表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の知らないわたし旅  作者: 秋乃しん
105/147

わたし旅8

まだまだ続く


  背後から感じる暖かい光は、わたしの影を一層暗くさせる。そのせいで影は苦しむ。だからって、それをどうすればいいんだろう。

涙を流しているわたしは、鼻をすすりながら考えていた。鬱陶しい光なんかよりも、暗くて苦しいわたし自身のことをぐっと考えていた。

 振り返れば眩しい光がわたしを迎えているけど、今はそんな光がわたしの敵だった。

このわたしの旅を終わらせてしまうこの光は嫌いだ。


だからこそ、今起きていることも、この世界の不思議なところも、線のないこともぜんぶわかってる。


だからわたしは。


「戻りたいのー!」


 わたしは真っ暗な世界に駆け出していく。

理由なんて要らない、わたしは会いに行きたい、この世界のぜんぶに。辛くてもいいから、それがぜんぶわたしのものだから。


『いってらっしゃーい』


誰かの声に押されて、暗闇に身体を飛ばした。直ぐに足を動かしている。何も見えない暗闇の中で、足を着く音を頼りに走り続けている。

 列車はどこにあるんだろう。

あったとしても、もう戻ることはできなかなってしまうかも。


「だいじょぶ!列車はきっとあって!戻れるから!」


そう叫べば、暗闇から列車内に飛び込んでいた。


 荒い息の中、今の状況に呆然としているわたしは、ただただ列車が出発するのを待っていた。


「どうしたの?」


 待っていても、なかなか動き出してくれない列車はきっと、進む道を迷っている。


「戻ろうよ、きっとだいじょぶ」


列車にそんなこと言ったって、生きているわけもなくて、反応してくれない。

 この世界に唯一、ずっと一緒に旅してきたこの列車は一体何のためにあるんだろう。

そんなことを今更に考えてみたけど、よくわからないまま時間が過ぎていく。

 線路も車輪も本体も壊れていないこの列車に、誰が決めて動かしているのか、そんな事は少しだけ理解していた。

それは、わたし自身だ。


「動いてよ、どこにでもいける」


こんな世界だからなのか、少し期待してしまっている。列車にも優しくすれば動き出してくれるなんて、そう思えた。



「おい!このポンコツー!」


微動だにしなかった。

どこまでも

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ