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「なっ??お前どうやって脱出してきた??」


「モニカ殿に出してもらったのだ。」


すると国王様がウィーグラフに言いました。


「ウィーグラフ、無事だったのだな?心配していたぞ??」


ウィーグラフが国王様に言いました。


「父上、ご心配をおかけして申し訳ありません。」


「パルタとライオネは??」


「申し訳ありません。力及ばず助ける事ができませんでした。」


「いやウィーグラフ、お前だけでも無事に戻ってきてくれて良かった。」


えっ??ウィーグラフって王子様だったんですか?


私は驚いてウィーグラフと国王様のやり取りを聞いていました。


「ウィーグラフ??何があったのだ??」


「はいマルゲス工房で買ったポーションとマジックポーションが偽物だったのです。メリラ地下迷宮のダンジョンを攻略しようとしてたのですが、回復を一切することができずメリラ地下迷宮に挑んだたくさんの冒険者達が命を落としてしまったのです。私はマルゲスにポーションの効果がなかった事を問いただしにいったのですが、後ろから頭を殴られて、地下牢に捕まってしまっていたのです。」


「なんだと??」


「それだけではありません。父上。事もあろうにこのマルゲスはモニカを5か月にわたって監禁していたのです。」


「マルゲス、とんでもない事をしてくれたな!!偽ポーションによってたくさんの人々の命を危険にさらし、我が息子であるパルタとライオネを死に追いやり、ウィーグラフに暴力を加えた上に、モニカ殿を5か月も監禁していたとは、とんでもない外道者だぞ!!貴様は!!」


「父上私自身が証人となります。間違いなくこのマルゲスが偽ポーションを密造していた首謀者でございます。」


「うむ。」


するとマルゲスが口惜しそうにウィーグラフに言いました。


「くっ!!まさかお前が王子だったとはな。だがもう遅い。金貨はすでに受け取った。テメエらみたいなバカ共とはここでおさらばだ。」


そういうとマルゲスは黄色の魔法結晶を振りかざしたのだった。


魔法結晶というのは、魔法効果が封じ込められている結晶の事です。


黄色の魔法結晶には移動魔法である転移魔法が封じ込められており、振りかざして使用すると別の場所に移動する事ができました。


すると騎士達が慌てて言いました。


「黄色の魔法結晶だと??」


「まずいマルゲスのやつ、逃げるつもりだ。取り押さえろ!!!」


「じゃあな、バカ共!!」


マルゲスは得意げにそう言いましたが黄色の魔法結晶が光り輝いただけで、マルゲスが別の場所に移動する事はありませんでした。


「あれっ??」


マルゲスが再び魔法結晶を振りかざしたがマルゲスが別の場所に移動する事はありませんでした。


「どうなっている??」


マルゲスが不思議そうに黄色を魔法結晶を見つめていると、マルゲスはすぐに騎士達に取り囲まれると、

すぐに取り押さえられたのだった。


私がマルゲスに言いました。


「無駄ですよ。逃げられません。」


マルゲスが悔しそうに私に尋ねました。


「お前何をした??」


私がマルゲスに言いました。


「黄色の魔法結晶というのは逃げる先にもあらかじめ黄色の魔法結晶を置いておかないといけません。だからウィーグラフに先にお願いしておいたんです。あなたが逃げるであろうピスパー峠に仕掛けられていた黄色の魔法結晶を先に壊してもらうように頼んでおいたんです。」


マルゲスが驚いた様子で私に尋ねました。


「このマルゲスが逃げる事を予測してさらに先回りして設置していた魔法結晶の場所まで読んでいたというのか?」


私がマルゲスに言いました。


「はい、その通りです。」


マルゲスがとても悔しそうに言いました。


「モニカごときに私の考えが全て見透かされていただと??そんなバカな!!この天才の私が!!!」


すると国王様がマルゲスに言いました。


「マルゲス!!そちに死罪を言い渡す!!錬金術師と錬成工房の免許も取り上げじゃ!!良いな!!」


マルゲスが驚いて国王様に聞き返しました。


「ちょっと待て!!死罪なんて冗談だよな?このマルゲスが犯した罪なんて小さな罪だろうが!!」


国王様が激怒して言いました。


「どこが小さな罪だ!!身勝手な理由で何の罪もない者達を死に追いやって、善良なモニカ殿を監禁したのだ!!断罪されて当然であろうが!!!」


マルゲスは慌てて命乞いを始めました。


「待ってくれ!!お願いだ!!!死罪だけは勘弁してくれ!!」


ウィーグラフがマルゲスに言いました。


「お前は何の罪もないモニカを5か月にも渡って軟禁したのだ。その罪だけでお前が許される事は絶対にありえないと断言してやる。」


ですがマルゲスは無様に泣き喚いたのでした。


「うーあん??助けてくれ!!!嫌だ!!!うあああん!!」


私もマルゲスに言いました。


「当然の報いです!!!その命でもってちゃんと罪を償ってください。」


国王様が言いました。


「このマルゲスを地下牢に連れていけ!!!」


「はっ!!」


「嫌だ!!!うあああああんん!!死にたくない!!」


マルゲスは最後まで泣き叫びながら地下牢に引きずられていきました。


そして正門前は静かになりました。


落ち着いた私がウィーグラフに尋ねました。


「ウィーグラフ??あっいえウィーグラフ様は王子様だったんですね。」


ウィーグラフが私に言いました。


「ああ君には騙してしまう形になって申し訳ないんだが、バイデル王家には王子の修行の一つに冒険者になるというのがあってね。世界を広い視点で見るためにもまず冒険者になるんだ。まあ一番の理由は私自身が冒険をするのが好きだからなんだけどね。」


「ウィーグラフ様は冒険者がお好きなんですね。」


「モニカ?私が王子だからと言って気を使って様をつけなくてもいいよ。モニカにはウィーグラフと呼んでほしいから。」


「分かりました。では今後もウィーグラフと呼ばせてもらいますね。」


「ああありがとう。」


するとウィーグラフが急に恥ずかしそうに私の目を見ながら言いました。


「実はモニカ??私から二つほど話があるんだけど。」


私はウィーグラフに尋ねました。


「はい、改まってなんでしょうか?」


その後の言葉はなかなか返ってきませんでした。


そしてウィーグラフが自分のほっぺをパンパンと叩くと、心構えができたようで私に言いました。


「モニカ??私と婚約してくれないか?」


私は驚いてウィーグラフに聞き返しました。


「ええっ??私がウィーグラフと婚約ですか?」


ウィーグラフは顔を真っ赤にして私に言いました。


「ああ。」


きっと私の顔も真っ赤になっているに違いありませんでした。


突然のウィーグラフの告白に私は少し困惑してしまいました。


そんな事を面と向かって言われるととても恥ずかしいです。


ウィーグラフ自身もとても恥ずかしそうな顔で私に言いました。


「まだ君と過ごした時間は短いけれど、君の一緒にいてとても楽しかったんだ。捕まってしまって大変だったのは間違いないんだが、それでも君と一緒にいた時はいつもドキドキしていた。とても心地いい時間だった。だけどこう思うようになったんだ。ここで君と離れ離れになってしまうなんて嫌だ。ここで君と離れ離れになってしまうのなんて我慢できないんだ。」


ウィグラフが私の目を見て言いました。


「もっとモニカ、君と一緒にいたい。もっともっとこれから先もずっと君のそばにいたい。そう心から思っているんだ。突然こんな事を言われて戸惑うのは当然だと思う。だけどこのあふれ出てくるモニカへの気持ちが抑えられないんだ。モニカ君が大好きだ。」


そう言い終わるとウィーグラフはスッキリしたようでした。


でも肝心の私はどうなんだろうか?


いやそれは考えるまでもないか。


私自身ウィーグラフと一緒にいたからあのとんでない工房から逃げ出そうと心を決める事ができたんだ。


ウィーグラフと一緒ならなぜか大丈夫なような気がした。


きっと私一人だけだったらあそこから逃げ出すことはできなかったと思うのです。


それになにより今の私自身がウィーグラフと一緒にいたい、離れたくないと思っていますから。


ウィーグラフとこの先は離れ離れになるなんて私もそんなの絶対に嫌です。


きっと私もウィーグラフが好きなんだと思います。


私はウィーグラフに言いました。


「ええ、ウィーグラフ私もあなたの事が好きです。」


ウィーグラフはとても嬉しそうに言いました。


「本当かいモニカ!!!ありがとう!!」


「これからもよろしくね??ウィーグラフ!!」


「ああ、君を絶対に幸せにしてみせるよ!!」


「ところでもう一つの話はなんですか?」


それから数か月後


私はウィーグラフと開店セレモニーに出席するために新しくできた錬成工房へとやってきていました。


「遂に新しい錬成工房がオープンの日がきたね。」


「ええ、とっても嬉しいわ。ウィーグラフ。」


「ここはモニカ?君の錬成工房だ。好きに使ってくれていい。」


「ありがとう、これもウィーグラフが色々と動いてくれたおかげです。」


「モニカの錬金術師としての実力があってこそだよ。」


「もう最初聞いたときは驚きましたよ?私を錬金術師長にしてくれるなんて。」


「錬成工房を開くならそれが一番手っ取り早いだろうからね。王家の錬金術師長なら自由に錬成工房を開く事もできるしね。」


「本当にいろいろとありがとう、ウィーグラフ、これで私の夢が叶いました。」


「モニカいいかい、くれぐれも無理はするんじゃないよ。働きすぎは禁物だからね。」


「はい分かっています。勤務時間は1日10時間ぐらいでいいですか?」


「長すぎる、7時間以上は働いてはダメだ。休みも週2日は取る事、分かったな??」


「いいんですか??それだとホワイトすぎません。」


「いいんだよ、これぐらいが普通なんだから。無理な量の仕事は絶対に回さないから安心してくれ。」


「ありがとうございます。」


「愛してます。ウィーグラフ」


「私もだモニカ。」


END

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