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心魂拳~共鳴する拳~  作者: 澤田慶次
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減量を越えて……

試合へ……

7月15日、佐伯も甲斐も減量が始まる。

今回の試合だが、横浜アリーナで久しぶりの共演となる。順番は佐伯が先、甲斐が後である。ゲストは池本であり、開催が決まってからは世間は盛り上がっている。同じ日、場所こそ違え残りの2試合も行われる。規模の大きさを痛感される。

喜多も手塚もしっかりと1回戦を突破し、その先を見据えて練習メニュー等を考えている。2人のトレーナーとしての成長にも、目を見張るばかりである。

減量開始とはいえ、疲れが溜まっている訳ではない。佐伯も甲斐も今の所は動きに切れが有り、スパーリングも相手を圧倒している。合宿の成果も見て取れ、今の所は試合が楽しみである。


7月20日、減量真っ只中である。

佐伯はロードワークから練習を開始し、いつも通りのメニューをこなしていく。練習終盤のスパーリングだが、いくらか疲れが見え始めている。少しずつきつい時期に差し掛かっていく。

この日から、喜多から佐伯に練習メニューの追加を言い渡された。全ての練習終了後、2ラウンドのラッシュの練習である。喜多は両手にミットを付け、ボディに用具を着けて佐伯のラッシュを2ラウンド受ける。練習終わりのこのラッシュ、精神的にも更に鍛えられそうである。

甲斐の方も基本的には練習メニューは変わらない。練習終盤のスパーリングも最後が手塚であり、こちらは練習終わりに更に手塚とスパーリングをする。疲れが溜まり始めている事も有り、手塚とのスパーリングは甲斐にとって納得には程遠い状況である。

「情けねぇな、それで誰に勝つんだよ!」

手塚から厳しい激が飛ぶが、甲斐は返す言葉も見付からない。甲斐は今日も歯ぎしりをしながら帰路に着いた。


7月30日、この日も2人は減量中。

佐伯はスパーリングでパンチを貰う事が増えていた。減量も進み、厳しいこの時期の為に仕方ない事ではある。確かにパンチを貰う佐伯だが、貰った後は倍のパンチを返している。この辺り、佐伯の負けず嫌いが見て取れる。特に佐伯は、喜多とのスパーリングでそれを発揮する。喜多を超える事、まずはそこから全てが始まると感じている様だ。

ウェートはリミットまで1.8kg、試合に向けて順調である。

甲斐はスパーリングでもそこまで変わらない。しっかりとパンチを避け、そこから反撃しながら自分の攻撃に繋げている。甲斐の強みは、この起伏のない練習かもしれない。疲労が溜まっていようが、体調が少しくらい悪かろうが、練習やスパーリングの動き等にさほど影響はない。目標に向かって一直線である。

甲斐も手塚とのスパーリングには拘っている。手塚を超えない限り、その先は難しいと考えている。この辺の意地は、佐伯も甲斐も似ている様だ。

甲斐はリミットまで2.5kg、肉体改造の事も有り筋肉の量が増えている為、佐伯より厳しい減量となっている。


8月10日、減量も終盤である。

佐伯はしっかりとウェートを落とし、疲れを抜きながらの練習となっている。しっかりと準備が出来ているらしく、その顔からは自信が伺える。ウェートが落ちた事で気持ちも落ち着いたらしく、スパーリングでは軽快な動きと絶妙なカウンターを放っている。期待の持てる仕上がりである。

甲斐はリミットまで700gである。もう少しといった所ではあるが、なかなか厳しい減量ではある。甲斐の練習だが、頬骨が浮かび目の周りが窪んでいる。疲れが相当溜まっている。

しかし、ここでも甲斐は弱音は吐かない。人間的な成長を感じる。


8月10日、ルイス·モンゴメリーとモーリス·スミスが来日する。佐伯と甲斐の対戦相手である。空港では記者達が待ち構えており、着いた2人に質問が飛ぶ。この記者達に対し、2人は無言で各々の用意されたジムに移動した。2人の本気度と警戒心が分かる一幕である。2人に油断は無い様だ。

佐伯は試合に向け、しっかりと調整に入っている。スパーリングも軽めになっており、水分や食糧も少しは摂取出来る為に動きは減量前のそれよりいい感じである。

甲斐はこの日、ウェートがリミットに達した。佐伯に比べて厳しい減量では有ったが、何とかスタートラインに立てた様だ。この日から、疲れを抜きながらの練習となっていく。とはいえ、甲斐の動きは悪くはない。こちらも準備OKの様だ。


8月16日、ルイス·モンゴメリーとモーリス·スミスの公開スパーリングである。

モンゴメリーの方には、喜多と石谷トレーナーが来ていた。モンゴメリーは3ラウンドとスパーリングをしたが、軽快な動きと力強いパンチを放っている。調子は良さそうである。喜多と石谷トレーナーは、改めて気を引き締めていた。

スミスの方には、手塚と西田会長が偵察に来ていた。スミスも3ラウンドのスパーリングをしており、こちらもパートナーを圧倒していた。特に左アッパーの切れは凄い物が有り、要注意である。

このスパーリングの後、スミス陣営から手塚と西田会長に言葉が掛けられた。

「楽しみにしている。期待外れだけは辞めてくれ」

これに対し手塚は、

「そのまま言葉を返すよ、簡単にはやられない様にして欲しいね」

と答えたのだが、

「期待外れ……何を楽しみに来てるか知らないけど、お店を間違えなければ大丈夫じゃないかな?」

西田会長の余りにも見当違いな答えを聞き、スミス陣営は困惑していた。


8月17日、佐伯の公開スパーリング。

佐伯はパートナー相手に3ラウンドのスパーリングをした。軽快な動きと絶妙なカウンター、明らかに手を抜いているにも関わらずパートナーを寄せ付けない。モンゴメリー陣営が警戒するのに、そう時間は掛からなかった。


8月18日、甲斐の公開スパーリング。

甲斐はパートナー相手に、こちらも3ラウンドのスパーリングをする。甲斐の頭を振るスピードや滑らかな動きに、スミス陣営は警戒心を強めた様である。更に、3ラウンド終盤に甲斐は右アッパーでパートナーをダウンさせていた。明らかに流したスパーリングでダウンを奪っている。スミス陣営は慌てて帰って行った。


8月24日、計量日である。

佐伯と甲斐は、それぞれ喜多と手塚と会場に向かった。会場では、すでに挑戦者の2人が到着していた。挑戦者と向かい合う2人、目線を逸らさずに火花が散っている様である。

計量は4人揃って1発でクリアした。この後に会見となる訳だが、

「戦う相手と馴れ合うつもりはない」

モンゴメリー陣営から言われ、佐伯の会見は無くなった。甲斐とスミスは会見を行ったが、スミスは言葉が少なくすぐに会見が終わった。

「久しぶりだな、拳人」

「そうだな」

「勝てるのか?」

「お前こそ」

「「…………………………………………」」

「絶対勝つぞ!」

「当たり前だ!」

2人は握手をしてから別れた。明日、2人はWBSS1回戦を迎える。2人は、どんなファイトを見せてくれるのだろうか。

どんな戦いになるのか……

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― 新着の感想 ―
[良い点] いよいよ一回戦が始まりますね! まずは2人とも勝ち上がらないといけないので、しっかりと自分のボクシングをみせつけてほしいところですね!
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