ハル2
ステップステップステップ!
「ねぇ、ここってどこなの?」
「ユキの場所。僕もこの花も、あったかさも光も」
「なにそれ、よくわかんないってば」
一本の土道を隣り合わせに歩き始めている。
辺りは花と優しい空から降り注いでいる柔らかい光だけ。
こんなものが全部わたしって、一体どんな意味なのだろう。
まだまだ歩き続けるようなので、隣にいるハルに鼻歌を披露しながら進む。
「んーふーんふふーふー」
「うーん、ヘタクソだ」
清々しくそう言われる。
「うるさい」
『いやだ』
突然頭の中で憎むように掠れた誰かの声。
ぐるぐると聞こえた。それに立ち止まってしまい、その声をよく聞こうとしたけど、それ以上はなにも聞こえない。
「ユキ、どうしたの?」
「あ、なんでもない」
不思議な感覚。
何処かで聞いたことのある声なのに思い出せなくて、思い出そうとすると忘れようとしているように感じてしまう。
眉間にシワを寄せ、深く悩み込んでいると、ハルの声が遠くなる。
「早く進もうよ」
離された距離を縮める為、先にいるハルの方へと足を弾ませてみた。もっともっと早く進もう。
涼しい風が吹いてくれている。
「まだまだ歩けますよー!」
「元気だな」
「まぁーねー」
ステップ、ステップ、ステップ!
よろしくお願いします