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心魂拳~共鳴する拳~  作者: 澤田慶次
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WBSS制覇に向けて、甲斐……

こちらもWBSS制覇に向けて……

WBSSに向け、手塚も合宿を考えていた。このトーナメント、何としても甲斐に優勝させ、是非ともエリックに拳を捩じ込んで貰いたいと思っていた。

ここで、手塚は悩んでいた。本来なら、山か海で合宿となる訳ではあるが、果たしてそれで佐伯と差が付くのだろうか。このままで、果たして佐伯に勝てるのだろうかと、2人の直接対決が見えて来て手塚の悩みは大きくなっていた。

(う~ん……池本さんや徳井は中立だろうし、篠原さんは他のジム生見てて忙しいし…………西田さんは頼りにならねぇしなぁ………………)

悩んでいた手塚だが、何か閃いた様に電話を掛けた。

「はい、高松です」

「お久しぶりです、手塚です」

手塚の電話の相手だが、高松康介という石谷トレーナーの高校時代からの親友である。高松はハンドボールの選手で有り、体育大学出身である。更には、川上ジムや西田拳闘会にも出入りしており、頼りになる人物の1人である。手塚としては、甲斐の相談相手に持って来いだと判断した様である。

「どうしましたか?」

「実は、相談が有りまして……」

「甲斐君をどうしたいんですか?」

「流石高松さん……レベルアップを図りたいんですけど……」

「……簡単に言うと、肉体改造ですか?」

「そうです……それで……」

「色々きついとは思いますけど、確かに甲斐君なら大丈夫そうですね……東京体育大学の沢松を訪ねてみて下さい。連絡を入れて置きますので、きっと力になってくれますよ?」

「はい、ありがとうございます」

手塚は電話を切り、すぐに東京体育大学の沢松を尋ねた。


研究室をノックする手塚、

「はい、どうぞ」

「失礼します、手塚と申します」

「いや~、手塚君ね……高松さんの言う通り、悪ガキが大きくなったみたいな外見だね!」

「初対面で失礼ですよ!」

「ごめんごめん……高松さんから話を聞いて、昔から知ってる様な気分でさぁ……肉体改造だっけ?」

「はい……どうしたらいいですか?」

「そうだねぇ……意識的に酸素量を下げてみたり、加圧トレーニングをしたりとなるだろうけど……」

「何処で出来ますか?」

「沖縄に有るよ……一週間で予約取るかい?」

「お願いします!」

「……きついし、変わらないかもしれないよ?」

「それでも……勝つ為なら何でもやります!…絶対に優勝させたいんです……お願いします!」

手塚は深く頭を下げた。

「高松さんから聞いた通りの人だね……分かった、連絡しとくよ……来週の月曜日からで予約しとくね。空港に迎えを頼んでおくよ」

「はい、ありがとうございます!」

手塚は研究室を後にした。


一週間後の月曜日の早朝、手塚は甲斐を連れて沖縄に行った。

沖縄に着くと、すでに迎えが来ていた。

「すいません、すぐにトレーニングをお願いしたいんですけど」

手塚のこの一言で、甲斐と手塚はすぐにトレーニング場所に向かう事になった。

トレーニングは、主に午前中に集中する事になっている。午後は地元のジムで練習となるが、WBSS出場選手と元世界チャンピオンのトレーナーが来るとの事でジムの面々は落ち着きがなくなっていた。


合宿…………

基本的なトレーニングは、スポーツジムのそれと余り変わらない。ルームランナーでの重さや角度を変え、身体に付加を掛ける。筋力トレーニングでは、ギリギリまでベンチプレスやダンベルを持ち上げる。やる事自体は本当に変わらない。

しかし、ルームランナーではマスクを装着し酸素濃度を下げて心肺機能に付加を掛け、筋力トレーニングでは紐状の物を鍛える場所の上に固く結び付ける事で圧力を掛ける。普段のトレーニングが何倍にもきつくなる。

午後になると、手塚は甲斐に砂浜を走らせる。狙いは喜多と同じだが、午前中に鍛えた筋力をなるべく早く使える様にと手塚なりの目論見も有る様だ。この走り込みは1時間近く行い、そのままジムワークへと移る。ここまででも、かなりきついトレーニングである。

ジムワークも当然優しくない。ミット打ちやシャドーボクシング等は西田拳闘会に居る時と変わらない。問題はサンドバッグを打つ時である。手塚はジムの柱に自転車のタイヤのチューブの様なゴムを巻き付ける。そのゴムは4つの輪が有り、両手首·両足首にそれぞれ付ける形となる。その状態でサンドバッグを打つ。考えただけでハードであるが、手塚は甲斐のパンチ力アップの為にこの方法を選んだ。

甲斐は確かにパンチ力の有る選手である。インファイトを主戦場に置くだけ有り、確かに並みよりは破壊力が有る。だからといって、ピンチになった時に1発で試合を引っくり返せるかというとそうでもない。1発で仕留めるだけのパンチ力、手塚は甲斐に足りていないと考えていた。手塚なりに考えた答えが、この合宿の様である。


合宿は続いていくが、驚くべき事は甲斐である。誰もが逃げ出したくなるこの練習、甲斐は少しずつではあるが対応してきている。

午前中のトレーニングが終わると、勝手に砂浜を走りに行く。午後のトレーニングは、すでに甲斐が走った後という事もあり違う形で下半身のトレーニングを行う事になっていた。

ジムワークでもそれは同じ事であり、あのきついサンドバッグ打ちも10ラウンドをこなしていた。甲斐のボクシングに賭ける執念を感じる。

合宿最終日、甲斐は地元の選手5人とスパーリングを行う。スパーリングは甲斐の一方的な物となっていたが、驚くべき事は甲斐のカウンターのタイミングが今までよりも精密になっている事である。どうやら、甲斐は手塚に言われた事だけでなく、自分でも課題を決めて練習していた様だ。

手塚は甲斐の状況に満足しながら、合宿を終わりとした。甲斐の方も下準備完了といった感じである。

手塚、色々と考えています……

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― 新着の感想 ―
[良い点] こちらも充実した合宿となりましたね! 高松さんがここでナイスアイデアだすとは、なかなか面白いですね!
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