ハル7
よろしくお願いします!
「こんな感じ、わかったかな?」
「もっと簡単に教えてよー!」
「わしもわからんー!」
ハルから、この世界の秩序と言うもの、この場所ではない三つの駅のこと、絶対に忘れてはいけないことも説明してもらった。だけど、納得が追いついてこないわたしの思考が駄々をこねていた。それに同乗して、長老も面白おかしく駄々をこねている。
「長老!いつまでもふざけてないで、そろそろユキに教えてあげてください」
困惑しているハルは一人だけ真面目。
「嫌じゃぁ!わしはユキに嫌われたくないもんー」
「そうだよー!わたしにもっと優しくしてよー!」
一番わたしの気持ちを知ってくれていそうな長老の考えに便乗しちゃうのは、悪いことではない。そんなぬるい考えで、わたし達は子供のように畳に寝そべっていた。
「この、くそじじぃが」
「えぇ?」
「えっ?」
冷めた声、それにわたしたちを軽蔑する表情。
席を立ち外へ出て行ってしまった。静まる空間に取り残されたわたしと長老は、この時にやっと反省する。
「ハル怒っちゃいましたね。どうしたらいいですかね?」
「わしも、少し気を誤らせてしまった」
このあとどうするのかは、聞かなくても、考えなくてもわかってる。この先の為にも、そうしなくてはいけない事はわかってる。
「わたし謝ってきます」
そう言って席を立つ。勢い任せにその場から立ち去ろうとすると、長老から思いもよらないことを言われる。それも、先程のふざけた様子ではないと、確信できてしまう声だった。
「ユキさん、あの奴の気持ちもわかってください。私たちのことも、あなたをよ〜く見てましたから」
その言葉に何か深い意味があるというのは感じられたけれど、あまりの急変さに戸惑いも隠せずにいた。
だからわたしは、軽く頷いてハルの行方もわからずのままドアから飛び出していく。
こんな時のわたしの心情は不安に満ちている。だけど、その不安が何者なのかなんてわかるはずもなくて、気を紛らわせる為に、必死になって、ハルを探し回る事にした。
よろしく〜