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世界は子を愛す  作者: 大介
第3章 実験の結末

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第115話 敷地の整理

 資料館を1軒にした事とイヤリングの機能を説明したあと、資料館の裏に行き壁に背を預け芝生に座った。ジェニーと会話したいので膝を立てて座らせている。

 私の周りには妖精種の子が集まっているけれど、犬妖精(クー・シー)猫妖精(ケット・シー)が増えてより賑やかになったように見える…。


「質問があれば順番は皆で決めて。私から少し離れて話し合ってね。」


 順番を決められないと知っていて声を上げた。

 呆れるほど早く言い争いが起きた。


 妖精種の女王は1番を譲る気がなく木妖精(ドライアド)は少し離れて様子を窺っている。敷地では共存しているように見えるだけで森で暮らせば敵対関係だとよく分かる。


 妖精種の女王が大声で言い争っているので小声で話せば聞こえない。

 抱っこしていなけれど、ジェニーは私の脚に背を預けて眠っている。


 本体を起こす役目の仮想体がいる気がする。

 今すぐ起こしなさい!


 ほら、起きた。


「ジェニー、妖精種の女王30人は種族と部族が違うのに同じことを子にしてきたでしょ。個性に違いはあるけれど、下劣な雰囲気を隠せていない。その理由を知っている?」


 記憶の継承が影響していると思う。

 歴史を知るのと記憶にあるのでは雲泥の差だから。


「はぁ…。当初は過酷な環境を生き延びるために子を犠牲にしてきた。だけど安定して生活できる場所を見つけた世代になると女王の娯楽になった。それからの女王は子を魔力としか思っていない。自分も魔力で生まれたことは忘れて、罪悪感なく子に命令して当時の凄惨な状況を再現した。気に入らない子を魔獣の餌にしたり餓死させてきた。森人(エルフ)の奴隷にされたのに改善していないんだね…。」


 仮想体に起こされて不満な顔をしている。

 その顔も可愛いので私は気にならない。


 必死に生き延びてきた記憶も安定して生活できている女王が見れば刺激的で楽しく見えたかもしれない。だけど命で遊ぶ存在は不愉快で仕方ない。


「ジェニー、妖精種は魔法を使えたのでしょ。最高戦力は女王で生き延びる最善の策は女王候補と子を逃がすのが一番だと思うけれど、当初からおかしくない?魔獣から逃げ隠れるのが目的でしょ。魔力線が切れる範囲までは移動できないと思う。」


 当初から子を犠牲にしてきた…。


 親が子を犠牲にするのは気に入らない。

 女王の命が最優先であれば仕方ないと思えるけれど、妖精種は違う。


「部族が生き延びるために自分を犠牲にできる女王はいない。自分の部族だと思っているから。ん?魔力線が見えていたんだ…。屑を殺すために経験を蓄積した結果だと思うけれど、どのようにして私の思考把握を避けているの?」


 ジェニーの言うことも分かるけれど…。

 決定的な理由もなく親が子を犠牲にすることを私は認めない。


「感じたものを言語化せずに覚えておくの。記憶を覗かれても思考把握されても安心でしょ。話は変わるけれど、今から敷地を整理するのでジェニーの記憶で確認してほしいことがある。『妖精種が集まって森で暮らしていた』と私の言葉を妖精女王(プリムス)が肯定したとき木妖精(ドライアド)と妖精女王10人の感情を教えて。」


 木妖精(ドライアド)の立ち位置を確認しておきたい。

 怖くて何も言えなかったように感じたけれど。


「聞いても真似できそうにないね…。木妖精(ドライアド)は怯えていて妖精女王10人は楽しんでいたよ。お母さんは敷地で暮らす妖精種を整理するつもりなの?」


 敷地に残る子が納得できる形で整理したいと思っているよ。


「その通りだよ。生み出した妖精種の女王は森人(エルフ)の奴隷にされてから代わっていないでしょ。そして女王の命令は強制命令に近い魔法を使わなければ子が従うとは思えない。それに子が女王を殺そうとしないのは思考誘導に近い効果が魔力線にあるからだと思う。」


 世界の記録で妖精種の女王が残酷なことを知ったジェニーは森人(エルフ)の奴隷にされていた妖精種を生み出すことにした。妖精種の寿命とジェニーの優しさを考えると100年程かな。

 女王の残酷さを知っている子は新しく生まれた子にそれを伝えるはず。だから手を挙げるだけで女王から離れられる状況は、支配から逃れる絶好の機会だった。


 残っている子は私の言葉の前に女王が命令している可能性が高い。


「初日でそこまで把握しているのに何故動かなかったの?」

「一瞬の判断が要求されるときは感じたものに従うけれど、そうでなければ感じたものが正しいのか確認する。自分は常に正しいと思い言動すれば自分本位で独善的な存在だね。私たちには力があるので誰も正してくれない。だから自分を客観的に見て律することが大切だよ。」


 年齢を変えただけで母親のように振る舞うことができている。


 同じ分身でも個性まで同じとは限らない。

 それなのにジェニーを生んだ私と今の私は余り変わらない気がする。


 太陽の精神を消して25歳になりジェニーを抱きしめたら、経験に封印されていた過去の精神と同化したか知識が入ったかもしれない。


 私なら絶対にジェニーを諦めない。

 未来の私に全て託すとは思えない。


 だけど太陽の精神を消した私を消すことはないし乗っ取ることもしない。

 一緒になってジェニーを愛するだろうね。


「難しいことを考えすぎだよ…。」

「ジェニーを生んで世界の核に隠した過去の私は信じた。多少精神に問題があっても気にならない。ジェニーを助けて太陽の精神を消すために必要な代償なのだから格安だね。それでは敷地の整理を始めよう。その前にリオリナはどうしているの?ここにいない妖精種の子はいる?」


 私の魔法を感知できるとは思えないけれど、念には念を入れる。

 警戒されると面倒だから。


「リオリナは木妖精(ドライアド)の1人と仲良くなったみたい。お母さんの素晴らしさについて2人で語り合っているよ。2人以外はここにいる。」


 私の素晴らしさって何かな?

 気になることを言ってから黙るのがジェニーらしいね。


「言い争いはやめなさい!今から私が質問するので代表が答えなさい!」

「はい。」


 声に軽い威圧を乗せたけれど、怯えているのは木妖精(ドライアド)しかいない。

 普段から私に嘘を吐き馬鹿にしているので当然ではあるけれど。


「保護して4日目になるけれど、木妖精(ドライアド)だけが子を増やそうとしている。犬妖精(クー・シー)猫妖精(ケット・シー)には子を増やさない理由があるの?」


 妖精を外した理由に気づいている?

 まだ早いとは言えない。生むつもりがないとは言えるけれど、魔力で子を生むので早い理由は存在しない。子を命令で支配しているので猶更だよ。


「妖精が敷地の林を縄張りにしました。林を10分割したそうです。犬妖精(クー・シー)は木から落ちてきた果物を食べるため妖精の人数で得られる果物の量が変わります。子を増やした後に果物が得られなくなれば飢えてしまいます。」

猫妖精(ケット・シー)も妖精がどうするのか分からないので子を生めません。」


 妖精がどうにかできる果物の量ではないと知りながら責任を押し付けた。

 犬妖精(クー・シー)が最初に排除されるのは決定。


 犬妖精(クー・シー)の話を聞いて猫妖精(ケット・シー)は逃げ道を作っている。


 自分本位の生命の言葉は予想しやすい。


「全ての縄張りに200人の妖精がいても犬妖精(クー・シー)猫妖精(ケット・シー)が飢えることはない。犬妖精(クー・シー)猫妖精(ケット・シー)は妖精が子を増やして果物を落とさないようにする可能性があると言いたいの?」


 犬妖精(クー・シー)が言葉を間違えると猫妖精(ケット・シー)に排除される。

 同族の女王を排除するよりも他種族を排除する方が楽だから。


「敷地の規則には果物を落とさないことに罰則がありません。それに妖精が何もしていないのに子を生めない原因にすれば争っていると思われます。妖精が方針を決めるかリア様に気づいていただくのを待つしかありませんでした。」

「この意見に猫妖精(ケット・シー)は賛同するの?」


 犬妖精(クー・シー)は間違えた。

 普段から私を馬鹿にしているので気軽に私の名前を利用する。


 果物の量が本当に不安なら望めば解決できたことを忘れたの?


 猫妖精(ケット・シー)は警戒して賛同しない。

 それに猫妖精(ケット・シー)は妖精を待っていたと言える。


「賛同できません。猫妖精(ケット・シー)は妖精の方針が決まるのを待っていただけです。」


 猫妖精(ケット・シー)犬妖精(クー・シー)を排除するため逃げ道を使った。


 猫妖精(ケット・シー)に切っ掛けを与えればいい。

 犬妖精(クー・シー)を確実に排除できる。


犬妖精(クー・シー)は妖精を警戒し猫妖精(ケット・シー)は妖精の方針が決まるのを待っていた。だけど犬妖精(クー・シー)は私に気づけと言ったね。背の低い果物の木が欲しいと望めばよかったでしょ。理由は味の違う果物が食べたいで十分。あなた達の不安を解消する機会を与えている私が気づかなければいけない理由があるの?答えなさい。」


 犬妖精(クー・シー)猫妖精(ケット・シー)と敵対する可能性が高い。

 犬妖精(クー・シー)が奪い合うと言えば猫妖精(ケット・シー)の思う壺。


「背の低い果物の木を望めば猫妖精(ケット・シー)と奪い合いになります。それだけは避けなければなりません。」


 私が聞いているので気軽に答えるの?

 考えているとはとても思えない。


 これで猫妖精(ケット・シー)犬妖精(クー・シー)を排除できる。


犬妖精(クー・シー)は奪い合いになると言っているけれど、猫妖精(ケット・シー)の意見は聞くつもりもないね。」

「一方的に悪人扱いです。背の低い果物の木があれば奪い合いになると思う犬妖精(クー・シー)は敷地の和を乱します。話し合う気もないのですから。」


 妖精も犬妖精(クー・シー)の排除に賛成する。


 犬妖精(クー・シー)は私に取り成しを頼まない。私では取り成すこともできないと思っているかもしれない。だから簡単に排除される。


「妖精は犬妖精(クー・シー)をどのように思う?それと子を生む方針を言いなさい。」

犬妖精(クー・シー)は問題の種となります。追放するべきか決めるのであれば賛成します。妖精は子を生むつもりがありません。ここには外敵もおらず縄張りを守る必要がないからです。」


 犬妖精(クー・シー)は項垂れていている。

 一矢を報いる気持ちも感じない。


 そして妖精は子を生むつもりが全くない。

 最低な理由だね…。


 猫妖精(ケット・シー)は妖精の方針を聞いて排除しようとするはず。

 言葉に気をつけないと自爆するけれど。


猫妖精(ケット・シー)はどうするのか教えて。」

猫妖精(ケット・シー)は繁栄したいので女王3000人と女王候補3000人が敷地で勉強して森で暮らします。妖精は敷地で勉強して何をするのですか?」


 猫妖精(ケット・シー)が自爆したことに妖精女王(プリムス)は気づいていない。

 簡単に対立してくれるので楽でいいけれど。


猫妖精(ケット・シー)は敷地を利用して世界の森を支配するつもりですか?」

「支配ではなく繁栄です。森の恵みは限られています。安全に果物が得られる場所を猫妖精(ケット・シー)の縄張りにするだけです。何か問題がありますか?」


 ジェニーの用意した環境が前提になっていることを気にしてもいない。

 木妖精(ドライアド)以外は施設が増えても喜ぶだけでジェニーに感謝しない。敷地を利用する権利が自分たちにあると思い込んでいるので不愉快な会話が成立する。


「何故ここで勉強し続けるの?勉強を終えた女王が森で子に教えて女王にしてあげればいい。それに猫妖精(ケット・シー)の計画を実現するためにどれだけの施設が必要になるのか考えていないね。敷地の私物化は許容できないよ。勉強を終えたら猫妖精(ケット・シー)の女王10人は森に行きなさい。私は間違ったことを言っている?」


 私の言葉に妖精女王(プリムス)は賛同する。

 本気の計画ではない猫妖精(ケット・シー)は何を言うのかな?


「リア様の言う通りです。敷地が猫妖精(ケット・シー)専用の施設で埋まり木妖精(ドライアド)の挿し木する場所まで奪います。ですが女王10人が森で協力すれば解決します。森で暮らすのが目的ですから出て行かないとは言えませんね。」


 妖精女王(プリムス)はここで猫妖精(ケット・シー)を排除するつもりでいる。


 猫妖精(ケット・シー)は森で暮らすと言ったのだから出て行かないとは言えない。

 だけど自分本位な女王がここを出て行くとは思えない。

 だから自分だけは残ると言うのだろうね…。


 残る女王を決めることもできないのに。


「勉強を終えた女王9人は森に行かせます。私は残り若い猫妖精(ケット・シー)の監視を続けます。先程の計画は確かに私物化でした。ですが妖精に繁栄する気がなく敷地に寄生するのは問題です。新しい方針を決めてください。」


 厚顔無恥だね。

 自分だけ敷地に残ろうとしているのは寄生ではないらしい。


「君が残ることに女王9人は納得しているの?妖精と猫妖精(ケット・シー)は何人勉強するのか決めて。林の広さを人数に合わせるよ。」


 猫妖精(ケット・シー)の女王が言い争っている。

 誰が残るのか聞いただけで排除できたも同然。


 妖精女王(プリムス)は終わらない言い争いを待つかな。

 それとも猫妖精(ケット・シー)を完全に排除するかな。


「敷地に残る猫妖精(ケット・シー)の女王の考えを聞きたいです。それとリア様の考えを聞かせてください。」


 この状態で私の考えを聞くことは危険だと思うことができない。

 妖精女王(プリムス)は私に吐いた嘘で沈める。


「妖精種を保護した理由は絶滅を避けるため。だけど森人(エルフ)は脅威でないと知った。だから敷地は潰すべきだけれど、木妖精(ドライアド)は身動きできないのと子が育つまで時間が掛かるので保護が必要。そして私たちは世界に害のある生命を粛清するけれど、妖精と犬妖精(クー・シー)猫妖精(ケット・シー)は絶滅する理由が思い浮かばない。私たちが対処できない絶滅する理由があれば教えて。」


 予想外のことを言われた顔をしているけれど、絶滅する理由がなければ追放する。

 保護した日に「悪意を持たないように気をつけて」と注意したのに私を馬鹿にしているのだから問題外。それに罪悪感がなく精神も濁らないのでより質が悪い。


 妖精種の女王は悪意の塊だとよく分かった。


「待ってください。敷地を潰すつもりなら何のために話し合いをしているのですか?」

「敷地を残したときに君たちがどのように利用するのか確認した。一方的に潰すのは酷だから。結果は最悪だけれど。これからは妖精と犬妖精(クー・シー)猫妖精(ケット・シー)が協力して森で集まって暮らせばいい。魔獣に見つからない術があるのだから。」


 妖精女王(プリムス)の頬が引き攣っている。

 自分の嘘が使われていると気づいたね。


 まだ言い訳を続けるの?


「私たちの記憶は消されていると言っていたではありませんか。」

「その通りだね。だけど残っている記憶で森で暮らせると知ったよ。何百年か何千年か知らないけれど、妖精種が集まって森で暮らしていた記憶は作れない。それに外敵の記憶が消されていても森人(エルフ)の奴隷になるまでは森で暮らせている。心配なら記憶を覗いて確認しようか?」


 下らない嘘を吐くので追い詰められる。

 記憶を覗かれたくないので確認してほしいとは言えない。


 まだ諦めていない顔だね。


「妖精種が森で安全に暮らせると保証してくださるのですか?」

「妖精種が森で安全に暮らせると教えてくれたのは君だよ。管理者が生命を特別扱いすることはないので妖精種が絶滅しないことは保障できるけれど、君や君の部族を守るとは言えない。」


 猫妖精(ケット・シー)の女王はまだ言い争っている。

 妖精女王(プリムス)もそろそろ限界だね。


木妖精(ドライアド)がいなければ安全に暮らせません。」

「森で暮らすことを望んだ木妖精(ドライアド)の近くに飛ばすよ。」


 もう充分だね。


「子は預かるよ。これで絶滅することはない。君たちの多くの子は森で暮らしている。だから2人程減っても森での暮らしは変わらない。それに妖精種は同じ場所に飛ばしているので大丈夫。」


≪強制命令:妖精種の女王の子は私の近くに来て待機しなさい≫


 強制命令を使ったことに気づかれると思ったけれど、誰も気づいていない。


 妖精と犬妖精(クー・シー)猫妖精(ケット・シー)の子が私の近くに来るため移動を始めた。それに気づいた女王が命令している。

 女王の命令は推測通り魔法なので何を言っているのか分からないけれど、私が魔法を使ったからなのか子の動きを止めることはできず私の近くに集まった。


「女王の命令に抗えるほど子の意思は強いね。クラーラ(木妖精の代表)は客観的に見てどのように思ったのか意見を聞かせて。」


睡眠(スリープ)

私の近くに集まった妖精種の子を眠らせた


≪強制命令解除≫


 クラーラ(木妖精の代表)の意見を聞いて終了だよ。

 私に嘘を吐き馬鹿にしている妖精種の女王と暮らすのは恐怖でしかないはず。


「女王は森で暮らすべきです。リア様に気づかれていないと思うことがおかしいのです。4日目で敷地に残すべきではないと判断されたのです。リア様に対するあなた達の言動が全く理解できません。全く共感できません。今も知らない振りをしてくださっています。まだ森で暮らせます。」


 気づかれていると思っていたのだから相当怖かったと思う。女王が嘘を吐いていると言わなかったのは私に考えがあると思ってのことかもしれない。

 クラーラ(木妖精の代表)のように考えるのが普通だと思う。


「決定だね。ジェニー、女王を初日の森に飛ばしなさい。」


 服は戻して首輪は消しなさい。

 森で女王になった子が裁きを下してくれると思う。


「分かったよ…。木妖精(ドライアド)の言葉で女王に自業自得だと突き付けた。お母さんと敵対する言動を続けたのだから馬鹿だね。」

「妖精の子が妖精女王になったので魔力線が切れたね。ジェニー、不要な記憶は消して。敷地で暮らす子は本当に協力できる関係になってほしい。」


 同族でも敵対するのが当然の関係は種族特性ではない。

 敷地で新しい妖精種の関係を築いてほしい。


「私が全て報告していても今日追放した?」

「全員の望みを聞くまでは放置するつもりでいたので今日だね。ジェニーは自身に向けられる感情に無関心すぎる。新しい施設を作っても喜ぶだけで感謝しない。与えられることが当たり前だと思っていた。ジェニーは感情で視野が狭くなりすぎるので気をつけなさい。」


 率先して私を馬鹿にしたのがプリムス(妖精女王)でなければ報告したでしょ。

 本当に優しくて不器用な子だね…。


「記憶消去は終わったよ!」


 照れているね。


睡眠(スリープ)解除≫

女王になった子を目覚めさせた


 皆が体を起こすまで少し待つ。


「皆は女王の命令により支配されていたけれど、女王を追放して命令が解除されたことで皆が女王になった。女王になったあなた達も魔力で生まれた子。魔力で生まれても個性があり痛みを感じることは知っているでしょ。子に命令して支配するのではなく愛情を持って接しなさい。命令されて自由に動けない辛さは知っているでしょ。協力して暮らすことを学びなさい。悩みがあるときは私たちと木妖精(ドライアド)に相談しなさい。子に下らない命令をしたり虐待したら最も恐ろしい存在に会わせてあげる。努力できるよね!?」


 皆の目つきが変わった。

 新たな妖精種の女王であると自覚してくれたみたい。


「はい!」


 良い返事だね。


「休憩しすぎたので資料館に戻るよ。無理はしないでね。」

「はい!」


 これからの成長を見せてもらおう。


「最も恐ろしい存在に気づけないのは感性を磨く必要があるね。」


 皆で資料館に戻る途中に愛娘の呟きが聞こえた。


「優しい母親が最も恐ろしい存在に変わるところを見たいの?」

「今後のお母さんは今までと違うことを伝えようと思ったの。」


 そうだと思ったよ。

 愛娘が無意味に母親を挑発するはずがないからね。

お母さんが怒ると怖いのは常識です。

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