わたし旅5
よろしくお願いします、暑くて溶けそう
気を失っていたんだと思う。
でも、結局は真っ暗だから、それもわからなかった。
気づけば空間に着地している。そんな中で、酷い頭の痛みに耐えながら立ち上がる。
辺りはまだ冷たいけれど、身体はよく動く。
なんだか軽くて、空いているよう。
気分が少し楽になったと思えば、わたしの正面。
真っ暗が続いでいるはずの空間の先に、白い点が現れていた。同時に、この空間とわたしに目的が出来たんだ。
「行かなきゃ」
咄嗟にそんなことを言えば、既に足は動き出していた。あの白い一つの点に向かって、その白がどれほど遠くても、歩き続けた。
“苦しい 辛い 悲しい 寂しい”
歩く間に感じている感情は真っ黒ばかりで、わたし自身がどれほどの良い言葉を思っていても、それは黒色にしか変わらない。
だから苦しいの。
何度も足を止めては進み出して、ゆっくりと近づいていっていることを認識している。
身体が溶け出している。ようやく、わたし自身が何者なのということに気づいた。
だらだらと、皮膚から垂れる水の感触が、わたしを完全に溶かしてしまいそうで、はやく向こうに行かないと溶け切ってしまいそうで。そんな焦る気持ちも真っ黒に変わっていった。
アイス嫌い!冷たいから嫌い!