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心魂拳~共鳴する拳~  作者: 澤田慶次
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WBSS制覇に向けて、佐伯……

WBSS、しっかりと準備を……

6月最初の週、佐伯は喜多から言われ2泊3日の合宿となる。WBSSを勝ち抜く為、喜多は佐伯を根本から鍛え直す事を選んだ様だ。

今回の合宿だが、池本も徳井も参加する事はない。当たり前の事だが、甲斐が合宿するとしても佐伯と一緒という訳ではない。このトーナメント、2人はライバルとして向かい合う形となる。それぞれが自分を高める為、それぞれのやり方でボクサーとしての純度を濃くしていく訳である。その為、池本も徳井もどちらにも加担しない為に合宿だろうとジムワークだろうと口を出す事をしないらしい。誰もが待ち望んだライバル対決、遂に目に見える形で現実味を帯び始めていた。


喜多が今回選んだ合宿の場所だが、海を選んだ。池本達と今まで行っていたペンションだが、これだといつまでも池本や徳井に甘えていると感じたらしい。喜多は色々と考え、海で徹底的に佐伯を絞る事にした。

6月とはいえ、暑さはかなりの物である。喜多は佐伯の他に、プロに成り立ての選手を3名連れて来た。どうやら、佐伯から何かを学んで貰おうと考えている様だ。

合宿所は、喜多の友達がやっている海の家である。まだまだシーズンではない為、宿泊については苦労はしなかった。こちらで、本日より合宿が始まる。ジムワークは、この海の家からすぐ近くに有るジムに話を付けている。準備万端である。


合宿1日目…………

荷物を置いてすぐ、着替えて走り込みをする。砂浜を走り、柔軟な筋肉としっかりした足腰を鍛える為である。合宿所に着いたのが13時、16時からジムワークとなる為に2時間はしっかりと強化出来ると喜多は思っていた。

砂浜を走るという事、実は思いの外に辛い練習である。砂浜は土やアスファルトと違い、踏ん張りが効かない。強く踏ん張っても、足が砂に埋まるだけである。その中をダッシュしたり切り返したり、本人が感じたり周りが見ている以上に足腰には付加が掛けられている。本当にきつい練習である。

そこに付け加え、喜多は筋力トレーニングも入れている。2人組になり、片方が足を持ち足を持たれた方は腕だけで進んで行く。砂の上という事で、こちらのトレーニングもいつもの倍は疲れた様だ。

砂浜での練習が終わると、そのままジムワークに移る。砂浜でのトレーニングが効いたのか、佐伯以外の選手はピリッとしない練習になっている。これには、喜多の激しい激が飛んでいた。

佐伯はというと、確かに疲れは有るのだろうが全く態度に出さない。佐伯もジムの筆頭としての自覚が芽生えているのかもしれない。

ジムワークが終わると、海の家で夕飯とお風呂に入って終了となるのだが、佐伯は後輩達を引き連れてロードワークに出て行った。佐伯がまだ駆け出しの頃、ジムの先輩達が自分を引っ張ってくれていた。佐伯は自分のされた事を後輩達に返していた。そんな佐伯の行動を、喜多は窓から見ていた。


合宿2日目…………

朝から砂浜で走り込みをしている。先頭はいつでも佐伯であり、後輩達は必死で佐伯に付いて行く。その姿を見ながら、喜多は厳しい激を発している。

砂浜でのトレーニングが終わると、今度はタイヤをハンマーで叩く。池本もやっていた、パンチ力の源となる後背筋を鍛える練習である。佐伯は片手で100回ずつ、両手で200回行う。他の選手は佐伯の半分の回数だが、それでもかなりきついらしく、誰もがへばっている。

「根性見せろ、疲れた顔するな!」

佐伯の激で、後輩達は力を振り絞り練習を続ける。

昼食を食べてからの午後、こちらもかなりきつい練習となっていた。14時から砂浜を走り、それぞれ筋肉トレーニングを行ってからジムワークとなる訳なのだが、ジムワークが疎かになっていると佐伯は後輩達とスパーリングをした。結果は日を見るより明らかであり、後輩達は佐伯に徹底的に打ち込まれた。佐伯はその後も黙々と練習をし、1人でロードワークに行ってしまった。

「佐伯さん、スゲェな……」

「……付いて行くのがやっと……」

「化物だ……」

「はっはっは…佐伯も昔、そんな事言ってたっけな……」

「佐伯さんがですか?」

「まさか?」

「言われてたんでしょ?」

「お前等は、池本さんの現役時代の練習を知らねぇからなぁ……」

「池本さんて、たまに来るあの人でしょ?」

「池本さんと徳井さんの戦績くらいは知ってますけど……」

「池本さんて、ミドル級でしょ?」

「ミドル級か……あの人の練習やスパーリングで対戦すると、ミドル級が重量級だと忘れるんだよなぁ……大体、走り込みの勝負で池本さんに勝った奴、俺は見た事ねぇぞ」

「手塚さんや甲斐選手もですか?」

「俺達が現役の時でも、池本さんはいつでも先頭走ってたなぁ……スパーリングでも、いい所がまるでなくてな……」

「そんなに凄かったんですか?」

「今も鍛えてそうですけど……」

「キャリアは半端無いですけど……」

「今も昔も、池本さんは半端無いな……佐伯も、ああやって池本さんに鍛えられたんだ……お前達、頑張らないと佐伯の背中を見失うぞ?」

「……絶対に見失ってたまるか!」

「必ず追い付いてやる!」

「まだまだこれからだ!」

3人は、佐伯の後を追う様にジムを飛び出して行った。

(俺も、池本さんを追い掛けてたっけなぁ…………)

喜多は、自分の現役時代を思い出していた。


3日目…………

本日も朝から走り込みである。佐伯を先頭に、みんなが砂浜を走っている。流石に疲れが溜まっている様だが、それでも全員が必死に走っている。佐伯に釣られ、3人もボクサーとして成長出来そうである。

午後、いつもの走り込みからジムワークとなる。走り込みの際、間借りしているジムの選手達が一緒に走り込みをしていた。どうやら、佐伯達に発奮された様だ。人数が多ければ見ている目も増える。誰もが気を抜く事なく、しっかりと砂浜を走っていた。

ジムワークも同様である。お互いがお互いを意識し、その目が監視する事により誰もが手を抜けない。とても良い雰囲気で、合宿最後の練習を終える事が出来た。

合宿が終了となり、喜多はジムと海の家の友達にお礼を言って帰って行った。喜多の顔は満足そうである。まずは、下準備完了といった所だろうか。

佐伯、ジムの筆頭としての意識も芽生えている様です……

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― 新着の感想 ―
[良い点] 佐伯も日に日に成長してジムの筆頭としての自覚が芽生えてきましたね! 池本さんの教えが確実に受け継がれていますね。
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