06
一方王城の正門前では王家に所属する騎士達が大勢整列していました。
その中央にはバイレル王国の国王やマルゲスの姿がありました。
国王が騎士達に言った。
「みなポーションを20個づつ受け取ったな。まだ受け取っていない者は手を上げてくれ。」
騎士たちはだれも誰も手を上げなかった。
国王がマルゲスに言いました。
「マルゲス殿、感謝いたしますぞ、よくぞこれだけの数のポーションを調達してくれました。」
マルゲスが国王様に言いました。
「なんの、国王様の役に立てれてこのマルゲスも嬉しくございます。」
「しかしよくこれだけの数をポーションを用意できましたな?ポーションやエリクサーの類はどこでも在庫が不足している。それを5千個も納入して頂けるとは。各錬成工房からの納品でも1度に100個納入がやっとだというのに。」
「わがマルゲス工房は大陸中に仕入れルートを持っており、大規模仕入れが可能なのでございます。」
「それはすごいですな。」
「ではマルゲス殿、エリクサー千個もお任せして大丈夫か?」
「はっ!!エリクサーも数日中には納品させて頂きます。」
「頼もしい限り。ではマルゲス殿?これが代金となる。」
マルゲスは嬉しそうに金貨袋を国王から受け取ったのだった。
「よしでは王国の騎士団の総力をあげてメリラ地下迷宮の探索に向かう。ご協力いただく冒険者の方々もよろしく頼む。では出発。」
そこに馬に乗った女子が駆け込んできた。
駆け込んできたのはモニカであった。
私は国王様の元までやってくると、国王様に言いました。
「待ってください国王様!!」
国王様が私に気がついて言いました。
「おお、錬金術師のモニカ殿??慌ててどうされた?」
私は国王様に大きな声で言いました。
「国王様、行ってはダメです。」
国王様が私に尋ねました。
「なに??行ってはならぬとはどういう事だ?」
私は国王様に大きな声で言いました。
「マルゲスが用意したポーションは全て偽物なんです。」
マルゲスが慌てて私に言いました。
「モニカ!!!なぜこんなところにいる??」
私が国王様に言いました。
「本当です。このマルゲスはただの青く染めただけの水をポーションと言ってみんなに売っていたんです。」
すると慌てたマルゲスが国王様に言いました。
「モニカ!!!適当な事を言って国王様を混乱させるんじゃない!!」
私は国王様に言いました。
「国王様!!どうか鑑定スキルかアイテムボックスを使って確認してください。」
慌てたマルゲスが国王様に言いました。
「国王様、この女は気が変になっているのです。真に受ける必要は全くありません。そうでもなければポーションが偽物などとイカれた事を言うはずがありません。」
ですが国王様はこう命令を出してくださいました。
「みなすまないがすぐに持っているポーションを鑑定スキルかアイテムボックスを使って確認をしてくれ。」
マルゲスは慌てていました。
「国王様??」
騎士達や冒険者の人達は最初こそめんどくさそうにしていましたが、すぐにみんな目を丸くするのでした。
「なんだこりゃ、青く汚れた水??ポーションじゃねえじゃねえか??」
「ポーションなんて一個もねえぞ!!もらった20個全部、青く濁った水って意味不明なアイテムだぞ!!
「国王様!!このマルゲス殿から納品を受けたポーションを全て確認いたしましたが5千個全てが偽物でした。」
国王様がマルゲスに尋ねました。
「マルゲス!!これはどういう事だ!!!」
マルゲスは答えになっていない返答をしました。
「これは、そのう。」
すると国王様が私に言ってくれました。
「モニカ殿、詳しい話を教えてもらえるか?」
私は国王様に言いました。
「はい、実はマルゲス工房では偽ポーションの密造を行っていたんです。水を青く染めただけで、傷を癒す効果なんて全くない劣悪な物をポーションと騙してみなに売りつけていたのです。」
国王様は激怒した様子でマルゲスに言いました。
「モニカ殿の言う事は本当か??マルゲス!!」
マルゲスが苦しい弁明をしていました。
「これは誤解でございます。たまたま商品の一部に不具合があっただけです。国王様を騙そうだなんてこれぽっちも考えておりません。」
国王様が激怒した様子でマルゲスに言いました。
「お前が納入した5千個すべてが偽物のポーションだったのだぞ!!そんな言い訳が通用すると思っているのか!!」
マルゲスは苦しい弁明を続けました。
「ですが本当に誤解なのです。」
するとマルゲスはとんでもない事を言い始めました。
「そうか、この女です??このモニカが恩人であるこの私を逆恨みしてこんな事をしたのでしょう。偽ポーションを本物のポーションとすり替えて私やみなを困らせようとしたのでしょう。」
私はすぐに否定します。
「そんなことはしていません。」
マルゲスが国王様に言いました。
「そうです。全てこの女がやったのです。本物のポーションと偽ポーションをすり替えてこのマルゲスを困らせようとしていたのでしょう。この女は人の命をなんとも考えていないゴミ女なんですよ。」
すると国王様がマルゲスに言いました。
「マルゲス!!それはおかしいのではないか?真っ先に止めたのは外ならぬモニカ殿だ。モニカ殿が偽物とすり替えたというのならモニカ殿はなぜ我々を止めたりしたのだ。」
マルゲスが答えに窮しました。
「それは??えっと??」
国王様がマルゲスに言いました。
「余からみれば、モニカ殿は偽ポーションの事を知らせるために大急ぎで駆けつけてくれたようにしか見えぬ。」
マルゲスはもはや無茶苦茶な事を言い始めました。
「とにかくこのモニカがマルゲスを嵌めようとしているんです。私はこの女に嵌められただけなんです!!何も悪くないんです。」
すると後ろから聞き覚えのある声が響いてきました。
「嵌めるもなにもマルゲス!!お前自身が私に偽ポーションを作っていると公言しただろうが!!」
マルゲスが驚いて振り返った。
私も振り返りました。
そこには馬で駆けつけたウィーグラフの姿がありました。