WBSSへの挑戦……
世界的な一代イベント……
6月に入り、WBSSの正式な組み合わせが決まった。今回のトーナメントだが、丁度世界チャンピオンが4名居る為に1回戦については全てがチャンピオンVS世界ランカーとなっていた。
準決勝については、1回戦の勝利者が決まった所で改めて抽選となった。注目のカードだが、WBAスーパーチャンピオン、トーマス·スペンサーVSセルゲイ·キシェンコ、IBFチャンピオン、フランチェスコ·カンナバーロVSバーキンス·トリニダード、WBCチャンピオン、佐伯昴VSルイス·モンゴメリー、WBOチャンピオン、甲斐拳人VSモーリス·スミスとなった。1回戦については、チャレンジャーがチャンピオンの国に乗り込む形となる。佐伯と甲斐の試合だが、8月20日に横浜アリーナでの開催となった。久しぶりに2人揃っての試合となる。
佐伯は、本日も川上ジムにて練習をしていた。喜多とスパーリングをし、その後でいつものジムワークへと続くのだが、スパーリングは喜多だけでは厳しい物となっていた。世界タイトル奪取と初防衛を経験し、佐伯はボクサーとして1段と成長していた。
佐伯のミット打ちは、喜多が対応している。喜多は激を飛ばしながら、佐伯のパンチを実に上手く受けている。喜多のトレーナーとしての技術も上がっている様だ。佐伯は喜多のミットに翻弄されながら12ラウンドのミット打ちを終了させると、サンドバッグをすぐに叩き始め練習に没頭する。試合に向けてやる気充分の様だ。
練習が終わり、佐伯はジムから出て行く。
「喜多、スパーリングが随分と厳しくなって来たな」
「はい……かなり厳しい状況です……チーフ、パートナーを探さないといけないですかね?」
「そうだなぁ……もう少し付き合ってみて、難しいと感じたら探すとしよう」
「分かりました……」
喜多としては、出来るだけ自分でスパーリングパートナーをやりたい所では有る様だが、佐伯の成長を認めざるを得ない様でいる。佐伯の成績は、周りも認める所となっている。
一方の甲斐だが、こちらは西田拳闘会にて練習をしていた。手塚とのスパーリングの後、甲斐はいつも通りのジムワークをする訳では有るのだが、スパーリングで手塚は甲斐にやり込められていた。こちらも、世界タイトル奪取と初防衛戦をクリアして更に成長している様である。
甲斐のミットを持つ手塚ではあるが、甲斐にスパーリングでやられた事が納得いかないらしくミットを持つ手に力が籠っている。手塚は甲斐に激を飛ばしながら、徹底的に甲斐を追い込む様にミットを受けていた。
甲斐はミット打ちが終わると、すぐにサンドバッグを打ち始めた。どうやら、ミット打ちが不満らしく歯ぎしりをしながらサンドバッグを叩いている。
甲斐は練習が終わると、一礼してから帰って行った。
「手塚君、大分やられたね」
「はい、やられました……あの野郎……」
「スパーリング、厳しいんじゃないの?」
「もう少しやらせて下さい……厳しいと感じたら、パートナーを探して下さい」
「分かった……手塚君には、負担を掛けるね」
「いやいや、西田さんの面倒を見てる篠原さん程じゃないですよ」
「……西田君、もう少しどうにかならないかな?」
「難しいですねぇ……池本さんと徳井に殴って貰いましょうか?」
「それで治るくらいなら、苦労はしないよ……」
「確かに……」
甲斐も素晴らしい成長をしている様だ。篠原トレーナーと手塚は、今後の甲斐については嬉しい悲鳴となっている。西田会長については、半ば諦めている様だ。
2人が対戦相手も決まり、練習に一層熱を入れてる頃、池本は徳井を連れてアメリカに来ていた。WBSSの親善大使として、他の2人と顔合わせと主催者側との話し合いの為である。
空港に着いた池本達を待っていたのは、ラリオスではなくホプキンスであった。
「……随分と久しぶりだな……」
「お前が迎えかよ……」
「不満か?」
「ああ、不満だ……お前ごときが俺の迎えなんてな」
「そう言うな、俺はお前との一戦……誇りに思ってんだからさ……」
「言っとくがな、ラリオスの方が強かったからな!」
「どう思われても構わないさ……負けた事実は変わらないからな……」
「で…お前の後に付いて行けばいいのか?」
「外に車を待たせてある。それに乗ればいい」
「そうか……行くぞ、徳井」
「はい」
「……誰かと思えば徳井か……お前のジムは華やかだな」
「俺を知っててくれてるんですか?」
「当たり前だ、お前は統一世界チャンピオンだったんだぞ」
「ありがとうございます、光栄です」
「徳井、こいつはベルト2本……お前のが上だ」
「池本さん、それは言い過ぎじゃ……」
「確かにその通りだ……気にするな、徳井……とりあえず、車まで案内する」
ホプキンスの案内で、池本と徳井は車まで案内される。待っていた車はリムジンである。
「リムジンかよ……」
「主催者側からだ……まぁ、乗れ」
池本と徳井が乗り込むと、すでにラリオスが乗っていた。
「よう、池本……徳井も来てたのか」
「お前……来てたなら迎えに来い!」
「いやぁ、ホプキンスが行きたいって言うからさぁ……」
「試合の後に話が出来なかったからな……失礼な事を言って、すまなかった……」
「それだけの為に迎えか?」
「ああ……謝ろうと思ってはいたが、お前になかなか合えなくてな……」
「池本は引退してたからなぁ……許してやれよ、池本!」
「……別に気にしてねぇよ、勝ったのは俺だしな」
「……しかし、こうして見ると……豪華な顔ぶれですね!」
「徳井から見て豪華なら、俺達もまだまだ捨てた物じゃないな」
「いや、ホプキンス……困った事が1つ有るぞ……」
「何だ池本?」
「よ~く考えろよ、ラリオスはミドル級で世界を取っていない……」
「確かに……ラリオスは選ばれてていいのか?」
「おいおい、いきなり何だよ!」
「事実だろ?」
「池本に言われるまで気付かなかった……」
「俺だって、一役買ってただろ?」
「うむ、俺の引き立て役としてな!」
「今から辞退したらどうだ?」
「何言ってんだよ、2人で意気投合してんじゃねぇよ!」
「……この3人……昔からの親友みたいだ……」
リムジンの中は賑やかであった。この後、主催者の所に行き今後についての説明を受けた。どうやら、WBSS1回戦はそれぞれが解説の特別ゲストとして座るらしい。
池本は日本、ホプキンスはアメリカ、ラリオスはイタリアとなった。世界的な興行となるトーナメント、どんな試合になるのだろうか。
どんなトーナメントになります事やら……




