第109話 妖精種の保護 前編
妖精種は森人に支配されていたと本に記載されていたけれど、奴隷なのか主としていたのかは記載されていない。
妖精種と森人の関係を知らないまま妖精種を保護すると森人の絶滅に繋がることも考えられる。
ジェニーが妖精種の保護に何も言わないので大丈夫だと思っている。
だけど確認するのが私の役目。
ジェニーは聞かないと教えてくれないからね。
【問題ないのに話すのは面倒】
たくさん話したいからでしょ。
【違う…】
森人は妖精種がいなくても生きていける?
【是】
妖精種は森人がいなくても生きていける?
【是】
妖精種を保護しても問題ないと分かったので保護を始めてもいいのだけれど、妖精種が森人にどのように支配されていたのかは気になる。
ジェニーが私を気遣い本に記載しなかった可能性があるから。
【そうだよ…。それでも知りたいの?】
森人は別の人種を臭くて野蛮な劣等種だと侮辱していた。それなのにジェニーが本に記載できないことをしていたのであれば同類だよね?
【同類だよ。妖精種を生命として扱っていない】
森人はどのように暮らしていたの?
【国をつくり全ての森人が奴隷を利用して暮らしていた】
奴隷にされた妖精種は森人に捕獲されたの?
本体が動けない木妖精を奴隷にするために挿し木で増やしたの?
【妖精種を奴隷にすることに世界が協力した。世界は生命で遊んでいた】
太陽と世界は同類という事だね。
腐った世界の精神であれば妖精種を全て森人の奴隷にするはず。
保護する妖精種の人数を教えて。
【木妖精1000人、妖精2000人、犬妖精2000人、猫妖精2000人】
ジェニーが本に記載しなかったことは森人が奴隷の人数まで管理していたことではないでしょ。世界の管理者で全ての生命の母である私は知る必要がないの?
【本に記載しなかったことは違う。リアは優しい。多種族が暮らす世界と国を目標にしている。だからリアの世界で同じことは起こさせない。知ってほしくない!】
話題を変えよう。
太陽がジェニーを生み出したのか改めて考えてみたよ。
私の答えは絶対に違う!
私はクローディアの最終実験で偶然に生まれる可能性が高い。その私と同じ精神を持つジェニー。
太陽に100万回以上殺されているのが本当なのか分からないけれど、偽物の精神を解析し自分の精神に世界の能力を付与して核の中心に隠したかもしれない。
ジェニーは偽物に記録を見えなくされたのではなく私が偽物に気づかれないようにした。
それに私が母親だと気づいている。
推測でしかないけれど、感性が鋭いことは知っているでしょ。
母親に娘の本音を聞かせて。
【精神に入ってすぐに分かった。だから気遣うし絶対に出ない!】
本題に戻すけれど、ジェニーが隠している過去は知らなくていいの?
隠したことを絶対に後悔しない?
【後悔しない。世界の支配者はリアだと理解させる。規則を破る生命に凄惨な死を与える】
本当に頑固な子だね…。
大規模な粛清は事前に教えて。
但し、ジェニーの精神が濁るなら話は変わるよ。
【分かった。濁らない】
娘が反抗期で辛い。
抱きしめられたいときはお母さんと呼んでね。
【覚えておく…】
それでは外に出て妖精種の保護を始めよう。
「今から妖精種の保護を始めるよ。」
「そうだね。外に出よう。」
「私は5000人を育てるために必要なものを考えているわ。勿論いいでしょ?」
お母さんは笑顔で怒るのが得意だね。
忙しいからと娘に八つ当たりするのはよくないことだよ。
【娘の我儘を丸投げされた】
「勿論いいよ。お母さんは勘違いしているの?手伝ってもらいたいけれど、本気で丸投げしたつもりはないよ。お母さんが妖精種の保護を望んだので先にするだけで終わった後は手伝うよ。」
「リアが全て丸投げしたことはないからね。お母さんは何故不機嫌なの?」
「最初から5000人を教育するからよ。100人から始めて教育に慣れてきたら人数を増やすべきだと思うわ。分身で全員同時に教育してほしいあなた達に私の思いは通じるのかしら?」
優秀な補佐はお母さんの意見をどのように思う?
【正しい】
「お母さんは娘をもっと信用するべきだよ。丁寧に育てるために100人から始めて段階的に増やして行けばいいと思う。アンジェもそう思うよね?」
「勿論だよ。お母さんが5000人にこだわっていたことに驚いたからね。偽物を煽っていたときの言葉は気にしないでよ。」
「確かに煽られたときの記憶が引っ掛かっているわね。あなた達が偽物だと気づいていなかったとしても水に流しましょう。100人から教育を始めるわ。」
私たちが偽物だと思っていなかったことに気づいているお母さんは流石としか言えない。だけどお母さんの考えで始めてもらうのが一番。
ジェニーはお母さんに呆れていたことを反省しよう。
優秀な補佐でも間違えることはあるからね。
【その通り!間違えたら反省する!】
「妖精種を保護するために外に行くよ。間違いなく想定外のことが起きるのですぐに戻ってこれないけれど、怒らないでよ。」
「妖精種の保護でも想定外が起きるの?リアは想定外が起きることを想定しているのだから想定内でしょ。私も外で見届けるよ。」
「妖精種を生み出しても敷地で暮らすことを強制しないのでしょ。どれだけ残るのか分からないわね。外に行く前にリアの考えている規則を教えてちょうだい。」
敷地の環境を知れば女王候補は女王になるのが難しいと思う。妖精種の権力欲がどれ程なのか知らないけれど、女王候補は森で暮らすことを選択する可能性が高い。
それに敷地で暮らす人が決まるまでは全て話さない。
豊富な食糧と世界一の安心安全で満足できない人は森で暮らしてほしい。
「敷地で暮らす人の規則は敷地と私たちのつくる国で争うのは禁止と会話できる他種族と争うのは禁止。世界の規則は会話できる他種族と争うのは禁止と会話できる他種族を奴隷にするのは禁止と世界に害のある行為は禁止。これでも粛清対象は多いと考えているよ。」
「簡単に言えば同族と殺し合って奴隷にしろという事だね。世界に害のある行為は発展してから起きると思う。」
「全ての生命を生み出したときにどのような世界になるのか想像できたわ。妖精種を保護してきなさい。」
殺し合いが当たり前で奴隷になる人が多い世界で、私たちが国をつくれば世界一の国になるのは確定している。だから国の方針が重要になるけれど、お母さんが考えてくれるかもしれないし焦って考える必要はない。
アンジェと私は席を立ち玄関のドアを開けて外に出た。
晴れた日の自然の香りが心地いい。
右手側の林に向かって歩き自宅と林の中間あたりで立ち止まった。
林以外の土地には芝生が敷かれていて妖精種を生み出す広さが十分にある。
敷地の端に壁はある?
【是、高さ1mの土壁がある】
林の雰囲気をなるべく壊さないように土壁にしたんだね。
【偶然!】
出入口以外からは外に出られない?
【是】
自宅の敷地だという事は分かりやすくしておいた方がいい。
玄関から出入口まで石畳みを敷いて。
【了】
玄関のドアと同じ幅の石畳が初めから敷かれていたかのように出入口まで続いている。
娘の能力は宇宙一としか表現できない。
【やめて!】
反抗期の娘と会話するのは難しいよ。
【反抗期ではない!】
木妖精を5人生み出して。
【了】
5人の木妖精が生み出された。
森にありそうな木だけれど、幹から魔力が溢れている。
待っていても木妖精が別体を作り出してくれる雰囲気はないので話し掛けることにする。恐怖か警戒か理由は分からないけれど、こちらから歩み寄らなければ会話が始まらない。
「自己紹介するよ。私の名前はアンジェリアで愛称リア。世界の管理者だよ。隣は姉のアンジェリアで愛称アンジェ。妖精種は全て保護するので安心して。先に本体が動けない木妖精の意見を聞きたくて5人だけ保護した。妖精と犬妖精と猫妖精も後から意見を聞くよ。木妖精のこれからについて話そう。」
「別体を作り出して私たちと話そう。リアの言っていることは本当だよ。」
恐る恐るといった様子で5人の別体が現れた。瑞々しい緑色の髪と目、先の尖った耳が特徴的だけれど、服が葉ではなく人種が着ているものであれば一緒に談笑していても違和感を覚えないと思う。
顔も違うし髪型にこだわっている木妖精もいる。
【塗料で染めない限り緑色の髪を持つ人種は森人だけ】
よく分かった。
ジェニーの補佐が必要だね。
【その通り!】
顔が森人に似ているので一緒に楽しく暮らせなかったのが残念に思う。生命の誕生した順番から木妖精と妖精に森人が似ていることになる。
だから森人が妖精種を奴隷にしたことがより理解できない。
【人種は顔が同じでも血が繋がっていても奴隷にする】
本当に見境がない…。
5人は何を話せばいいのか迷っているね。
【是、リアが特別だと気づいている】
それなら私の話を真面目に聞いてくれるはず。
「私たちの自宅があるこの敷地で暮らすのであれば木の管理と規則を守ってもらうけれど、私たちが認めた生命しか出入りできない世界一安心で安全な場所だと断言するよ。規則は敷地内と私たちのつくる国で争うのは禁止と会話できる他種族と争うのは禁止。敷地の外に人間の国をつくるけれど、種族に関係なく勉強できる国にするのが目標だよ。森で暮らしたければ森人のいない場所に移動させる。但し、二度目の保護はないよ。質問があれば聞いて。」
「あっ、あの!妖精種を助ける理由は何でしょうか?」
助けられた理由を気にするのは当然だと思う。
同じ立場であれば疑うし甘い話であれば警戒するべきだから。
発言した長髪の人は敷地で暮らせば勉強してくれそうだね。
【是】
「森人は妖精種を奴隷にした。それが気に入らないの。1年後に世界の規則を全ての生命に伝える。世界の規則は会話できる他種族と争うのは禁止と会話できる他種族を奴隷にするのは禁止。だから森で見つかってもこれまでと同じように奴隷にされることはないよ。規則を破ったら粛清するからね。」
「同族で殺し合って奴隷にしろという事だよ。」
ジェニー、第1世界と対極の位置に第2世界を作って会話できない生命が生きる自然豊かな世界にして。月は両方の世界に作って他の世界は消していいよ。
【分かった。全てリアの自由】
「木の管理は何をすればいいのですか?」
「好きなようにしていいよ。水や土については気にしなくても大丈夫。大変な作業は私に言って。邪魔な木があれば抜くし増やしたい木があれば植えるから。一緒に森に行ってほしい植物や岩などを探すのもいいね。」
「木妖精の落ち着く環境にするだけだよ。」
どちらを選ぶかな?
【絶対に敷地】
長髪の人しか話さないけれど、念話で相談しているの?
【否、未知の状況で一番最初に発言した同族に頼っている】
死ぬことになってもあの人の責任にしないの?
【是、この場にいた全員の責任】
勇気がいるけれど、あの人の発言を止めることも自分が代わりに発言することもできた。だから全員の責任だと全員が考えているのは凄いことだと思う…。
「私たちはどこに植えてもらえますか?」
「自宅の中と石畳の上以外ならどこでもいいよ。1人ずつ決めるのはやめてね。」
この人が何を言っても確認しておきたいことがある。
「自宅の周りでなるべく枝が当たらないようにお願いします。」
「勿論いいけれど、妖精種の中で支配者のいない木妖精はあなたの意見に全員賛同するの?森で暮らしたい木妖精がいるのか確認した方がいいかな?」
「木妖精の生態を詳しく知っているわけではないので教えてほしいね。」
ジェニーは知っている?
【否】
「確認してください。この条件で森を望む愚か者は追放した方がいいです。」
「分かったよ。今から希望通りに植えるので全員が別体でこの場に集まってね。」
ジェニー、広さは足りる?
問題なければ植えて。
【了、問題なし】
自宅が木で包囲されているように見える。だけど私たちを警戒して自宅の周りを選んだのではないと伝わってきた。これは本体が動けない木妖精の誠意なのかもしれない。
だけど確認するのは大切だね。
【是、見落とさない!】
木妖精は仲間意識が強いのか1人が別体を作り出すと皆が別体を作り出した。
生命は個性があるので全員賛同したら凄いと思う。
それにしても悲壮感がない…。
妖精種は森人に酷い扱いをされてきた記憶がないみたい。
奴隷にされていた記憶はあるのに不思議だね。
【消したの!娘を煽るのは性格が悪いよ!】
お互い様だね。
母親だと知っていて煽ってくる娘も大概だよ。
木妖精の別体が集まり始めた。集まる理由を知っている雰囲気だけれど、木妖精は記憶を共有する能力があるの?
【その鋭さは何?根で繋がり記憶を共有することができる】
格上が近くにいる状況であれば感性が最も大切だよ。思考把握と感情把握が使えるのに使わないことで相手を信用していると思わせることができる。その上で敵か味方か判断しなければならない。
隙のない格上には勝ち目がないけれど、隙があれば殺すことができる。
太陽は私を殺し続けて成長させてしまった。
ジェニーが私から出たくない本当の理由は太陽に殺され続けた経験を消す方法を探しているから。その経験を消されても私の感性が鈍ることはないと思うけれど、精神は正常に機能するだろうね。
私が感情を長く維持できないことに気づいたのでしょ。
【そうだよ。それに成長ではない!リアの記憶を見て平常心に戻るのが早すぎると思った。太陽との殺し合いが影響していると感じた。妖精種の望みよりもリオリナの望みを叶える方が大切だよ。補佐として洗脳されていない当時の記憶を持つリオリナを生み出す。いいよね?】
「アンジェ、ジェニーはリオリナをドラゴンになれる人にして一緒に暮らしてほしいみたい。リオリナの独占欲は太陽の洗脳が原因だから…。アンジェはそれをどう思う?」
「生命の在り方なんて本人の気持ち次第でいいと思う。体を変えた後で精神が濁れば消されるのは仕方ないと思うけれど…。んー、リアは太陽と殺し合っていた影響で自分の感情に自信がないの?記憶は残っていても感情は残っていないの?」
アンジェに聞いたら絶対に気づかれるのに何しているの…。
【リアの気持ちを正しく理解してくれるのはアンジェだと知っているからだよ】
「感情を維持することができないの。一緒に暮らしていれば別だけれど、離れてしまうと感情が途切れて抜けていく。リオリナを大切に想っていたのは記憶を見れば分かるけれど、今は気になる程度で私を裏切った人たちと変わらない。だけどアンジェは特別だから私が正常ならどうしていたのか分かる気がした。だから教えてほしい。」
「世界の管理者として都合がいいと思っていたけれど、ジェニーに指摘されたのでしょ。知っている人は気になる程度でリオリナのことも同様に思ってしまう。困った妹だね…。ジェニーの言う通りにするべきだよ。リアの感情に関係なくリオリナがリアから離れない。」
確かに世界の管理者として生命を平等に見れるので都合がいいと思っているけれど、アンジェには隠せないね。
馬として私と離れたときまでの記憶を持つリオリナを生み出して。
【分かった。私が治すよ】
淡い黄色の毛で鬣と尻尾は黄色みを帯びた白色のとても綺麗な馬が生み出された。
間違いなくリオリナだね。
≪念話≫
「リオリナ、久しぶりと言えばいいのかな…。太陽に洗脳されていて独占欲が暴走したけれど、太陽を消したので洗脳も解けているよ。リオリナの望みを教えて。」
「私はリア様と一緒に暮らしたいです。私の背に乗って一緒に空を飛び回りたいです。洗脳されていた結果で暴走したのかもしれませんが今でもリア様を独占したいです。」
洗脳が解けても独占したいんだ…。
「敷地で妖精種が暮らすことになる。木の妖精と犬の妖精と猫の妖精と妖精の4種族。肩に座るし一緒に散歩することもあると思う。それでもいいの?」
「我慢します。精神を鍛えて慣れます。絶対に攻撃しません。勉強も続けます。だからリア様と一緒に暮らして一緒に死にたいです。」
記憶の中のリオリナと変わらないね…。
≪念話終了≫
リオリナを太陽の力でドラゴンになれる人に変えて。
【分かった。我慢できるのか試す?】
ジェニーに任せるよ。
人の姿になったリオリナはすぐに私を抱っこした。
私を特別だと感じている木妖精が驚いている。
これで私の印象が柔らかくなるといいね。
木妖精の様子を見ていたらジェニーが突然姿を現してリオリナの脚に抱きついた。
本当に困った子だよ…。
「リオリナ、私はリアの娘のジェニュイン・ワールドで愛称ジェニー。娘が母親に抱きつくのはいいよね?反抗期だからお母さんと呼ばないけれど。」
「リア様、本当ですか?我慢できるのか試しているだけですか?」
リオリナは抱っこしている私と脚に抱きついているジェニーを交互に見て困惑している。髪と目の色が私と違うだけなので試しているように感じるのだろうね。
「本当だよ。普段は私の精神の中にいるけれど、偶に姿を見せるときがある。私が気づいたのは先程だからアンジェも知らないはずだよ。」
「知らなかったけれど、納得だよ。太陽の遊びで殺され続けていたのだから、過去にジェニーを生み出していても不思議ではない。ジェニーがリアの精神の中から出るつもりがないのも理解できる。リオリナはジェニーをどうするの?」
アンジェは事情を知っているので納得できるのだと思う。
「本当なのですね。リア様の子なら私が抱きしめます。この体であれば2人一緒に抱っこできます。それではジェニー様、抱っ…。あれ?」
恥ずかしくなって逃げたね。
反抗期だから仕方ないと思うけれど。
【平然と抱っこされている方がおかしいよ。絶対に治す!】
「リオリナ、ジェニーは恥ずかしくなって私の中に逃げたので気にしないで。反抗期だから荒れているんだよ。訓練としてアンジェと私の仮想体をボコボコにしているからね。」
「徐々に強くするつもりがないよね。訓練になっているのか分からないくらいボコボコだから。反抗期だから仕方ないよ。」
【2人とも強くなっているよ!私も強くなっているので差が縮まらないの!リオリナを試すために反抗期と言ったけれど、違うよ!】
反抗期だから反抗期と言われて怒るの。
普通は気にしない。
【アンジェの侮辱以外は何も気にしないリアは当てにならない!】
なるほど…。
横道に逸れすぎたね。
「先程私と話していた木妖精の人に聞くけれど、集まったかな?」
「はい。集まりました。」
1000人ここにいる?
問題を起こしそうな人はいる?
幼い子については大人が教育しているように感じるので甘く見て。
【集まっているけれど、リアが確認しないと分からない。今のところ問題はない】
「木妖精は記憶を共有できると知ったので説明なしで確認するよ。この敷地ではなく森人のいない森で暮らしたい人は手を挙げて。」
手を挙げた木妖精はいない。
精神が濁るような思考をした人はいない?
【記憶の共有で楽ができたと思っている人はいる。勉強のことを話してみて】
勉強に記憶共有を使わせるつもりはない。
強くなれることまで話せばあぶり出しに使える。
「敷地には妖精種が勉強すれば強くなれる施設を作る。勉強するのかしないのかは自由だけれど、勉強して得た知識を共有するのは禁止。勉強で得た知識と力は個人のものだから。幼い子に教えるときも記憶の共有ではなく一緒に勉強すること。苦労を知らず楽に力を得た人は精神が濁り平気で他者に危害を加える存在になる。意見がある人は手を挙げて。」
巻き髪を肩で切り揃えている人が手を挙げた。
「どうぞ。」
「記憶の共有は木妖精の個性です。それを禁止にするのは支配していることになりませんか?」
最初だから会話しよう。
【最初だけね】
「記憶の共有は勉強すれば覚えることができる。それに勉強すれば記憶を共有する気にはならないと思うよ。それだけ勉強は大変なの。だけど記憶の共有が大切な個性なら勉強できる施設を作るのはやめるよ。木妖精が自力で強くなればいいのだから。知識については世界を別体で旅すれば得られる。他に意見のある人はいるかな?」
「酷いです!強くなれる施設を作ると言って施設を作るのをやめられてしまうと私の立場がありません。世界の管理者であるリア様は木妖精の個性を何だと思っているのですか?」
強さにしか興味がないね。
最初に生み出した人たちと同じように皆この人に頼っているの?
【違う。リアを世界の管理者と認識したので会話に割り込めない】
「生命の個性は心だよ。それ以外は全て魔法で再現できる。あなたと全く同じ人はいない。魔法で分身を作っても環境次第で違う心を持つ。もういいかな?」
「いいえ。記憶の共有はしませんので強くなれる施設を作ってください。」
聞かなくても分かるけれど、本音は?
【土の中だから気づかれない】
「嘘吐きの木妖精は記憶を消して追放するね。」
ジェニー、記憶を消して飛ばして。
最初から長すぎるよ。
【了、最初は終了】
「リアが特別だと気づいていて騙せると思うのは個性だね。」
「非常に不愉快な会話でした。まだリア様を侮辱する人がいるかもしれません。」
アンジェとリオリナの発言に反感を持った人はいる?
【いない】
「私に隠し事は不可能だよ。今から別の妖精種を保護するので勉強について話すのは禁止。森で暮らしたくなった人はいる?」
幼い子は除いて隠し事ができないのを恐れている人がいたら記憶を消して森に飛ばして。
【了、木妖精を5割近く森に飛ばした】
現実は厳しいね…。
知能の高い生命は似たようなものだと思う。
女王と女王候補のいる妖精種は驚くほど減る気がする。
想定外ですね。




