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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

パニック関連

終わらない、繰り返され続ける人生

作者: よぎそーと

 何でこうなったのか分からない。

 だが、最初の時に何があったのかは思い出せる。

 不思議と全ての記憶が残ってる。

 膨大なので常に思い出すというわけではないが。



 最初はたしか、暴力の中で死んだ。

 荒くれた町の中で生まれ、荒れた人生を送って。

 不良集団の一員として殴り合いの喧嘩ばかりしてた。

 その中で、刺されて死んだ。



 そして、再び人生が始まった。

 赤ん坊の頃からだった。

 記憶があったので、すぐに今がどういう状況か分かった。

 混乱したが、記憶にある通りの事が起こっていくのが分かった。

 だから、少しだけ賢く動いてみた。

 小賢しいというのが適切だろうが。



 おかげで、二度目の人生は抗争で死ぬ事無く。

 ヤクザに出世して、敵対組織に殴り込みをかけて殺された。



 それから何度も人生を繰り返した。

 ヤクザになりなおして、少し出世して。

 同じくヤクザとして、今度はもっと出世して。

 何十回と繰り返して最後には、国内最大のヤクザ組織を作り上げた。

 作り上げて殺された。



 その後も何度も国内最大のヤクザになった。

 やり方が分かってるから短期間で出世が出来た。

 そうしてるうちに、政界や財界との接点も出来た。

 その世界を垣間見た。

 そちらに興味がわいた。



 次の人生は財界にすすんでいった。

 やり方が分からないので失敗続きだったが。

 それでも何十回も人生を繰り返す頃にはやり方も分かってきた。

 最終的には国内経済を牛耳る事が出来るようになった。



 政治の世界にも踏み込んだ。

 やはり何十回と失敗して、国を牛耳る事が出来るようになった。



 その途中、研究者の道というのも見た。

 どうしても学歴が必要で、それなりの学校に通ったからだ。

 そちらがどうなってるのか気になっていた。

 特に何か知りたかったわけではない。

 だが、今までにない道だった。

 何があるのか見てみたかった。

 幸い、時間は腐るほどある。



 こちらはさほど芳しい成果を上げる事は出来なかった。

 そこまで頭は良くないようだ。

 それでも、やれる事はなんでもやってみた。

 最終的にはそこそこの成果を出した。

 そこで見切りをつけた。

 これは自分には向いてないと。



 それからも様々な事をやった。

 宗教を率いて世界を狂信じゃだらけにもした。

 軍隊を率いて核ミサイルを世界中に放った。

 技術者になって様々な物を作った。



 その後も何回も人生を繰り返した。

 数え切れないほど。

 積み重なった記憶をめくるのが面倒になるほど。



 そして、人生に飽きた。



 何度も繰り返す。

 成功しても失敗しても。

 同じ人間の同じ人生を。



 毎回、別の誰かと付き合った。

 結婚して子供も生まれた。

 それなりに幸せだった。



 独身を貫いた事もある。

 女で遊ぶ事はあったが、最終的に一人で生きた。



 何ももたない貧乏人になったこともある。

 路上で飢えと寒さに苦しみ、道ばたで死んでいった。



 特に出世もしないこともあった。

 のんびりと生きて、のんびりと死んでいった。



 殺されないように、そして出来るだけ長生きを目指したこともあった。

 研究者として生命に関わったこともあった。

 寿命の限界まで生きた。

 享年3387歳だった。



 思いつく限りのあらゆることをした。

 もう何も思いつかないほど人生を繰り返した。

 それでも、また赤児から人生がはじまる。



 自殺もした。

 また人生が再開された。



 飽きた。

 辛かった。

 もう生きていたくないと思った。



「なんで」

 人生が続くのか。

 繰り返されるのか。

 全く分からなかった。

 分からないままに人生を繰り返す。

 やる気の全てを無くしながら。

 惰性で生きていた。

 生きてるというのが正しいのかもわからないまま。



 そして、今回の人生を終えようとしてる。

 寿命が来た。

 意識が遠ざかる。

 何度も体験してきた感覚だ。

「今度こそ」

 このまま死にたい。

 そう願った。



 再び目が覚めた。

 見慣れた景色だった。

 人生を再開する時に見る景色。

 底辺の家庭の家の中。

 見飽きた部屋の中で天井を見つめている。

 男は絶望した。

 再び人生が始まったことに。

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