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世界は子を愛す  作者: 大介
第3章 実験の結末

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第119話 2人の幸せ

 翌朝、資料館に入ると妖精種の子が増えていた。

 とても賑やかで生まれたばかりの子に振り回される親を見ていると心が和んだ。

 不満を抱いている子がいないので読書できるようになるまでは現状のままで大丈夫だと思うけれど、皆の様子を確認して我慢させないようにしなければならない。


 勉強に集中するための資料館が必要になるかもしれないから。


 感情を表に出せるからこそ仲良くなれるし喧嘩もする。人付き合いで様々な経験をすることは良いことばかりではないけれど、奴隷として支配されてきた妖精種は経験が豊富とはいえないので軽い喧嘩の仲裁もできない可能性がある。

 私も生まれたばかりの赤ん坊なので皆と一緒に考えて対処していきたいと思う。


 午前の勉強が終わり自宅に帰っていつものように座った。

 昨日、ジェニーに森人(エルフ)の問題解決は明日の午後からと伝えたので、確認で終えたのか解決方法を考えたのか、どちらにせよ何を話してくれるのか楽しみ。


「残念ながら楽しい話はできないよ…。森人(エルフ)の王は神から『願い叶えてほしければ同族の命を捧げよ』と言われた。神に願いを伝える役目に選ばれるのは名誉なことらしい。魔獣から身を守る力がほしいという願いは100人殺しても叶わなかった。奴隷がほしいという願いは1人殺せば叶った。醜悪すぎる…。屑の手垢を綺麗に消すのは不可能だから接触する前の時間にするしかないと思う。だけど屑が接触する前の森人(エルフ)は世界各地の森で暮らしているので他種族も同じ時間にして世界の時間も同じにしなければ住居が用意できない。自然の形を変えると生命が巻き込まれて死ぬかもしれないので生み出すのを一時中断した。お母さんに『全種族が生きている世界を見てみたい』と言ったけれど、撤回するよ…。」


 生贄1人で願いが叶ったという結果があるので、願いが叶わなかったときは生贄の責任にされる可能性が高い。これでは生贄の親族がどのような目に遭うのか分からない…。

 森人(エルフ)の王は生贄の選び方や殺し方を工夫したのだと思う。ジェニーの「醜悪すぎる」という言葉は屑と森人(エルフ)の王に対して言ったように感じた。


 何よりもジェニーを悲しませたのが許せない!


「魔法以外の手垢は残すよ。『醜い欲を好み生贄の命を貪っていた邪神は殺した。私はお前たちに興味がない。但し、醜悪な存在は目障りだから殺す』と全ての生命に伝えて放置する。ジェニー、生贄として殺された子は可哀相だけれど、奴隷にされて殺された子も可哀相だよ。それに世界の管理者が森人(エルフ)に合わせる必要はない。優しさは大切だけれど、もっと高い視点で物事を見なさい。森人(エルフ)を救うのが目的ではなく、会話できる生命を生み出しても世界に問題がなければそれでいい。世界の管理者として問題があれば言いなさい。」


 世界の規則は施行しないけれど、神として屑を全否定する。

 邪神を崇める集団が生まれる可能性はあるけれど、願いが叶うことはない。それどころか見つけたら綺麗に殲滅する。


「世界の管理者としてはないよ。お母さんは種族の絶滅を防ぐの?この世界で何を見たいの?」

「絶滅しそうになった理由次第。私は世界が歪められなければそれでいい。見たいものはないけれど、世界が何か見せてくれるかもしれない。余りに酷ければ介入するけれどね。」


 世界の管理を手伝う。

 少し遊ばせてもらう。

 それだけで充分だよ。


◇◇◇

念話中。


 念話を繋いでから怒るの?

 ジェニーは反抗期に戻ってしまったの?


「違うよ!リオリナに聞かせたくないの。お母さんのお陰で今の時間があるんだよ。そして大概のことは解決できる力がある。好きなことを自由にできる力がある。それなのにアンジェとアンジェのお母さんとリオリナを幸せにして、実験場の人間を幸せにして、敷地で暮らす妖精種を幸せにして、人の幸せを見るのがお母さんの幸せなの!?」


 ほら、すぐに怒る。

 私の可愛い娘は怒った顔が似合わないよ。


「ジェニーを抱っこしている時間が幸せ。ジェニーを抱きしめて眠る時間が幸せ。妖精種の子に勉強を教えるのが私の遊び。森人(エルフ)の状態を聞いて会話できる生命から手垢を綺麗に消すのは面倒だと思った。だから最も簡単な対処で終わらせることにした。ジェニーの負担になるのもジェニーと私の時間を奪うのも許し難いからね。ジェニーの望みが他にもあれば考えるけれど、これで全種族が生きている世界になる。他にも望みがあるの?」


 ジェニーの頭を優しく撫でながら話した。

 話し始めたら耳を真っ赤にして密着してきた。

 可愛すぎる!


「望みはないよ…。2年間も待つのは面倒だから実験場の人間以外の生命は全て生み出す。一応アンジェに確認するよ…。お母さんの好きにすればいいみたい。いいよね?」


 横を向いて顔を上げず胸に耳を押しつけている。

 私の心音を聞いているのかな。


 面倒だから考えるのをやめてしまったの?

 会話できる生命には残してはいけない手垢が付いている可能性がある。


「太陽か世界の能力が付与されていても生み出す前に消すことができる?能力を使った殺戮は放置できない。」

「世界のことを考えているのはお母さんだけだね…。能力が付与されている記録を見たことがないので探し方が分かりません…。」


 私の力がどの程度のものなのか試させてもらう。

 愛娘を笑顔にする力はあるでしょ?


≪ジェニュイン・ワールドを世界の核に記録≫


 世界に指示を出した気がする。

 不思議な力があるのは間違いないのに解析する気が起きないのは、解析するべき力ではないという事だと思う。


「ジェニー、世界の核の記録を確認して。」

「分かったよ。」


 記録できていれば悪用されないように能力を持つと消える力なのかもしれない。


「お母さん、私の情報が記録されていたよ。能力は魔法と違う枠に記録されていたので太陽の能力で探すことができる。」

「生み出した生命とこれから生み出す生命を確認して。能力を付与されている生命がいたら記憶を確認して能力を消して生み出すべきか判断して。全て終えたらジェニーの記録を消しなさい。」


 予定とは違うけれど、2年間待つ必要がないのであればその方がいい。


 世界に指示したのか世界の力を使ったのか明確にできないけれど、世界と同じ結果を生み出すことができるので難しい問題に直面しても対処できる。

 なるべく力は使わないと言いたいところだけれど、普段から使っているので今更だね。


「お母さん、太陽の能力が付与されている生命はいないけれど、世界の能力が付与されている生命はいたよ。長命種の生命に付与されている。会話できる生命はうまく使いこなせていないし会話できない生命は使えていない。能力を消せば問題ないと判断したけれど、それでいい?」


 遊びで能力をばら撒いたみたいだけれど、一つも芽が出なかったようだね。

 お前の程度が知れる。


「それならいいよ。ジェニー、楽をするのと手抜きするのは違う。間違えないようにしなさい。」

「うん。分かったよ。お母さんが2年待つことにした理由は他にもあるのでしょ?」


 思考したことを教えるのはやめたと言っていないので継続中だね。

 疑問に感じたことは積極的に質問してほしい。


「会話できない種族が能力を使いこなすのは不可能だと考えた。能力を意識して使うにはかなりの知能が必要になる。記憶と精神を入れ換えても能力を使えるほど賢くならない。種族の限界を超えることはできない。だから会話できない種族を生み出すことにした。問題が起きても小規模で能力が付与されているのか確認することができる。そして2年間待てばジェニーの魂が記録を始めると予想した。そのとき太陽の能力がどのように記録されているのか知ることができる。それを元にして全ての生命を魔法で調べて対処する。そのあと会話できる生命を生み出し始める予定でいた。」


 ジェニーは能力を使う難しさを知っているので理解しやすい内容だと思う。


「確かに私は理解できる内容だけれど、お母さんは能力を使う難しさを知らないでしょ。」

「能力を無意識に使うことはできない。できる事とできない事を理解して使う必要がある。理解していても思い通りのことができるわけではない。能力以外の知識がなければ大したことはできない。想像力が乏しければできることもできない。実際はジェニーを見ていて難しいと思っただけだよ。」


 今でも能力を使いこなせていないでしょ。

 ジェニーが苦労して使っている能力を使いこなせる存在はいない。


「私を抱っこしているよ!あらゆる能力を使いこなせる存在だよ!屑の手垢を消すのが面倒になったのではなく私の負担が大きいからやめたのでしょ。別にいいけれどね!」


 嬉しそうにプンプン怒るなんて可愛くていいね。


「他にも秘密の相談があるのかな?」

「秘密ではないけれど、何で殺し合いを止めないの?」


 放置するのが不思議なのかな。


「会話できる生命がいなくても世界は困らない。私たちは生命の守護者でも管理者でもない。それに自分たちで終わらせることができなければ繰り返す。仮に私たちが表に出れば頼られ続けることになる。ジェニーは他人の要望に応え続けるの?誰かを救えば誰かに恨まれる。こんな愚かな問題に首を突っ込むの?」

「竜族だけ強すぎるよ。それでもいいの?」


 一方的な殺戮を懸念しているの?


「『醜悪な存在は目障りだから殺す』と伝えるのでジェニーが不愉快だと感じたら殺せばいい。自由にできる力があるのだから好きにすればいい。そうでしょ?」

「そうだったよ!制裁することで殺し合いが酷くならないようにするんだね。結局お母さんだけが世界のことも生命のことも考えている。こんなのおかしいと思わないの?」


 勘違いしているね。

 私がそこまで考えるはずがないでしょ。


「私はジェニーと楽しく過ごすために考えているだけだよ。おかしいと思うのなら何でもいいから提案しなさい。大概のことは解決できる力があるのだから自分の望みを叶えなさい。」

「分かった…。お母さんの望みは私が叶えるよ。とりあえず今から寝る!」


念話終了。

◇◇◇


 元気よく寝ると宣言してから眠るまでが早すぎるよ。

 ジェニーは私の望みを叶え続けているのだから特別なことをする必要はない。だけど話しているときと眠っているときのどちらを抱っこしている方が幸せなのか悩むね。

2人の幸せは同じです。

そしてジェニーはリアの活躍が見たいのです。

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