わたし旅8
まだまだ続く
背後から感じる暖かい光は、わたしの影を一層暗くさせる。そのせいで影は苦しむ。だからって、それをどうすればいいんだろう。
涙を流しているわたしは、鼻をすすりながら考えていた。鬱陶しい光なんかよりも、暗くて苦しいわたし自身のことをぐっと考えていた。
振り返れば眩しい光がわたしを迎えているけど、今はそんな光がわたしの敵だった。
このわたしの旅を終わらせてしまうこの光は嫌いだ。
だからこそ、今起きていることも、この世界の不思議なところも、線のないこともぜんぶわかってる。
だからわたしは。
「戻りたいのー!」
わたしは真っ暗な世界に駆け出していく。
理由なんて要らない、わたしは会いに行きたい、この世界のぜんぶに。辛くてもいいから、それがぜんぶわたしのものだから。
『いってらっしゃーい』
誰かの声に押されて、暗闇に身体を飛ばした。直ぐに足を動かしている。何も見えない暗闇の中で、足を着く音を頼りに走り続けている。
列車はどこにあるんだろう。
あったとしても、もう戻ることはできなかなってしまうかも。
「だいじょぶ!列車はきっとあって!戻れるから!」
そう叫べば、暗闇から列車内に飛び込んでいた。
荒い息の中、今の状況に呆然としているわたしは、ただただ列車が出発するのを待っていた。
「どうしたの?」
待っていても、なかなか動き出してくれない列車はきっと、進む道を迷っている。
「戻ろうよ、きっとだいじょぶ」
列車にそんなこと言ったって、生きているわけもなくて、反応してくれない。
この世界に唯一、ずっと一緒に旅してきたこの列車は一体何のためにあるんだろう。
そんなことを今更に考えてみたけど、よくわからないまま時間が過ぎていく。
線路も車輪も本体も壊れていないこの列車に、誰が決めて動かしているのか、そんな事は少しだけ理解していた。
それは、わたし自身だ。
「動いてよ、どこにでもいける」
こんな世界だからなのか、少し期待してしまっている。列車にも優しくすれば動き出してくれるなんて、そう思えた。
「おい!このポンコツー!」
微動だにしなかった。
どこまでも