遠距離の想い人に贈るいろは歌
炉にくべた
火消え去り
空眺めん
闇夜は我の
愛消せぬ
燃ゆ星を
追うこと棄てず
待ちつゝ眠る
[解説]
いろは歌とは五十音全てをそれぞれ一度だけ使って作る歌で、完全パングラムとも呼ばれます。一番有名な『いろはにほへと』は皆さん知るところと思いますが、その47字に「ん」も加えた『鳥啼歌』もよく知られています。どちらも旧仮名の「ゐ」と「ゑ」を用いていますが、私の歌はそれらを除き、「ゝ」を入れた47字で構成されています。
一つ聞き慣れない言葉としては「棄てず」がありますが、こちらは「棄つ」の未然形 + 打ち消しの「ず」で、いわゆる「捨てる」と同じ意味です。歌の内容は以下のような解釈で書きました。
炉 (いろり)にくべた火も、他につけなおしてくれる人がおらず、消えてしまったことだし、空でも眺めようか。
夜の闇に飲み込まれるように消えてしまった炉の炎とは違い、私の熱い気持ちを消すことはできない。
星のように遠く輝く想い人を追う気持ちはなくさないで、次会える日を心待ちにしているうちに眠りについた。