アキ13
やっぱり眠い
「ここは?」
首を傾げてからグレー色の空間に独り立ち尽くしている状況に問う。こんな一色の世界にはもう慣れてきてしまったのか、あまり恐怖感はない。
それに、どうしてわたしここにいるんだろう。
「あっ」
正面に見えるグレーよりもはっきりとした真っ白な点が見えている。きっとわたしはあそこへ行くんだけど、やっぱりこの空間は、遠近法も曖昧でどのくらい離れているかわからない。
とりあえず遠い。深呼吸をして、そんな白い点を目指して足を動かす。
「んふんんーふー」
声の響く空間に鼻歌を披露。
そんな声はどこまで届いていくのかわからない。声を発してから、この空間で反響する時間はほんの数秒。
「あー、聞こえますかーー」
誰も返事をしてくれない。
1人だけの空間で何をしても1人なのはわかってるけど、いつか誰かと話したことも触れ合ったことも覚えているから、今が少し寂しい。
これはきっと誰かのせいだ。
『寂しい』
足を止める。
これはわたしに求められた言葉だ。そう思いたかっただけ。
聞こえてきた場所は正面から、まさにあの白い点の方向だと思うんです。
考えている間なんてないのかも知れない。
誰かに助けを求められた時以上に、わたしは迷いもないまま駆け出してる。
『つらい』
その声は本当に辛そうで。
『苦しい』
あまりにも苦しそうで。
『悲しい』
何か信じられるものがないように。
『殺すよ』
いっひひ。
目の前で起きた光景を目視してしまっていたのに、はっきりとした形を覚えたくはなかった。わたしよりも小さな女の子は、自分よりも大きな白い男の子を倒した。
人形のように動かなくなってしまっている白い男の子に手を掛けてる。こんな状況にわたしはショックで足を動かせない。いや、足を動かしたくない。
わたしが襲われるかも知れない。それは、そんな恐怖と不安が込み上げてきているせい。
『あれ、君はなんで消えないの?他のみんなは綺麗に溶けるのになー。確かね、前は青色だったね』
独りでぶつぶつ何かを言いながら、倒れる人に興味津々な姿はまるで無知な子供。それに、自分がしていることをきっと理解しているんだ。ただ、それが悪いと言うことを知らないだけだ。
『悪いこと?なぁにそれ?』
ぐるぐる周り出したわたしの頭の中で、感情が爆発しそうだった。
でも眠らない