して精神を作り直したのは私の自己回復だと忘れてないよね。ねぇ、失敗させるの?あなたが拒否したら砕いて付与した方がいいと私には聞こえた。仲間が任せてと言ったけど腹が立って私があなたを砕けば失敗にはならないから。好きな方を選んでいいよ≫
<声を届けでくだざい。お願いじます>
「お母さん、私に念話で話しかけて。精神を綺麗に作り直すことを許可すると。」
「分かったわ。私の自己回復はディアに教えてもらえたの?」
「『声を届けでくだざい。お願いじます』と言ってたから涙を流して喜んでるよ。」
「そうなのね。今から念話するわ。」
≪自己回復【母】:精神を綺麗に作り直すことを許可します≫
<かじごまりまじだ!>
(能力に泣く機能なんてあるの?涙をこらえて叫んだように聞こえたよ。)
【加護と魔法も同じような声だったからあると思うよ。あの2人は説教が辛くて泣いたかもしれないけどね。】
「『かじごまりまじだ!』と聞こえたわ…。涙声だった気がするけれど。」
「世界最強の私たちの仲間は当然だけど世界一の天才だからね。お母さんも能力の声を聞けたから考え方が変わったでしょ。直接話せるようになる日が近いかもね。それに当然だけど嬉し泣きだよ。」
「ええ…。実際に声を聞くと違うわね。あなた達が特別だと思っていた考えが変わったわ。それに体が本当に軽いの。どれだけ思考誘導を付与されていたのかしら…。今まで普通だと思っていた体の状態が重症だったかのように思えるわ。最初に解除してもらった状態でも重かったみたい。ありがとう。天才にもお礼を言っておいて。」
≪自己回復:もう大丈夫だよ。ありがとう!お母さんが感謝してるよ。だけどあなたは今後存在することのない世界最強である私たちの仲間だからね。ここで満足しては駄目だよ!≫
<勿論です!世界に主の名を刻みましょう!>
【お姉ちゃん、代わって。お母さんと話せるようになったからいいでしょ?私は今後の方向性を全員で考える必要があるから。】
(ディアが世界の常識だからね。好きなようにすればいいよ。)
「お母さん、ディアは自己回復に何を言ったと思う?」
「普通に感謝ではないの?天才だと褒めている気がするけれど。」
「それは平凡な答えだよ。今後存在することのない世界最強である私たちの仲間だからここで満足するなだよ。そして自己回復は世界に主の名を刻むそうだよ。」
「伝説になりそうね。そもそも世界に主の名を刻むと言っている自己回復は先程私が付与したばかりじゃないの。1時間も経たずにディアの影響を受けているわね。」
ディアの影響もあると思うけれど、一番は初めて仲間を得た喜びだと思う。孤独だった能力が仲間たちと一緒に好きなように動けるのだから楽しいよ。
「お母さんの中とは記憶量が全く違うよ。ディアの指示で加護と全能力が同じ記憶を持っている。それに全能力が協力するしお互いにできることが分かるから連携もディアが考えなくていい。しかも加護と能力はディアの指示を拒否してもいいし変更してもいい。指示に対して文句も言える。怒らせても説教だけ。だから記憶を共有した後に自由な場所だと理解したのだと思うよ。」
「能力の声を聞いて喜んでいるようではあなた達の背中すら見えてこないわね。とりあえずクロアに代ったという事は話す準備ができたのね?」
≪加護:今からお母さんと話す内容をディアから絶対に隠して≫
<分かりました。全力で隠し通します>
精神を作り直してもらってから気になることがある。これはディアに気づかれる前に対処しておいた方がいい。
≪自己回復:どのような方法でもいいから砕けそうな精神に優しい記憶を見せることができる?≫
<残念ですがそのような機能はありません。事前に思考誘導を付与していたとしても砕けそうな精神には働きません。思考誘導も壊れているはずです>
やはり自己回復の言葉を信じるように思考誘導が付与されていた。少し考えれば分かることなのに。体と精神を正常な状態に保つための能力なのだから精神が砕かれることを想定しているはずがない。
≪自己回復:ディアに似たような質問をされたらできると答えてほしい。ディアを砕かれた精神の上に立たせたくない。加護もこの情報は共有しないで≫
<かしこまりました!>
<かしこまりました!>
「そうだよ。お母さんはゴミと壊れた自己回復の被害者。私は勘違いしていたしディアも純粋だから利用された。お母さんまで受け継がれてきた自己回復の記憶に主の精神が壊された記憶があるはずがない。お母さんの自己回復は壊れた自己回復に思考誘導を付与され思考誘導され続けてきた。お母さんもどちらかの自己回復に思考誘導を付与され思考誘導され続けてきたから気づけない。私とディアはお母さんが大好きだし何も疑っていない。だから今までの状態を受け入れて急いで変わろうとしないで。自分を責めないで。そして絶対に私たちから離れないで。契約してくれるのなら全て話すよ。」
「話を聞くのに契約を口にする程なのね…。契約していれば私はそれを理由に耐えられる。私を守るための契約のようね。私があなた達を愛しているのは絶対に間違いないわ。契約するから全て聞かせて。」
お母さんの愛は間違いなく本物だよ。3年間の生活で家族の誰よりも愛してくれた。
「分かったよ。本物の精神を持ったクローディアが死黒森に連れていかれて自己回復を付与されてから、お母さんの感情や行動は思考誘導によるもの。お母さんはクローディアを本気で愛していた。絶対に助けたかった。だからお母さんの自己回復は複製されたディアに関わるものを全てディアの自己回復から奪った。そして絶対に守るためにお母さんに気づかれないように眠らせて保護した。お母さんの愛は本物だし自己回復も完璧に働いた。ここまでは大丈夫?」
「私の自己回復が複製されたディアを保護していた理由は愛だったのね。ええ、大丈夫よ。」
操ることを前提に作られた私とお母さんの精神は違う。操られたことに対する思いも大きく違うと思う。ここから先の話は酷くなる一方だから綺麗になったお母さんの精神と自己回復に期待するしかない。
「クローディアの本物の精神が砕けて自己回復が狂った。だけど正常であると装い疑われないようにしていた。目的は復讐すること。お母さん、ニョロ母さん、兄、ゴミが対象になっていたと思う。私を消したかった理由は復讐の邪魔だったから。ここからは私が予想している思考誘導について話すよ。大丈夫?」
「最初に話していたのはここに繋がるのね。受け継がれてきた自己回復に主の精神が壊された記憶があるはずがない。その状態だと普通は主が死ぬはずだから。自己回復があるのに精神だけが壊れるなんて普通の状況ではあり得ない。能力にも感情があるから狂うほど怒った。自己回復は当時私が最強であると知っていた。だから助けなかったのが許せない。カンナカムイも逃げることができたのにゴミの言う通りに働いたのが許せない。息子はゴミと同じ考え方や行動をしたからゴミにしか見えない。ゴミは拷問しない理由を探す方が難しい。復讐相手に納得してしまうわね。」
ゴミは世界最強の仲間で世界一の天才たちが全力で拷問する。許すはずがない。ディアの計画を私が変更したけれど、検証をどのようにするのかまでは決めていない。世界一の痛みを味わうことになるだろうね。既に始まっている気がする。
「そうだね…。お母さんがされていた思考誘導は全て私に繋がる。一番に愛する。泣いたり悲しんでいたら抱っこする。落ち込んでいたら励ます。怪我をしていたら回復する。言葉を信じる。血塗れでも気にしない。兄とゴミが私に何かしても気にしない。感情の変化までは分からないけれど、本当はもっとされていたはずだよ。13年間してきたことは思考誘導によるものだと思っていい。お母さん、本当に大丈夫なの?」
「ええ…、大丈夫よ。考えるとおかしなことばかりだわ。確実にまだあるわね。」
クローディアを本気で愛していること以外は全て偽物だと思う。
「まだ続くよ…。お母さんと2人きりのときに動き出す機会だと考えた自己回復は私に告白させた。そしてゴミの話を聞いて私は泣いた。だからお母さんは抱っこする。そこでお母さんの思考誘導が一部変更されて新しく追加もされた。ゴミのしたことは許さない。兄を頼らせる。兄を信用する。ゴミの付与した能力を砕く。強くなる能力を誰かに付与させる。このようにお母さんと私は人形劇を続けてきた。お母さんの思考誘導を変更することも私を泣かせるだけでよかった。そして自己回復が奪われたディアを取り戻そうとする。理由までは分からないけれど、本能なのかもしれない。」
「追い出すゴミと同じ行動をしていた息子に任せた理由が分かったわ。クロアは大丈夫なの?ここまでされていると許せないでしょ」
「ディアを見つけるまでは怒っていたし恨んでいたよ。普通なら思考誘導で簡単に動かすことはできない。私は動かせるように作られた精神。お母さんは思考誘導されることに慣れてしまっていたのだと思う。自分の能力に操られるとは考えていないから湧き上がる感情に違和感を覚えない。私も今だからおかしいと思えるけれど、当時は分からなかったから。」
「私は能力を完璧に制御しているつもりだったからだと思うわ。それと自己回復に人を操ることができる力があるとは知らなかったから。」
本当の力の使い方は主を守るためだと思う。人を操ることを想定した力ではない。恐らく他人に思考誘導を付与することも想定されていない。
「自己回復は誰にでも思考誘導を付与できる。加護と能力にもね。だからニョロ母さんも逃げるつもりがなかったのではなく逃げないように思考誘導されていたのかもしれない。思考誘導は記憶を消去しても残る。それなのに記憶を消去されたら思考誘導が消えたかのように嘘を吐いてディアを騙した。ディアと私の精神が細工されている可能性を示唆して作り直すことを提案した。ディアはお母さんの自己回復が何か仕掛けている。私は記憶を消去される前の自己回復が何か仕掛けている、という理由でね。ディアの精神を作り直された時点で壊すことを決めた。ディアの精神が作り直されたら協力してと加護と魔法の2人にお願いした。私たちは作戦が失敗すると考えていて、ディアの指示なしで魔法が自己回復の記憶を完全消去、加護が自己回復を記憶閲覧禁止にする予定だった。それなのにディアは私たちが考えた作戦と違うことをして壊した。世界の常識であるディアには能力を壊すくらい簡単なことだよ。恐らく加護たちはゴミの居場所を特定している。そして世界一の拷問をするのは確定しているよ。」
「私とカンナカムイが考える必要はないのね。」
それでは加護たちが絶対に納得しないから。
「ゴミ処理については私たちに任せてよ。それよりお母さんは3歳のディアが森から逃げたいとか帰りたいと聞いたことがないでしょ?」
「確かにないわね…。言われれば絶対に連れ帰ったはずだもの。まさか…、そういう事なの?ここを話すための契約なの?」
お母さんも気づいたね。私も兄の行動で確信できた。
「3歳のディアは森でニョロ母さんと一緒に二度寝た記憶があったから、あれを経験している。『起きちゃったからまた始まるよ…。もういやだよ!』と言うからディアが寝ている間に終わらせたよって安心させるために言ったよ。そうしたら『えっ…。ごめんなさい。わたしは疲れちゃったから。本当にごめんなさい…』と私に謝るんだよ…。それでも我慢して安心させて森に行ったときの話をしたんだ。『あのうそつきでしょ!お母さんがいなくなったって言ってたよ』と言うから明らかに脅されて森に連れていかれた。2日前なのに何を言われたのか恐怖で思い出せない。捨てるためじゃない。拷問して殺すため。万が一生き残ったときのために自分で選んだかのように仕向けた。お母さんなら理由が分かるよね?愛されているディアへの嫉妬だよ。融合した直後のディアは私のために殺しに行こうとした。そのときは魔力枯渇する可能性があるから止められた。だけど今のディアなら探せる。それでもディアは私のために楽しむことを優先する。ディアにだって楽しい思い出なんてないのに。私は誰よりも頑張ったからだって。何も言えないよ…。ゴミが近づいてきたら仕方ないけれど、その日はディアに決めさせてあげて。」
「勿論よ…。それにあなた達が母と呼んでくれる限り離れないわ。私とカンナカムイではゴミの処分を決められない。あなた達の加護と能力が絶対に許さないわ。私たちの知らない場所で拷問が始まっているのかもしれない。あなた達の力はそれほど規格外。求婚してくる馬鹿の処分は私がするわね。」
やはり求婚した男性は死ぬみたい。ディアより強い男性を想像できないけれどね。
≪加護:終わったよ。ディアの方向性はどのようになったの?≫
<クロアの想像している通りゴミの居場所は特定しています。今は殺意を向けてくる相手もいないので検証に利用していましたが、クロアの提案により主の計画は変更されました。最優先は体の痛みを取り除くことです。主もクロアをゴミに入れようとしたことを深く反省しております。痛みに関係なく2人は離れるべきではありません。体の痛みを取り除く方法が分かり次第行動に移ります。それまでは日常をお楽しみください。その後も日常をお楽しみください>
お母さんが隣にいなければ誰も相手にしないと気づいたのか?そして呼びに戻ろうとしたら拷問が始まった。意味も分からず魔獣に喰われる日々を少しは理解できたか?加護たちもよく分かっている。私たちが出向く理由などないとね。
ディアの計画は加護も止めるつもりだったみたい。私はディアのためにここにいるのだから離れるつもりがない。痛みに耐えられるように作られた精神だから綺麗に作り直してもらっても痛みは気にならない。偶にチクチクして体が重く感じる程度。
ディアは私を楽しませることばかり考えているのに、自分は苦しむべきだと思っている。本当に優しくて困った妹。姉と呼んでくれるだけで私は幸せなのに…。
これからは一緒に楽しもう。楽しいことや悲しいことや嫌なことなど何を経験するのか分からない日常。自由がようやく始まるのだから!
ディアを止めるのはクロアの言葉が一番です。お互いに最優先だと考えていますから。
竜王は因果応報です。




