ナツ28
もう嫌だ。夏は嫌い
お祭りの前日だと、やっぱりみんな忙しそう。
何かわたしもお手伝いをしないといけないのかもしれないけど、わたしは今そんな気分でもないから、ただ街をぐるぐると歩いた。そしたらいつか偶然にナツに会えるんじゃないか、そんなことも思った。だけど、そんなことは絶対に起こらないことも知ってた。
あれからもずっと歩いた。
歩き始めて何時間だろう。
この白い人とすれ違った回数は何回目なんだろう。
無駄に過ぎていく時間に焦りを覚えていても、やることもなく、目的もないまま歩く。
そして、遂に行き着くのはこの門。
「逃げたい」
とほほ。
ため息を呟く。
「ユキさん、一緒に海のほうに行こう?」
直ぐ隣から聞こえた声に反応して見ると、蹲っているわたしよりも歳下らしい少年がいた。
「ど、どうしたの?」
「どっか行きたい」
ただ、わたしにこの門を開けて欲しいと促す様に門に寄りかかる。そんな少年の気持ちに対して、わたしは今すごく共感できてしまった。
「ひらけ!門!」
何も考えないで、ただ少年を楽にさせてあげる為に素直な門を開かせる。
「あはっ。ユキさん行ってくるね!ありがとう」
「まって…」
走り出してしまう男の子にそう声をかけた。
「邪魔だ、ここで待ってろよ」
少年に追いつこうと足を進めようとした時だった。
強い力で肩を持たれ、一度出た街の中に引き戻された。
そんなわたしの代わりに、前に進んでいったナツは少年の手を取って坂を登っていった。
「ずるいよ…もう」
秋か




