ナツ9
よろしくお願いしますー
「見てろよ!」
「うん?」
街の門までやってきた訳だけど、ナツは自信満々に門に向かって叫んでいた。
「開けっ!もんっー!」
グワァー。
「えぇ、ダサいよ」
「え、嘘でしょ?結構お気に入りなんだけど…」
ダサ過ぎる掛け声に思わず口に出してしまった。
高校生にもなって、そんな子供みたいな考えはやめた方がいいと思う。
ショックを受けて固まっているナツに対して、既に開き始めている門の隙間に目を向ける。
「なあ?ダサくはないだろー?」
「ダサい!それより早く街行きたい!」
「あ、はい」
見えてきた景色に感情が彩られてしまう。
坂の上から見た景色よりも、もっと近くにある世界に目を奪われてしまっている。
「青春っぽい!」
見えてきた真っ直ぐなメインロードは、ずっと先の向こうの壁まで続いていて、脇に並んでいるのは、お祭で見る多種多様な屋台。それも同じくずっと向こうの壁まで。
「盛り上がるぜぇ!」
さっきまで、わたしに「ダサい」と言われて落ち込んでいたナツだっけれど、何故だか履いていたサンダルを脱いで、手に取り走り出した。
「え、なんで…」
「いいから!」
言われるがままに、わたしも真似してサンダルを脱ぎ手に取る。
「あつっ!あつっ!」
当然に暑いアスファルトの上をケンケンしながら走っていく、ナツを追い始めると既に街の中に足を踏み入れていた。
ボンっ。ボンっ。
この音は決してわたしの胸の弾みではない。
柔らかな地面を見てその場で立ち止まる、すると、わたしの体重に地面が沈む。
灰色のメインロード全てがトランポリンのようになっているようだ。
疲れていた足が突然に動きだす。
そして追いかけ始める。
「ユキだ、元気かぁ?」
「おーい、ユキーまってたぞぉー」
同い年らしい白の人々に声をかけられて、注目される。
気恥ずかしい気持ちもあったのに、こんな楽しい感情を押さえ込む理由なんてどこにもなくて、走り続けてる。
「みんなぁー!あとでゆっくりお話ししようねー」
こんな返事でよかったと思う。
みんなはわたしに手を振っていた。
「ナツと上手くやれよー!」
「へっ!?」
ボーーン。
躓き、転んで跳ねる。
全然痛くない地面で跳ねながら、今の言葉に目を向けると恥ずかしさが増してきたから、誤魔化すように立ち上がって駆け出す。
ナツの姿がなくなっているけど、とりあえず真っ直ぐ行こう。
光を浴びているのに、今はこの街の人とナツといれば乗り切って行けそう。
「いつか見たこんな風景は綺麗だ」なんて思うのはなんだかおかしくて。それでも懐かしく思えている。
実際にそれを本当に感じていることが楽しくなってきている。
「恋愛っぽい?」
ありがとうございましたー




