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心魂拳~共鳴する拳~  作者: 澤田慶次
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試合は白熱……

試合は序盤……

2ラウンド…………

ヒカルドは左ジャブを放ちながら佐伯との距離を詰めて行く。顔には怒りの表情が見え、先程のラウンドのダウンを取り返そうと考えている様だ。このヒカルドの攻撃だが、先程のラウンドでの佐伯のパンチの処理等から[いける]と判断したらしい。

これに対する佐伯だが、ヒカルドのこの攻撃を佐伯は予想していたかの様にギアを更に1つ上げていた。頭を振るヒカルドの頭に対し左ジャブを叩き込む佐伯、ヒカルドは佐伯のジャブを喰らいながら先程のラウンドとは佐伯が違う事を感じ、一旦距離を取り立て直す事を決断する。

ヒカルドは元々ボクサーファイタータイプである。この決断は思いの外的を得ていた。佐伯の頭の中には、戦い続けていく先に甲斐との試合が有る。佐伯は知らず知らずのうちに、ファイター型との戦い方を追求していた。この結果、ボクサー型の選手との戦い方は才能に任せた形になっていた。

今までならそれでも良かったが、相手は世界チャンピオンである。そう上手くはいかない。

距離を取られアウトボクシングをされた佐伯は、自分から攻撃を仕掛けながら左に回っていくが、先程まではヒカルドが前に出て来た分、踏み込まなくてもある程度のパンチを当てる事は出来ていた。

しかし、ヒカルドが作戦を変えた為にパンチの感触が軽くなっていた。その為、佐伯は少し踏み込みを強くしてパンチを打つ必要が出て来る。

対するヒカルドだが、こちらは距離を取りアウトボクシングをする事で頭の中を整理する事が出来た。その上で佐伯を相手にアウトボクシングで対抗している。世界チャンピオンの肩書きは伊達ではない。

ヒカルドがアウトボクシングに徹する事で、試合は少し硬直していく。お互いに左ジャブの差し合いをしながら、試合の流れを引き寄せ様としている。時々右ブローを交えながら、2人は色々な駆け引きをリングの上で行っている。ハイレベルな試合になって来た。

佐伯の左ジャブをかわしたヒカルドに狙った様に右フックを被せた佐伯だが、この右フックにヒカルドは左フックを被せた。佐伯はそのまま右フックの遠心力を利用して回転する様にヒカルドの左フックをかわした所でゴングが鳴る。2ラウンド終了である。


3ラウンド…………

2ラウンド同様、ヒカルドも佐伯もお互いに距離を取り、アウトボクシングで対峙している。お互いに左ジャブから流れを掴もうとしているが、なかなか左ジャブがクリーンヒットしない。ガードしたり避けたり、2人はお互いのジャブを喰らわずにジャブを返していく。時折右ブローも交える2人だが、そのブローも相手を捉える事は出来ない。なかなか決定打が決まらない試合になって来たが、2人はお互いに違う事を感じ取っていた。

ヒカルドは佐伯に余力が有る事を確信していた。拳を交えながら、明らかに佐伯は自分の攻撃を常に確認している仕草が見て取れた。ヒカルドは佐伯というボクサーを最大限危険な相手と認識していた。

佐伯の方だが、こちらもこちらで警戒していた。ヒカルドは立ち上がり、インファイトを仕掛けて来た。そのファイトは様になっており、ヒカルドがファイター寄りのボクサーファイターだと感じられる。そのボクサーがアウトボクシングで自分と渡り合っている。つまりは、インファイトに切り替わった時に立ち上がりの時よりも遥かに厳しい攻撃をするヒカルドが居るという確信を持っていた。

そして2人は、勝負が決まるなら一瞬であると感じていた。

そんな2人の戦いは、ここに来てお互いの出方を伺いながら左のリードブローを中心に試合を進める形になる。2人の左ジャブがお互いの顔面を捉えた所でゴングが鳴った。


4ラウンド…………

このラウンドも立ち上がりは変わらない。お互いに距離を取り、左リードブローを中心に試合を組み立てていく。ラウンドを重ねるうちに、2人の動きは一層スピードを増しておりパンチ1つ1つの切れも増している。クリーンヒットが無いにも関わらず、緊張感が増していく試合となっている。

4ラウンド1分過ぎ、ヒカルドに動きが出る。元々ヒカルドは1ラウンドにダウンを取られている為、何処かで巻き返しをしなければいけない。ヒカルドは佐伯の左ジャブをかわすと、一気に間合いを詰めて接近戦を挑んで来た。

これに対する佐伯だが、佐伯の気持ちの強さも合間ってヒカルドの接近戦に付き合う事を選んだ。

ヒカルドは佐伯の懐に入ると、すぐに左ボディを放つ。佐伯はこれを右ガードで受けるとすぐに左フックを返す。ヒカルドはこれを沈み込む様にかわすと、すぐに右フックを返す。佐伯はこの右フックをかわしながら自分の右フックを被せる。ヒカルドはその右フックをかわして佐伯とクリンチの様な形になる。

レフェリーが割って入り試合再開となると、2人は申し合わせた様にお互いの間合いを詰めインファイトを繰り広げる。リング中央、お互いの手が届く距離で2人は徹底的にパンチを出していく。そのパンチはお互いの顔をかすめる事は有るが、クリーンヒットには繋がらない。お互いが切れの有るパンチを繰り出しながら、相手のパンチを避けたりガードする事でクリーンヒットを許さずに反撃をしていく。白熱の接近戦となっている。

佐伯とヒカルドの左フックが、浅いとはいえお互いのテンプルを捉えた所でゴングが鳴った。大分、試合の熱量が上がって来た様である。

気が抜けない……

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― 新着の感想 ―
[良い点] 流石に世界戦だけあって佐伯でも一筋縄にはいきませんね。 ここから糸口をどう見つけて流れを変えるか楽しみです!
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