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世界は子を愛す  作者: 大介
第3章 実験の結末

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第112話 母と子 後編

 木妖精(ドライアド)と妖精の集中力が散漫し始めたと感じたのは勉強を始めて30分後。

 このまま続けると勉強を嫌いになってしまうと思ったので休憩することにした。勉強を強制していないので休憩するのは自由だけれど、私が動かなければ誰も動かない気がしたので外に出ることにした。


 勉強する時間と休憩する時間は自分で決めていい。資料館の中は常に明るいので好きな時間に好きなだけ勉強していい。私は朝から昼まで資料館にいるので質問があれば自由に聞いていい。

 それらを伝えた後に「今から私は休憩するよ」と言って資料館の外に出た。分身と念話で情報共有していたので正面に私の分身が見える。


 ジェニーの分身が抱っこされたままなので解除するのが本当に楽しみ。

【…】


 私と私の分身が外に出ると皆も資料館から出てきた。

 分身と示し合わせたわけではないけれど、お互い資料館に沿って歩き自宅が見える側面の真ん中辺りで壁に背を預け芝生に座って足を伸ばした。


 リオリナに朝から昼まで勉強する時間は抱っこするのを禁止だと伝えた。

 そして一緒に勉強している人となるべく会話するように頼んだ。


 だからリオリナは私の隣にいない。


 ジェニー、リオリナは問題なく会話している?

木妖精(ドライアド)と勉強について会話している】


 独占欲を抑える訓練になるのか分からないけれど、相手を知ることは大切だと思う。

 それに敷地で暮らしている人と仲良くしてほしい。


 私が言えた義理ではないけれど…。


 ジェニー、資料館のドアに外灯を付けて。

 外灯付近に木妖精(ドライアド)犬妖精(クー・シー)が見やす高さの時計も付けて。

【了】


 私を探していたのかプリムスが嬉しそうに飛んできて私の左肩に座った。それに釣られるように他の妖精も飛んできて私の肩や脚に座った。

 木妖精(ドライアド)は私の近くに座って日向ぼっこしている。


 この光景を見てもリオリナは大丈夫?

【気づいたら思考誘導を強める】


 洗脳に近い思考誘導をしなければ耐えられないの?

【10年間精神を鍛えても耐えられるのか不明】


 リオリナの努力に期待しよう。


 ところで私に座ったり近くに座るのは何故かな?

 私の分身も犬妖精(クー・シー)猫妖精(ケット・シー)に囲まれている。

【世界一安心できて心地いい】


 同族を追放したのに怖がられていないのはいいことだね。

【森で暮らしたい人と欲深い人を飛ばしただけ。追放ではない】


 知識を得て勘違いしなければいいけれど…。

 そのときは新しい発見をしたと思えばいい。

【前向きすぎ。追放するけれど】


 皆に話し掛けるので手を挙げた順番と名前を記憶して。

【是】


「敷地で気になること、勉強で気になること、それ以外で聞きたいこと、何でもいいので私に話したいことがある人は手を挙げて。種族と立場に関係なく手を挙げたのが速い人から順番に話を聞くので怒ったら駄目だよ。それでは、話したいことがある人は手を挙げて!」

「はい!」


 周りを見るのは手を挙げているのか確認していると思われるのでやめた。

 だけど全員が手を挙げている気がする。

【是、1番は木妖精(ドライアド)のクラーラ】


「手を降ろして。順番に話を聞いていくけれど、手を挙げた全員に話を聞くので内容が同じなら変えてもいいし同じ内容が先に出たと言うだけでもいいよ。1番は木妖精(ドライアド)のクラーラ。さあ、どうぞ。」

「はい。挿し木は空いている土地にしてもいいのですか?」


 最初に生み出した長髪の木妖精(ドライアド)の人は手を挙げるのも速いね。

 私たちと妖精の服を見たことで葉で作られた服から私たちが着ているような半袖と長ズボンに変わっている。半袖なのは腕輪を隠したくないからだと思う。


 腰まで伸びている髪は昨日よりも艶がある。

 私たちの髪を見たから?

【否、ここの環境がいいから】


 凄い影響力だね。

【私が凄い!】


 褒めてほしくて甘えたいので何度も言うのでしょ。

 分身が分身に抱っこされているだけで満足できるのかな?

【関係なし!】


「1000人になるまでは挿し木していいけれど、それ以上は皆で相談して決めて。ここは妖精種の住処だからね。生まれた子に敷地の規則と勉強したことを情報共有してはいけないと教えてあげてね。」

「分かりました。相談してみます。」


【次は妖精のアニー】


「妖精のアニー、どうぞ。」

「はい。一緒に森に行く日はいつですか?」


 アニーは左膝の上に座っていた。

 妖精は髪型にこだわっていないので見た目が同じだけれど、一緒に勉強しているので雰囲気の違いで覚えることができそう。

【普通は無理】


 宇宙の支配者が普通だとおかしいでしょ。

【太陽でも覚えられない】


 外に出たら覚えられるよ。

 私の精神は気にせず外に出てきなさい。

【絶対に嫌だ!】


「今日の昼に行ってもいいよ。目的がなければ私が決めるし目的があるのなら教えて。」

「花を植えたいです。」


 ジェニー、花の図鑑を作って。

 危険な花は載せないでね。

【了、リアは生命に興味なくても優しい】


 優しくしているつもりはないよ。

【相手に何も求めていないので優しい】


 そういうものなのかな…。


 ジェニーが芝生の上に作ってくれた図鑑をアニーに手渡した。


「本を開くと花が載っているので植えたい花が決まったら教えて。森に行かなくても植えることができるからね。その本は皆で見ること。花を植える場所は皆で決めること。分かったかな?」


 アニーは図鑑を開いで「すごい、すごい」と呟いている。

 分かっていないね。


 右肩に座っていた妖精女王がアニーの元まで飛んでいき頭を叩いた。

 そのとき服にアンジェラと刺繍されているのが見えた。


「いたっ!?」

「リア様の話を聞いていなかったでしょ。話は後で教えてあげるけれど、今すぐ言うべきことまで忘れたの?」


 アニーは図鑑を置いてビシッと立った。


「リア様、ありがとうございます!」


 アニーの頭を叩いたアンジェラは腕を組んで頷いている。

 そのことに私以外は納得している…。


 ジェニー、いつ何を指示したの?

【昨日、自宅に入る前に感謝と謝罪を教えるように指示した】


 気になっていたんだね。

【当然!】


「本を取り合って喧嘩したら没収ね。」

「分かりました!」


 アンジェラが私の右肩に戻るとアニーは図鑑を見始めた。

 それを見たアンジェラが溜息を吐いた。


 教育は大変だね。

【許容範囲。次は妖精女王のアンジェラ】


 反射神経のいい部族なの?

【偶然】


「妖精女王のアンジェラ、どうぞ。」

「はい。敷地の端は外が見えない方が安心します。これは皆の意見です。」


 話を聞くだけで教養の違いが分かる。


「見えなくするのは簡単だけれど、希望はある?敷地の外からは空に浮かんでいる雲に囲まれているように見えるよ。」

「それでは土壁を残したまま雲に囲まれているようにしてください。天井は空が見えるようにしてほしいです。」


 相談せずに即決した。

 文句は言わせないという自信が伝わってくる。


 ジェニー、お願い。

【了】


「ここからだと分からないけれど、端から外を見えなくしたよ。」

「ありがとうございます。」


【次は妖精女王のプリムス】


「妖精女王のプリムス、どうぞ。」

「はい。朝起きたときに体を洗ったときよりも綺麗になっている気がしました。これは敷地の機能でしょうか?」


 ジェニーの定期的は毎朝なの?

【明け方だよ。全自動だから負担なし!】


 全自動で負担なし?


 世界の記録を読み込むことも考慮して全自動にするための魔法式を考えてみたけれど、不可能だと判断した。自由に行動する生命を全自動で管理できるはずがない。


 このあとの予定を変更するから。

【…】


「敷地の機能だよ。明け方に体を綺麗にする。本が読めるようになると日常的活動のために新しい施設を望むと思うので、そのときに教えるつもりだったけれど、よく気づいたね。」

「新しい施設がなければ問題のあることをしていますか?」


 施設を望むと言われたら気にしてくれると思った。

 気にしてくれなくても施設を用意する流れにしたけれど。


「問題ではないけれど、敷地は土の状態を管理しているので排泄物も綺麗にしているの。体を綺麗にする場所と排泄する場所が自由だと綺麗にするのが大変だけれど、場所が決まっていれば自動化することができるからね。まだ1日しか経っていないけれど、木妖精(ドライアド)なら森より快適だと感じているはずだよ。」


「はい。土の状態が凄くいいので寿命以外で枯れる気がしません。」


 木妖精(ドライアド)はいつも長髪の人が話している。

 偶然かな?


「体を綺麗にする場所と排泄する場所は勉強しなければ使えませんか?」

「違う部族でも同じ場所を使うことができるの?」


 見えないけれど、プリムスとアンジェラが同時に頷いた気がした。


「できます!」


 左右の肩から同じ言葉が同時に聞こえた。

 少しだけ部族の垣根を低くできたかな。


 ジェニー、順番と名前を覚えておける?

【問題なし】


「今日の続きは明日の休憩時間に聞くよ。」


 今からお風呂とトイレを作って負担を軽くする。

 ジェニーの力を借りたいけれど、いいかな?

【いいよ…】


≪広域念話≫


「休憩終了!今から体を綺麗にする場所と排泄する場所を用意するので資料館の前に集合して!」


≪広域念話終了≫


 座っていた妖精が飛んでくれたので体を起こして歩くと妖精と木妖精(ドライアド)がついてきてくれる。


 ジェニー、分身解除するよ。

【分かった】


≪分身解除≫


 分身のジェニーは抱っこされて眠っていたみたいだね。

【…】


「皆こっちに来て芝生に座って!」


 資料館から自宅寄りの方に皆を集めた。

 リオリナは私の隣に立ち静かにしている。


 勉強に来ていない木妖精(ドライアド)はいないけれど、気にしない。


「多数決で決めるので私の質問に手を挙げて。体を綺麗にする場所は敷地で暮らす人しか見えない。排泄する場所は誰にも見られない。体を綺麗にする場所は木妖精(ドライアド)の別体なら利用できるので手を挙げて。それでは、林の中に用意してほしい人?」

「はい!」


 ジェニー、人数を覚えておいてね。

【分かった】


「資料館の近くに用意してほしい人?」

「はい!」


【資料館の近くが多い】

 それなら石畳を挟むようにお風呂とトイレを作る。

 だけど夜にトイレの場所が分からないのは困るね。


 夜でもお風呂とトイレの場所が分かるように街路灯も作る。

 林の中から場所が分かればいいので照らす範囲は狭めて施設の両端に設置して。

【分かった】


「多数決の結果、資料館の近くに用意するよ。まずは体を綺麗にする場所を用意するね。」


 ジェニー、自宅と同じ大きさのお風呂を作って。

 お湯の温度は25℃にして。


 お風呂に入って体を浄化してお風呂から出たら体を乾かす方が今より楽でしょ。

【そうだね…】


 お風呂が外から丸見えなので棚で見えなくする。

 妖精200人と木妖精100人が服を置ける棚を作って。

【了】


「皆、中に入って。これが体を綺麗にする場所。お風呂と呼ばれているものだよ。」

「はい!」


 勉強していた皆が一緒に入っても余裕があるね。

【是】


「これは温かい水だよ。触ってみて熱いか冷たいか教えて。犬妖精(クー・シー)猫妖精(ケット・シー)は水の中に入ることができる?濡れてもすぐに乾くようになっているよ。」


◇◇◇

念話中。


犬妖精(クー・シー)は大丈夫です。」


念話終了。

◇◇◇


 猫妖精(ケット・シー)は集まって話し合っている。

 水の中に入るのは苦手なのかもしれない。


◇◇◇

念話中。


猫妖精(ケット・シー)は挑戦してみます。」


念話終了。

◇◇◇


「無理だったら専用の場所を用意するので気楽に挑戦して。触った感じはどうかな?」


 皆がお風呂の中に手だけ入れている。

 お湯を知らなければ怖くて当然だね。


 森人(エルフ)はお湯を使わずに生活していたの?

【否、奴隷は水だけ】


「妖精はもう少し熱くても大丈夫です。」

木妖精(ドライアド)はどちらでも気にならないです。」


◇◇◇

念話中。


犬妖精(クー・シー)はちょうどいいです。」


念話終了。

◇◇◇


◇◇◇

念話中。


猫妖精(ケット・シー)は入ってみないと分かりません。」


念話終了。

◇◇◇


 種族別に代表がいるの?

【是、リアと話した回数が多い人が代表】


 それは今後揉めそうな条件だね。

【調整する】


 温かいお風呂と冷たいお風呂を用意してもいいけれど、できれば皆が一緒に同じお風呂に入ってほしい。そして種族と部族が気にならなくなってくれると嬉しい。

 垣根を少しずつ低くしたい。


 ジェニー、砂を落とさなくても大丈夫?

【砂が溜まらないように排水する流れを作ったので大丈夫】


「お風呂は服を脱いで入るのが普通だけれど、それは今後試してみて。脱いだ服はこの棚に置けばいいからね。今は靴だけ脱いで入ってみて。お風呂に入ると全身が綺麗になるよ。」


 皆が恐る恐るお風呂に入っていく。

 お風呂に坂を作ってくれたジェニーは優しいね。

【普通だよ】


「服が体に張り付いて窮屈です。服を脱いだら気持ちよさそうです。」


 プリムスが代表で意見を言ったけれど、妖精は張り付く服を気にしている人が多い。


「確かに服を脱いで入った方が気持ちよさそうです。」


 クラーラが代表で意見を言ったけれど、プリムスと同し気持ちのようだね。 


 犬妖精(クー・シー)はのんびり入っている。

 猫妖精(ケット・シー)は何人か嫌がると思ったけれど、静かに入っている。


 犬妖精(クー・シー)猫妖精(ケット・シー)の代表は意見を言ってくれないね。

犬妖精(クー・シー)は念話するのを忘れている。猫妖精(ケット・シー)は念話する余裕がない】


 猫妖精(ケット・シー)はお風呂に慣れようとしてくれているんだね。


「皆お風呂から出て。今はお試しだよ。これからは気が向いたときに入れるから。お風呂に入るのか無理だと思ったら正直に言ってね。」


 お風呂から出て服と体が乾いたことに皆が驚いている。

 犬妖精(クー・シー)猫妖精(ケット・シー)は喜びの方が大きい。

【雨で濡れたときに放置されていたから】


 雨の日は濡れたまま過ごしていたんだね。

 奴隷を野晒しにしても心が痛まないのは思考誘導の影響?

森人(エルフ)が傲慢なだけ】


「敷地のお風呂は特別だからね。普通は体を洗わなければ綺麗にならないしお風呂から出ても体は乾かないよ。次は排泄する場所を用意しよう。」


 学校の洋式トイレを妖精用に小さく作って。

 個室を20部屋、青いボタンを押すと水が流れるようにして。

 紙の補充は自動化できる?

【できる】


 犬妖精(クー・シー)猫妖精(ケット・シー)は砂場の個室を20部屋。

 ドアを垂れ幕のようにして個室に入ると自動で鍵が掛かるようにして。

 個室から出るときは垂れ幕を押すだけで、そのときに浄化魔法が砂場を綺麗にする。


 青いボタンを押したら5秒間水が出る手洗い場と足洗い場も作って。


 どのくらいで作れる?

【簡単だよ…。もう作った】


 ジェニーなら簡単に作れると知っていたよ。

 トイレの説明が終わったら自宅に帰るからね。

【分かった…】


 お風呂の出入り口でトイレが作られるのを見ていたけれど、誰も驚いていない。


 私たちならできて当然だと思われている。

 それに対して不満はないの?

【全くない】


 ジェニーの不満がようやく分かった…。

 だけど嘘を吐いていいことにはならないよ。

【分かっているよ…】


「皆、中に入って。これが排泄する場所。トイレや便所と呼ばれているよ。」

「はい!」


 妖精用のトイレから説明しよう。

 便器と便座と上下水道については勉強して知識を得てほしい。


「この個室が妖精用のトイレだよ。ドアを開けるとトイレがある。ズボンを脱がなくていいので誰か穴の開いた椅子に座ってみて。」


 便座に蓋がないけれど、問題ないの?

【便座と便器は自動で浄化するし水も自動で調整するので問題なし】


「はい。座ります。」


 代表のプリムスが座るみたい。

 便座の大きさは完璧だよ。


「この摘みを回すと鍵が掛かるよ。一度ドアを閉めて鍵を掛けてみて。」

「分かりました。」


 カチャ。

 プリムスが便座から飛んでドアを閉めて鍵を掛けた。


「ドアノブの中心が青から赤に変わったでしょ。赤のときは中に人が入っているという事だよ。鍵を開けて。」

「分かりました。」


 カチャ。

 プリムスが鍵を開けたことでドアノブの中心が青に変わった。


「これで色が変わるのが分かったでしょ。ドアを開けていい?」

「はい。いいですよ。」


 ドアを開けるとプリムスは便座に座っていた。


「トイレに入ったら鍵を掛けるのを忘れたら駄目だよ。そしてトイレに座ったらズボンを下ろして排泄する。排泄後は紙で綺麗に拭いてから水を流す。拭いた紙も一緒に流して。左の壁にある青いボタンを押してみて。」


 紙が流れるところを見せたいので1枚紙をクシャクシャにして便器に入れた。


 ロール型の紙は使うのが難しいと判断したのでしょ。

 ジェニーは本当に優しいね。

【普通だよ】


「分かりました。」


 バシャーンと便器の中で渦を巻くように水が流れて吸い込まれていく。

 そのあと便器に新しい水が溜まる。


「紙が水で吸い込まれたでしょ。同じように排泄物も吸い込まれる。手が汚れていると思ったらトイレから出てすぐに見える手洗い場で洗って。青いボタンを押すと3秒間水が出るから。犬妖精(クー・シー)猫妖精(ケット・シー)は足洗い場を使って。妖精のトイレで質問のある人はいるかな?」

「はい。何故トイレを作ったのですか?」


 妖精女王のキャロルが手を挙げて発言した。

 休憩中に座っていた妖精の中にいなかったみたい。


「敷地は排泄物も綺麗にしている。敷地の土は植物が育つ最適な状態を維持しているけれど、皆が自由に好きな場所で排泄すると綺麗にするのが大変なんだよ。それに自然界の林や森と違って敷地では排泄物を土で埋めても長く残ってしまう。綺麗にしないと排泄物塗れになって臭いや病気の原因になるし木が腐る。勉強して知識を得てから用意しようと思っていたけれど、休憩時間に私の元に集まってくれた人と話してお風呂とトイレを用意することが決まったの。君はトイレに来るのが面倒で林の中で排泄したい?」


「いいえ。リア様が綺麗にしていると聞いて林の中で排泄したいと望む人はいないでしょう。疑問に思っただけですので気にしないでください。」


 疑問に思えるのは大切なことだから勉強を続けてほしい。

 女王以外が疑問を持ち質問してくれるのを楽しみにしよう。


犬妖精(クー・シー)猫妖精(ケット・シー)のトイレは簡単だよ。中に入ると鍵が掛かって排泄して外に出ると綺麗になる。個室の中は砂場になっているよ。誰か入って出てみて。」


◇◇◇

念話中。


「私が入ります。」


念話終了。

◇◇◇


 代表の猫妖精(ケット・シー)が垂れ幕を頭で押して中に入った。

 カチャ。


 念話で話していると皆に伝わらないので私が念話を繋いだ方がいいと思うけれど、もしかして代表が皆に念話を繋いでいるのかな?

【後で説明するつもり】


 それなら問題ないね。


≪広域念話≫


「砂場の広さはどうかな?」

「問題ありません。砂で隠さなくてもいいのですか?」


 犬は砂で隠す印象があるけれど、猫も隠すのかな。


「問題ないよ。外に出ると排泄物が消えるからね。」

「凄いですね。確かめてみてもいいですか?」


 女王の本気を感じたよ!

【どこに?】


「勿論いいよ。大便でも小便でもいいので終わったら外に出て再度中に入ってみて。」

「流石に大便をするのは恥ずかしいです…。」


 それが普通だよね。

 だけど自分の小便で確かめることが凄いよ。


 少しして猫妖精(ケット・シー)が下を向いて出てきた。

 そのまま再度中に入った。


 恥ずかしいのを我慢しているのがよく分かる姿だったよ。

 代表としての維持だね!

【なにが?】


「凄いです!臭いも何もありません。砂で隠した方が恥ずかしい思いをしそうです。」

「砂場が荒れていたら察することができるからね。無意識に砂で隠そうとしてしまうかもしれないので定期的に砂場を整えるよ。」


 代表が顔を上げてトイレから出てきた。

 女王の貫録だね!

【何も感じない】


≪広域念話終了≫


 ジェニー、砂場の整理は自動化できる?

【できる】


 ジェニー、これでほとんど全自動にできるね。

【そうだね…】


 さて、外に出よう。

 何も言わなくても皆が外に出てくれた。


「今日、勉強を続ける人は手を挙げて。」


 分身が2体必要なのが分かれば十分。


 お風呂とトイレを利用したことで勉強と暮らしが繋がっていると感じてくれたのかもしれない。このまま文字の読み書きで脱落せずに勉強を続けてほしい。


≪分身≫


≪分身≫


「任せたよ。」

「分かった。」


 私の分身が資料館に入ったので勉強を続ける人も入っていった。

 隣に立っているリオリナには説明しないとね。


「リオリナ、今から娘を説教するので今日は抱っこを諦めて。説教してから大人の姿で布団で眠っていると思うので私の隣で眠ったり抱きつくのはいいよ。今からどうする?」

「説教ですか…。お昼までは勉強します。リア様がリビングにいなければ布団でリア様に抱きついて眠ります。」


 思考誘導の影響かな…。

 かなり独占欲を抑えているように感じる。


「ありがとう。勉強は大切だから頑張ってね。」

「はい。それでは行ってきます。」


 リオリナが資料館に入るのを見届けた。


≪転移≫

自宅の玄関に移動した


 靴を脱いで棚に置きリビングテーブルの椅子に座った。


 ジェニー、説教される理由は?

【全自動だと嘘を吐きました…】


 嘘を吐いたのは勿論悪いことだけれど、何が問題だと思う?

【全自動に見せかけているから…】


 それが何に繋がるのか考えていないことだよ。


 敷地を管理する負担は軽くても全自動の嘘は大きな負担に繋がる可能性がある。全自動なら広さと人数に関係なく魔力さえあれば同じことができると思われるから。

 そのときに全自動は嘘でしたと言えるの?


 無理して全自動に見えるように行動するでしょ。

【すると思います…】


 私に嘘を吐いて強がっても大きく見せようとしても意味がないと知っているでしょ。

 何故自分の負担を正直に言わないの?

【頼られたいから…】


 このままだと素直に本音が言えないみたいだね。

 頼られたいのは事実だと思うけれど、不満に思っていることがあるでしょ。


 私を25歳にして寝間着を着せて。

 ジェニーは3歳で寝間着を着て姿を見せなさい。

【分かったよ…】


 姿を見せたジェニーは両手で膝を抱えて小さく椅子に座っている。

 私は椅子から立ち上がりジェニーを抱っこした。


 多少無理やりでも抱っこして抱きしめてあげるべきだった…。

 家族を壊さないために本音を隠しているのだから、私だけには言いたいことを言えるように促してあげなければならなかった…。


「短時間で二度も嘘を吐いた罰だよ。リオリナに布団で眠ると言ったけれど、眠るまで抱っこされるか布団で抱きしめられて眠るかどちらがいい?」

「布団がいい…。」


≪念話≫


「アンジェ、私たちは布団で眠っているので起こさないでね。」

「ジェニーがリアに叱られた罰かな?起こさないようにお母さんにも言っておくよ。」


 午前中に布団に入る理由は限られるからね。


「よろしくね!」

「分かったー!」


≪念話終了≫


 ジェニーを抱っこしたまま布団部屋に入り襖を閉めた。

 薄暗い明りを頼りにいつもの布団に入ってジェニーを包み込むように抱きしめた。


「甘えたいときはお母さんと呼ばなくてもいいので姿を見せなさい。」

「分かったよ…、お母さん。」


 本音を話すべきか迷っているね。


 ジェニーの背中をトントンと優しく気持ちが解れるように叩く。

 暫く続けるとジェニーの雰囲気が柔らかくなっていった。


「ジェニー、思っていることをそのまま言いなさい。」


「お母さん以外の人に頼まれるのは嫌だ。アンジェでもお母さんに関係ないことを何度も頼まれるのは嫌だ。お母さんの暇潰しをアンジェとあの人が奪った。それなのに困ったことがあればお母さんと私を絶対に頼るのが嫌だ。あの人は努力しないし自分勝手なことを言うので本当に嫌だ。2人が世界征服して私たちが敷地を管理しながらそれを補佐するなんて立場が逆だよ。太陽に勝ったのは私たちなの!」


 昨日と今朝の会話でこれ程までに不満が溜まっている。

 私以外は信じていないし家族と思っていない。


 私も似たようなものだけれど…。


「頑張ってくれて怒ってくれてありがとう。だけど私はこれでいいと思っているよ。人間を教育していたらジェニーを抱っこする時間が減る。世界一の国をつくるためにジェニーを抱っこする時間が減る。多種族国家や世界征服はどうでもいい。私の最優先はジェニーを抱っこして抱きしめること。その時間を確保するためになら力を貸すのも気にならない。それにアンジェはなるべく自分で解決しようとするので大丈夫。それと毎日ジェニーを抱っこすることに決めたから。リオリナがジェニーを抱っこしている私を抱っこするけれど、気にしないで。あの人に見られたくなければ精神の中に入ればいい。12歳か25歳、どちらがいいの?」


「決定なんだ…。25歳がいい…。」


 その方が親子に見えるね。


「分かったよ。それと私は何も奪われていない。今も腕の中にいるでしょ。」

「そうかもね…。もう寝る!」


 ジェニーの髪を少しクシャクシャにしてから優しく撫でる。


「おやすみ。」

「おやすみ!」


 少し怒った振りをしても眠気には勝てなかったね。

 本当に可愛くて仕方ない。


 ジェニーのために私がいるのだと思える。


 本気で嫌がるまでは毎日抱っこするよ。

 諦めない事と続ける事には自信があるからね。

リアはジェニーの頼られたいという気持ちを感じて作業を任せています。

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