表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
心魂拳~共鳴する拳~  作者: 澤田慶次
85/159

世界を越える……

佐伯の世界タイトルマッチ、試合は加熱……

5ラウンド…………

佐伯もヒカルドも当然の様に前に出て行く。このラウンド、始めから2人共にインファイト以外考えていない様である。

お互いに左ジャブを放ちながら、相手との距離を詰めて行く。お互いに手の届く距離になると、改めてパンチを出し合っていく。

ここで少し、先程のラウンドと様子が違って来る。先程のラウンドまでは、お互いのパンチを貰わない事を前提にインファイトをしていた2人の筈だが、このラウンドは貰う事を前提に相手を圧倒する戦い方になっている。その証拠に、距離が詰まった最初の左フックはお互いが相手の顔を捉え、2人の頭は同時に弾けた。

ここから、火の出る様な打ち合いになっていく。お互いのパンチが相手を捉え、打たれた方はすぐさま打ち返す。お互いの頭が交互に弾け時に相打ちになりながら、この接近戦は更に加熱していく。接近戦ではヒカルドに分が有ると思っていた関係者も多く、この試合の展開は予想外となっている者も多くいた。

リング中央でお互いが引かず被弾しながら打ち返す激しい試合となり、更に2人共に回転数が上がり打撃戦が激しさを増す中で急にレフェリーが割って入って来た。いつの間にかゴングが鳴っていた。5ラウンド終了である。


6ラウンド…………

佐伯もヒカルドも距離を詰める様に前に出て来る。このラウンドも打撃戦になる気配である。この予想は当たる事になる。2人は距離が詰まるとガードを殆ど考えず、攻撃に重きを置いて試合を進める。打撃戦は加熱していく。

6ラウンドが1分を過ぎた頃、打撃戦の様子が変わって来る。

突然、佐伯はパンチを繰り出しながらヒカルドのパンチをかわし出した。自分のパンチを的確にヒットさせながら、佐伯はヒカルドのパンチを避けているのである。ここにきて、佐伯の中で何かが変わっていた。

この佐伯の動きだが、ヒカルド陣営は予測していた。佐伯の試合で度々見られたこの動き、ヒカルド陣営が警戒しない訳はない。勿論、ヒカルド自身も佐伯のこの動きは折り込み済みである。ヒカルドはパンチを貰う事を前提に、引かずに打ち合いを続けていた。

この戦い方だが、これは破れかぶれではない。佐伯の戦い方だが、この戦い方になった時の佐伯のフィニッシュブローは、ほぼ100%カウンターである。それも、池本が[高速カウンター]と名付けたあのカウンターである。相手が手を出した瞬間、そのパンチが伸び切る前に佐伯がパンチを打ち抜くカウンター、確かに驚異ではある。

しかしである。そこを追求すると、佐伯のパンチは右ストレートだと断言出来る。つまり、ヒカルドは自分のパンチより遥かに速い右ストレートが来る。その為にしっかりと歯を食い縛り、出し掛けたパンチを打ち抜く覚悟を決めていた。パンチの破壊力なら、間違いなくヒカルドの方が上である。相打ち覚悟のヒカルドの作戦、かなり危険な匂いがする。

打ち合いは確実に佐伯が支配しているが、ヒカルドは後退しない。その場所で渾身のパンチを振るっている。このヒカルドの攻撃に、佐伯は更に集中力を高める。そんな中、ヒカルドが右拳を握り込みパンチを出した時、伸び切る前に佐伯の右ストレートがヒカルドを打ち抜いた。ヒカルドの頭は弾けるが、ヒカルドの目の輝きは失われていない。ヒカルドは構わず、そのまま右ストレートを佐伯目掛けて放つ。

次の瞬間、ヒカルドの頭は先程とは逆に弾けていた。ヒカルドの右ストレートに対し、佐伯は頭を下げて左フックを被せていた。クロスカウンターの成立である。しかも、右ストレートでヒカルドの頭を跳ね上げ、その上で左フックを捻り込んでいる。付け加えるなら、1発のパンチに2発のカウンターを佐伯は合わせた事になる。カウンターに備えていたヒカルドではあるが、2発目のカウンターは完全に予定外である。ヒカルドは佐伯のパンチを貰うと、一呼吸置いて前のめりに倒れた。

佐伯はゆっくりとニュートラルコーナーに歩いて行く。レフェリーはすぐにヒカルドに駆け寄るが、両手を何度か交差させるとヒカルドの口からマウスピースを無理矢理取り出した。

6ラウンド2分01秒、KOにて佐伯はWBC世界フェザー級チャンピオンベルトを獲得した。


雪崩れ込む様にリングに上がる喜多、すぐに佐伯に抱き付き抱え上げた。その後ゆっくりと川上会長と石谷トレーナーがリングに上がる。佐伯は3人と少し話した後、ヒカルドの方へ行き挨拶をする。ヒカルドは意識を取り戻し、軽く手を上げて佐伯と握手するとリングを降りて行った。

佐伯はリング中央に行くと、喜多からWBCのチャンピオンベルトを腰に付けられる。佐伯は両手を上げて派手にガッツポーズを決めた。そんな佐伯を喜多は肩車する。会場からは多くの拍手が送られた。

インタビュアーがリングに上がる。

「放送席、それでは見事なKOで世界タイトルを奪取しました佐伯昴選手に話を伺います。まずは、KO勝利おめでとうございます!」

「ありがとうございます!」

「見事なKOでした!」

「はい、見事に倒しました」

「圧倒した試合でしたね?」

「いやいや、厳しい試合でしたよ」

「しかし、これで次も楽しみになって来ましたね?」

「次というか……10日後に試合する馬鹿が居ますからね。あいつと決着を着けるまでは、立ち止まらないですよ!」

「甲斐選手ですか?」

「名前までは言わないつもりです」

「しかし、この階級にはエリック·ロペスが居ますけど?」

「スイッチ使いのボクシング馬鹿に比べれば、やり方はいくらでも有りますよ」

「最後に一言!」

「今日はありがとうございました。次も頑張ります」

「佐伯選手でした!」

会場から多くの拍手が鳴り、佐伯は客席に一礼してから控え室に戻って行った。

佐伯、きっちり決めました……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] さすがの佐伯ですね! きっちりきめて世界をまずはとりましたね! そしてはやはり対決を意識していますね!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ