試合が終わって……
試合が終わり、それぞれ世界チャンピオンとなりました……
佐伯は試合が終わった1週間後、ジムに届いたチャンピオンベルトを受け取りにジムに来た。その際、喜多から甲斐の試合の翌日にジムに来る様に話が有り、チャンピオンベルトを受け取った3日後にジムに来た。本日は日曜日の為にジムは休みであるが、喜多は川上会長に許可を取り、佐伯と一緒に甲斐の世界戦を見る事にした。
甲斐の世界戦、見事に4ラウンドKOでチャンピオンとなった。佐伯は終始無言でこの試合を見ていた。
「……どうだ、佐伯?」
「強いの一言ですね……」
「確かに強いが、戦うとして考えるとどうだ?」
「厄介極まりないですね……1ラウンドの超至近距離からの右ブロー……カウンター潰しに持って来いだった……楽な相手ではないですけど、予想の斜め上をいきやがった……やる事は、まだまだたくさん有りそうだ」
「……その割に、顔がにやけてるぞ?」
「潰し甲斐が有りますからね……直接対決まで、しっかり精進するとしますか……明日から、改めてよろしくお願いします」
「おう、よろしくな!」
佐伯は帰路に着いた。佐伯も喜多も、甲斐の成長と強さを改めて確認した様だ。
世界戦から8日後、甲斐は西田拳闘会に顔を出した。チャンピオンベルトが届いた為である。
「丁度良かった、こっちに来い」
甲斐は手塚に言われ、会長室に入って行く。
「許可は貰っている。佐伯の試合を見るぞ」
「ありがとうございます」
手塚と甲斐は、佐伯の世界戦のビデオを見る事になった。佐伯は見事に5ラウンドKO勝ちを納めている。甲斐は終始無言である。
「どうだ?」
「……強いですね……しかも、まだまだ底を見せていない……」
「そうだな……その上で、試合をするとしたらどうだ?」
「難しいですねぇ……インファイトで相手を圧倒してるけど、佐伯はアウトボクサーが主ですからね……更に、1発のパンチに2発のカウンターを合わせる……常人には出来ない事ですよね……」
「確かにそうだが、勝ち目は有るのか?」
「勝つ方法は、これから探せばいいでしょう。俺は勝つつもりですからね!」
「その顔で、それだけ言えれば大丈夫だな……直接対決が楽しみだな?」
「はい……明日から、改めてお願いします!」
「おう、今日までゆっくり休め!」
「はい!」
甲斐は帰路に着いた。
「手塚君」
「どうしたんですか、篠原さん?」
「甲斐君、何だって?」
「佐伯に勝つつもりだそうです」
「いい答えだね……しかし、佐伯君のカウンター……我々は勘違いしてたかもだね……」
「確かに……池本さんが[高速カウンター]って言ってましたけど、あの2撃目まで分かっていて付けた名前かもしれませんね」
「多分そうだろうね……しかし、超至近距離での甲斐君のパンチ……高速カウンター封じに使えるかもね」
「それなんですけど、[マッハパンチ]なんて名前どうですか?」
「手塚君、もう少し学を付けなよ……マッハは音速、つまりは[音速拳]という事だろ?…高速は光の速さ、歯が立たないよ……」
「……格好いい名前だと思ったのに……」
「ハイスピードブロー……高速のブローという意味だけど、どうかな?」
「横文字で、何か格好いいですね!」
「よし、決まりだね」
どうやら、甲斐のいない所で甲斐のパンチの名前が決まった。こちらも名前に高速と入る。どちらの高速がより優れているのか、直接対決が楽しみである。
甲斐が佐伯のビデオを見た日、池本は徳井を連れて石谷トレーナーと篠原トレーナー、川上会長と夕飯を食べる約束をした。喜多と手塚を呼ばなかったのは、2人はトレーナーとしてライバル意識が芽生えているからである。西田会長を呼ばなかったのは、池本は西田会長と話でも役に立たないと判断したからである。
池本と徳井が約束の場所に来ると、すでに3人は到着しており生ビールを飲んでいた。
「あれ?…早くないですか?」
「片付けが早く終わったからな!」
「篠原とも飲みたいと思ってな!」
「僕は、手塚君に片付けを任せて来たよ!」
「では、俺達も参加しますね……失礼して」
「何か、久しぶりですね!」
「そうだな!」
「特に篠原さんは、西田拳闘会だから……我々はなかなか会えないんだよなぁ……」
「石谷さんの言う通りですね……今は仕方ないですね」
頼んでいたおつまみと、池本のアイスウーロン茶·徳井のコーラが来た。
「なんとなく、注文しといたからね」
「「ありがとうございます!」」
「では、改めて乾杯だな!」
「そうですね!」
「では、池本君!」
「俺ですか?」
「池本さんしか居ないですよ!」
「……分かりました。では……乾杯!」
『乾杯!』
みんなで飲み物を飲む。
「それでですね……佐伯と甲斐の世界戦なんですが……」
「甲斐は見事だったな……1ラウンドのあのパンチ……」
「ハイスピードブローと名付けました!」
「いい名前ですね!…ハイスピードブロー、なかなか厄介なパンチですよね!」
「それだったら、佐伯君の高速カウンターも厄介でしょう?…1発のパンチに2発のカウンターですからね!……池本君は分かってたね?」
「まぁ……普通に考えたら、返しの左フックまで打ち込めそうですもんね」
「所で池、今だとどっちが有利なんだ?」
「会長、会長はどう考えてますか?……トレーナー達の意見も聞きたいですね」
「俺は……正直に甲斐だな……ハイスピードブローが有る為にカウンターが取れない……スイッチはパートナーが難しいし……」
「俺も同意見ですね……ラウンドを重ねれば、佐伯は距離感を失う……」
「僕は……佐伯君が有利だと思っています。接近戦でもパンチが当たらない……」
「俺はね池本さん……実はドローだと思ってるんですよ!…佐伯にパンチは当たらないけど、甲斐は打たれても攻撃を辞めない。3者3様のドロー!」
「面白い答えばかりだな……俺としては、今は甲斐に分が有ると考えています。仮想の相手として、スパーリングパートナーを探し易いですからね……しかし、それでも決定的じゃない。後は、あの2人がどれだけボクサーとして息をしていくか……かな?」
「成る程、楽しい答えだな!」
「篠原さん、直接対決楽しみにしてますよ!」
「こっちこそ、負けませんよ!」
「俺は、池本さんと楽しく見てますね!」
「……確かに楽しみだな!」
この日、この5人は改めて直接対決を期待する事となった。どんな決着が着くが楽しみである。本日面白い事といえは、どちらのジムの関係者も相手を有利と考えていた事だろう。
果たして、2人の直接対決は出来るのだろうか。
これからが大切です……




