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世界は子を愛す  作者: 大介
第3章 実験の結末

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第108話 これから

 私たちは寝間着のままでリビングの椅子に座っている封印中のお母さんを静かに見ている。アンジェは別れを惜しんでいると思うけれど、聞けば必ず否定されると分かるので何も言わない。


 見落としはないのだろうか…。

 封印を解いて第1世界に送ることに迷いがある。


 正常なお母さんを生み出そうと思ったのは覚えている。そして愛情を惜しみなく与えてくれたので無意識にアンジェを想ったと考えていたけれど、アンジェよりも人種の保護を優先しているので無意識の影響はなかったのだと思うしかない。


 私が生み出したお母さんと同じであることが前提だけれど…。


 私たちに惜しみなく愛情を与えてくれた信じていたはずのお母さんを今は信じられない。その理由がお母さんの言動だとは思えない。


 ジェニー、確認だけれど、同じお母さんを生み出しているよね?

【是、絶対に同じ】


 ジェニーに自信があるのは頼もしいけれど、絶対に同じだと言える根拠は?

【第1世界の核の記録と太陽の核の記録が同じだった】


 2つの核の記録が同じ…。

 お母さんを核の記録を元に生み出している。


 ジェニーが私を蘇らせたときに「お母さんはリアが生み出したときの記録を覚えている」と言ったけれど、記憶している記録と2つの核の記録は同じだったの?

【えっ!未確認。すぐに確認する…。記憶している記録と違う…。核の記録は変更できると教えてもらったのに確認しなかった。太陽に変更された記録でお母さんを生み出した。ごめんなさい…】


 ジェニーが核の記録を優先してしまうのは仕方のないことだと思う。確認しなかった私も悪いのだから謝る必要はないよ。だけど反省することは大切だから同じような失敗をしないように気をつけよう。

【反省する!同じような失敗はしない!】


 太陽ならお母さんの精神を偽物の世界の精神と同じにしている気がする。

【その通りだよ。リアは宇宙の支配者】


 宇宙の支配者ではなくて世界の管理者だよ。

 私を12歳にしてアンジェと私の服を昨日と同じにして。

【分かった】


「リア、服が替わったのは分かるけれど、年齢を戻したのは何で?」

「お母さんの精神が偽物の世界の精神と同じだと分かったからだよ。この人は消して新しくお母さんを生み出すので私たちも椅子に座ろう。」


 アンジェは聞きたいことがありそうだけれど、我慢して椅子に座った。

 私も黙って椅子に座った…。


 ジェニー、封印中のお母さんの記憶を保持してから消して、新しく生み出すお母さんに保持した記憶を入れてあげて。

【任せて!】


 封印中のお母さんが消えて新しく生み出されたお母さんが椅子に座っている。だけど私が生み出したお母さんと同じだと確定はしていないので、期待しているアンジェに何も言えない…。

【私の記憶が改竄された可能性がある?】


 それはないよ。可能性は低いけれど、太陽が核の記録を二度変更しているかもしれない。私がお母さんを生み出した後に記録を変更して、ジェニーを私の精神に入れた後にも変更する。


 太陽と偽物の世界の精神ではなく、全く別人の精神に変更しているかもしれない。これまでのことを思い出して考えてみるしかない。

【遊んでいた太陽の行動は予想できない…】


 太陽は遊んでいたのが非常に厄介。

 嫌がらせが目的で記録を変更するかもしれない。


「お母さん、今でも500万人を教育するつもりはあるの?」

「とりあえず何をしたのか説明しなさい。」


 別人になったのは間違いない。

 ジェニー、偽物は何か仕掛けたりしていた?

【監視していたけれど、何もしていない】


 偽物は太陽の力を自由に扱えるジェニーに勝てないので、私たちの意見と反発することで第1世界に1人で行き好き放題するつもりでいたのだと思う。

【間違いなく消す。偽物が大人しくしているとは思えない】


「お母さんを生み出したときの記録を太陽が書き換えていたことに気づいたの。お母さんの記憶には偽物のお母さんと私たちの会話が追加されている。私が人種を優先するお母さんを生み出すのはあり得ないと思ったのでジェニーに詳しく調べてもらったよ。それでお母さんの精神が偽物の世界の精神と同じだと分かったので、ジェニーの記憶を元にお母さんを生み出した。太陽に書き換えられる前の記録を覚えていたジェニーに感謝してね。」


「ジェニーが記憶していたお母さんは運が良いね!」


「その通りね。ジェニー、ありがとう。」


 アンジェの雰囲気が格段に明るくなったので、私が生み出したお母さんと同じだと感じているのだと思う。私もそのように感じているけれど、確認しなければならない。


 ジェニー、太陽の核は世界の核の自動記録と連動しているでしょ。太陽は随時読み込んでいると言っていたけれど、それなら世界の核と星魔力で繋ぎ続けておく必要が余りないと思う。


 切断したら繋ぎ直せなかったり、繋ぎ直すのが困難であれば話が変わるけれど。

【自動記録は連動している。世界の核の自動記録を止めたら太陽の核に記録を送らない。切断しても簡単に繋ぎ直せる】


 太陽が二度書き換えている可能性は限りなく低い。簡単な挑発で動いた太陽が面倒なことをするとは思えないし、今回は初めての流れなので先読みされることはない。

【私の記憶は太陽が入れた精神に見せていない。それに私たちを侮っていた太陽は星魔力を使った隠蔽解除をしていないので、私が記録を覚えていることは知らない】


 太陽に星魔力を使った隠蔽解除をされていたら記憶と感情と思考を隠せない。使わなかったのは遊べる時間が減るからだろうね。 

【太陽は蒙昧な弱者。宇宙の支配者を侮った!】


 6つの世界に人種が存在すると思っていたのも違っていた。

 太陽がクリスティーナを洗脳しているのを隠すため?

【そうだと思う。太陽の遊びは醜悪。圧倒的に有利な状況でリアの得られる情報を歪めていた。あれを遊びだと言える太陽は腐った世界の精神と同じ】


 太陽も落ちるところまで落ちたという事だね。


 月のあるアンジェの前世の世界は何番目にできるの?

【月は第1世界にあった。だけど太陽が消したと思う】


 確認するのが嫌になる程の嘘塗れ。

 アンジェの魂が移動していないとは思わなかった。


 ジェニーが私に関与しているのは間違いないの?

【間違いない。だけど分身として生み出した理由は不明。推測だけれど、初めてリアを生み出したときは世界の力を使っていると思う。太陽がその記録を解析して分身に紛れ込ませるように強制命令を出していた可能性が高い。情報が遮断されていたのにリアを分身に紛れ込ませるのは不可能】


 ジェニーが私を生み出したと分かる証があるの?

【私の精神とリアの精神は同じ。私は太陽が新しく生み出した精神だと思うけれど、別の世界の精神と違う理由は不明】


 太陽は失敗を糧にして腐敗しない精神を生み出すことができたのに、世界を綺麗にして生命を繁栄させるよりも遊ぶことを選択した。

 時間経過により腐敗することを恐れたのかもしれないけれど…。


 ジェニーと私の立場は逆だね。 

【私は痛みを知らないので生命の繁栄を考えるのはリア。それに私が指示を出してもリアは実行できない。私の精神を複製しているのにリアは核の記録が読めない。恐らく太陽が意図的に世界の精神の能力を消したのだと思う】


 ジェニーと同じ能力を持っていたら太陽は遊べる時間が減る。だから長く遊ぶために特別な力を持たない普通の分身にした可能性は非常に高い。


 今なら私に能力を付与することができるよね。

【私がいる。無駄の極み】


 能力があれば強くなるよ。

【楽に強くなると堕落する。だからボコボコ!】


 引き籠りの言い訳は穴だらけ。

【常に穴だらけなのはリアの仮想体。弱すぎる】


 100年後には叩き出してあげる。

【力の差を把握して100万年後と言って。それでも無理かな】


 私の精神に引き籠りたいだけでしょ。

【弱すぎるリアを私が守っている】


 守られている弱い宇宙の支配者はおかしいね。

【リアは表で私は裏。表裏一体】


 ジェニーと煽り合いをしている状況ではなかったけれど、お母さんとアンジェが黙って私を見ていると悪いことをしている気分になるよ。


 ジェニー、偽物の世界の精神が生み出す生命に含まれていないか確認をお願い。

【分かった。絶対に見落とさない!】


「黙っていたら何も決まらないでしょ。」

「リアがジェニーと話しているように感じたからよ。何か確認していたのよね?」


 普段通りの表情のはずだけれど、鋭いね。

 だけど私を説教するのは無理だよ!


「私たちが暮らしていた世界、第1世界はアンジェが前世で暮らしていた世界。アンジェの魂は移動していないし月は太陽が消したと思う。第1世界の腐敗した精神は太陽に消されて、ジェニーは太陽が新しく生み出した世界の精神の可能性が高い。そしてジェニーの精神を複製した存在が私だけれど、世界の能力は太陽に消されている。それとお母さんを生み出した記録を太陽が二度書き換える可能性について考えてみたけれど、問題なし。理由は色々とあるけれど、星魔力を使った隠蔽解除をせずにジェニーの記憶を確認していない。だから太陽はジェニーが記憶していることを知らないし、今回の流れは初めてなので先読みされない。嘘塗れの過去は無視してもよかったけれど、気になったので確認していた。今は生み出す生命の精神を確認してもらっている。他に確認したいことがなければお母さんの方針を教えて。」


「命が関わっていると本当に真面目になるわね。封印中の500万人を教育するつもりはないけれど、学びたい人が学べる環境を用意できたらいいと思っているわ。それに長命の人種と竜種と妖精種を生み出しても大丈夫でしょう。禁止事項をあらかじめ伝え、竜種に本当の支配者を教えて、妖精種を保護すれば問題ないと思うわ。」


「世界が安定するまでリアとジェニーが忙しくなりそうな案だね。どうするの?」


【確認終了。偽物の世界の精神は存在しない】

 ありがとう。


 妖精種は同じ場所で共存可能なの?

【別の妖精種と争うことはない。森人(エルフ)に支配されていた】


 妖精種の食事は大丈夫?

 妖精種には必ず女王がいるの?

【妖精と犬妖精(クー・シー)猫妖精(ケット・シー)は果物が主食。木妖精(ドライアド)は植物と同じ。木妖精(ドライアド)以外には女王と女王候補が必ずいる】


 木妖精(ドライアド)は木の状態で動ける?

【本体の木は動けない。人に似ている別体を生み出して自由に動けるけれど、本体が枯れたり切り倒されたら死ぬので本体から余り離れない。自宅の敷地で保護すれば安全】


 妖精種は話したり本を読むことができる?

木妖精(ドライアド)の別体は話せる。犬妖精(クー・シー)猫妖精(ケット・シー)は念話。勉強しても木妖精(ドライアド)以外は本を読めない。4足歩行の獣でも読める本を作る?】


 本を作るのは勉強を望んだときに考えよう。

 実験場の人間を含めて勉強は強制しないことにするよ。

【リアの自由!】


 人魚は歩けるの?

【歩けない。体が乾くと死ぬ】


 勉強できる環境を用意するのは大変だね。

【リアの国が世界一なのは確定】


 今の第1世界は偽物のお母さんが望んだ状態?

【そうだよ】


 地下室を別の大陸に移動させることは可能?

【木の根が届かない場所と入れ替えるのは楽】


 入れ替えをお願い。

 そのあと資料館を大きく改装して星魔力の結界で守って。

【入れ替えた。本は増え続けるので資料館をお城のような大きさにする】


 資料館の隣に同じ広さの敷地があれば妖精種を保護できる?

【できる。私が許可した人しか出入りできないようにして自宅も作る】


 できたら教えて。

 外から敷地内は見えないようにしてね。


「大きな資料館と広い敷地のある自宅を作って妖精種の保護を先にする。そのあと実験場の人間を育てるけれど、5万人を同時に育てる?勉強は望む子だけに教えることにしたよ。」


「安心安全で快適に暮らしている子は勉強を望むのかしら?」


「基礎知識で魔獣の怖さは知っているし勉強するための国だと説明する。1年後には全ての生命が揃うのだから魔獣を見学したり闘技場を作って魔獣と戦う経験もできる。そこまですれば仕事が決められない子は勉強した方が安心だと分かるよ。」


 快適な暮らしを経験して追い出されたくないと真面目に勉強してくれたらいいのだけれど、拗れてしまった子を励ましてまで勉強させるつもりはない。

 16歳まで保護し強くなる機会を与えるだけで十分に優遇している。


「アンジェの案に賛成だけれど、誰も仕事していない国で仕事を決めるのは難しいと思う。だから最初に5000人を育てて国と仕事とお金について考えてもらう。そのあと1万人ずつ育てた方が国は安定すると思う。月を先に作って第2世界まででいいかな。」


「知力の高い生命以外を第2世界で生み出せばいいと思うわ。そして一度絶滅したのは世界の責任として今後は生命を蘇らせるのはやめましょう。命を軽く扱っているように感じるのよ。」


「余程のことがない限り蘇らせることはしない方がいいね。私たちは時間を気にする必要がないのだから5000人を丁寧に教育して国をつくってもらうのは有りだと思うよ。教育はお母さんに任せて私たちは問題対処に動いた方がいいね。」


 大人のお母さんに教育を任せた方がうまく行くので、施設と教材を用意してお母さんに丸投げする。勉強しない子を放置するとは思えないけれど、お母さんの自由にしよう。


「実験場の人間はお母さんに任せるね。勉強しない子の扱いもお母さんの自由でいいよ。だけど16歳になって何もしない人間は追放するからね。」


「それでいいね。優しいお母さんが勉強しない子を放置するのは無理だと思うけれど。」


「色々と言っていたのに丸投げするのね。心の底では国と人に興味のないあなた達が教育するよりはいいでしょう。」


 アンジェの記憶が入っているので気づいたのかな。

 お母さんにやる気あるので任せて安心だね。


【自宅と敷地と資料館ができた】

 ありがとう。


「自宅ができたのでここを消して行こうと思うけれど、いいかな?」

「いいわよ。」

「早く行こう!」


 ジェニー、不要なものは消して資料館が見える空に転移して。

【分かった。転移する】


 視界が一瞬で変わり晴天の空に移動した。ジェニーが資料館をお城のような大きさにすると言っていたけれど、お城にしか見えない。塔や防護壁はなく華美な装飾もされていないのでいいけれど。

 隣にある自宅と敷地は霧で覆われていて中は見えない。


 ジェニー、資料館は何を参考にして作ったの?

【記録にある資料館に相応しい建物を参考にした。外観だけ同じ】


「下に見えるのが資料館だよね?前世で見たことのある建物で驚いたよ。国会議事堂と呼ばれる建物で国の心臓のようなものだね。」


「資料館に相応しい建物を参考にしたみたい。増え続ける本を収めるために大きく作ったので外観だけが同じだよ。それにしても発展していた国の建物は立派だね。お城だと思ったよ。」


「後から改装するよりも先に大きく作っておいた方がいいわ。」


 アンジェが資料館を嫌悪していないのでこのままでいいね。

 ジェニー、自宅のリビングに転移して自宅と敷地の説明をお願い。

【分かった】


 視界が見慣れた光景に変わり4人がリビングの椅子に座っている。転移中に3人を椅子に座らせて自分の体を作り椅子に座るのは真似できない気がする。


「100万年努力してから言って。」

「100万年にこだわりすぎだよ。とりあえず自宅と敷地について説明して。」


 煽り合いをしていたらお母さんに説教される。

 それとジェニーは100万年後にも絶対に出ないね。


「自宅は妖精と暮らすために改装する前と同じ。資料館と研究所はない。敷地には生み出す妖精種のために果物の木を多く植えてある。池と川もあり敷地の出入口以外を囲んでいる。植物に必要な水分と栄養は魔法で生み出す。それ以外は木妖精(ドライアド)に任せる。外から敷地内が見えないように霧で覆っているけれど、太陽の光は通す。敷地に出入りできるのは私が許可した生命。まだ妖精種は生み出していない。リアに敵意を向けたら追放。何か変えたい?」


「妖精種に意見を聞くだけでいいと思うよ。リアに敵意を向ける馬鹿を追放してあげるジェニーは優しいね。訓練中にその優しさを感じたことはないよ。」


「リアが宇宙の支配者だと気づかない生命はいるのかしら?」


「本人が宇宙の支配者だと気づいていないよ。」


 私は世界の管理者であり全ての生命の母だよ。

 断じて宇宙の支配者ではない!


「リアを特別だと感じても敵対を必ず避けるほど生命は賢くない。緊急以外はリアに相談して決めることにする。説明が終わったので戻る。」


 ジェニーは満足した顔で私の精神に戻った。

 まだ何も始めていないのに問題が頻発しそうで憂鬱な気分だよ。

【諦めて】

リアと表裏一体のジェニーは出る気がありません。

アンジェのことも好きなのでボコボコです。

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