わたし旅37
こんちにちは
わたしはアキの手を揺らせて陽気に歩いてみる、アキはわたしを見るように静かに歩いてくれる。
「車、乗りたい?」
「え!くるまぁ?」
アキの一言はわたしを理解させて納得させる言葉。不自然に整うアスファルト。やっとこの世界のモヤモヤが一つ溶けた瞬間だった。
「まぁ、あまり乗らないんだけどね」
気恥ずかしそうに、目を逸らしながら頬をかいて言う。
「のりたぁーい!」
せっかくそんなものがあるなら早く言ってくれたら良いのに、何をそんなに勿体ぶっていたのか、やっぱりアキはよくわからない。
進む景色の中、他愛もない話をしていると、緩やかな坂を超えて下りに差し掛かる。そんな目の前に突然と姿を表した。不自然にも進んでいた道路を塞ぐように、オンボロな車庫。枯葉や伸びたツルに巻かれながら居座っていた。
「あの中にあんのよ」
「だ、だいじょぶなの?」
「んー、たぶん」
果たして、あんなオンボロな車庫に入る車は一体どれ程のオンボロさなのか。予想をつけようとすれば何となく形は思い浮かんだけれど、この世界のことだから、もしかしたら新品が現れたりすることだってあり得なくはなくて。結局、予想はつけられていなかった。一つだけ明確だったのは、これもナツが彩った形ということだけ。
がしゃがしゃ。
「うっーりゃー!」
力尽くなアキの声と共に、閉じているシャッターは上にスライドされた。同時に、詰まった砂埃などが舞ったので目を瞑り、口を手で覆う。手遅れたアキはゲホゲホと咳き込みながら堪えていた。埃が落ち着き始めて、まず初めに目にしたのは、メインである車で、余るスペースに修理用の工具などが揃っていた。
赤色の車体に4人は楽に乗れる広さ。走ることは何とか出来そうなオンボロ。
「よし、のるよっ!」
「これ乗れないでしょ!」
おやすみなさい




