わたし旅32
よろしくお願いします。
「それで?何しに来たのさ」
右から、ハルとナツの2人はお互いそっぽを向く。距離を開けてわたしとアキは手を繋いでいた。横一列に歩く道に、山奥の景色に飽きさせるものはない。
仲が良いのか悪いのかはわからないけど、わたし達はきっとだいじょぶ。
「アキに会いに来たんだよね?ナツ」
アキの質問に、にっこりと笑ってナツを見る。
そんな本人であるナツは怯えているのか、細めで目を逸らす。
「ユキは無茶振り過ぎるんだよ」
そんな文句を、顔を赤くしたナツは言うので、恥ずかしさを誤魔化しているものだと気づく。
わたしはナツの方へと近づく、握っていたアキの手を離す。そして間にいたわたしはそこから抜けだす。代わりにハルの左手を掴んで、一緒に後ろに下がった。
「僕は、邪魔者なのか?」
眉間にシワを寄せて不機嫌なハルはわたしにそう言うと、その右手から寂しさを感じる。
だからハルの右手をとる。
「これはー、その。ダブルデートだね」
笑って誤魔化したけれど、ハルの機嫌は治らない。そんなことよりも、前で歩く2人の距離は近くて、もう少しで肩と肩が触れ合いそう。
「あ、あのさ」
「なに?うちに会いに来たって?」
「ま、まぁ」
トゲトゲするアキに、弱く出るナツはなんだか意外な光景だった。
眠い、あ、おやすみなさい