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私の知らないわたし旅  作者: 秋乃しん
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ハル8

よろしくお願いします


 外を出て、静かだった部屋の空間とは打って変わって、胸が高鳴るいい空気。まるで街がわたしを歓迎するみたいに賑わっている。

だから、わたし自身の気分が踊る。

その場で一息ついて、伸びをしてみるともっと気持ちいい。


「ユキさん」


「ふぅぇ?」


伸びをしている最中、真下あたりから名前を呼ばれて変な声を出してしまう。


「ユキさん。ハルが怖かった…」


下を見ると白の女の子。

黒で縁取られた目と口はぐるぐると濃いベソを描いていた。

それと、悲しんでいるのが伝わってくる一番の理由は、俯いた白の少女のが震えてるから。


「そっか、よしよし。ハルどこに行ったかわかる?」


頭を優しく撫でながら尋ねると、俯きながら門の方へ指差した。少女に「ハルを連れて戻る」そう言い残して、走って門の方へ向う。

 息を切らしながら、なんとか門へたどり着く。なんだか気分が悪い。振り返って、また元の場所へ戻りたい気持ちがあるのは仕方のないことだけど、今は女の子のためにも、わたしのためにもこの門を潜って、きっとこの先にいるはずのハルと、きちんと話をしないといけなそう。


「ひらけー、ドア!」


と言っても開くはずもない門を蹴飛ばす。


後退りして仕切り直す。


「ひらけー!もんっ!」


グワァー。


「開くんかい!」


悲しい事に、1人でツッコミを入れている。

当たり前にも笑い声はしないので、恥ずかしくなったので、開いた門を静かに潜った。

 景色は変わらず花畑。


耳を澄ます。


匂いを嗅ぐ。


雨が降りそうな匂い。


頬に感じたほんの少しの冷気と音と匂いを頼りに向かう。ハルの街はあれほど心地よかったのに、少し進んでいくと、わたしの向かう空はどんよりと曇っていた。


こんばんわ

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