ハル3
どきどき
すてっぷ。すてっぷ。す、てぷ。すて…ぷ。
「ねぇ?疲れたんだけど」
「知らないよ、勝手にはしゃいでたのはユキだろ。まあ僕も疲れたけどさ」
どれほど前に進んでも、街も人も見えなくて、調子に乗った自分に後悔する。
汗を滲ませて、だんだんとこの暖かさにも嫌気がさしてしまいそう。
「もうむりだよー」
「疲れてるのはお互い様なんだけどさ、ユキが進まないといつまでもつかないよ」
「はぁい?わたしステップ何回したと思ってるんですかぁ?」
お説教的な返答に苛立ちを覚えて地面に転がる。
落ち着いていく身体と心。気づけばゆっくりと呼吸を
している。
気持ちいいのは変わらない、居心地がいいのも変わらないのに。少し、ううん。少しじゃなくてすごく。
不安を強く感じてる。目を瞑っていても、息を吸っていても吐いていても治らないこの不安は、一体どこから来るんだろう。考えてもわからない。
「ユキ、街見えた!」
「なんでぇ!?」
パッと起き上がって、ハルが指を指している方向を見た。
「あそこが僕のいる街だよ」
「うわお、ちっちゃ」
「そ、そんなことないだろ!ほら!凄い建物多くてさ!なんか、えっと、かっこいいだろう?」
「でも、さっきまで見えなかったよね?あんな街」
「え、あんな街?」
あははは。
「冗談だよー」
「もういいよ、行くよ」
不貞腐れてしまったハルの後に続いて歩き始めた。今度は目的地がはっきりとしているから大変ではない。
そんなことよりも、さっきまでは遠くの方までお花畑がいっぱいだったような気がしている。そんな場所から突然現れた感じ。それもハルが指差す方向を見たときだ。
もしかして、ハルは魔法使いだったりして、そしてここは魔法の世界なのかもしれない。
「そうなんでしょ!?」
「ちがうよ。え、なんの話?」
「はぁー。つまんない」
わかり切っていた事を聞いて、期待してしまい後悔。
「でも…」
「え!なに?」
急に立ち止まるハルが空を見上げる。
釣られて、わたしも見上げた。空は光を帯びていて、色はわからないけれど、暖かそう。上に行けばここよりも気持ちいいのかもしれない。
「いいや、なんでもない」
「なにそれ、そこまで期待させたなら言ってよ!」
「ほら、行くからなー」
笑いながら誤魔化すハルに不満な私はその背中を細めで追う。
なんだか距離感の掴めない関係に戸惑いつつも、次は明確な目的地へと向かい始めていた。
よろしく




