目覚めと理解
はじまりはじまり
ガッガッゴン…
薄っすらと、身体全体の揺れを感じている。
それは、だんだん明確になっていく。
ガッガッーガンっ!
「いでぇっ!」
大きく不安定な揺れに後頭部を打つ。
打った箇所に手を当てながら目をひらくと、視界全体に映るものは列車内。あまり把握のできない状況に対して、まだ眠たいわたしは目を擦ってあくびをする。私の背後から、車輌の所々を差し込む暖かな光を見て感じる。車輌にいるのは不思議にもわたしだけで「こんなオンボロ列車、よく壊れずに走ってるなー」と、そう誰もが思い、言葉にしそうなくらいボロボロ。だからそれを、そのまま言葉にして呟いているだけ。
今座っている車輌の端から端じまで伸びる座席は赤いシート。そのシートを、トンっと触ってみると、何かがふわりと舞い、背後からの不明な光に反射した。それが気になってしまい、今度はさっきよりも強く手で払う。
「うぉっ!」
舞うのはやっぱりホコリ。
差し込んでいる光に反射した。
「ふわぁーはぁーー」
もう一度、大きくあくびをした後、ゆっくりと深呼吸をする。この深呼吸は、自分の頭の中で、だんだんと今の状況を理解し、何か一つ不安な言葉を吐くための準備だ。
スゥーっと息を吸い感じていた不安。
喉を震わして音を出した。
「ここどこ!?」
列車の中である。
明るくて元気な子です